「暗く撮れちゃったけど、編集で明るくすればいいか」
「照明なんてなくても、後から調整できるでしょ?」
動画編集を始めたばかりの方に、こんな誤解がよくあります。
結論から言うと、暗すぎる映像を編集で明るくするのには限界があります。
確かに、編集ソフトには明るさを調整する機能があります。しかし、暗い映像を無理に明るくすると、ノイズが目立ち、色が崩れ、プロの目から見ると「素人っぽい映像」になってしまいます。
この記事では、照明と編集の関係を詳しく解説します。「編集で直せること」と「直せないこと」の境界線、適正露出の考え方、そして手軽にできる照明テクニックまで、撮影時にこだわるべきライティングの基本をお伝えします。
なぜ「編集で明るくする」には限界があるのか
デジタル映像の仕組み
まず、デジタル映像がどのように記録されるかを理解しましょう。
カメラのセンサーは、光を電気信号に変換して記録します。光が多ければ明るく、少なければ暗く記録されます。
重要なポイント:
- センサーが受け取れる光の量には上限と下限がある
- 上限を超えた部分は「白飛び」(真っ白になる)
- 下限を下回った部分は「黒つぶれ」(真っ黒になる)
- 白飛び・黒つぶれした部分の情報は失われている
編集で明るさを調整できるのは、「情報が記録されている範囲内」だけです。
暗い映像を明るくすると何が起きるか
暗すぎる映像を編集で明るくすると、以下の問題が発生します。
問題1:ノイズが目立つ
暗い部分には、もともとノイズ(ザラザラした粒子)が含まれています。明るくすると、このノイズも一緒に増幅され、映像全体がザラザラに見えます。
問題2:色が崩れる
暗い部分は色情報が少ないため、明るくすると色が不正確になります。肌色がくすんだり、全体的に色あせた印象になったりします。
問題3:コントラストが下がる
暗い部分を持ち上げると、明暗差(コントラスト)が減少し、のっぺりとした平坦な映像になります。
問題4:ディテールが失われる
黒つぶれしている部分には情報がないため、いくら明るくしてもディテール(細部)は復元されません。グレーの塊になるだけです。
実際の比較
イメージしやすいように、具体的な例を見てみましょう。
ケース1:適正露出で撮影した映像
- ノイズが少なく、クリーン
- 色が正確で鮮やか
- 明暗のバランスが良い
- 細部までくっきり見える
ケース2:暗すぎる映像を編集で明るくした場合
- ノイズが目立ち、ザラザラ
- 色がくすんで不正確
- のっぺりとした印象
- 暗部のディテールがない
両者を並べると、一目で品質の差が分かります。「編集で何とかなる」と思って撮影した映像は、どれだけ頑張っても適正露出で撮影した映像には勝てません。
「明るすぎる」映像の問題
逆に、明るすぎる映像にも問題があります。
白飛びの問題:
- 明るすぎる部分は真っ白に潰れる
- 白飛びした部分の情報は完全に失われている
- 編集で暗くしても、白い部分は白いまま
- 空、窓、照明器具などが白飛びしやすい
白飛びは、暗い映像を明るくするよりもさらに修復が困難です。真っ白な部分には、何の情報も残っていないからです。
「編集で直せる範囲」の目安
では、どの程度なら編集で調整できるのでしょうか。
一般的な目安:
| 状態 | 編集での調整 | 品質への影響 |
|---|---|---|
| 適正露出 | 自由度高い | ほぼ影響なし |
| やや暗い(0.5〜1段) | 調整可能 | わずかにノイズ増 |
| 暗い(1〜2段) | ある程度可能 | ノイズ目立つ |
| かなり暗い(2段以上) | 限界あり | 品質低下顕著 |
| 黒つぶれ | 不可能 | 情報がない |
※「段」は露出の単位(1段 = 光量が半分 or 2倍)
結論:
少し暗い程度なら編集で調整できますが、2段以上アンダー(暗い)だと、品質低下は避けられません。撮影時に適正露出を確保することが重要です。
「適正露出」とは何か
露出の基本
露出とは、カメラに入る光の量のことです。
露出を決める3つの要素:
| 要素 | 説明 | 影響 |
|---|---|---|
| 絞り(F値) | レンズの開口部の大きさ | 被写界深度(ボケ具合) |
| シャッタースピード | センサーに光が当たる時間 | 動きのブレ |
| ISO感度 | センサーの感度 | ノイズ量 |
これら3つの要素を組み合わせて、適切な明るさを作ります。
「適正露出」の考え方
適正露出とは、「正しい明るさ」のことです。ただし、「正しい」には2つの意味があります。
1. 技術的な適正露出
白飛びや黒つぶれがなく、すべての情報が記録されている状態。ヒストグラム(明るさの分布グラフ)で、左右の端に張り付いていない状態。
2. 表現としての適正露出
映像の意図や雰囲気に合った明るさ。例えば、ホラー映画なら暗めが「適正」、コメディなら明るめが「適正」。
動画制作においては、まず「技術的な適正露出」を確保した上で、編集で「表現としての明るさ」を調整するのがベストです。
ヒストグラムの見方
ヒストグラムは、映像の明るさの分布を表すグラフです。多くのカメラや編集ソフトで確認できます。
ヒストグラムの読み方:
- 横軸:明るさ(左が暗い、右が明るい)
- 縦軸:その明るさのピクセル数
- 山の位置:映像全体の明るさの傾向
チェックポイント:
- 左端に張り付いている:黒つぶれの可能性
- 右端に張り付いている:白飛びの可能性
- 中央に山がある:バランスの取れた露出
撮影中にヒストグラムを確認する習慣をつけると、露出の失敗を防げます。
ゼブラパターンの活用
多くのカメラには「ゼブラパターン」機能があります。
ゼブラパターンとは:
設定した明るさを超えた部分に、縞模様(ゼブラ)が表示される機能。白飛びしそうな部分を視覚的に確認できます。
使い方:
- ゼブラの閾値を設定(一般的には95%〜100%)
- 撮影時にゼブラが出ている部分を確認
- ゼブラが出すぎていたら、露出を下げる
特に屋外撮影や窓のある室内で役立ちます。
カメラセンサーの「ダイナミックレンジ」
ダイナミックレンジとは
ダイナミックレンジとは、カメラが記録できる最も暗い部分から最も明るい部分までの幅のことです。
人間の目 vs カメラ:
- 人間の目:ダイナミックレンジが非常に広い(約20段以上)
- 一般的なカメラ:10〜14段程度
- シネマカメラ:15段以上
人間の目は、暗い部分と明るい部分を同時に認識できます。しかし、カメラには限界があるため、明暗差の大きいシーンでは、どちらかが犠牲になります。
ダイナミックレンジの限界
例:窓のある室内でインタビュー撮影
室内の人物(暗い)と、窓の外の景色(明るい)には、大きな明暗差があります。
- 人物に露出を合わせる → 窓が白飛び
- 窓に露出を合わせる → 人物が暗すぎる
カメラのダイナミックレンジ内に収まらない場合、どちらかを諦めるか、照明で明暗差を縮める必要があります。
Log撮影でダイナミックレンジを活かす
Log撮影は、ダイナミックレンジを最大限に活かす撮影方式です。
Log撮影の特徴:
- コントラストが低く、眠たい映像になる
- 暗部から明部までより多くの情報を記録
- 編集時にカラーグレーディングで仕上げる
メリット:
- 白飛び、黒つぶれしにくい
- 編集時の調整幅が広い
- 映画のような色味を作りやすい
デメリット:
- カラーグレーディングが必須
- 適切に処理しないと、ただの眠たい映像に
- 対応カメラが必要
Log撮影は、カラーグレーディングの知識がある程度ないと使いこなせません。初心者のうちは、カメラの標準設定で適正露出を目指す方が確実です。
カラーグレーディング:ホワイトバランスと「色温度」の調整で映像の印象をコントロールするも参考にしてください。
撮影時の照明の基本
照明の3つの役割
照明には、主に3つの役割があります。
1. 明るさを確保する
最も基本的な役割。カメラが適正露出で撮影できる十分な光量を提供します。
2. 立体感を作る
光と影のバランスで、被写体に立体感を与えます。フラットな照明だとのっぺりし、片側からの光だと立体的に見えます。
3. 雰囲気を演出する
照明の色、方向、強さで、映像の雰囲気を作ります。温かい雰囲気、クールな雰囲気、ドラマチックな雰囲気など。
自然光を活かす
最も手軽で美しい光源は、自然光(太陽光)です。
自然光のメリット:
- 無料で使える
- 光量が十分
- 色が自然で美しい
- 柔らかい光を作りやすい(曇り、窓越し)
自然光のデメリット:
- 時間帯によって変化する
- 天候に左右される
- コントロールが難しい
自然光を活かすポイント:
- 窓際で撮影する
- 曇りの日は柔らかい光が得られる
- 直射日光は影が強いので、レースカーテンで和らげる
- 逆光に注意(顔が暗くなる)
- レフ板で影を和らげる
3点照明の基本
3点照明は、映像制作における照明の基本です。
1. キーライト(メインライト)
- 最も重要な光源
- 被写体の斜め前方(45度程度)から当てる
- 最も明るい光
- 立体感を作る
2. フィルライト(補助光)
- キーライトの反対側から当てる
- キーライトが作る影を和らげる
- キーライトより弱い光
- レフ板で代用可能
3. バックライト(逆光)
- 被写体の後方から当てる
- 被写体と背景を分離する
- 輪郭を際立たせる
- 髪の毛や肩に光の縁ができる
配置のイメージ:
バックライト
↓
◯ 被写体
↗ ↖
キーライト フィルライト
照明機材の種類
手軽に使える照明機材を紹介します。
LEDパネルライト
- 明るさ、色温度を調整可能
- 発熱が少ない
- 省電力
- 価格帯:5,000円〜数万円
リングライト
- 顔を均一に照らす
- 影ができにくい
- 瞳に丸い反射(キャッチライト)
- 配信者、自撮りに人気
- 価格帯:3,000円〜1万円程度
ソフトボックス
- 光を柔らかく拡散
- 影が柔らかくなる
- ポートレート撮影に最適
- 価格帯:5,000円〜
レフ板
- 光を反射して影を和らげる
- 電源不要
- 手軽に使える
- 価格帯:1,000円〜3,000円程度
色温度の統一
照明で最も注意すべきは、色温度の統一です。
色温度とは:
光の色を数値で表したもの。単位はケルビン(K)。
- 2700K〜3000K:暖色(電球色)、オレンジ寄り
- 4000K〜4500K:白色
- 5000K〜5500K:昼白色、自然光に近い
- 6500K以上:寒色、青寄り
問題:色温度が混在すると……
異なる色温度の光源が混在すると、ホワイトバランスが合わなくなります。
例:窓からの自然光(5500K)+ 室内の電球(2700K)
→ 窓側は青っぽく、電球側はオレンジっぽく見える
対策:
- 照明器具の色温度を統一する
- 自然光を使う場合は、室内照明をオフにする
- 照明機材で色温度を調整する
- カメラのホワイトバランスを手動で設定
シーン別の照明テクニック
インタビュー撮影
インタビュー撮影は、人物を美しく撮ることが重要です。
基本セッティング:
- キーライト:被写体の斜め前方45度、やや高い位置
- フィルライト(またはレフ板):反対側から影を和らげる
- バックライト:後方から、背景と分離
ポイント:
- キーライトを高めに設置すると、自然な影になる
- 光が強すぎる場合は、ディフューザーで和らげる
- 瞳にキャッチライト(反射光)が入ると生き生きと見える
- 背景は人物より少し暗めにすると、人物が引き立つ
製品撮影
製品撮影では、製品の形状や質感を正確に伝えることが重要です。
基本セッティング:
- 柔らかい光を使う(ソフトボックス、ディフューザー)
- 反射を避ける(光沢のある製品は特に注意)
- 背景をシンプルに(白背景、グレー背景)
製品タイプ別のコツ:
光沢のある製品(ガラス、金属):
- 直接光を当てない
- 大きな光源で包み込むように
- 反射板を活用
マット(つや消し)な製品:
- サイドから光を当てて質感を出す
- 影を作って立体感を強調
食品:
- サイドまたはバックからの光
- 自然光風の明るい照明
- 湯気や水滴を活かす
セミナー・イベント撮影
セミナーやイベントでは、会場の照明をそのまま活かすことが多いです。
課題:
- 会場の照明が暗い場合がある
- 照明の色温度がバラバラ
- 登壇者と背景(スライド)の明暗差
対策:
- 事前に会場をチェックし、照明状況を確認
- 可能なら追加照明を持ち込む
- 登壇者にライトを当て、明暗差を縮める
- 高感度に強いカメラを使用
- カメラのISO感度を上げる(ノイズとのトレードオフ)
自宅・オフィスでの撮影
自宅やオフィスでの撮影は、限られた環境で工夫が必要です。
手軽にできる工夫:
1. 窓を活用
- 日中は窓からの自然光を活用
- 被写体を窓に向けて配置(逆光を避ける)
- レースカーテンで光を柔らかく
2. デスクライトを活用
- 既存のデスクライトをフィルライトとして
- 色温度に注意(LEDなら調整可能なものも)
3. 白い壁を活用
- 白い壁は光を反射する
- 天井バウンス(天井に光を当てて反射)
4. 照明を追加
- リングライト、LEDパネルを追加
- 数千円から導入可能
屋外撮影
屋外撮影は、自然光のコントロールが課題です。
時間帯による違い:
| 時間帯 | 光の特徴 | 向いている撮影 |
|---|---|---|
| 早朝・夕方(ゴールデンアワー) | 柔らかく、暖色系 | ドラマチックな映像 |
| 日中(曇り) | 柔らかく、影が少ない | ポートレート |
| 日中(晴れ) | 強く、影がくっきり | 日陰で撮影がおすすめ |
| 夜 | 街灯、ネオンなど | 特殊な雰囲気 |
日中の直射日光対策:
- 日陰で撮影する
- ディフューザーで光を和らげる
- レフ板で影を起こす
- 逆光を活かす(シルエット、レンズフレア)
編集でできる照明の調整
露出(明るさ)の調整
編集ソフトでは、映像の明るさを調整できます。
主な調整項目:
- 露出(Exposure):全体の明るさ
- ハイライト(Highlights):明るい部分の明るさ
- シャドウ(Shadows):暗い部分の明るさ
- 白レベル(Whites):最も明るい部分
- 黒レベル(Blacks):最も暗い部分
調整のコツ:
- 全体を一括で調整するより、ハイライト/シャドウを個別に調整
- シャドウを持ち上げすぎるとノイズが目立つ
- ハイライトを下げすぎるとのっぺりする
- 適度なコントラストを維持
コントラストの調整
コントラストは、明暗の差のことです。
- コントラストを上げる:明暗差が大きくなり、パキッとした印象
- コントラストを下げる:明暗差が小さくなり、フラットな印象
注意点:
- コントラストを上げすぎると、白飛び・黒つぶれしやすくなる
- 下げすぎると、眠たい印象になる
- トーンカーブを使うと、より細かい調整が可能
ホワイトバランスの調整
ホワイトバランスは、白が白に見えるように色温度を調整することです。
調整項目:
- 色温度(Temperature):暖色(オレンジ)↔ 寒色(青)
- 色かぶり(Tint):マゼンタ ↔ グリーン
調整のコツ:
- 撮影時にホワイトバランスが合っていなくても、ある程度は修正可能
- 白や灰色のものを基準に調整
- 肌色が自然に見えるか確認
LUT(ルックアップテーブル)の活用
LUTは、色調整のプリセットです。
LUTの種類:
- テクニカルLUT:Log映像を標準的な色に変換
- クリエイティブLUT:特定の雰囲気を作る(シネマ風、ヴィンテージ風など)
使い方:
- まず基本的な補正(露出、ホワイトバランス)を行う
- LUTを適用
- 必要に応じて微調整
注意点:
- LUTは適切な素材に適用してこそ効果を発揮
- 暗すぎる映像にLUTを当てても、ノイズが目立つだけ
- LUTに頼りすぎず、基本の照明・露出を大切に
ノイズリダクション
暗い映像を明るくしてノイズが目立つ場合、ノイズリダクションで軽減できます。
主要な編集ソフトのノイズリダクション:
- Premiere Pro:エフェクト「ミディアン」「ダスト&スクラッチ」
- DaVinci Resolve:カラーページの「ノイズリダクション」(空間的NR、時間的NR)
- 専用プラグイン:Neat Video、Red Giant Denoiserなど
注意点:
- ノイズリダクションを強くかけると、ディテールも失われる
- 処理に時間がかかる(レンダリング負荷)
- ノイズリダクションは「応急処置」であり、撮影時の対策が最善
よくある照明の問題と解決策
問題1:顔に影ができる
原因:
- 光源が一方向からのみ
- 光源が被写体に近すぎる、または遠すぎる
- 光源の位置が低すぎる、または高すぎる
解決策:
- フィルライトを追加して影を和らげる
- レフ板で影側に光を反射させる
- 光源の位置を調整(斜め45度、やや高め)
- ソフトボックスなど、光を拡散させる
問題2:背景が白飛びする
原因:
- 窓からの光が強すぎる
- 被写体と背景の明暗差が大きすぎる
解決策:
- カーテンやブラインドで窓の光を抑える
- 被写体に照明を当てて、明暗差を縮める
- 被写体の位置を変える(窓から離れる)
- NDフィルターを使って全体の光量を下げる
- 撮影アングルを変えて、窓を画角から外す
問題3:肌色がオレンジ(または青)に見える
原因:
- 色温度の異なる光源が混在
- ホワイトバランスの設定ミス
解決策:
- 光源の色温度を統一する
- ホワイトバランスを手動設定する
- グレーカードで正確なホワイトバランスを取る
- 編集でホワイトバランスを調整(限界あり)
問題4:全体的に暗い
原因:
- 照明が足りない
- 露出設定が不適切
- カメラの性能の限界
解決策:
- 照明を追加する
- ISO感度を上げる(ノイズとのトレードオフ)
- 絞りを開ける(被写界深度が浅くなる)
- シャッタースピードを遅くする(ブレに注意)
- 撮影場所を変える(明るい場所へ)
問題5:映像がギラギラ(反射・映り込み)
原因:
- 光沢のある表面への光の反射
- メガネ、モニター、ガラスなどへの映り込み
解決策:
- 光源の位置を変える(反射角を避ける)
- 光を拡散させる(ソフトボックス、ディフューザー)
- 偏光フィルター(PLフィルター)を使う
- 被写体の角度を変える
照明なしでもできる対策
カメラ設定の最適化
照明機材がなくても、カメラ設定で対応できることがあります。
1. ISO感度を上げる
- センサーの感度を上げて、暗い環境でも撮影
- 上げすぎるとノイズが増える
- カメラによって許容範囲が異なる(高性能カメラほど高ISOに強い)
2. 絞りを開ける(F値を小さく)
- より多くの光を取り込める
- 被写界深度が浅くなる(ボケやすくなる)
- レンズの性能に依存
3. シャッタースピードを遅くする
- より長い時間光を取り込める
- 動きがあるとブレる
- 動画の場合、フレームレートとの兼ね合いに注意
撮影環境を選ぶ
照明がなくても、撮影環境を選ぶことで対応できます。
明るい環境を選ぶ:
- 窓の大きい部屋
- 白い壁の部屋(光を反射)
- 屋外(日中)
撮影時間を選ぶ:
- 日中(自然光が最も強い時間)
- 曇りの日(柔らかい光)
- ゴールデンアワー(夕方、朝)
身近なもので代用
照明機材がなくても、身近なもので代用できます。
レフ板の代わり:
- 白い紙、スチレンボード
- アルミホイルを貼った段ボール
- 白いシーツ、タオル
ディフューザーの代わり:
- トレーシングペーパー
- 白いレースカーテン
- 白いゴミ袋
追加光源の代わり:
- デスクライト
- スマートフォンのライト
- 家庭用LED電球
よくある質問(FAQ)

Q1:安価な照明機材でもきれいに撮れますか?
A1:はい、十分きれいに撮れます。
照明で最も重要なのは、「光の量」と「光の質(方向、柔らかさ)」です。高価な機材でなくても、適切に配置すれば良い映像が撮れます。
まずは5,000円〜1万円程度のLEDライトから始めてみてください。レフ板は数千円で購入できますし、自作も可能です。
Q2:スマートフォンでの撮影でも照明は必要ですか?
A2:はい、照明があると大きく品質が向上します。
スマートフォンのセンサーは、一眼カメラに比べて暗所性能が劣ります。暗い環境ではノイズが目立ちやすくなります。
スマートフォン撮影には、リングライトが特におすすめです。均一に照らせて、影ができにくく、セットアップも簡単です。
Q3:曇りの日は撮影に向いていますか?
A3:はい、実は曇りの日は撮影に最適です。
曇りの日は、雲が巨大なディフューザーの役割を果たし、光が柔らかく拡散されます。影が弱くなり、コントラストが下がるため、ポートレートや人物撮影に最適です。
晴れた日の直射日光は、影が強くコントラストが高くなりすぎることがあります。
Q4:編集で明るくするのと、ISO感度を上げるのと、どちらがいいですか?
A4:基本的には、撮影時にISO感度を上げた方がいいです。
カメラは、撮影時に最適な露出で記録することを前提に設計されています。ISO感度を上げてノイズが増えても、暗い映像を編集で持ち上げるよりは品質低下が少ないです。
ただし、ISO感度にも限界があります。照明を追加するのが最善の対策です。
Q5:Log撮影は照明がない環境でも有効ですか?
A5:いいえ、Log撮影は適切な照明があってこそ効果を発揮します。
Log撮影は、ダイナミックレンジを広く記録するための撮影方式です。しかし、そもそも光がなければ、記録できる情報も少なくなります。
暗い環境でLog撮影しても、ノイズの多い眠たい映像になるだけです。Log撮影は、適切な照明と組み合わせて使いましょう。
Q6:照明の色温度は何Kに設定すればいいですか?
A6:撮影環境に合わせて統一することが重要です。
一般的な設定:
- 自然光メイン:5500K前後
- 室内(電球系):3200K前後
- オフィス(蛍光灯):4000K〜5000K
大切なのは、すべての光源の色温度を揃えることです。混在すると、ホワイトバランスが合わなくなります。
Q7:窓からの光だけで撮影するコツはありますか?
A7:はい、いくつかのコツがあります。
コツ1:被写体を窓に向ける
被写体の顔に窓の光が当たるように配置。逆光(背中に窓)は避ける。
コツ2:レフ板を使う
窓と反対側にレフ板を置き、影を和らげる。
コツ3:時間帯を選ぶ
直射日光が入る時間帯を避け、明るいが柔らかい光の時間帯を選ぶ。
コツ4:カーテンを活用
レースカーテンで光を拡散させる。
Q8:撮影後に「暗すぎた」と気づいた場合、どうすればいいですか?
A8:できる範囲で編集で調整しますが、再撮影も検討してください。
編集でできること:
- 露出を上げて明るくする(限界あり)
- シャドウを持ち上げる
- ノイズリダクションでノイズを軽減
判断基準:
- 少し暗い程度(1〜2段)→ 編集で対応可能
- かなり暗い(2段以上)→ 品質低下が顕著、再撮影を検討
- 黒つぶれしている → 再撮影必須
重要な動画であれば、品質を妥協せず再撮影することをおすすめします。
まとめ:照明は「撮影前」に決まる
この記事のポイントを振り返り
照明と編集の関係について、詳しく解説してきました。重要なポイントを振り返りましょう。
1. 編集で明るくするには限界がある
暗すぎる映像を明るくすると、ノイズが目立ち、色が崩れ、ディテールが失われます。撮影時に適正露出を確保することが最も重要です。
2. 適正露出の基本
露出は「絞り」「シャッタースピード」「ISO感度」の3要素で決まります。ヒストグラムやゼブラパターンで確認しながら撮影しましょう。
3. 照明の3つの役割
明るさの確保、立体感の演出、雰囲気の演出。3点照明(キーライト、フィルライト、バックライト)が基本です。
4. 色温度の統一
異なる色温度の光源が混在すると、ホワイトバランスが崩れます。光源の色温度を統一することが大切です。
5. 身近なものでも対応可能
高価な機材がなくても、自然光の活用、レフ板(代用品)、カメラ設定の最適化で対応できることは多いです。
照明チェックリスト
撮影前
□ 撮影場所の照明状況を確認したか
□ 必要な照明機材を用意したか
□ 光源の色温度を統一したか
□ カメラのホワイトバランスを設定したか
撮影中
□ ヒストグラム/ゼブラで露出を確認したか
□ 被写体に適切な光が当たっているか
□ 不要な影がないか
□ 白飛び/黒つぶれしていないか
撮影後
□ 素材の明るさ・色味を確認したか
□ 問題があれば再撮影を検討したか
さらなるスキルアップのために
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今日から始める第一歩
「編集で何とかなる」という考えを捨て、撮影時の照明を意識するだけで、映像のクオリティは大きく変わります。
まずは、次の撮影で以下のことを試してみてください。
- 窓の光を意識して撮影場所を決める
- ヒストグラムを見ながら露出を調整する
- 可能ならレフ板(または白い紙)を使って影を和らげる
これだけでも、今までと違う映像が撮れるはずです。
照明は、機材や予算に関係なく、「意識するかどうか」で大きな差が生まれます。ぜひ、撮影時の照明にこだわって、編集が楽になる、高品質な素材を撮影してください。