「繁忙期は広告を出さなくても反響が来るから大丈夫」「閑散期は何をやっても反響が取れない」——不動産賃貸仲介の広告担当者から、こうした声をよく聞きます。
確かに、不動産賃貸業界には明確な繁忙期と閑散期が存在します。しかし、この考え方のままでは、繁忙期の取りこぼしと閑散期の機会損失という、両方の問題を抱えることになります。
繁忙期こそ広告で競合に差をつけるチャンスであり、閑散期こそ効率的にリードを獲得できる絶好の機会なのです。
この記事では、不動産賃貸仲介に特化した広告運用戦略を、「繁忙期」と「閑散期」という2つの軸で徹底解説します。Google広告、SNS広告の具体的な設定方法から、反響を最大化するランディングページの作り方、季節ごとの予算配分まで、実践的なノウハウをお伝えします。
不動産賃貸業界の広告特性を理解する

効果的な広告戦略を立てるためには、まず不動産賃貸業界特有の市場特性を深く理解する必要があります。この業界には、他業種とは異なる4つの大きな特徴があります。
明確な繁忙期と閑散期がある
不動産賃貸業界は、1年の中で需要が大きく変動する業界です。これは進学、就職、転勤といったライフイベントが特定の時期に集中するためです。
繁忙期(1月〜3月)
年間の賃貸契約の約40%がこの3ヶ月間に集中すると言われています。4月からの新生活に向けて、学生、新社会人、転勤者が一斉に部屋探しを始めます。特に1月下旬から3月中旬がピークで、この時期は何もしなくても問い合わせが増える一方、競合他社も同様に繁忙となるため、良い物件はすぐに決まってしまいます。
第二繁忙期(9月〜10月)
10月からの下期に向けた転勤需要や、秋入学の学生需要があります。1〜3月ほどではありませんが、一定の需要増加が見込める時期です。
閑散期(4月〜8月、11月〜12月)
繁忙期以外の時期は、需要が大きく落ち込みます。特に梅雨時期の6月〜7月、年末の12月は最も需要が低い時期です。ただし、需要が少ない分、競合の広告出稿も減るため、クリック単価が下がりやすく、効率的にリードを獲得できる可能性があります。
商圏が明確に限定されている
賃貸物件は、当然ながら所在地が決まっています。そのため、広告のターゲティングにおいて地域設定は最重要項目です。
ただし、単純に「物件がある地域」だけをターゲットにすれば良いわけではありません。賃貸物件を探すユーザーは、「今住んでいる場所」から「引っ越し先の地域」を検索することが多いためです。
例えば、東京都内の物件を扱う不動産会社の場合、東京都内だけでなく、地方から東京への引っ越しを検討している人(地方在住者)もターゲットになり得ます。この点を踏まえた地域設定が重要です。
検討期間が比較的短い
注文住宅や住宅購入と比較すると、賃貸物件の検討期間は短い傾向があります。一般的には、部屋探しを始めてから契約まで2週間〜1ヶ月程度です。繁忙期には、内見から即日申込というケースも珍しくありません。
この特性は広告運用において、以下のような意味を持ちます。
- 即時性が重要:検索したその日、その週に反響を獲得する必要がある
- リマーケティングの期間設定:長期間追いかけても効果が薄い(1〜2週間程度が目安)
- スピード感のある対応:問い合わせから初回連絡までの時間が成約率に直結
ポータルサイトとの競合
不動産賃貸業界では、SUUMO、HOME’S、アットホームといった大手ポータルサイトが圧倒的な存在感を持っています。多くのユーザーは、まずこれらのポータルサイトで物件検索を行います。
そのため、自社サイトへの広告出稿は、ポータルサイトとの併用が前提となります。ポータルサイトでは取れない層(自社の強みに共感するユーザー、ポータルに載っていない物件を探しているユーザーなど)にアプローチするという位置づけで広告を活用することが重要です。
コンバージョン戦略の設計——何をゴールに設定するか

広告運用を始める前に、「何をコンバージョンとして設定するか」を明確にしておく必要があります。不動産賃貸仲介では、主に以下のコンバージョンポイントが考えられます。
主要なコンバージョンポイント
①物件問い合わせ(反響)
特定の物件に対する問い合わせです。最も契約に近いコンバージョンであり、メインのKPIとして設定すべきです。問い合わせフォームからの送信、電話での問い合わせの両方を計測します。
②来店予約
店舗への来店予約です。特定の物件ではなく、「条件に合う物件を探してほしい」というニーズのユーザーが対象です。来店すれば複数物件を紹介できるため、成約率は高くなります。
③会員登録
新着物件のお知らせや非公開物件の閲覧のために会員登録を促すケースです。すぐに契約には至らないが、継続的にアプローチできるリードを獲得できます。
④LINE友だち追加
LINE公式アカウントへの友だち追加です。会員登録よりもハードルが低く、その後のコミュニケーションもLINEで行えるため、若年層との相性が良いです。
⑤電話タップ(スマホ)
スマートフォンでの電話ボタンタップです。すぐに話したいというユーザーは契約意欲が高いため、重要なコンバージョンポイントです。
コンバージョン設定の詳細はコンバージョン設定の基本と正しい計測方法をご参照ください。
推奨するコンバージョン設計
不動産賃貸仲介の広告では、以下のような階層的なコンバージョン設計を推奨します。
メインコンバージョン:物件問い合わせ(フォーム送信)+ 電話問い合わせ
セカンダリコンバージョン:来店予約、LINE友だち追加
マイクロコンバージョン:物件詳細ページ閲覧、問い合わせフォーム到達、電話ボタンタップ
マイクロコンバージョンを設定しておくことで、最終コンバージョンに至らなかったユーザーの行動データも蓄積でき、広告の最適化に活用できます。
コンバージョン単価(CPA)の目安
不動産賃貸仲介のコンバージョン単価は、地域や競合状況、物件の価格帯によって大きく変動します。目安として、以下の数値を参考にしてください。
- 物件問い合わせ(反響):3,000円〜15,000円/件
- 来店予約:5,000円〜20,000円/件
- LINE友だち追加:500円〜2,000円/件
- 会員登録:1,000円〜5,000円/件
繁忙期はクリック単価が上昇するため、CPAも高くなる傾向があります。閑散期は逆にCPAを抑えられる可能性があります。
ただし、CPAだけで広告の良し悪しを判断してはいけません。重要なのは「最終的な成約につながっているか」「仲介手数料に対して採算が合っているか」です。広告効果を正しく評価するためには、広告効果測定の基本指標(ROAS・CPA・CTR・CVRなど)を理解しておく必要があります。
繁忙期(1〜3月)の広告戦略——競合に勝つための攻めの運用
1月〜3月の繁忙期は、最も需要が高い時期です。この時期の広告戦略は「いかに競合に勝って反響を獲得するか」がポイントになります。
繁忙期に広告を強化すべき理由
「繁忙期は広告を出さなくても反響が来る」という考えは、実は大きな機会損失を生んでいます。
確かに、繁忙期は自然流入も増えます。しかし、それは競合他社も同じです。むしろ、ユーザーの絶対数が増えるこの時期こそ、広告で積極的にアプローチすべきです。
繁忙期に広告を強化すべき理由は以下の通りです。
- 需要のパイが大きい:年間の40%の契約がこの時期に集中。取れる反響の絶対数が多い
- 検討期間が短い:急いでいるユーザーが多く、広告からの即時コンバージョンが期待できる
- 競合との差別化:広告を出していない競合に対してアドバンテージを取れる
- ブランド認知の向上:多くのユーザーの目に触れる機会が増え、認知度向上にもつながる
繁忙期の予算配分
繁忙期には、年間広告予算の40〜50%程度を集中投下することを推奨します。具体的な配分の目安は以下の通りです。
- 1月:年間予算の15%程度(後半から本格化)
- 2月:年間予算の20%程度(ピーク月)
- 3月:年間予算の15%程度(前半がピーク、後半は落ち着く)
予算配分の詳しい考え方は広告予算の配分方法とポートフォリオ戦略をご参照ください。
繁忙期のGoogle広告戦略
Google広告は不動産賃貸仲介において最も重要な広告チャネルです。繁忙期には以下のポイントを押さえて運用しましょう。
Google広告の基本についてはGoogle広告とは?仕組みと始め方完全ガイドをご参照ください。
検索広告(リスティング広告)の強化
繁忙期の検索広告では、以下のキーワードカテゴリに注力します。
①エリア × 賃貸キーワード
最も基本的かつ重要なキーワードです。「○○市 賃貸」「○○駅 アパート」「○○区 マンション」など、地域名と物件タイプの組み合わせです。
②条件キーワード
ユーザーの具体的なニーズに対応したキーワードです。「ペット可 賃貸 ○○」「駐車場付き アパート ○○」「2LDK 新築 ○○」など。コンバージョン率が高い傾向があります。
③ターゲット層キーワード
ユーザーの属性に関連したキーワードです。「一人暮らし 賃貸 ○○」「新婚 マンション ○○」「学生向け アパート ○○」など。
④急ぎ系キーワード
すぐに引っ越したいユーザーが検索するキーワードです。「即入居可 賃貸」「すぐ住める アパート」など。繁忙期に特に増加します。
キーワード選定の詳細はGoogle広告のキーワード選定と設定方法をご参照ください。
入札単価の調整
繁忙期は競合も広告を強化するため、クリック単価が上昇します。以下の対策を講じましょう。
- 入札単価の引き上げ:重要なキーワードでは、上位表示を維持するために入札単価を引き上げる
- 時間帯別の入札調整:コンバージョンが多い時間帯(夜間、週末など)に入札を強化
- デバイス別の入札調整:スマートフォンからのコンバージョンが多い場合、モバイル入札を強化
- 自動入札の活用:「コンバージョン数の最大化」や「目標CPA」などの自動入札戦略を活用
入札戦略の詳細はGoogle広告の入札戦略の種類と選び方をご参照ください。
広告文の最適化
繁忙期の広告文では、「急いでいるユーザー」に刺さるメッセージを盛り込みます。
- 即時性を訴求:「即日内見OK」「当日ご案内可能」「即入居可物件多数」
- 在庫の豊富さをアピール:「○○エリア○○件掲載」「新着物件毎日更新」
- 特典・キャンペーン:「仲介手数料半額」「初期費用クレジット払いOK」
- 差別化ポイント:「女性スタッフ対応」「夜9時まで営業」「LINEで気軽に相談」
広告文の書き方についてはGoogle広告の広告文の書き方とABテスト実践方法をご参照ください。
ローカル検索広告の活用
Googleマップで「不動産」「賃貸」と検索したユーザーに広告を表示できます。店舗への来店を促す際に効果的です。
詳しくはローカル検索広告で店舗集客を強化する方法をご参照ください。
繁忙期のSNS広告戦略
繁忙期のSNS広告は、「認知拡大」と「リマーケティング」の2軸で活用します。
Instagram広告
若年層(学生、新社会人)へのアプローチにはInstagram広告が効果的です。繁忙期には以下のようなクリエイティブが効果を発揮します。
- おしゃれな物件写真:デザイナーズ物件、リノベーション物件などビジュアルで訴求
- 新生活応援系:「一人暮らしスタートを応援」「新生活準備ガイド」など
- エリア紹介:「○○エリアの住みやすさ」「○○駅周辺のおすすめスポット」など
Instagram広告の設定方法はMeta広告(Facebook・Instagram広告)の始め方と設定方法をご参照ください。
リマーケティング広告
一度サイトを訪問したユーザーに対して、再度広告を表示するリマーケティングは必須です。不動産賃貸の場合、検討期間が短いため、リマーケティング期間は1〜2週間程度に設定するのが効果的です。
詳しくはリマーケティング広告の設定と活用法をご参照ください。
繁忙期の運用で気をつけるべきこと
繁忙期の広告運用では、以下の点に注意が必要です。
①予算切れを防ぐ
需要が急増する繁忙期は、予想以上にクリックが増え、予算が早期に消化されることがあります。日予算の設定を適切に行い、重要な時間帯に予算切れが起きないようにしましょう。
②反響対応のキャパシティ
広告で反響が増えても、対応できなければ意味がありません。営業体制と連携し、反響対応のキャパシティを確認した上で広告を出稿しましょう。
③物件在庫の連動
広告を出している物件がすでに成約済みというケースは、ユーザー体験を損ないます。物件在庫と広告の連動を徹底しましょう。
閑散期(4〜8月、11〜12月)の広告戦略——効率重視の守りの運用

閑散期は需要が落ち込む時期ですが、「何をやっても無駄」ではありません。むしろ、競合が広告を控えるこの時期は、効率的にリードを獲得できるチャンスでもあります。
閑散期にも広告を続けるべき理由
閑散期に広告を止めてしまう不動産会社は多いですが、それは得策ではありません。
- 競合が減る:広告を出稿する競合が減るため、クリック単価が下がりやすい
- 本気度の高いユーザーが残る:閑散期に部屋を探しているユーザーは、本当に引っ越す必要がある人(転勤、離婚、家族構成の変化など)
- ブランド認知の維持:広告を止めると、築いてきた認知が薄れてしまう
- 繁忙期への準備:閑散期にテストした広告クリエイティブやLPを、繁忙期に活かせる
閑散期の予算配分
閑散期は年間広告予算の30〜40%程度で運用します。ただし、完全にゼロにするのではなく、最低限の出稿は維持しましょう。
- 4〜5月:年間予算の8%程度(繁忙期からの移行期)
- 6〜8月:年間予算の15%程度(最閑散期、効率重視)
- 9〜10月:年間予算の12%程度(第二繁忙期に向けて強化)
- 11〜12月:年間予算の10%程度(年末需要+翌年繁忙期準備)
閑散期のGoogle広告戦略
閑散期のGoogle広告は「効率重視」がキーワードです。CPAを抑えながら、質の高いリードを獲得することを目指します。
キーワードの絞り込み
閑散期は、コンバージョン率の高いキーワードに集中します。
- 高CVRキーワードに集中:過去のデータを分析し、コンバージョン率の高いキーワードに予算を集中
- ロングテールキーワードの強化:「ペット可 2LDK 駐車場付き ○○市」など、具体的な条件を含むキーワード
- 指名キーワードの維持:自社名、店舗名での検索は常にカバー
閑散期に効果的なキーワード例
- 「転勤 賃貸 ○○」(転勤による引っ越し需要)
- 「急な引っ越し ○○」(急ぎの需要)
- 「分譲賃貸 ○○」(質を重視するユーザー)
- 「ファミリー向け 3LDK ○○」(家族構成の変化による需要)
入札単価の最適化
閑散期は競合が減るため、入札単価を下げても上位表示を維持しやすくなります。
- 手動入札でコントロール:CPCを細かく調整し、CPAを最適化
- 目標CPAを下げる:自動入札を使う場合、目標CPAを繁忙期より10〜20%程度下げる
- インプレッションシェアの確認:予算不足で機会損失していないかを確認
広告文の調整
閑散期の広告文は、「急いでいない」ユーザーにも響くメッセージに調整します。
- じっくり選べることをアピール:「この時期だからこそ、じっくり物件選び」「空いている今がチャンス」
- 特典の訴求:閑散期限定のキャンペーン(フリーレント、仲介手数料割引など)
- 相談ベースのCTA:「お気軽にご相談ください」「まずはLINEで条件を送るだけ」
閑散期のSNS広告戦略
閑散期のSNS広告は、「今すぐ」の需要を獲得するよりも、「将来の見込み客」を育てることに重点を置きます。
LINE友だち追加広告
すぐに契約には至らなくても、LINE友だちとしてリストに加えておけば、繁忙期に向けてアプローチできます。
- 友だち追加のインセンティブ:「友だち追加で初期費用見積もりシミュレーション」「非公開物件を優先紹介」
- 低CPAで獲得:閑散期は友だち追加のCPAも下がりやすい
LINE広告についてはLINE広告の特徴と始め方、LINE公式アカウントの活用についてはLINE公式アカウントとホームページの連携メリットをご参照ください。
コンテンツマーケティングとの連携
閑散期は、直接的な物件広告だけでなく、コンテンツを活用した広告も効果的です。
- エリアガイド記事への誘導:「○○エリアの住みやすさ徹底解説」
- 一人暮らしガイドへの誘導:「初めての一人暮らし完全ガイド」
- 引っ越し準備記事への誘導:「引っ越し費用を抑える10のコツ」
これらのコンテンツに誘導し、サイト訪問者をリマーケティングリストに追加。将来的な見込み客として育てていきます。
閑散期を活用したテスト・改善
閑散期は、繁忙期に向けた準備期間としても活用すべきです。
- 広告クリエイティブのABテスト:様々な訴求軸を試し、最も効果的なものを特定
- LPの改善:コンバージョン率を上げるためのABテストを実施
- 新しいキーワードの発掘:部分一致で幅広く出稿し、有効なキーワードを見つける
- ターゲティングの検証:SNS広告のオーディエンス設定を様々試す
ABテストの詳細はABテストの設計と実践方法をご参照ください。
物件LP(ランディングページ)の最適化——反響率を上げる設計

広告のクリック率が高くても、ランディングページで離脱されては意味がありません。不動産賃貸仲介のLPには、他業種とは異なる独自のポイントがあります。
LPの基本的な作り方は広告用LPの作り方と構成の基本をご参照ください。
物件一覧ページのポイント
多くの場合、広告からの遷移先は「物件一覧ページ」になります。このページの最適化が反響率を大きく左右します。
ファーストビューで見せるべき情報
- 検索条件の明示:ユーザーが検索したキーワードに対応した物件が表示されていることを明示
- 物件数:「○○件の物件が見つかりました」と件数を表示し、選択肢の豊富さをアピール
- 絞り込み機能:条件を追加して絞り込める機能を目立たせる
物件カード(一覧)のデザイン
- 写真を大きく:サムネイル写真は物件選びの第一印象を決める
- 重要情報を一目で:家賃、間取り、最寄り駅、築年数などの基本情報
- 特徴タグ:「ペット可」「駐車場付き」「新築」などのタグで視認性を高める
- お気に入りボタン:比較検討しやすいようにお気に入り機能を設置
物件詳細ページのポイント
物件詳細ページは、問い合わせ(コンバージョン)に直結する最重要ページです。
写真ギャラリー
- 枚数を多く:外観、各部屋、水回り、収納、ベランダなど、できるだけ多くの写真を
- 大きく見やすく:スマホでも拡大して見やすいギャラリー機能
- 360度パノラマ/動画:可能であれば、より臨場感のあるコンテンツも
物件情報の見せ方
- 基本情報を整理:家賃、管理費、敷金、礼金、間取り、面積、築年数、階数などを一目でわかるように
- 初期費用の目安:「初期費用○○万円〜」と概算を表示すると、問い合わせのハードルが下がる
- 設備・条件:エアコン、バストイレ別、オートロックなど、設備情報を網羅
- 周辺環境:駅までの距離、スーパー、コンビニ、学校などの情報
問い合わせ導線
- CTAボタンを目立たせる:「この物件を問い合わせる」「内見予約する」ボタンを常に視界に入る位置に
- スマホでは電話ボタンも:ワンタップで電話できるボタンを設置
- 問い合わせの簡略化:フォームの入力項目は最小限に
- 複数の導線:フォーム、電話、LINEなど、ユーザーが選べるように
問い合わせフォームの最適化についてはフォーム最適化(EFO)で離脱を防ぐ、お問い合わせフォームの最適化(EFO)をご参照ください。
キャンペーンLP(繁忙期用)
繁忙期には、通常の物件ページとは別に、キャンペーン専用LPを用意することも効果的です。
- キャンペーン内容を明確に:「仲介手数料半額」「フリーレント1ヶ月」など
- 期間限定感:「3月末まで」「先着○名様」など、限定性を演出
- 対象物件への誘導:キャンペーン対象物件一覧へのリンク
- 来店予約への誘導:「来店で○○プレゼント」など、来店を促す
スマホ最適化の重要性
不動産賃貸の物件検索は、70%以上がスマートフォンからと言われています。スマホでの表示・操作性は最優先事項です。
- 表示速度:写真が多いため、読み込み速度が遅くならないよう最適化
- タップしやすいボタン:指でタップしやすいサイズ・間隔
- 電話ボタンの固定表示:スクロールしても常に電話ボタンが表示されるように
- フォームの入力しやすさ:スマホでの入力を考慮した設計
LP改善のチェックリストはLPのCVR改善チェックリストをご参照ください。
その他の広告施策とマーケティング連携
Google広告、SNS広告以外にも、不動産賃貸仲介で活用できる広告施策があります。また、広告単体ではなく、他のマーケティング施策と連携させることで、より大きな効果を得られます。
ポータルサイト広告との連携
SUUMO、HOME’S、アットホームなどのポータルサイトは、多くの不動産会社が利用しています。自社広告との使い分けは以下のように考えましょう。
- ポータルサイト:物件を広く露出させる、多くのユーザーにリーチ
- 自社広告:自社の強み・差別化ポイントを訴求、ブランディング、ポータルに載っていない物件の訴求
両方を併用しながら、自社サイトへの直接流入を徐々に増やしていくのが理想的です。
MEO(Googleビジネスプロフィール)との連携
Googleマップでの検索対策(MEO)は、店舗への来店を促す上で非常に重要です。広告とMEOを連携させることで、相乗効果が期待できます。
- 口コミの充実:良い口コミが増えれば、広告からの流入後の信頼感も向上
- 投稿機能の活用:キャンペーン情報、新着物件情報を定期的に投稿
- 写真の追加:店舗の雰囲気がわかる写真を充実させる
Googleビジネスプロフィールの設定方法はGoogleビジネスプロフィール(旧マイビジネス)の登録方法、MEO対策についてはMEO対策とは?ホームページとGoogleマップ連携で店舗集客を倍増させる方法をご参照ください。
SEOとの役割分担
広告とSEOは、それぞれ異なる強みを持っています。
- 広告:即効性がある、予算でコントロール可能、キーワードを自由に選べる
- SEO:中長期的な効果、継続的な流入、信頼感が高い
不動産賃貸の場合、「○○市 賃貸」といった主要キーワードはポータルサイトが上位を独占していることが多く、SEOで上位表示するのは難しい場合があります。そのため、広告でカバーしつつ、エリア情報や住み替えガイドなどのコンテンツでSEO流入を狙う、という役割分担が効果的です。
詳しくは広告とSEO・MEOの使い分け戦略、リスティング広告とSEOどっちをやるべき?をご参照ください。
SNSオーガニック投稿との連携
広告だけでなく、日常的なSNS投稿も重要です。特にInstagramでは、物件写真やエリア情報を定期的に投稿することで、フォロワーを増やし、将来の見込み客を育てられます。
- 物件紹介:新着物件、おすすめ物件を定期的に紹介
- エリア情報:周辺のカフェ、スーパー、公園などの情報
- スタッフ紹介:親しみやすさをアピール
- お客様の声:実際に契約したお客様の声(許可を得て)
SNSとホームページの連携についてはホームページとSNS(インスタ・X)の使い分けをご参照ください。
効果測定と改善——データに基づいた運用へ
広告運用の成否を分けるのは、効果測定と改善のサイクルです。不動産賃貸仲介では、以下の指標を重点的に追いましょう。
追うべきKPI
広告プラットフォーム上の指標
- CPA(獲得単価):反響1件あたりの広告費
- CVR(コンバージョン率):クリックからコンバージョンへの転換率
- CTR(クリック率):インプレッションからクリックへの転換率
- CPC(クリック単価):1クリックあたりの費用
- インプレッションシェア:表示機会のうち、実際に表示された割合
ビジネス成果との紐付け
- 反響→来店 転換率:問い合わせから来店への転換率
- 来店→成約 転換率:来店から契約への転換率
- 広告経由の成約件数:広告が起点となった契約の件数
- 仲介手数料に対するROAS:広告費に対する収益
広告効果測定の詳細は広告効果測定の基本指標(ROAS・CPA・CTR・CVRなど)をご参照ください。
GA4との連携
Google広告の効果を詳しく分析するためには、Googleアナリティクス4(GA4)との連携が不可欠です。
- 流入経路別の行動分析:広告経由ユーザーと自然検索ユーザーの行動の違い
- コンバージョン経路の分析:複数回訪問して問い合わせに至るケースの把握
- 離脱ポイントの特定:どのページでユーザーが離脱しているか
GA4の導入方法はGoogleアナリティクス4(GA4)の導入方法、Google広告との連携はGoogle広告とGA4の連携と分析方法をご参照ください。
繁忙期と閑散期でKPIを変える
繁忙期と閑散期では、追うべきKPIの重点を変えることも検討しましょう。
繁忙期のKPI重点
- 反響数(絶対数)を最大化
- 成約件数を最大化
- CPAは多少上がっても許容
閑散期のKPI重点
- CPAを最適化(効率重視)
- CVRの改善
- 将来の見込み客リストの構築(LINE友だち数など)
PDCAサイクルの回し方
広告運用のPDCAサイクルについては広告運用のPDCAサイクルと改善の進め方で詳しく解説していますが、不動産賃貸特有のポイントを紹介します。
日次で確認すべきこと
- 予算消化ペース(特に繁忙期)
- 異常値(クリック数の急増/急減など)
- 反響数と反響対応状況
週次で確認・改善すべきこと
- キャンペーン別のCPA、CVR、CTRの推移
- キーワード別のパフォーマンス(検索広告)
- 物件別の反響状況との連動確認
月次で確認すべきこと
- 予算配分の見直し
- 広告クリエイティブの更新
- LPの改善施策
- ビジネス成果(成約件数、売上)との紐付け分析
広告代理店の活用と自社運用の判断

広告運用を自社で行うか、代理店に委託するかは、会社の状況によって判断が分かれます。
自社運用が向いているケース
- 広告運用に専念できる担当者がいる
- 月間広告費が少額(30万円以下など):代理店手数料の負担が大きくなる
- 地域密着で、地元の市場をよく理解している
- 物件在庫の変動が激しく、細かい調整が必要
代理店委託が向いているケース
- 社内に専門人材がいない
- 月間広告費が一定規模以上(50万円以上など)
- 複数エリアで展開している
- 繁忙期に営業が忙しく、広告運用に手が回らない
詳しくはインハウス運用vs代理店委託、どちらを選ぶべき?、代理店の選び方は広告代理店の選び方と失敗しない付き合い方をご参照ください。
不動産業界の他カテゴリも参考に
不動産賃貸仲介と関連する業種の広告運用戦略も、参考になる点が多いです。以下の記事も併せてご覧ください。
- 不動産業界の広告運用戦略【物件集客・反響獲得】
- 不動産仲介(売買)の広告運用戦略【物件反響を増やす方法】
- 注文住宅・ハウスメーカーの広告運用戦略【資料請求と来場予約】
- リフォーム・リノベーション会社の広告運用戦略
- 地域ビジネス・店舗のWeb広告活用法【MEOとの連携戦略】
また、不動産業のホームページ制作については不動産業のホームページ制作|物件検索機能は必要?反響を獲得するサイト構成も参考になります。
まとめ——繁忙期と閑散期、それぞれの戦略で年間成果を最大化する
この記事では、不動産賃貸仲介向けの広告運用戦略を、「繁忙期」と「閑散期」という2つの軸で解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
1. 業界特性を理解する
明確な繁忙期(1〜3月)と閑散期がある。検討期間は短く、即時性が重要。ポータルサイトとの競合を意識した戦略が必要。
2. コンバージョン設計
物件問い合わせ+電話問い合わせをメインに、来店予約、LINE友だち追加をセカンダリに設定。マイクロコンバージョンも計測して最適化に活用。
3. 繁忙期の戦略
年間予算の40〜50%を集中投下。検索広告を強化し、上位表示を維持。急いでいるユーザーに刺さる広告文。反響対応のキャパシティも確保。
4. 閑散期の戦略
効率重視でCPAを最適化。高CVRキーワードに集中。LINE友だち追加など将来の見込み客リスト構築。テスト・改善の期間として活用。
5. LP最適化
物件一覧ページ、物件詳細ページそれぞれの最適化。問い合わせ導線を目立たせる。スマホ最適化は必須。
6. 他施策との連携
MEO、SEO、SNSオーガニック投稿と連携させて相乗効果を狙う。ポータルサイトとの役割分担を明確に。
7. 効果測定と改善
CPAだけでなく、最終的な成約まで追跡。繁忙期と閑散期でKPIの重点を変える。PDCAサイクルを継続的に回す。
不動産賃貸仲介の広告運用は、季節変動が大きいからこそ、年間を通じた戦略的な運用が求められます。繁忙期には攻めの姿勢で競合に差をつけ、閑散期には効率的にリードを獲得しながら繁忙期に向けた準備を進める。このサイクルを確立することで、年間を通じて安定した成果を上げることができます。
まずは自社の現状を分析し、繁忙期・閑散期それぞれの戦略を立ててみてください。この記事が、皆さまの広告運用の一助となれば幸いです。
Web広告全般の基礎知識については、Web広告とは?種類と特徴を徹底比較【初心者向け完全ガイド】やWeb広告の費用相場と予算の決め方も参考になります。