はじめに:あなたのサイト、スマホで見られていますか?
電車の中を見渡してみてください。ほとんどの人がスマートフォンを見ています。
Webサイトへのアクセスのうち、実に70%以上がモバイル経由という業界も珍しくありません。
Googleはこの変化に対応するため、検索順位を決めるルールを根本から変えました。
それが「モバイルフレンドリー」と「モバイルファーストインデックス(MFI)」です。
この記事では、現代のSEOにおいて「スマホ対応」がなぜ絶対条件なのか、その仕組みと具体的な対応策を全5回で徹底解説します。
1章:モバイルフレンドリーとは?「使いやすさ」の指標
モバイルフレンドリーとは、その名の通り「モバイル端末(スマートフォン)で表示した時に、ユーザーが使いやすい状態になっていること」を指します。
具体的には、Googleは以下のポイントを見ています。
- 文字サイズ:拡大(ピンチイン)しなくても読める大きさか?
- ビューポート設定:画面幅に合わせてコンテンツが収まっているか?(横スクロールが発生していないか)
- タップ要素の間隔:リンクやボタンが近すぎて、指で押し間違えないか?
昔のPC専用サイトをスマホで見ると、文字が米粒のように小さく、毎回拡大しないと読めませんよね。
これは「モバイルフレンドリーではない」と判定され、Googleからの評価(SEO順位)が下がります。
2章:衝撃のルール変更「MFI」を正しく理解する
そして、もっと重要なのがMFI(Mobile First Indexing:モバイルファーストインデックス)です。
これは2018年頃から段階的に導入され、現在はほぼ全てのサイトに適用されているGoogleの基本ルールです。
これまでの常識(PCファースト)
昔は、Googleは「PC版のページ」を見て検索順位を決めていました。
スマホ版はあくまで「おまけ」扱いでした。
現在の常識(モバイルファースト)
現在は逆です。Googleのロボット(クローラー)は、「スマホ版のページ」を主役として巡回し、その内容を基準に順位を決めます。
PC版がおまけになったのです。
⚠️ ここが重要!
もしあなたのサイトが、「PC版には詳しい情報を載せているけど、スマホ版は簡易的な内容しか載せていない」という作りになっていたらどうなるでしょうか?
Googleはスマホ版(情報の少ない方)しか評価しないため、「内容の薄いサイト」と判断され、検索順位が大幅に下落します。
(参考:モバイルファーストインデックス完全理解)
3章:レスポンシブデザインが推奨される理由
モバイルフレンドリーに対応する方法はいくつかありますが、Googleが最も推奨しているのが「レスポンシブウェブデザイン」です。
これは、PCでもスマホでも「同じHTML(同じURL)」を使い、CSS(スタイルシート)だけで見た目を調整する手法です。
WordPressの最近のテーマなら標準対応していますが、古いサイトではまだ対応できていないケースも見られます。
- PCとスマホで「情報の格差」が生まれにくい(MFI対策に最適)。
- URLが1つなので、リンク評価(被リンク)が分散しない。
- Googleのロボットが巡回しやすい。
次回の第2部では、具体的な「見た目(UI)」の改善テクニックについて解説します。
「タップ要素が近すぎます」というエラーを消す方法や、スマホで最適なフォントサイズ、そして賛否両論ある「ハンバーガーメニュー」の正しい使い方をお伝えします。
4章:指はマウスカーソルより太い
PCサイトをそのままスマホに縮小しただけのサイトで一番困るのが、「リンクが押せない問題」です。
マウスカーソルなら1ピクセルの精度でクリックできますが、人間の指はもっと太くてアバウトです。
GoogleのSearch Consoleで頻出するエラー「タップ要素同士が近すぎます」は、まさにこの問題を指摘しています。
「48px」のルールを守る
Googleが推奨するタップ要素(ボタンやリンク)の最小サイズは「48px × 48px」です。
これは、成人の人差し指の腹のサイズ(約10mm)に相当します。
- ボタンの大きさ:CSSで高さ(height)を48px以上にするか、パディング(余白)で調整して広げる。
- 要素の間隔:リンク付きのテキストが上下に並んでいる場合、行間(line-height)を広げて、誤タップを防ぐ。
これはアクセシビリティの観点からも非常に重要です。
5章:読まれるフォント、読まれないフォント
次に多いエラーが「テキストが小さすぎて読めません」です。
スマホの画面は小さいですが、だからといって文字まで小さくすると、ユーザーは読む気をなくします。
基本サイズは「16px」
スマホサイトにおける本文のフォントサイズは、「16px」が世界的なスタンダードです。
14px以下だと、多くのユーザーが「小さい」と感じ、ピンチイン(拡大操作)を強いられます。
- 本文:16px以上
- 注釈:最低でも12px(これ以上小さいと潰れます)
- 行間:line-heightは1.5〜1.8程度(PCより少し広めに取ると読みやすい)
(参考:ターゲットに響くフォント選び)
6章:ハンバーガーメニューは是か非か?
スマホサイトのナビゲーションとして定着した「三本線のアイコン(ハンバーガーメニュー)」ですが、実はSEOやUXの観点からは賛否両論あります。
メリット
画面がスッキリし、デザインの自由度が高まります。おしゃれなデザインを優先したいサイトには適しています。
デメリット
「メニューを開く」という1アクションが増えるため、中のページへの回遊率が下がる傾向があります。
ユーザーは「隠されている情報」を見に行こうとはしません。
正解は「ハイブリッド型」
重要なページ(お問い合わせ、料金表など)へのリンクは、ハンバーガーメニューの中に隠さず、「固定フッターバー」として画面下部に常に表示させるのがベストプラクティスです。
これにより、メニューのスッキリ感と、コンバージョンへの導線を両立できます。
(詳しくはハンバーガーメニューのメリット・デメリット記事を参照)
次回の第3部では、これらのデザインをどうやって実装するかという技術的な話に移ります。
Googleが推奨する「レスポンシブデザイン」と、一昔前に流行った「スマホ専用サイト(m.ドメイン)」の違い、そして実装時の注意点について解説します。
7章:モバイル対応、3つの実装パターン
一口に「スマホ対応」と言っても、技術的には大きく分けて3つの実装方法があります。
それぞれの違いを理解することが、正しいSEO戦略の第一歩です。
1. レスポンシブウェブデザイン(推奨)
PCとスマホで「同じURL」「同じHTML」を使用し、CSS(見た目)だけで表示を切り替える方法です。
Googleが公式に推奨している手法であり、現在のWeb標準です。
2. ダイナミックサービング
URLは同じですが、アクセスしてきた端末(ユーザーエージェント)によって、サーバー側で「異なるHTML」を出し分ける方法です。
PC用とスマホ用で全く違うデザインを見せたい場合に有効ですが、設定が複雑でメンテナンスコストがかかります。
3. 別々のURL(セパレートURL)
PC用は www.example.com、スマホ用は m.example.com のように、URL自体を分けてしまう方法です。
ガラケー時代やスマホ黎明期には主流でしたが、現在はSEO的なデメリットが多く、非推奨となりつつあります。
8章:なぜGoogleは「レスポンシブ」を激推しするのか?
Googleがレスポンシブデザインを強く推奨するのには、明確なSEO上の理由があります。
理由1:被リンクの評価が分散しない
別々のURLで運用していると、PCサイトに向けられたリンクと、スマホサイトに向けられたリンクが分散してしまいます。
レスポンシブならURLが1本化されているため、全てのリンク評価(ドメインパワー)を1ページに集中させることができます。
理由2:クロール効率が良い
別URLの場合、Googleのロボット(クローラー)はPC用とスマホ用の2回ページを訪問しなければなりません。
レスポンシブなら1回のクロールで済むため、サイトの更新情報をより早くインデックスさせることができます。
(参考:検索エンジンの仕組み)
理由3:リダイレクトのミスが起きない
別URLの場合、「PCでスマホ用URLにアクセスした時にPC用へ転送する」といったリダイレクト設定が必要です。
この設定をミスすると、ユーザーがページを見られなくなったり、ループが発生したりするリスクがあります。
9章:別URL(m.dot)運用の致命的なリスク
もし現在、m.example.com のような別URLで運用している場合は、以下の設定が完璧に行われているか再確認してください。
一つでも欠けていると、重複コンテンツとみなされてペナルティを受ける可能性があります。
アノテーション(canonical / alternate)の必須設定
別URLで運用する場合、Googleに対して「これらは同じコンテンツですよ」と教えるためのタグ設定が必須です。
- PCページのhead内:
スマホ版の存在を知らせるタグ
<link rel="alternate" media="only screen and (max-width: 640px)" href="http://m.example.com/" /> - スマホページのhead内:
PC版が正規であることを示すタグ
<link rel="canonical" href="http://www.example.com/" />
この設定は非常に煩雑で、ページが増えるごとに管理が難しくなります。
リニューアルのタイミングでレスポンシブへ移行すること(サイト移行)を強くおすすめします。
次回の第4部では、実装したスマホサイトが正しくGoogleに評価されているかをチェックする「テスト・診断編」です。
Search Consoleを使ったエラー確認方法と、モバイルフレンドリーテストツールの終了に伴う代替手段について解説します。
10章:ある日突然届く「警告メール」の正体
サイトを運営していると、Google Search Console(サーチコンソール)からこんな件名のメールが届くことがあります。
「貴サイトで、モバイル ユーザビリティの問題が検出されました」
これは、「あなたのサイトの一部(または全部)が、スマホで見づらい状態になっていますよ。このままだとスマホ検索の順位を落としますよ」というGoogleからの親切な警告です。
無視せず、すぐに対応する必要があります。
よくあるエラーTOP3
- コンテンツの幅が画面の幅を超えています
画像や表(Table)が横にはみ出しており、横スクロールしないと見られない状態です。 - テキストが小さすぎて読めません
フォントサイズが12px未満など、小さすぎる箇所があります。 - クリック可能な要素同士が近すぎます
リンクやボタンの間隔が狭く、誤タップを招く配置になっています。
11章:エラー箇所を特定し、修正する手順
では、具体的にどのページのどこが悪いのかを特定しましょう。
1. Search Consoleで対象ページを確認
Search Consoleにログインし、左メニューの「エクスペリエンス」>「モバイルユーザビリティ」を開きます。
エラーが出ている項目(例:コンテンツの幅が…)をクリックすると、問題のあるURLの一覧が表示されます。
2. Chrome「検証ツール」でスマホ表示を確認
かつてGoogleは「モバイルフレンドリーテスト」という簡易ツールを提供していましたが、2023年12月に終了しました。
現在は、ブラウザ(Google Chrome)に標準搭載されている「検証ツール(デベロッパーツール)」を使うのが最も確実です。
- 対象のページをChromeで開く。
- ページ上のどこかで右クリックし、「検証」を選択(またはF12キー)。
- 画面左上にある「スマホとタブレットのアイコン」をクリック。
- 画面上部で「iPhone 12」などの機種を選ぶと、スマホでの表示がシミュレートされます。
この状態で画面を確認し、「はみ出している画像」や「押しにくいボタン」を目視で探して修正します。
自作ホームページの場合、特定の画像のwidth指定が固定幅(例:width: 1000px;)になっていることが原因の大半です。
CSSでmax-width: 100%;を指定してあげれば解決します。
12章:Lighthouse(ライトハウス)で点数化する
修正が終わったら、Chromeの拡張機能(または検証ツール内のタブ)にある「Lighthouse」を使って最終チェックを行いましょう。
これは、Googleが提供するWebアプリの監査ツールです。
「SEO」「アクセシビリティ」「パフォーマンス(速度)」などの項目を100点満点で採点してくれます。
- Performance:表示速度(MFIで重要)。
- Accessibility:文字のコントラストや、ボタンの押しやすさ。
- Best Practices:モバイルフレンドリーな設定ができているか。
ここで全て「緑色(90点以上)」になれば、自信を持って「スマホ対応完了」と言えます。
最後に:Googleに「修正を検証」を依頼
修正が完了したら、Search Consoleに戻り、エラー詳細画面にある「修正を検証」ボタンを押します。
Googleが再チェックを行い、問題なければ数日後に「問題が修正されました」という合格メールが届きます。
次回の最終回(第5部)では、モバイルフレンドリーに関する「よくある間違い」とまとめをお届けします。
特に注意すべき「インタースティシャル(全画面ポップアップ広告)」のペナルティや、PCとスマホでコンテンツを変えることのリスクについて解説し、本連載を締めくくります。
13章:絶対にやってはいけない「3つのスマホ対応」
モバイルフレンドリーを目指すあまり、かえってユーザビリティを損ねてしまい、Googleから評価を下げられるケースがあります。
特に以下の3つは、明確な「NG行為」としてガイドラインに記載されています。
NG 1:インタースティシャル(全画面広告)の乱用
ページを開いた瞬間に、画面全体を覆い尽くすようなポップアップ広告や、「アプリをインストールしませんか?」という勧誘バナーを表示させていませんか?
これはユーザーが本来見たいコンテンツを隠す行為であり、Googleは「 intrusive interstitial(邪魔なインタースティシャル)」としてペナルティの対象にしています。
- OKな例:画面の上部や下部に控えめに表示するバナー。年齢確認やCookie同意など、法的に必要なポップアップ。
- NGな例:×ボタンを押さないと記事が読めない全画面広告。
NG 2:PCとスマホで「情報の格差」を作る
「スマホは画面が小さいから、長文はカットして簡易版にしよう」
これはMFI(モバイルファーストインデックス)において自殺行為です。
Googleはスマホ版のページを見て順位を決めています。
もしPC版に1万文字の有益な情報があっても、スマホ版が1000文字しかなければ、あなたのサイトは「1000文字のサイト」として低く評価されます。
「PCにある情報は、スマホでも全て見られるようにする」のが鉄則です。
NG 3:再生できないコンテンツを置く
Flashなどの古い技術を使った動画やアニメーションは、多くのスマホでは再生されません。
「このコンテンツは再生できません」というエラー表示が出るだけで、ユーザビリティは最悪です。
HTML5などの標準技術に置き換えましょう。
14章:まとめ|モバイルファーストは「ユーザーファースト」
全5回にわたり、モバイルフレンドリーとMFIについて解説してきました。
これからのSEOは、「PCサイトをスマホに対応させる」という受け身の姿勢では勝てません。
「最初からスマホユーザーのために設計する」という発想の転換が必要です。
指で押しやすいボタン、読みやすい文字サイズ、そしてストレスのない表示速度。
これらは全て、Googleのためではなく、あなたのサイトを訪れる生身の人間(ユーザー)のためのものです。
スマホの画面の向こうにいるユーザーに、最高の体験を届けること。
それこそが、2025年のSEOで勝利する唯一の近道です。
📱 あなたのサイト、スマホで見づらくないですか?
「古いサイトだからスマホ対応していない…」
「Search Consoleのエラーが消えない」
OMNIWEBでは、既存のPCサイトを最新の「レスポンシブデザイン」にリニューアルするサービスを提供しています。
MFIに完全対応し、検索順位とコンバージョン率を同時に改善します。