「商用利用可」「著作権フリー」と書かれたフリー素材を使ったのに、ある日突然、著作権侵害の警告が届いた——。こんな悪夢のような話が、実際に起きています。
2015年の東京地裁判決では、フリー素材サイトから入手した写真を使用した企業に対し、約20万円の損害賠償が命じられました。被告側は「フリー素材だと思っていた」と主張しましたが、裁判所はこれを認めませんでした。
「フリー素材=何でも自由に使える」という認識は、実は大きな誤解です。特に動画編集や企業のホームページ制作に携わる方にとって、この誤解は深刻なトラブルの原因になりかねません。
この記事では、商用利用可のフリー素材でもクレジット表記が必要なケース、各素材サイトの利用規約の違い、そしてトラブルを避けるための具体的な対策について徹底解説します。動画編集者、Web制作者、企業のマーケティング担当者の方は、ぜひ最後までお読みください。
「フリー素材」の本当の意味とは?3つの誤解を解く

まず最初に、多くの人が陥っている「フリー素材」に関する誤解を解いていきましょう。この誤解を放置したまま素材を使い続けると、思わぬトラブルに発展する可能性があります。
誤解1:「フリー=著作権がない」ではない
「フリー素材」という言葉を聞いて、多くの人は「著作権が存在しない素材」だと考えがちです。しかし、これは大きな誤解です。
「フリー素材」の「フリー」には、主に以下の3つの意味があります。
使用料がフリー(無料):ダウンロードや使用に対して料金がかからないという意味です。ただし、著作権自体は制作者に帰属しており、利用規約の範囲内での使用が前提となります。
ロイヤリティがフリー:一度購入または許諾を得れば、その後の使用に対して追加の使用料(ロイヤリティ)が発生しないという意味です。これも著作権の放棄を意味するわけではありません。
著作権がフリー:著作権が消滅しているか、著作者が権利を放棄した状態を指します。この場合のみ、本当の意味で「自由に使える」と言えますが、このような素材は非常に稀です。
つまり、多くのフリー素材サイトで配布されている素材は、「使用料が無料」であっても、著作権は制作者に残っているのが一般的です。そのため、利用規約に定められたルールを守る必要があります。
誤解2:「商用利用可=何でもOK」ではない
「商用利用可」と記載されていても、その範囲は素材サイトによって大きく異なります。
例えば、「商用利用可」の範囲として認められる一般的な用途には、企業のWebサイトでの使用、広告・バナーへの使用、YouTubeなど動画コンテンツへの使用、名刺やパンフレットなど印刷物への使用などがあります。
一方で、「商用利用可」でも禁止されることが多い用途としては、素材をそのまま再販売・再配布すること、素材を使った商品(Tシャツ、マグカップなど)の販売、素材をロゴやトレードマークとして使用すること、ポルノグラフィや違法コンテンツへの使用などが挙げられます。
特に注意が必要なのが、「21点以上の素材を使った商用デザイン」を有償としているサイトです。有名な「いらすとや」もこのルールを採用しており、知らずに大量使用すると利用規約違反になる可能性があります。
誤解3:「クレジット表記不要=表記しなくていい」とは限らない
多くのフリー素材サイトでは「クレジット表記不要」と記載されていますが、これにも落とし穴があります。
まず、サイト全体のルールと個別素材のルールが異なる場合があります。サイトの基本ルールでは「クレジット表記不要」とされていても、特定の素材や作者によっては「クレジット表記必須」としているケースがあります。
また、無料利用と有料利用でルールが異なる場合もあります。例えば「Freepik」では、無料で利用する場合はクレジット表記が必須ですが、有料プランに加入すればクレジット表記が不要になります。
さらに、利用規約が変更される可能性も考慮すべきです。素材をダウンロードした時点では「クレジット表記不要」だったとしても、その後の規約変更で「必要」になる場合があります。過去に取得した素材についてはどう扱うべきか、明確でないケースも多いのが現状です。
クレジット表記が必要になる6つのケース
ここからは、具体的にどのような場合にクレジット表記が必要になるのかを詳しく見ていきましょう。
ケース1:クリエイティブコモンズ(CC)ライセンスの素材
クリエイティブコモンズ(CC)ライセンスは、国際的に広く使われている著作権ライセンスです。CCライセンスの素材は、条件を守れば無料で使用できますが、すべてのCCライセンスで「表示(BY)」が必須条件となっています。
CCライセンスには6種類の組み合わせがありますが、いずれも著作者のクレジット表示が求められます。
CC BY(表示)は、最も自由度の高いライセンスです。クレジット表示さえ行えば、改変も商用利用も可能です。
CC BY-SA(表示-継承)は、クレジット表示に加え、改変した場合は同じライセンスで公開することが条件となります。
CC BY-ND(表示-改変禁止)は、クレジット表示を行い、元の作品を改変しなければ、商用利用も含めて自由に使えます。
CC BY-NC(表示-非営利)は、クレジット表示を行い、非営利目的であれば、改変や再配布が可能です。
CC BY-NC-SA(表示-非営利-継承)は、非営利目的でクレジット表示を行い、改変した場合は同じライセンスで公開することが条件です。
CC BY-NC-ND(表示-非営利-改変禁止)は、最も制約の強いライセンスで、非営利目的でクレジット表示を行い、改変せずにのみ使用可能です。
重要なのは、どのCCライセンスでもクレジット表示は必須ということです。「商用利用可」のCC BY素材であっても、クレジットを表示しなければ著作権侵害となります。
ケース2:条件付き無料の素材サイト
多くのフリー素材サイトでは、「無料で使えるがクレジット表記が必要」という条件を設けています。代表的な例を見てみましょう。
Freepik(フリーピック)は、高品質な写真やイラストを提供する人気サイトですが、無料利用の場合はクレジット表記が必須です。月額課金のプレミアムプランに加入すると、クレジット表記なしで利用できるようになります。
Iconpon(アイコンポン)は、無料アイコン素材サイトですが、利用方法によってクレジット表記のルールが異なります。Webサイトやブログで使用する場合はサイトへのリンクが必要、ゲームやアプリで使用する場合は作品内やストア文での表記が必要、動画で使用する場合は動画内または公開ページでの表記が必要、という具合です。
ポケットサウンドは、フリーBGM・効果音サイトですが、無料利用の場合はクレジット表記が必要です。有料ライセンスを購入すれば表記不要となります。
ケース3:YouTubeオーディオライブラリの一部楽曲
YouTubeが公式に提供している「YouTubeオーディオライブラリ」は、1,300曲以上のBGMと効果音を無料で利用できる便利なサービスです。しかし、すべての楽曲がクレジット表記不要というわけではありません。
楽曲一覧には「帰属表示が必要」と表示されているものがあります。これらの楽曲を使用する場合は、動画の説明欄などにアーティスト名と曲名を記載する必要があります。
ダウンロード前に必ず各楽曲の「ライセンスタイプ」を確認し、帰属表示が必要かどうかをチェックしましょう。
ケース4:作者が個別にクレジット表記を求めている場合
フリー素材サイトの多くは、複数のクリエイターが作品を投稿するプラットフォーム形式をとっています。サイト全体の規約では「クレジット表記不要」とされていても、個々のクリエイターが独自に表記を求めているケースがあります。
例えば、Pixabayでは基本的にクレジット表記は不要とされていますが、一部の投稿者は素材のダウンロードページで「クレジット表記をお願いします」と記載していることがあります。
このような場合、法的な強制力があるかどうかは議論の余地がありますが、クリエイターへの敬意として表記するのがベストプラクティスと言えるでしょう。
ケース5:素材を改変して使用する場合
フリー素材を加工・編集して使用する場合、改変したことを明記する義務が生じるケースがあります。
CCライセンスの素材を改変した場合は、「この作品は○○の作品を改変して制作しました」といった形で、元の作品との関係を明示する必要があります。また、CCライセンスによっては、改変後の作品にも同じライセンスを適用することが求められます(CC BY-SAなど)。
素材サイトによっては、改変した場合にのみクレジット表記が必要になるルールを設けているところもあります。
ケース6:特定の業種・用途での使用
一般的な商用利用では不要でも、特定の業種や用途で使用する場合にクレジット表記が必要になるケースがあります。
例えば、映像作品(映画、テレビ番組など)のエンドクレジットで使用素材を表示することを求められる場合があります。また、教育機関での使用において、出典を明記することが求められるケースも多いです。
さらに、出版物(書籍、雑誌など)では、画像の出典を記載することが一般的であり、フリー素材であってもその慣行に従うことが推奨されます。
主要フリー素材サイトの利用規約を徹底比較
ここでは、動画編集やWeb制作でよく使われる主要なフリー素材サイトの利用規約を比較していきます。各サイトの特徴を理解し、適切に使い分けましょう。
写真・画像素材サイト
Unsplash(アンスプラッシュ)は、商用利用可能でクレジット表記は不要です。加工も自由に行えます。ただし、Unsplashから画像を取得して競合するサービスを運営することは禁止されています。高品質でおしゃれな写真が多く、プロフォトグラファーの作品が中心なので、違法アップロードのリスクも低いとされています。クレジット表記は必須ではありませんが、「行っていただけると幸いです」とサイト上で案内されており、フォトグラファーへの敬意として表記が推奨されています。
Pixabay(ピクサベイ)は、商用利用可能でクレジット表記は不要です。加工も自由に行えます。2,700万点以上の画像、動画、音楽素材を取り扱う大規模サイトです。ただし、誰でも画像をアップロードできるため、まれに有料画像が違法にアップロードされているケースがあります。人物写真や企業ロゴが写り込んでいる素材を商用利用する場合は、肖像権や商標権の問題が生じる可能性があるため注意が必要です。
Pexels(ピクセルス)は、商用利用可能でクレジット表記は不要です。加工も自由に行えます。おしゃれな素材からマニアックな素材まで幅広く揃っています。ただし、製品やサービスの推薦・提携を示唆するような使用は禁止されています。
写真ACは、日本発の写真素材サイトで、商用利用可能、クレジット表記も不要です。日本人モデルの写真が豊富で、国内のビジネスシーンに適した素材が見つかりやすいのが特徴です。ただし、無料会員は1日のダウンロード回数に制限があります。
いらすとやは、国内で最も有名なフリーイラスト素材サイトの一つです。商用利用可能でクレジット表記は不要ですが、1つの制作物につき20点までという制限があります。21点以上使用する場合は有償となるため、注意が必要です。
音楽・BGM素材サイト
動画編集において、BGMや効果音の選択は非常に重要です。しかし、音楽素材は写真素材以上に著作権のルールが複雑な場合があります。
DOVA-SYNDROMEは、18,000曲以上のフリーBGMを提供する国内最大級のサイトです。商用利用可能で、基本的にクレジット表記は不要ですが、一部の作曲者が独自にクレジット表記を求めている場合があります。各楽曲のダウンロードページで個別の利用条件を確認することが重要です。
甘茶の音楽工房は、商用利用可能で、クレジット表記は「必須ではないが記載を推奨」しています。サイト名、作曲者、URLのいずれかを記載することが望ましいとされています。
魔王魂は、商用利用可能ですが、クレジット表記が必須です。動画説明欄やクレジットに「Music: 魔王魂」などと記載する必要があります。
効果音ラボは、商用利用可能でクレジット表記は不要です。YouTubeや映像作品で使いやすい効果音が豊富に揃っています。
Music-Note.jpは、基本的に商用利用可能ですが、企業による商用利用の場合は1曲あたり月額2,000円+税、または運営会社のYouTubeチャンネル登録が必要という独自のルールがあります。
利用規約比較表
主要サイトの利用規約を表にまとめると、商用利用についてはほとんどのサイトが「可」としていますが、クレジット表記については「不要」「推奨」「必須」とサイトによって異なります。また、加工についてもほとんどのサイトが「可」としていますが、いくつかの禁止事項が設けられています。
代表的な禁止事項としては、素材の再配布・再販売、ロゴ・トレードマークとしての使用、アダルトコンテンツへの使用、競合サービスでの使用、特定数以上の使用(いらすとやなど)が挙げられます。
関連記事として、画像の無断転載は違法?ホームページ運営で知っておくべき著作権の基本も参考にしてください。
クレジット表記の正しい書き方【実例付き】
クレジット表記が必要な場合、どのように記載すればよいのでしょうか。ここでは、具体的な書き方を実例とともに解説します。
基本的なクレジット表記の構成要素
クレジット表記には、一般的に以下の要素を含めます。
著作者名(作者名)は、素材を制作した人の名前やハンドルネームです。サイトに登録されている名前をそのまま使用しましょう。
作品タイトルは、素材に名前がついている場合は記載します。写真素材などでタイトルがない場合は省略可能です。
素材の出典(サイト名やURL)は、どこから入手した素材かを明示するために記載します。
ライセンスの種類は、CCライセンスの場合は、どのライセンスが適用されているかを記載します。
改変の有無は、素材を加工・編集した場合は、その旨を明記します。
クレジット表記の実例
以下に、さまざまなシーンでのクレジット表記の例を示します。
Webサイト・ブログでの表記例として、最もシンプルな形式は「Photo by [作者名] on [サイト名]」です。例えば「Photo by John Smith on Unsplash」のように記載します。より詳細に記載する場合は「Image credit: “Sunset over the ocean” by John Smith, licensed under CC BY 4.0」といった形式になります。HTMLでリンクを含める場合は、「<a href=”https://example.com”>Photo</a> by <a href=”https://example.com/author”>John Smith</a> on <a href=”https://unsplash.com”>Unsplash</a>」のように記述します。
YouTube動画での表記例として、動画の説明欄に「【使用素材】BGM: “楽曲名” by 作曲者名(サイト名 URL)」や「効果音: 効果音ラボ https://soundeffect-lab.info/」のように記載します。
エンドカード(エンドクレジット)で表示する場合は、「Music Credit」という見出しの下に「”楽曲名” – 作曲者名」「Courtesy of サイト名」と記載し、「Image Credit」という見出しの下に「Photo: 作者名 / サイト名」と記載します。
印刷物での表記例として、画像の近くや巻末に「写真提供: 作者名 / サイト名」「イラスト: 作者名(サイト名より)」のように記載します。
CCライセンス素材を改変した場合の表記例は、より詳細な情報が必要です。「”新作品タイトル” by あなたの名前 この作品は、作者名の作品 “元の作品タイトル” を改変して制作しました。 この作品は クリエイティブ・コモンズ 表示 4.0 国際 ライセンスの下に提供されています。 ライセンスの詳細: https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja」という形式で記載します。
クレジット表記のベストプラクティス
クレジット表記を行う際のポイントをいくつか紹介します。
素材の近くに配置することが重要です。可能であれば、使用している素材の近くにクレジットを配置しましょう。画像であればキャプション部分、動画であれば説明欄やエンドクレジットが適切です。
リンクを活用することも有効です。Webコンテンツの場合、作者名やサイト名にリンクを設定すると、より丁寧な表記になります。これは作者への敬意を示すだけでなく、閲覧者が出典を確認しやすくなるメリットもあります。
一括でまとめて表記する方法も実用的です。複数の素材を使用している場合、それぞれの近くに表記するのが難しければ、ページの末尾や動画の説明欄に「使用素材一覧」としてまとめて記載しても問題ありません。
素材サイトの推奨形式に従うことも大切です。サイトによっては、クレジット表記の推奨形式を指定している場合があります。その場合は指定された形式に従いましょう。
フリー素材を使用する際のリスクと対策
フリー素材の利用には、想定外のリスクが潜んでいます。ここでは、実際に起こりうるトラブルと、それを回避するための対策を解説します。
リスク1:著作権侵害による損害賠償請求
フリー素材サイトから入手した素材であっても、著作権侵害で訴えられる可能性があります。
実際の判例:アマナイメージズ事件(東京地裁平成27年4月15日判決)では、弁護士法人がWebサイトに掲載した写真について、約20万円の損害賠償が命じられました。被告側は「フリー素材サイトから入手した」と主張しましたが、裁判所は以下のように判断しました。
「仮に被告がフリーサイトから入手したものだとしても、識別情報や権利関係の不明な著作物の利用を控えるべきことは、著作権等を侵害する可能性がある以上当然である」
この判決の重要なポイントは、「フリー素材だと思っていた」という言い訳は通用しないということです。素材を使用する側には、権利関係を確認する義務があるのです。
さらに注目すべきは、被告従業員がWeb制作の経験者だったことが、より厳しい判断につながった点です。裁判所は「ウェブに精通していた」ことを考慮し、「著作権侵害の可能性を認識しながらあえて使用した(未必の故意)」と認定しました。
つまり、専門家であればあるほど、より高い注意義務が求められるということです。動画編集者やWeb制作者は、特に注意が必要です。
リスク2:違法アップロードされた素材の使用
誰でも素材をアップロードできるプラットフォーム型のフリー素材サイトでは、まれに有料素材が無断でアップロードされているケースがあります。
このような違法素材を知らずに使用した場合でも、使用者側が著作権侵害の責任を問われる可能性があります。「知らなかった」は言い訳になりません。
特にPixabayやPexelsなど、ユーザー投稿型のサイトを利用する際は注意が必要です。対策としては、以下の点を心がけましょう。
同じ画像がShutterstockやAdobe Stockなどの有料サイトで販売されていないか、画像検索で確認することが有効です。投稿者のプロフィールや他の投稿作品を確認し、信頼性を判断することも重要です。不自然に高品質な素材や、明らかにプロが撮影したと思われる素材には注意が必要です。
リスク3:肖像権・パブリシティ権の問題
著作権がクリアになっていても、肖像権や商標権の問題が別途発生する可能性があります。
肖像権は、写真に写っている人物の権利です。フリー素材サイトの写真でも、モデルの肖像権使用許諾(モデルリリース)が取得されていない場合があります。特に、商用広告や特定の商品・サービスの宣伝に人物写真を使用する場合は、モデルリリースの有無を確認する必要があります。
商標権は、企業のロゴや製品が写り込んでいる写真を商用利用する場合、商標権侵害の問題が生じる可能性があります。特に、特定のブランドや製品を推奨しているかのような使い方は避けるべきです。
フリー素材サイトの利用規約には、「人物、ロゴ、ブランドなどには別途権利が発生する可能性があります」という注意書きが含まれていることが多いです。これらの権利についてはサイト側は責任を負わないため、使用者自身が注意する必要があります。
リスク4:利用規約の変更
フリー素材サイトの利用規約は、予告なく変更される可能性があります。
例えば、過去に「CC0(著作権放棄)」で提供されていたPixabayの素材は、現在は独自の「Pixabayライセンス」に変更されています。CC0の時代にダウンロードした素材は元のライセンスで使用できますが、現在のルールは異なります。
利用規約の変更により、過去にダウンロードした素材の使用条件が変わる可能性もあるため、ダウンロード時の利用規約を保存しておくことが重要です。
トラブルを回避するための5つの対策
これらのリスクを踏まえ、フリー素材を安全に使用するための対策を紹介します。
対策1:信頼性の高いサイトを選ぶことが基本です。長期間運営されている実績のあるサイトを利用しましょう。UnsplashやPexelsなど、大手で審査体制が整っているサイトが比較的安全です。利用規約が明確に記載されているかどうかも、サイトの信頼性を判断する基準になります。
対策2:利用規約を必ず確認・保存することを習慣化しましょう。素材をダウンロードする前に、必ず利用規約を読みましょう。ダウンロード時の利用規約をスクリーンショットで保存しておくと、後から変更があった場合の証拠になります。
対策3:素材の出典情報を記録することも重要です。どのサイトからいつダウンロードしたか、どの素材を使用したかを記録しておきましょう。メモやスプレッドシートで管理すると、後からトラブルが発生した場合に対応しやすくなります。
対策4:迷ったらクレジット表記をするという方針を持つことをお勧めします。クレジット表記が「不要」とされている場合でも、表記しておけばトラブルのリスクを下げられます。特に商用利用や大規模なプロジェクトでは、念のため表記しておくことをお勧めします。
対策5:重要なプロジェクトでは有料素材を検討することも選択肢です。企業の公式サイトや広告など、重要なプロジェクトでは有料の素材サービスを利用することで、法的リスクを大幅に軽減できます。数百円から購入できる素材も多いため、費用対効果を考えると有料素材の方が安心な場合も多いです。
関連記事として、フリー素材は使うな?ホームページの写真選びで失敗しないための「素材サイト」活用術も参考にしてください。
動画編集者が特に注意すべきポイント
動画編集においては、画像素材だけでなく、BGMや効果音、フォントなど、さまざまな素材を組み合わせて使用します。それぞれに異なる著作権ルールがあるため、特に注意が必要です。
BGM・効果音の著作権
音楽素材は、画像素材以上に著作権のルールが複雑です。
YouTubeでの音楽使用について重要なポイントがあります。YouTubeはJASRAC(日本音楽著作権協会)と包括契約を結んでいるため、JASRACが管理する楽曲を「カバー」して投稿することは基本的に可能です。ただし、市販のCDやダウンロード購入した音源をそのまま使用することは、原盤権(レコード製作者の権利)の問題が生じるためNGです。
フリーBGMサイトを利用する場合も、サイトごとに「クレジット表記必須」「任意」「不要」とルールが異なります。また、同じサイト内でも楽曲ごとにルールが異なる場合があるため、ダウンロード前に必ず各楽曲の利用条件を確認しましょう。
YouTubeのContent IDシステムにも注意が必要です。YouTubeには著作権管理システム「Content ID」があり、著作権者が登録した楽曲が動画で使用されると、自動的に検出されます。フリーBGMであっても、Content IDに登録されている場合、著作権侵害の警告が表示されることがあります。
Audiostockなど一部のサービスでは、「YouTube安心マーク」がついた楽曲を提供しており、これらを使用すればContent IDによる誤検出を避けられます。
フォントの著作権
動画のテロップや字幕に使用するフォントにも著作権があります。
WindowsやMacにプリインストールされているフォントであっても、商用利用や動画への埋め込みが許可されているとは限りません。特に、YouTubeなどで収益化する動画に使用する場合は、フォントのライセンスを確認する必要があります。
安全に使用できるフォントとしては、Google Fonts(すべて商用利用可)、Adobe Fonts(Creative Cloudサブスクリプションで使用可)、源ノ角ゴシック・源ノ明朝(SIL Open Font Licenseで商用利用可)、M+フォント(商用利用可)などがあります。
映像素材・ストック動画の注意点
動画に挿入するストック映像も、画像素材と同様のルールが適用されます。
Pixabay VideosやPexels Videosなどのフリー動画素材は、基本的にクレジット表記不要・商用利用可ですが、人物が写っている映像を広告目的で使用する場合は肖像権の問題が生じる可能性があります。また、映像内にロゴや商標が映り込んでいる場合も注意が必要です。
動画編集者向けチェックリスト
動画を公開する前に、以下の項目を確認しましょう。
画像素材については、使用した画像の出典を記録したか、クレジット表記が必要な素材はないか、肖像権・商標権の問題がないかを確認します。
BGM・効果音については、使用した楽曲の利用規約を確認したか、クレジット表記が必要な楽曲はないか、YouTubeオーディオライブラリの場合は帰属表示の要否を確認したか、Content ID対策は問題ないかをチェックします。
フォントについては、使用したフォントの商用利用は許可されているか、動画への埋め込みは許可されているかを確認します。
ストック映像については、使用した映像の利用規約を確認したか、人物が写っている場合のモデルリリースは問題ないかを確認します。
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企業・ビジネスでフリー素材を使う際の注意点
企業がフリー素材を使用する場合、個人利用とは異なるリスクが存在します。ここでは、ビジネスシーンでフリー素材を安全に活用するためのポイントを解説します。
企業利用特有のリスク
ブランドイメージへの影響があります。著作権侵害が発覚した場合、企業の信用に傷がつく可能性があります。特にSNSで拡散されやすい現代では、小さなトラブルが大きな炎上に発展するリスクがあります。
使用者責任(民法715条)についても理解が必要です。従業員が業務中に著作権侵害を行った場合、企業が損害賠償責任を負う可能性があります。アマナイメージズ事件でも、従業員個人ではなく弁護士法人が被告となっています。
取引先・クライアントへの影響も考慮すべきです。納品物に著作権侵害の素材が含まれていた場合、クライアントとのトラブルに発展する可能性があります。制作会社やデザイン事務所は特に注意が必要です。
企業として整備すべきルール
企業でフリー素材を使用する場合、以下のルールを整備することをお勧めします。
使用許可サイトのリスト化を行いましょう。使用してよいフリー素材サイトを事前にリスト化し、社内で共有します。各サイトの利用規約を確認し、商用利用の可否やクレジット表記の要否を明記しておくと、現場での判断がスムーズになります。
素材管理のルール策定も重要です。使用した素材の出典、ダウンロード日、利用規約(スクリーンショット)を記録・保存するルールを設けましょう。後からトラブルが発生した場合に、適切に対応できるようにするためです。
クレジット表記のガイドライン作成も有効です。社内で統一されたクレジット表記のフォーマットを作成し、迷いなく対応できるようにしましょう。
有料素材サービスの契約検討もお勧めします。重要なプロジェクトや広告などでは、有料の素材サービスを利用することを検討しましょう。Shutterstock、Adobe Stock、PIXTAなどの有料サービスでは、商用利用のライセンスが明確で、法的リスクを大幅に軽減できます。
外注先・パートナーへの注意事項
Web制作やデザインを外注する場合、以下の点を契約書や発注書に明記することをお勧めします。
使用する素材の著作権・ライセンスが適切であることの保証を求めることが重要です。納品物に含まれる素材の出典リストを提出してもらうことも有効です。著作権侵害が発覚した場合の責任の所在を明確にしておくことも必要です。
外注先が「フリー素材だから大丈夫」と安易に素材を使用し、後からトラブルになるケースは少なくありません。発注側としても、納品物のチェック体制を整えておくことが重要です。
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よくある質問(FAQ)

フリー素材の著作権やクレジット表記について、よく寄せられる質問に回答します。
Q1: クレジット表記が「推奨」となっている場合、本当に表記しなくても大丈夫ですか?
法的には「推奨」であれば表記しなくても利用規約違反にはなりません。ただし、以下の理由から表記することをお勧めします。
トラブルのリスクを下げられること、クリエイターへの敬意を示せること、素材の出典を後から確認しやすくなること、利用規約が将来変更された場合の備えになること、などがその理由です。
特に商用利用や公開範囲の広いコンテンツでは、「推奨」であっても表記しておくのが安全です。
Q2: 過去にダウンロードした素材の利用規約が変更された場合、どうなりますか?
一般的には、ダウンロード時点の利用規約が適用されると考えられます。ただし、これはケースバイケースであり、サイトの規約によっても異なります。
このリスクを回避するために、素材をダウンロードした日時、その時点での利用規約(スクリーンショット)、素材の出典情報を記録・保存しておくことをお勧めします。
万が一、後から規約が厳しくなった場合でも、当時の規約を証拠として提示できれば、正当性を主張しやすくなります。
Q3: SNSでの使用もクレジット表記が必要ですか?
素材サイトの利用規約によりますが、多くのフリー素材サイトではSNSでの使用も他の用途と同じルールが適用されます。
InstagramやTwitterなどでは、投稿にクレジット表記を含めるのが難しい場合もあります。そのような場合は、プロフィール欄で使用素材の出典をまとめて記載する、クレジット表記不要の素材を選んで使用する、投稿の最後にハッシュタグでクレジットを入れる、などの方法が考えられます。
Q4: フリー素材をTシャツやグッズにして販売してもいいですか?
多くのフリー素材サイトでは、素材をメインとした商品の販売は禁止されています。
例えば、Pixabayの利用規約には「追加要素やその他の付加価値を付けずに、コンテンツをポスター、デジタルプリント、音楽ファイル、または物理的な製品として販売または配布すること」が禁止事項として明記されています。
素材に大幅な加工を加え、独自の価値を付加した場合は認められる可能性がありますが、サイトごとに解釈が異なるため、必ず利用規約を確認しましょう。グッズ販売を目的とする場合は、有料の素材サービスで「商品化ライセンス」を購入するのが安全です。
Q5: 学校や教育機関での使用はどうですか?
教育目的での使用は、著作権法上の「引用」や「教育機関における複製」の例外規定に該当する場合があります。ただし、これらの例外規定には細かい条件があり、すべてのケースで免責されるわけではありません。
実際に、学校での使用でも著作権侵害の損害賠償が発生した事例があります。2022年から2023年にかけて、神奈川県、愛媛県、佐賀県などの学校で、フリー素材と誤解してイラストを使用し、損害賠償を支払った事例が報告されています。
教育機関であっても、ホームページや配布物でフリー素材を使用する場合は、一般的な商用利用と同じルールが適用されると考えた方が安全です。
Q6: 「CC0」や「パブリックドメイン」の素材なら本当に自由に使えますか?
CC0(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ)は、著作者が著作権を放棄した状態を示すもので、基本的には自由に使用できます。クレジット表記も不要で、商用利用も可能です。
パブリックドメインは、著作権の保護期間が終了した著作物、または著作者が権利を放棄した著作物を指します。これらも基本的に自由に使用できます。
ただし、以下の点に注意が必要です。
著作権とは別に、肖像権や商標権が発生する場合があります。「CC0」と表示されていても、実際には著作者の許可なくアップロードされた違法素材の可能性があります。国によって著作権法が異なるため、ある国でパブリックドメインでも、別の国では著作権が存続している場合があります。
Q7: 英語のサイトで利用規約がよく分からない場合はどうすればいいですか?
英語の利用規約が理解できない場合は、以下の対応をお勧めします。
翻訳ツール(Google翻訳、DeepLなど)を活用して概要を把握することがまず第一歩です。特に「Commercial use」(商用利用)「Attribution」(帰属表示/クレジット表記)「Modification」(改変)「Distribution」(配布)などのキーワードに注目しましょう。不明点がある場合は、そのサイトの素材使用を避け、規約が明確なサイトを選ぶことも選択肢です。重要なプロジェクトでは、専門家(弁護士など)に相談することも検討しましょう。
裁判例では、「英語で書かれていて分かりにくい」という言い訳は認められていません。「インターネット上で検索または翻訳機能を使用することによりその意味を調査することは可能」と判断されています。
Q8: フリー素材で著作権侵害の警告を受けた場合、どうすればいいですか?
著作権侵害の警告を受けた場合は、冷静に以下の対応を行いましょう。
まず、問題の素材を速やかに削除または非公開にします。次に、素材をダウンロードした際の記録(出典、日時、当時の利用規約など)を確認します。そして、相手からの請求内容が妥当かどうかを検討します。必要に応じて、弁護士に相談します。
なお、「警告を受けて削除すればそれで終わり」とは限りません。アマナイメージズ事件の判決でも、「警告を受けて削除しただけで責任を免れるわけではない」と明示されています。
また、中には悪質な詐欺的請求もあるため、請求内容の妥当性は慎重に確認する必要があります。不当に高額な請求には応じる必要はありませんが、自己判断は危険なため、専門家への相談をお勧めします。
まとめ:安全にフリー素材を活用するために
この記事では、フリー素材における「商用利用可」の落とし穴と、クレジット表記が必要なケースについて詳しく解説してきました。
覚えておくべき重要ポイント
「フリー素材=何でも自由」ではありません。フリー素材の多くは「使用料が無料」なだけで、著作権は制作者に帰属しています。利用規約の範囲内でのみ使用が許可されているのです。
「商用利用可」でも条件付きの場合があります。クレジット表記、使用数の制限、特定用途の禁止など、さまざまな条件が設けられている場合があります。
利用規約の確認は必須です。素材をダウンロードする前に、必ず利用規約を読みましょう。「フリー素材だと思っていた」は言い訳として認められません。
記録を残すことが重要です。どのサイトからいつダウンロードしたか、当時の利用規約はどうだったかを記録しておくことで、トラブル時に対応しやすくなります。
迷ったらクレジット表記をしましょう。表記が「不要」とされている場合でも、表記しておけばリスクを下げられます。クリエイターへの敬意にもなります。
フリー素材活用のチェックリスト
素材を使用する前に、以下を確認しましょう。
ダウンロード前には、利用規約を読んだか、商用利用は許可されているか、クレジット表記は必要か(必須/推奨/不要)、加工・改変は許可されているか、禁止されている用途はないかを確認します。
ダウンロード時には、素材の出典情報を記録したか、利用規約のスクリーンショットを保存したか、ダウンロード日時を記録したかをチェックします。
使用時には、クレジット表記が必要な素材は適切に表記したか、禁止用途に該当していないか、肖像権・商標権の問題はないかを確認します。
最後に
フリー素材は、動画編集やWeb制作において非常に便利なリソースです。しかし、「フリー」という言葉に安易に惑わされず、適切なルールを理解して使用することが重要です。
この記事で解説した内容を参考に、著作権トラブルを回避しながら、安全にフリー素材を活用してください。分からないことがあれば、素材サイトの問い合わせ窓口や、専門家に相談することをお勧めします。
また、重要なビジネスプロジェクトでは、有料の素材サービスを利用することで、法的リスクを大幅に軽減できます。数百円の投資で、数十万円の損害賠償リスクを回避できると考えれば、決して高い投資ではないでしょう。
フリー素材を賢く活用して、クリエイティブな制作活動を安全に楽しんでください。
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を作成しましょう。記録すべき項目としては、素材ID(管理用の通し番号)、素材の種類(画像/BGM/効果音/フォントなど)、素材のファイル名、入手元(サイト名とURL)、ダウンロード日、ライセンスの種類(CC BY、独自ライセンスなど)、クレジット表記の要否、使用したプロジェクト名、備考(特記事項)などがあります。
このような台帳を作成しておくことで、後から素材の出典を確認したり、クレジット表記が必要かどうかを調べたりする際に役立ちます。
利用規約の保存方法
素材をダウンロードする際には、以下の情報を保存しておきましょう。
スクリーンショットで保存する内容としては、利用規約のページ全体、ダウンロードページ(素材の詳細情報が記載されている場合)、ライセンス情報が記載されているページなどがあります。
保存時のポイントとして、スクリーンショットのファイル名に日付を含めること(例:20260121_pixabay_license.png)が重要です。また、可能であればPDFとして保存すると改ざん防止になります。クラウドストレージに保存しておけば、バックアップにもなります。
社内ルールの整備
企業やチームでフリー素材を使用する場合、以下のようなルールを整備しておくことをお勧めします。
使用許可サイトのホワイトリストを作成しましょう。使用してよいフリー素材サイトを事前にリスト化し、各サイトの利用規約の概要(商用利用可/クレジット表記要否など)をまとめておきます。リストにないサイトを使用する場合は、事前に責任者の承認を得るルールにします。
素材使用の申請・承認フローも整備が有効です。重要なプロジェクト(広告、コーポレートサイトなど)で素材を使用する場合は、事前申請を必須とします。申請書には、素材の出典、ライセンス情報、使用目的を記載します。
定期的なチェック体制の構築も検討しましょう。公開中のWebサイトや動画で使用している素材を定期的にチェックし、利用規約の変更がないかを確認します。問題が見つかった場合の対応フローも事前に決めておきます。
トラブル発生時の対応マニュアル
著作権侵害の警告を受けた場合に備えて、対応マニュアルを準備しておきましょう。
初動対応として、問題の素材を一時的に非公開にし(証拠保全のため削除は慎重に)、素材の入手経路と使用状況を確認し、社内の責任者と法務担当(または顧問弁護士)に報告します。
事実確認として、警告の送信者が正当な権利者かどうかを確認し、当該素材をダウンロードした際の記録を確認し、利用規約に違反していたかどうかを検証します。
対応方針の決定として、正当な使用であった場合はその旨を説明し、違反があった場合は素材の削除と謝罪を検討し、賠償請求がある場合は金額の妥当性を検討します。
再発防止として、同様のトラブルを防ぐための対策を検討し、社内ルールの見直しや教育を実施します。
有料素材サービスとの比較:コストとリスクのバランス
フリー素材と有料素材、どちらを選ぶべきでしょうか。それぞれのメリット・デメリットを比較してみましょう。
フリー素材のメリット・デメリット
メリットとしては、コストがかからない(無料)こと、手軽にダウンロードできること、十分な品質の素材も多数あることが挙げられます。
デメリットとしては、利用規約の確認が必要なこと、著作権侵害のリスクがあること、同じ素材が他のサイトでも使われている可能性があること、クレジット表記が必要な場合があること、素材の種類や品質が限られる場合があることが挙げられます。
有料素材のメリット・デメリット
メリットとしては、ライセンスが明確で法的リスクが低いこと、高品質でバリエーション豊富な素材が揃っていること、独自性が高く他サイトと差別化できること、モデルリリース(肖像権許諾)が取得済みの素材が多いこと、サポート体制が充実していることが挙げられます。
デメリットとしては、コストがかかること、予算の確保が必要なことが挙げられます。
使い分けの指針
フリー素材が適しているケースとしては、個人のブログや趣味のプロジェクト、予算が限られた小規模プロジェクト、イメージ的な使用(メインビジュアルではない部分)、社内資料など公開範囲が限定されたものなどがあります。
有料素材を検討すべきケースとしては、企業の公式サイト(特にメインビジュアル)、広告・マーケティング素材、重要なクライアントワーク、長期間使用する素材、人物が写っている素材を使用する場合などがあります。
主要な有料素材サービス
予算に応じて検討できる有料素材サービスをいくつか紹介します。
Shutterstockは世界最大級のストックフォトサービスで、3億点以上の素材を提供しています。月額プランや年間プランがあり、企業利用に適しています。
Adobe StockはAdobe Creative Cloudと統合されており、Photoshopなどから直接素材を検索・使用できます。Adobeユーザーには特に便利です。
PIXTAは日本のストックフォトサービスで、日本人モデルの写真や日本的なシーンの素材が豊富です。日本企業のマーケティングに適しています。
Audiostockは日本最大級の音楽素材サービスで、100万点以上のBGM・効果音を提供しています。YouTube動画制作者に人気があります。
コスト試算の例
有料素材のコストと、著作権トラブルのリスクを比較してみましょう。
有料素材のコストとして、Shutterstockの場合は年間プランで画像10点/月なら約3万円/年です。1枚あたり約250円で安心して商用利用できます。
著作権トラブルのコストとして、損害賠償は数十万円〜(判例では約20万円〜70万円の事例あり)、弁護士費用は数万円〜数十万円、ブランドイメージの毀損は金額換算困難です。
年間数万円の投資で、数十万円以上の潜在的リスクを回避できると考えれば、有料素材は決して高い投資ではないと言えるでしょう。
2026年以降のトレンド:AI生成素材と著作権
最後に、今後注目すべきトレンドとして、AI生成素材の著作権問題について触れておきます。
AI画像生成ツールの普及
MidjourneyやDALL-E、Stable Diffusionなど、AI画像生成ツールが急速に普及しています。これらのツールを使えば、オリジナルの画像を生成できるため、フリー素材を探す手間が省けると考える人もいるでしょう。
しかし、AI生成画像にも著作権に関する課題があります。
AI生成素材の著作権をめぐる課題
著作権の帰属について、AI生成物に著作権が発生するかどうかは、各国の法律やツールの利用規約によって異なります。日本では、AIが自律的に生成したものには著作権が発生しないという見解が一般的ですが、人間の創作的関与がある場合は著作権が認められる可能性があります。
学習データの問題として、AI画像生成ツールは大量の画像データを学習して動作しています。この学習データに著作権のある画像が含まれている場合、生成された画像が著作権侵害に該当する可能性があるという議論があります。
商用利用の可否について、AI画像生成ツールの利用規約は、ツールによって商用利用の可否が異なります。また、規約が頻繁に変更されることもあるため、使用前に必ず確認が必要です。
AI生成素材を使用する際の注意点
現時点でAI生成素材を商用利用する場合は、以下の点に注意しましょう。
使用するAIツールの利用規約を確認し、商用利用が許可されているかを確認することが重要です。生成された画像が既存の著作物に酷似していないかを確認することも必要です。重要なプロジェクトでは、AI生成素材の使用を避けるか、専門家に相談することを検討してください。AI技術と著作権法は急速に変化しているため、最新の情報を追い続けることが大切です。
関連記事として、AI生成物の著作権:AIで作った動画や音声は商用利用できる?最新の法的見解や生成AIで「実写映像をアニメ化」する編集|著作権と制作フローの最新事情も参考にしてください。
まとめ:安全なフリー素材活用のための行動指針
この記事では、フリー素材における「商用利用可」の落とし穴と、クレジット表記が必要なケースについて詳しく解説しました。最後に、安全にフリー素材を活用するための行動指針をまとめます。
今日から実践すべき5つのアクション
1. 利用規約を必ず読む習慣をつけることが最も重要です。素材をダウンロードする前に、必ず利用規約を確認しましょう。「フリー素材だから大丈夫」という思い込みは危険です。特に「商用利用の可否」「クレジット表記の要否」「禁止事項」を確認してください。
2. 素材の出典を記録することを習慣化しましょう。どのサイトからいつダウンロードしたかを記録し、利用規約のスクリーンショットを保存しましょう。トラブルが発生した際の証拠になります。
3. 迷ったらクレジット表記をする方針を持ちましょう。表記が「不要」とされている場合でも、表記しておけばリスクを下げられます。クリエイターへの敬意を示すことにもつながります。
4. 重要なプロジェクトでは有料素材を検討することをお勧めします。企業の公式サイトや広告など、重要なプロジェクトでは有料素材の使用を検討しましょう。数百円の投資で、数十万円のリスクを回避できます。
5. 最新情報にアンテナを張ることも大切です。著作権法やフリー素材サイトの規約は変化することがあります。定期的に情報をアップデートし、適切な対応を心がけましょう。
困ったときの相談先
著作権に関する問題で困った場合は、以下に相談することをお勧めします。
CRIC(公益社団法人著作権情報センター)は、著作権に関する相談窓口を設けています。電話やメールで無料相談が可能です。
弁護士は、深刻なトラブルや訴訟リスクがある場合は、著作権に詳しい弁護士に相談しましょう。日本弁護士連合会のWebサイトから、専門家を検索できます。
素材サイトの問い合わせ窓口として、利用規約の解釈に迷う場合は、素材サイトの問い合わせ窓口に直接確認するのも有効です。
フリー素材は、適切に利用すれば非常に便利なリソースです。この記事で解説した知識を活かして、トラブルを回避しながら、クリエイティブな制作活動に取り組んでください。