「ポータルサイトの掲載料は高いのに、なかなか反響が増えない」「自社サイトへの集客を強化したいが、何から始めればいいかわからない」——不動産売買仲介の経営者や広告担当者から、こうした悩みを頻繁に耳にします。
不動産売買は、人生で最も高額な買い物の一つです。数千万円、場合によっては億を超える取引だからこそ、ユーザーは慎重に情報収集を行い、信頼できる不動産会社を選びます。この特性を理解せずに「とりあえず広告を出す」だけでは、広告費を無駄にするだけで終わってしまいます。
さらに、不動産売買仲介には「売主向け」と「買主向け」という2つの異なるターゲットが存在します。それぞれニーズも検討プロセスも全く異なるため、広告戦略も分けて考える必要があります。
この記事では、不動産売買仲介に特化した広告運用戦略を、「売主向け(査定依頼獲得)」と「買主向け(物件問い合わせ獲得)」の両面から徹底解説します。Google広告、SNS広告の具体的な設定方法から、反響を最大化するランディングページの作り方、効果測定と改善サイクルまで、実践的なノウハウをお伝えします。
不動産売買仲介の広告特性を理解する

効果的な広告戦略を立てるためには、まず不動産売買仲介特有の市場特性を深く理解する必要があります。この業界には、他業種とは異なる5つの大きな特徴があります。
超高額商材ゆえの長い検討期間
不動産売買の平均取引価格は、首都圏のマンションで5,000万円〜7,000万円、戸建てで4,000万円〜6,000万円程度です。地方でも2,000万円〜4,000万円は珍しくありません。これほど高額な買い物を、衝動的に決める人はほとんどいません。
一般的に、不動産購入の検討期間は6ヶ月〜2年程度と言われています。売却の場合も、「そろそろ売ろうかな」と考え始めてから実際に査定依頼をするまで、数ヶ月かかることが一般的です。
この長い検討期間において、ユーザーは以下のような段階を経ます。
【購入検討者の場合】
- 認知段階:「そろそろ家を買いたい」と漠然と考え始める
- 情報収集段階:エリア、相場、住宅ローンについて調べ始める
- 物件探索段階:ポータルサイトや不動産会社で具体的な物件を探す
- 比較検討段階:複数物件を内見し、比較検討する
- 最終決定段階:購入を決断し、契約に至る
【売却検討者の場合】
- 認知段階:「売却しようかな」と考え始める(相続、住み替え、離婚など様々な理由)
- 情報収集段階:相場や売却の流れについて調べる
- 査定依頼段階:複数の不動産会社に査定を依頼する
- 媒介契約段階:依頼する不動産会社を決め、媒介契約を結ぶ
- 売却活動段階:買主を探し、成約に至る
広告運用においては、「どの段階のユーザーにアプローチするか」を明確に意識することが重要です。
売主と買主、2つの異なるターゲット
不動産売買仲介の最大の特徴は、「売主」と「買主」という2つの全く異なるターゲットが存在することです。
売主向け広告の目的:査定依頼(売却相談)の獲得
買主向け広告の目的:物件問い合わせ(内見予約)の獲得
それぞれニーズも心理も異なるため、広告戦略は完全に分けて考える必要があります。同じ広告クリエイティブ、同じランディングページで両方のターゲットにアプローチしようとすると、どちらにも刺さらない中途半端な広告になってしまいます。
信頼性が極めて重要
数千万円の取引を任せる相手を選ぶわけですから、ユーザーにとって「信頼できる会社かどうか」は最重要の判断基準です。
広告においても、単に「物件情報」や「査定無料」を訴求するだけでなく、以下のような信頼性を高める要素が重要になります。
- 実績:取引件数、成約実績、営業年数
- 専門性:地域密着、特定物件タイプへの強み
- 人:担当者の顔が見える、資格保有者の在籍
- 口コミ・評判:お客様の声、Googleの口コミ評価
商圏が明確に限定されている
不動産売買仲介は、基本的に地域密着型のビジネスです。対応可能エリアが明確に決まっており、エリア外からの問い合わせは対応できません。
そのため、広告のターゲティングにおいて地域設定は最重要項目です。ただし、購入検討者の場合は「今住んでいる場所」と「購入を希望するエリア」が異なる場合があることに注意が必要です。
ポータルサイトとの競合
不動産売買市場では、SUUMO、HOME’S、アットホーム、Yahoo!不動産といった大手ポータルサイトが圧倒的な存在感を持っています。物件を探すユーザーの多くは、まずこれらのポータルサイトで検索を始めます。
また、売却査定においても、「イエウール」「すまいValue」「HOME4U」などの一括査定サイトが台頭しており、ユーザーの導線を押さえています。
自社への直接流入を広告で獲得するためには、これらのポータルサイト・一括査定サイトとの差別化が必要です。「なぜ自社に直接問い合わせるべきなのか」を明確に伝える広告戦略が求められます。
コンバージョン戦略の設計——売主向けと買主向けで分ける

広告運用を始める前に、「何をコンバージョンとして設定するか」を明確にしておく必要があります。不動産売買仲介では、売主向けと買主向けでコンバージョンポイントを分けて設計します。
コンバージョン設定の基本についてはコンバージョン設定の基本と正しい計測方法をご参照ください。
売主向けのコンバージョンポイント
①無料査定依頼(メインコンバージョン)
売主向け広告の最重要コンバージョンです。物件情報と連絡先を入力してもらい、査定を行う機会を得ます。査定から媒介契約につなげることが最終目標です。
②電話での査定相談
フォームよりも電話で相談したいユーザー向けです。特に年配の方は電話を好む傾向があります。電話計測を導入し、広告経由の電話問い合わせも計測しましょう。
③売却相談予約(来店予約)
オンラインではなく、直接会って相談したいというユーザー向けです。来店してもらえれば、信頼関係を構築しやすくなります。
④売却ガイド資料請求
「まだ査定を依頼するほどではないが、情報は欲しい」というユーザー向けの軽いコンバージョンです。リードとして獲得し、後からフォローします。
買主向けのコンバージョンポイント
①物件問い合わせ(メインコンバージョン)
特定の物件に対する問い合わせです。内見予約や詳細情報の請求が含まれます。最も契約に近いコンバージョンです。
②会員登録
新着物件のお知らせや、非公開物件の閲覧のために会員登録を促します。すぐに契約には至らなくても、継続的にアプローチできるリードを獲得できます。
③来店予約(購入相談)
特定の物件ではなく、「条件に合う物件を探してほしい」というニーズのユーザー向けです。来店すれば複数物件を紹介でき、成約率は高くなります。
④LINE友だち追加
ハードルが低く、若年層との相性が良いです。新着物件情報をLINEで届けることで、継続的な関係を構築できます。
推奨するコンバージョン設計
【売主向け広告】
- メインCV:無料査定依頼(フォーム)+ 電話問い合わせ
- セカンダリCV:売却相談予約、資料請求
- マイクロCV:査定フォーム到達、電話ボタンタップ
【買主向け広告】
- メインCV:物件問い合わせ + 電話問い合わせ
- セカンダリCV:会員登録、来店予約、LINE友だち追加
- マイクロCV:物件詳細ページ閲覧、問い合わせフォーム到達
コンバージョン単価(CPA)の目安
不動産売買仲介のコンバージョン単価は、地域や競合状況によって大きく変動します。目安として、以下の数値を参考にしてください。
【売主向け】
- 査定依頼:10,000円〜50,000円/件
- 売却相談予約:15,000円〜60,000円/件
- 資料請求:3,000円〜10,000円/件
【買主向け】
- 物件問い合わせ:5,000円〜30,000円/件
- 会員登録:2,000円〜8,000円/件
- LINE友だち追加:500円〜3,000円/件
ただし、CPAだけで広告の良し悪しを判断してはいけません。重要なのは「最終的な成約につながっているか」「仲介手数料に対して採算が合っているか」です。
不動産売買の仲介手数料は「成約価格×3%+6万円」が上限です。5,000万円の物件であれば、片手仲介で約156万円、両手仲介で約312万円の手数料となります。この金額を念頭に、広告費の採算を考えましょう。
広告効果を正しく評価するためには、広告効果測定の基本指標(ROAS・CPA・CTR・CVRなど)を理解しておく必要があります。
売主向け広告戦略——査定依頼を獲得する
売主からの査定依頼は、不動産売買仲介にとって非常に価値の高いリードです。媒介契約を獲得できれば、物件を販売する権利を得られます。ここでは、売主向け広告の具体的な戦略を解説します。
売主向けGoogle広告の運用戦略
Google広告の基本についてはGoogle広告とは?仕組みと始め方完全ガイドをご参照ください。
検索広告のキーワード設計
売主向けの検索広告では、以下のキーワードカテゴリに注力します。
①売却・査定キーワード
最も直接的なキーワードです。「マンション 売却」「戸建て 査定」「不動産 売りたい」など。競合も多いですが、コンバージョン率は高い傾向があります。
例:「マンション 売却 ○○市」「戸建て 査定 無料」「不動産 売却 相場」「家 売りたい ○○区」
②相場・価格キーワード
売却を検討し始めた段階のユーザーが検索するキーワードです。「自分の家がいくらで売れるか」を知りたい人にアプローチできます。
例:「○○市 マンション 相場」「○○駅 中古戸建て 価格」「築20年 マンション 売却価格」
③理由・状況キーワード
売却の理由や状況に関連したキーワードです。具体的なニーズを持ったユーザーにアプローチできます。
例:「相続 不動産 売却」「離婚 マンション 売却」「住み替え 家 売る」「転勤 持ち家 どうする」
④マンション名・地域名指名キーワード
特定のマンション名や地域名で検索しているユーザーは、具体的な売却意向を持っている可能性が高いです。
例:「○○マンション 売却」「○○ハイツ 相場」「○○町 不動産売却」
キーワード選定の詳細はGoogle広告のキーワード選定と設定方法をご参照ください。
売主向け広告文のポイント
売主向けの広告文では、以下の要素を盛り込むことが重要です。
- 無料査定の訴求:「無料査定」「査定0円」は必須
- スピード感:「最短○日で査定結果」「即日対応可能」
- 実績・信頼性:「○○エリア売却実績No.1」「創業○年」「成約○件」
- 差別化ポイント:「地域密着」「高額売却に自信」「秘密厳守」
- 安心感:「しつこい営業なし」「相談だけでもOK」
広告文の書き方についてはGoogle広告の広告文の書き方とABテスト実践方法をご参照ください。
売主向けディスプレイ広告
検索広告だけでなく、ディスプレイ広告も売主向けには効果的です。「そろそろ売ろうかな」と漠然と考えている潜在層にアプローチできます。
ターゲティングの例
- 購買意向オーディエンス:「不動産」「住宅(売買)」
- カスタムオーディエンス:競合他社サイトURL、一括査定サイトURLを指定
- リマーケティング:自社サイトの売却関連ページを訪問したユーザー
ディスプレイ広告の詳細はディスプレイ広告(GDN)の設定と運用方法をご参照ください。
売主向けSNS広告の活用
SNS広告の種類と選び方についてはSNS広告の種類と選び方をご参照ください。
Facebook広告
不動産売却を検討するユーザーは30代〜60代が中心であり、Facebook広告との相性が良いです。
ターゲティングの例
- 年齢:35歳〜65歳
- 地域:対応可能エリア
- 興味・関心:「不動産」「住宅ローン」「投資」
- ライフイベント:「最近引っ越した」「新婚」(住み替え需要)
- 類似オーディエンス:過去の査定依頼者に類似したユーザー
クリエイティブのポイント
- 「あなたの家、今いくら?」など、好奇心を刺激するコピー
- 査定の流れをシンプルに説明した動画
- 成約事例(売却価格、期間など)を紹介
- 地域の相場情報を提供するコンテンツ
Meta広告の設定方法はMeta広告(Facebook・Instagram広告)の始め方と設定方法をご参照ください。
YouTube広告
売却の流れや注意点を解説する動画広告は、信頼性を高めるのに効果的です。「不動産売却で失敗しないためのポイント」といった教育的なコンテンツが有効です。
YouTube広告についてはYouTube広告の種類と活用法をご参照ください。
売主向けランディングページの最適化
売主向けLPは、「査定依頼」というコンバージョンに特化した設計が必要です。
売主向けLPの必須要素
①ファーストビュー
- 「無料査定」「○○エリア専門」などの明確な訴求
- 査定依頼フォームまたはCTAボタンを目立たせる
- 「最短○分で査定額がわかる」などのスピード感
②査定の流れ
- 査定依頼から結果連絡までのステップを図解
- 「簡単3ステップ」など、手軽さをアピール
③売却実績
- 成約事例(物件タイプ、売却価格、期間)
- 「○○エリア売却実績○件」などの数字
- 可能であれば、相場より高く売れた事例
④選ばれる理由・強み
- 地域密着○年の実績
- 買取保証、瑕疵保証などのサービス
- 専門スタッフの在籍(宅建士○名など)
⑤お客様の声
- 実際に売却したお客様の感想
- 顔写真があるとより信頼感が増す
⑥査定フォーム
- 入力項目は最小限に(物件種別、所在地、連絡先など)
- 「しつこい営業はしません」などの安心メッセージ
- プライバシーポリシーへのリンク
⑦よくある質問(FAQ)
- 「査定だけでも大丈夫?」「費用はかかる?」など、不安を解消
LPの作り方については広告用LPの作り方と構成の基本をご参照ください。
買主向け広告戦略——物件反響を増やす

買主からの物件問い合わせを増やすことも、不動産売買仲介にとって重要です。ポータルサイト経由だけでなく、自社サイトへの直接流入を広告で獲得することで、競合との差別化が図れます。
買主向けGoogle広告の運用戦略
検索広告のキーワード設計
買主向けの検索広告では、以下のキーワードカテゴリに注力します。
①物件タイプ × エリアキーワード
最も基本的なキーワードです。「○○市 中古マンション」「○○駅 新築戸建て」など。検索ボリュームが多い分、競合も激しいですが、必ず押さえておくべきキーワードです。
例:「○○市 中古マンション」「○○区 新築一戸建て」「○○駅 中古戸建て」
②条件キーワード
ユーザーの具体的なニーズに対応したキーワードです。コンバージョン率が高い傾向があります。
例:「駐車場付き 戸建て ○○市」「ペット可 マンション ○○区」「3LDK 中古マンション ○○」「駅近 新築 ○○」
③価格帯キーワード
予算が決まっているユーザーが検索するキーワードです。
例:「3000万円以下 マンション ○○」「2000万円台 戸建て ○○」「○○市 中古マンション 安い」
④マンション名指名キーワード
特定のマンション名で検索しているユーザーは、そのマンションの購入を本気で検討している可能性が高いです。自社で取り扱いがある場合は必ず出稿しましょう。
例:「○○マンション 中古」「○○ハイツ 売り物件」「○○レジデンス 価格」
買主向け広告文のポイント
買主向けの広告文では、以下の要素を盛り込むことが重要です。
- 物件の魅力:「駅徒歩5分」「南向き」「リノベーション済み」など
- 物件数・選択肢:「○○エリア○○件掲載」「非公開物件あり」
- サービスの強み:「仲介手数料割引」「住宅ローン相談無料」
- スピード感:「即日内見OK」「当日ご案内可能」
- 安心感:「地域密着○年」「アフターフォロー充実」
買主向けディスプレイ広告・リマーケティング
買主向けには、リマーケティング広告が特に効果的です。一度自社サイトで物件を閲覧したユーザーに対して、その物件や類似物件の広告を表示します。
不動産購入は検討期間が長いため、リマーケティング期間は1〜2ヶ月程度に設定するのが効果的です。
リマーケティングの詳細はリマーケティング広告の設定と活用法をご参照ください。
買主向けSNS広告の活用
Instagram広告
物件写真を魅力的に見せられるInstagramは、買主向け広告との相性が良いです。特に、デザイン性の高い物件やリノベーション物件のビジュアル訴求に効果的です。
クリエイティブのポイント
- 物件の外観・内装写真を美しく見せる
- カルーセル広告で複数の部屋を紹介
- リール動画でルームツアーを見せる
- 周辺環境(カフェ、公園など)も含めたライフスタイル訴求
Instagram広告のクリエイティブについてはInstagram広告のクリエイティブ作成術をご参照ください。
LINE広告
LINE広告は幅広い年齢層にリーチでき、友だち追加広告で継続的な関係構築も可能です。
新着物件情報をLINEで届ける仕組みを作れば、「良い物件が出たらすぐに知りたい」というユーザーのニーズに応えられます。
LINE広告についてはLINE広告の特徴と始め方、友だち追加広告についてはLINE広告の友だち追加広告で顧客リストを構築する方法をご参照ください。
買主向けランディングページの最適化
買主向けLPは、「物件問い合わせ」または「会員登録」に誘導する設計が必要です。
物件一覧ページの最適化
検索広告からの遷移先は、多くの場合「物件一覧ページ」になります。
- 検索条件の明示:ユーザーが検索したキーワードに対応した物件が表示されていることを明示
- 物件数の表示:「○○件の物件が見つかりました」と表示
- 絞り込み機能:価格、間取り、駅徒歩などで絞り込める機能
- 写真の大きさ:物件の魅力が伝わる大きめのサムネイル
- 重要情報の一覧性:価格、間取り、所在地、築年数などを一目で確認
物件詳細ページの最適化
物件詳細ページは、問い合わせ(コンバージョン)に直結する最重要ページです。
- 写真ギャラリー:多くの写真を大きく見やすく
- 物件情報の網羅:価格、間取り、面積、築年数、管理費、修繕積立金など
- 周辺環境情報:最寄り駅、学校、スーパー、病院などの情報
- ローンシミュレーション:月々の支払い目安を表示すると具体的にイメージしやすい
- 問い合わせ導線:「この物件を問い合わせる」ボタンを目立たせる
- 類似物件の提案:この物件がダメでも、他の選択肢を提示
フォーム最適化についてはフォーム最適化(EFO)で離脱を防ぐ、お問い合わせフォームの最適化(EFO)をご参照ください。
P-MAXキャンペーンの活用
Google広告のP-MAX(パフォーマンスマックス)キャンペーンは、不動産売買仲介でも活用の余地があります。検索、ディスプレイ、YouTube、Gmail、Googleマップなど、全ての広告枠に自動で配信され、機械学習によってコンバージョン獲得を最大化します。
詳しくはP-MAXキャンペーンの特徴と活用法をご参照ください。
不動産売買仲介でP-MAXを使う際のポイント
- 売主向けと買主向けでキャンペーンを分ける:ターゲットが異なるため、混ぜると最適化が難しくなる
- 十分なコンバージョンデータが必要:月間30件以上のコンバージョンが目安
- アセット(素材)の品質:高品質な画像、動画、テキストを複数用意
- 検索広告との併用:ブランド指名キーワードなどは検索広告で別途カバー
MEO・SEOとの連携戦略

広告単体ではなく、MEO(Googleビジネスプロフィール対策)やSEOと連携させることで、より大きな効果を得られます。
MEO対策との連携
Googleマップで「不動産」「○○市 不動産会社」などと検索した際に上位表示されることは、地域密着の不動産会社にとって非常に重要です。
- Googleビジネスプロフィールの最適化:営業時間、サービス内容、写真を充実させる
- 口コミの獲得:成約したお客様に口コミ投稿を依頼
- 投稿機能の活用:新着物件情報、キャンペーン情報を定期的に投稿
- ローカル検索広告の併用:MEOで上位表示できない場合、広告でカバー
Googleビジネスプロフィールの設定方法はGoogleビジネスプロフィール(旧マイビジネス)の登録方法、MEO対策についてはMEO対策とは?ホームページとGoogleマップ連携で店舗集客を倍増させる方法をご参照ください。
SEOとの役割分担
広告とSEOは、それぞれ異なる強みを持っています。
- 広告:即効性がある、予算でコントロール可能、特定物件を訴求できる
- SEO:中長期的な効果、継続的な流入、信頼感が高い
不動産売買の場合、「○○市 中古マンション」といった主要キーワードはポータルサイトが上位を独占していることが多く、SEOで上位表示するのは難しい場合があります。そのため、広告でカバーしつつ、地域情報や購入ガイドなどのコンテンツでSEO流入を狙う、という役割分担が効果的です。
詳しくは広告とSEO・MEOの使い分け戦略、リスティング広告とSEOどっちをやるべき?をご参照ください。
季節・タイミング戦略
不動産売買にも、一定の季節変動があります。この特性を踏まえた広告運用が効果的です。
繁忙期と閑散期
繁忙期(1〜3月、9〜10月)
4月の新生活、10月の下期に向けて、購入需要が高まります。この時期は広告を強化し、反響の最大化を図りましょう。
閑散期(6〜8月、12月)
梅雨時期や年末年始は、購入意欲が低下する傾向があります。ただし、競合の広告出稿も減るため、効率的にリードを獲得できる可能性があります。
売主向け広告の季節戦略
売却査定の需要は、購入需要に比べると季節変動が緩やかです。年間を通じて一定の出稿を維持しつつ、以下のタイミングで強化を検討しましょう。
- 年度末(1〜3月):住み替え需要、税務上の理由での売却需要
- 相続関連:特定の季節というより、相続発生後にニーズが発生
- 転勤シーズン(3月、9月):急な転勤による売却需要
買主向け広告の季節戦略
買主向け広告は、季節変動に合わせた予算配分が効果的です。
- 1〜3月:年間予算の30%程度を集中投下
- 9〜10月:年間予算の20%程度
- その他:年間予算の50%を均等に配分
予算配分の考え方については広告予算の配分方法とポートフォリオ戦略をご参照ください。
効果測定と改善
広告運用の成否を分けるのは、効果測定と改善のサイクルです。不動産売買仲介では、以下の指標を重点的に追いましょう。
追うべきKPI
広告プラットフォーム上の指標
- CPA(獲得単価):査定依頼1件、物件問い合わせ1件あたりの広告費
- CVR(コンバージョン率):クリックからコンバージョンへの転換率
- CTR(クリック率):インプレッションからクリックへの転換率
- CPC(クリック単価):1クリックあたりの費用
ビジネス成果との紐付け
- 【売主向け】査定依頼→媒介契約 転換率:査定依頼のうち、何%が媒介契約に至ったか
- 【売主向け】媒介契約→成約 転換率:媒介契約のうち、何%が売却成約に至ったか
- 【買主向け】問い合わせ→内見 転換率:問い合わせのうち、何%が内見に至ったか
- 【買主向け】内見→成約 転換率:内見のうち、何%が成約に至ったか
- 広告経由の仲介手数料:広告費に対して、どれだけの仲介手数料を獲得できたか
広告効果測定の詳細は広告効果測定の基本指標(ROAS・CPA・CTR・CVRなど)をご参照ください。
GA4との連携
Google広告の効果を詳しく分析するためには、Googleアナリティクス4(GA4)との連携が不可欠です。
- 流入経路別の行動分析:広告経由ユーザーと自然検索ユーザーの行動の違い
- コンバージョン経路の分析:複数回訪問して問い合わせに至るケースの把握
- 物件閲覧データの分析:どの物件が多く見られているか
GA4の導入方法はGoogleアナリティクス4(GA4)の導入方法、Google広告との連携はGoogle広告とGA4の連携と分析方法をご参照ください。
PDCAサイクルの回し方
広告運用のPDCAサイクルについては広告運用のPDCAサイクルと改善の進め方で詳しく解説していますが、不動産売買仲介特有のポイントを紹介します。
週次で確認すべきこと
- キャンペーン別のCPA、CVR、CTRの推移
- 予算消化ペース
- 反響数と反響対応状況
月次で確認・改善すべきこと
- キーワード別のパフォーマンス分析
- 広告クリエイティブの更新
- LPの改善施策
- ビジネス成果(媒介契約数、成約数)との紐付け
四半期で確認すべきこと
- 売主向け/買主向けの予算配分の見直し
- チャネルミックス(Google広告、SNS広告、ポータルサイト)の見直し
- 広告経由の仲介手数料に対するROAS分析
広告代理店の活用と自社運用の判断
広告運用を自社で行うか、代理店に委託するかは、会社の状況によって判断が分かれます。
自社運用が向いているケース
- 広告運用に専念できる担当者がいる
- 月間広告費が少額(30万円以下など):代理店手数料の負担が大きくなる
- 地域密着で、地元の市場をよく理解している
- 物件在庫の変動に合わせた細かい調整が必要
代理店委託が向いているケース
- 社内に専門人材がいない
- 月間広告費が一定規模以上(50万円以上など)
- 複数エリアで展開している
- 営業が忙しく、広告運用に手が回らない
詳しくはインハウス運用vs代理店委託、どちらを選ぶべき?、代理店の選び方は広告代理店の選び方と失敗しない付き合い方をご参照ください。
関連業種の広告運用も参考に
不動産売買仲介と関連する業種の広告運用戦略も、参考になる点が多いです。以下の記事も併せてご覧ください。
- 不動産業界の広告運用戦略【物件集客・反響獲得】
- 不動産仲介(賃貸)の広告運用戦略【繁忙期と閑散期の対策】
- 注文住宅・ハウスメーカーの広告運用戦略【資料請求と来場予約】
- リフォーム・リノベーション会社の広告運用戦略
- 地域ビジネス・店舗のWeb広告活用法【MEOとの連携戦略】
また、不動産業のホームページ制作については不動産業のホームページ制作|物件検索機能は必要?反響を獲得するサイト構成も参考になります。
まとめ——売主向けと買主向け、両輪で物件反響を最大化する

この記事では、不動産売買仲介向けの広告運用戦略を、「売主向け(査定依頼獲得)」と「買主向け(物件問い合わせ獲得)」の両面から解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
1. 業界特性を理解する
高額商材のため検討期間が長い。売主と買主という2つの異なるターゲットが存在。信頼性が極めて重要。ポータルサイトとの差別化が必要。
2. コンバージョン設計を分ける
売主向けは「査定依頼」をメインCVに。買主向けは「物件問い合わせ」をメインCVに。それぞれ別のキャンペーン、LPで運用。
3. 売主向け広告のポイント
売却・査定キーワード、相場キーワードを押さえる。「無料査定」「実績」「信頼性」を訴求。査定依頼に特化したLPを用意。
4. 買主向け広告のポイント
エリア×物件タイプ、条件キーワードを網羅。物件の魅力と選択肢の豊富さを訴求。リマーケティングで長期検討者にアプローチ。
5. LP最適化
売主向けLPは査定依頼に特化。買主向けは物件一覧・詳細ページの最適化。問い合わせ導線を目立たせる。
6. MEO・SEOとの連携
Googleビジネスプロフィールを最適化し、地域での存在感を高める。広告とSEOの役割分担を明確に。
7. 効果測定と改善
CPAだけでなく、最終的な成約・仲介手数料まで追跡。売主向け・買主向けそれぞれで転換率を分析。PDCAサイクルを継続的に回す。
不動産売買仲介の広告運用は、高額商材ならではの難しさがありますが、正しい戦略と継続的な改善によって、確実に成果を積み上げていくことができます。売主向けと買主向け、両方の広告を適切に運用し、物件反響の最大化を目指しましょう。
まずは自社の現状を分析し、売主向け・買主向けそれぞれの戦略を立ててみてください。この記事が、皆さまの広告運用の一助となれば幸いです。
Web広告全般の基礎知識については、Web広告とは?種類と特徴を徹底比較【初心者向け完全ガイド】やWeb広告の費用相場と予算の決め方も参考になります。