「サイトを訪問してくれたのに、購入せずに離脱してしまった」「商品をカートに入れたまま、そのままサイトを離れてしまった」——このような経験をお持ちのWeb担当者は多いのではないでしょうか。
実は、Webサイトを訪問したユーザーの9割以上は、購入や問い合わせなどのコンバージョンに至らずに離脱すると言われています。しかし、一度サイトを訪問してくれたユーザーは、まったくの新規ユーザーよりも自社の商品・サービスに興味を持っている可能性が高いのです。
そこで効果を発揮するのが「リマーケティング広告」です。リマーケティング広告を活用すれば、一度サイトを離脱したユーザーに対して再度アプローチし、購買意欲を高めてコンバージョンへと導くことができます。
この記事では、Google広告におけるリマーケティング広告の基本から設定方法、効果的な活用テクニックまで、実践的な内容を網羅的に解説します。「リマーケティング広告を始めたいが設定方法がわからない」「すでに運用しているが成果が出ない」という方は、ぜひ最後までお読みください。
リマーケティング広告とは?基本的な仕組みを理解しよう

リマーケティング広告について詳しく見ていく前に、まずはその基本的な仕組みと特徴を理解しておきましょう。
リマーケティング広告の定義と仕組み
リマーケティング広告とは、過去に自社のWebサイトやアプリを訪問したことがあるユーザーに対して、再度広告を表示する手法のことです。一度サイトを訪れたユーザーを「追跡」し、そのユーザーが他のWebサイトやアプリを閲覧している際に広告を表示することで、再度サイトへの訪問を促します。
例えば、ECサイトで商品を見たけれど購入しなかったユーザーが、後日ニュースサイトを閲覧しているときに「先日ご覧になった商品はこちら」という広告が表示される——これがリマーケティング広告の典型的な例です。
リマーケティング広告の仕組みは、「Cookie」と「タグ」を利用しています。Cookieとは、ユーザーがWebサイトを訪問した際にブラウザに保存される小さなデータファイルです。広告主のサイトに設置されたタグ(リマーケティングタグ)がCookieを発行し、そのCookieを持つユーザーに対して広告を配信する仕組みになっています。
リターゲティング広告との違い
「リマーケティング」と「リターゲティング」という言葉を目にすることがあると思いますが、基本的には同じ概念を指しています。
「リマーケティング」はGoogle広告で使用される用語、「リターゲティング」はYahoo!広告やMeta広告(Facebook・Instagram広告)などで使用される用語です。つまり、プラットフォームによって呼び方が異なるだけで、仕組み自体はほぼ同じです。
この記事では、Google広告を中心に解説するため「リマーケティング」という用語を使用しますが、他のプラットフォームでも基本的な考え方は共通しています。
リマーケティング広告が効果的な理由
リマーケティング広告が効果的である理由は、「購買意欲の高いユーザー」にアプローチできる点にあります。
一般的に、Webサイトを初めて訪れたユーザーがすぐに購入や問い合わせに至る確率は低いものです。多くのユーザーは、複数のサイトを比較検討したり、購入を先送りにしたりします。しかし、一度サイトを訪問したということは、少なからず商品やサービスに興味を持っていた証拠です。
リマーケティング広告は、このような「興味はあるが、まだ購入に至っていない」見込み客に対して、適切なタイミングで再度アプローチすることができます。心理学では「単純接触効果(ザイアンス効果)」と呼ばれる現象があり、同じものに繰り返し接触することで好感度が高まるとされています。リマーケティング広告は、この効果を活用して購買意欲を高めることができるのです。
Web広告全般の基礎知識については、Web広告とは?種類と特徴を徹底比較で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
リマーケティング広告のメリットとデメリット

リマーケティング広告の導入を検討する際には、メリットだけでなくデメリットも理解しておくことが重要です。
リマーケティング広告の5つのメリット
リマーケティング広告には、他の広告手法にはない大きなメリットがあります。
メリット1:コンバージョン率が高い
リマーケティング広告の最大のメリットは、コンバージョン率(CVR)が高いことです。すでに自社のサイトを訪問した経験があるユーザーをターゲットにするため、まったく接点のないユーザーに広告を出す場合と比べて、購入や問い合わせにつながる確率が高くなります。
一般的な新規ユーザー向けの広告と比較すると、リマーケティング広告のコンバージョン率は1.5〜2倍程度高くなるケースも珍しくありません。
メリット2:費用対効果(CPA・ROAS)が良い
コンバージョン率が高いということは、1件のコンバージョンを獲得するためのコスト(CPA:顧客獲得単価)を抑えられることを意味します。見込み度の高いユーザーに絞って広告を配信するため、無駄な広告費を削減できるのです。
リマーケティング広告のCPAは、通常のディスプレイ広告と比較して30〜50%程度削減できるケースもあります。また、ROAS(広告費用対効果)も向上しやすく、限られた予算で最大限の成果を上げたい場合に特に効果的です。
広告効果の指標については、広告効果測定の基本指標(ROAS・CPA・CTR・CVRなど)を徹底解説で詳しく解説しています。
メリット3:見込み客への再アプローチが可能
リマーケティング広告は、一度は興味を持ちながらも離脱してしまったユーザーに再度アプローチできる唯一の広告手法です。Web広告の中で「追客機能」を持つのはリマーケティング広告だけと言えます。
特に、高額商品や検討期間が長い商材では、ユーザーが複数回サイトを訪問してから購入を決めることが一般的です。リマーケティング広告を活用することで、検討期間中も自社の存在を思い出してもらい、最終的な購入につなげることができます。
メリット4:ブランド認知度の向上
リマーケティング広告は、コンバージョン獲得だけでなく、ブランド認知度の向上にも効果があります。ユーザーが他のサイトを閲覧している際に自社の広告が表示されることで、ブランドの印象を強化し、選択肢の一つとして記憶に留めてもらうことができます。
これは特に、競合他社が多い業界や、比較検討されやすい商材において重要な効果です。
メリット5:セグメント別の配信が可能
リマーケティング広告では、ユーザーの行動に基づいて細かくセグメント(グループ分け)を行い、それぞれに最適な広告を配信することができます。
例えば、「商品ページを閲覧したユーザー」「カートに商品を入れたが購入しなかったユーザー」「過去に購入したことがあるユーザー」など、ユーザーの行動段階に応じて異なるメッセージを届けることが可能です。このようなパーソナライズされた広告配信により、効果をさらに高めることができます。
リマーケティング広告の3つのデメリット
リマーケティング広告にはメリットだけでなく、注意すべきデメリットもあります。
デメリット1:ユーザーに不快感を与える可能性
リマーケティング広告は、ユーザーを「追跡」して広告を表示する仕組みのため、表示頻度が高すぎると「付きまとわれている」という不快感を与えてしまう可能性があります。
特に同じ広告が何度も繰り返し表示されると、ユーザーは「しつこい」と感じ、ブランドに対してネガティブな印象を持ってしまうこともあります。広告の表示回数(フリークエンシー)を適切に設定することが重要です。
デメリット2:新規顧客の獲得には向かない
リマーケティング広告は、すでにサイトを訪問したことがあるユーザーにのみ配信されるため、まったく新しい顧客を獲得する目的には適していません。リマーケティング広告だけに頼っていると、アプローチできるユーザーの数が限られ、成果が頭打ちになってしまいます。
そのため、新規ユーザー獲得のための施策(検索広告、ディスプレイ広告、SNS広告など)と組み合わせて運用することが重要です。
デメリット3:一定のサイト訪問者数が必要
リマーケティング広告を効果的に配信するためには、一定数以上のサイト訪問者が必要です。Google広告のディスプレイ広告では、過去30日間で100人以上のアクティブユーザーがリストに含まれている必要があります(検索広告向けリマーケティングでは1,000人以上)。
サイトの訪問者数が少ない場合は、まず集客施策に取り組み、リマーケティングリストを蓄積することから始める必要があります。
リマーケティング広告の種類
Google広告で利用できるリマーケティング広告には、いくつかの種類があります。目的や商材に応じて、最適な種類を選択しましょう。
標準リマーケティング
標準リマーケティングは、最も基本的なリマーケティング広告です。過去にWebサイトを訪問したユーザーが、Googleディスプレイネットワーク(GDN)に属するWebサイトやアプリを閲覧している際に、バナー広告やテキスト広告を表示します。
設定がシンプルで導入しやすいため、リマーケティング広告を初めて運用する場合は、まず標準リマーケティングから始めることをおすすめします。
ディスプレイ広告の基本については、ディスプレイ広告(GDN)の設定と運用方法で詳しく解説しています。
動的リマーケティング
動的リマーケティングは、ユーザーが過去に閲覧した商品やサービスの情報を自動的に広告に反映させる手法です。ECサイトや不動産、旅行など、取り扱う商品・サービスが多い業種で特に効果を発揮します。
例えば、ユーザーがECサイトで特定の商品を閲覧した場合、その商品の画像・名前・価格を含んだ広告が自動的に生成され、表示されます。ユーザーごとにパーソナライズされた広告を配信できるため、クリック率やコンバージョン率の向上が期待できます。
動的リマーケティングを利用するには、商品データフィードの作成やタグの追加設定が必要です。標準リマーケティングよりも設定が複雑ですが、その分、高い効果が期待できます。
検索広告向けリマーケティング(RLSA)
検索広告向けリマーケティング(RLSA:Remarketing Lists for Search Ads)は、過去にサイトを訪問したユーザーが検索エンジンで検索を行った際に、検索広告を表示する手法です。
通常の検索広告では、キーワードに基づいてすべてのユーザーに広告が表示されますが、RLSAを使用すると、サイト訪問経験のあるユーザーにのみ広告を表示したり、そのユーザーに対して入札単価を引き上げたりすることができます。
検索行動を行っているユーザーは、積極的に情報を探している状態であり、購買意欲が高い傾向があります。そのため、RLSAは高いコンバージョン率が期待できる手法です。
検索広告の詳細については、検索広告(リスティング広告)の設定と運用方法をご参照ください。
動画リマーケティング
動画リマーケティングは、YouTubeの動画や広告を視聴したユーザー、またはYouTubeチャンネルに登録したユーザーに対して、広告を配信する手法です。
動画を視聴したユーザーは、自社のブランドや商品についてある程度の理解を持っていることが多いため、その後のディスプレイ広告や検索広告で再度アプローチすることで、コンバージョンにつなげやすくなります。
顧客リストを使ったリマーケティング(カスタマーマッチ)
カスタマーマッチは、自社が保有する顧客データ(メールアドレスや電話番号など)をGoogle広告にアップロードし、その顧客に広告を配信する手法です。
Webサイトの訪問履歴だけでなく、実際に購入経験のある顧客や、メルマガに登録している顧客など、より確度の高いユーザーにアプローチできます。リピート購入の促進や、休眠顧客の掘り起こしに効果的です。
アプリリマーケティング
アプリリマーケティングは、自社のモバイルアプリを利用したことがあるユーザーに対して広告を配信する手法です。アプリをインストールしたが最近使っていないユーザーや、特定の行動(カート追加など)を行ったユーザーにアプローチできます。
リマーケティング広告の設定方法【ステップバイステップ】

ここからは、Google広告でリマーケティング広告を設定する具体的な手順を解説します。大きく分けて「タグの設置」「リストの作成」「キャンペーンへの紐づけ」の3つのステップがあります。
ステップ1:Googleタグ(リマーケティングタグ)の設置
リマーケティング広告を配信するためには、まずWebサイトにGoogleタグを設置する必要があります。このタグがサイト訪問者のデータを収集し、リマーケティングリストを構築します。
タグの発行手順
まず、Google広告の管理画面にログインします。左側のメニューから「ツール」をクリックし、「共有ライブラリ」から「オーディエンスマネージャー」を選択します。
オーディエンスマネージャーの画面が開いたら、「データソース」タブを選択します。「Google広告タグ」のカードが表示されるので、「タグを設定」をクリックします。すでにタグが設定されている場合は、縦三点アイコンから「ソースを編集」を選択します。
リマーケティングの設定画面で、「ウェブサイトへのアクセスに関する一般的なデータのみを収集して、お客様のウェブサイトの訪問者に広告を表示します」を選択し、「保存して次へ」をクリックします。
タグの設置方法
タグの設置方法は、主に3つの選択肢があります。
「タグを自分で追加する」を選択すると、HTMLコードが表示されます。このコードをコピーし、Webサイトのすべてのページの<head>タグ内に貼り付けます。WordPressなどのCMSを使用している場合は、テーマのヘッダーファイルに追加するか、プラグインを使用して設置することができます。
「Googleタグマネージャーを使用する」を選択すると、Googleタグマネージャー経由での設置が可能です。すでにタグマネージャーを使用している場合は、この方法が最も管理しやすいでしょう。コンバージョンIDをメモしておき、タグマネージャーで「Google広告のリマーケティング」タグを追加します。
「ウェブ開発者にタグをメールで送信する」を選択すると、タグの設置を担当者にメールで依頼できます。
タグの設置後、正しく動作しているかを確認することが重要です。Google Chromeの拡張機能「Google Tag Assistant」を使用すると、タグが正しく設置されているかを確認できます。
ステップ2:リマーケティングリスト(オーディエンスセグメント)の作成
タグの設置が完了したら、次にリマーケティングリスト(オーディエンスセグメント)を作成します。リストとは、広告を配信する対象となるユーザーのグループのことです。
リストの作成手順
Google広告の管理画面で、「ツール」から「オーディエンスマネージャー」を開きます。「データセグメント」タブを選択し、「+」ボタンをクリックして「ウェブサイトを訪れたユーザー」を選択します。
オーディエンスセグメントの作成画面が表示されます。以下の項目を設定していきます。
「セグメント名」には、リストを識別するための名前を入力します。例えば「サイト訪問者_全ページ」「商品ページ閲覧者」「カート放棄者」など、後から見てわかりやすい名前をつけましょう。
「セグメントのメンバー」では、どのようなユーザーをリストに含めるかを指定します。「ウェブページを訪問したユーザー」を選択するのが一般的です。
「訪問したページ」では、対象となるページのURLを指定します。すべてのページを対象にする場合は、ドメイン全体を指定します。特定のページのみを対象にする場合は、そのページのURLを入力します。「URLに含まれる文字列」や「URLと一致する」などの条件を設定できます。
「有効期間」では、ユーザーがリストに含まれる期間を設定します。デフォルトは30日ですが、商材の検討期間に応じて調整しましょう。最大540日まで設定可能です。
設定が完了したら、「セグメントを作成」をクリックします。
効果的なリストの作成例
リマーケティングの効果を高めるためには、目的に応じた複数のリストを作成することが重要です。以下に代表的なリストの例を紹介します。
「サイト訪問者(全体)」は、サイトを訪問したすべてのユーザーを対象にしたリストです。最も基本的なリストで、サイト全体へのリマーケティングに使用します。
「商品ページ閲覧者」は、特定の商品カテゴリや商品ページを閲覧したユーザーのリストです。その商品に関連する広告を配信することで、より高い効果が期待できます。
「カート放棄者」は、商品をカートに入れたが購入しなかったユーザーのリストです。購入意欲が高いユーザーなので、クーポンや送料無料などの特典を訴求する広告が効果的です。
「コンバージョン済みユーザー」は、すでに購入や問い合わせを完了したユーザーのリストです。このリストを除外設定することで、同じユーザーに重複して広告を配信することを防げます。また、リピート購入を促す広告を配信する対象としても活用できます。
「高エンゲージメントユーザー」は、サイトに長時間滞在したり、複数ページを閲覧したりしたユーザーのリストです。興味関心が高いと推測されるため、優先的にアプローチする価値があります。
ステップ3:キャンペーンの作成とリストの紐づけ
リストの作成が完了したら、いよいよキャンペーンを作成し、リマーケティングリストを紐づけます。
キャンペーンの作成手順
Google広告の管理画面で、「キャンペーン」タブを選択し、「+」ボタンから「新しいキャンペーン」をクリックします。
キャンペーンの目標を選択します。リマーケティング広告の場合、「販売促進」「見込み顧客の獲得」「ウェブサイトのトラフィック」などが一般的です。
キャンペーンタイプを選択します。標準リマーケティングの場合は「ディスプレイ」を、検索広告向けリマーケティング(RLSA)の場合は「検索」を選択します。
キャンペーン名、地域、言語、予算、入札戦略などを設定します。入札戦略については、Google広告の入札戦略の種類と選び方で詳しく解説しています。
オーディエンスの設定
広告グループの設定画面で、オーディエンスセグメントを追加します。「オーディエンス」セクションで「オーディエンスセグメントの追加」をクリックします。
「閲覧」タブを選択し、「広告主様のデータ」を展開します。先ほど作成したリマーケティングリストが表示されるので、使用したいリストにチェックを入れます。
ターゲティング方法として「ターゲティング」を選択します。これにより、選択したリストに含まれるユーザーにのみ広告が配信されます。「モニタリング」を選択した場合は、リストのユーザーに限定せず、パフォーマンスを観察するだけになります。
広告の作成
最後に、広告クリエイティブを作成します。ディスプレイ広告の場合は、レスポンシブディスプレイ広告を使用することをおすすめします。複数の見出し、説明文、画像を登録しておくと、Googleのシステムが最適な組み合わせを自動的に選択して表示します。
広告文の作成については、Google広告の広告文の書き方とABテスト実践方法を参考にしてください。
リマーケティング広告を成功させるための7つのポイント

リマーケティング広告の設定が完了したら、次は効果を最大化するための運用テクニックを身につけましょう。
ポイント1:フリークエンシーキャップを設定する
フリークエンシーキャップとは、同じユーザーに対して広告を表示する回数の上限を設定する機能です。
前述の通り、広告を何度も繰り返し表示すると、ユーザーに不快感を与えてしまう可能性があります。フリークエンシーキャップを設定することで、「1日あたり3回まで」「1週間あたり10回まで」などの上限を設けることができます。
適切なフリークエンシーの目安は、商材や業界によって異なりますが、一般的には1日あたり3〜5回、1週間あたり15〜20回程度が目安とされています。パフォーマンスデータを確認しながら、最適な設定を見つけていきましょう。
ポイント2:リストの有効期間を商材に合わせて調整する
リマーケティングリストの有効期間は、ユーザーがリストに含まれる期間を決める設定です。この期間は、商材の検討期間に合わせて設定することが重要です。
例えば、日用品や消耗品など、検討期間が短い商材の場合は、有効期間を7〜14日程度に設定します。サイト訪問から時間が経ちすぎると、ユーザーの興味が薄れている可能性が高いためです。
一方、高額商品や不動産、BtoBサービスなど、検討期間が長い商材の場合は、有効期間を30〜90日、場合によっては180日以上に設定することも検討しましょう。
ポイント3:セグメント別に広告を出し分ける
リマーケティングの効果を高めるためには、ユーザーの行動段階に応じて広告を出し分けることが重要です。
例えば、商品ページを閲覧しただけのユーザーには、商品の特徴やメリットを訴求する広告を配信します。カートに商品を入れたが購入しなかったユーザーには、「お買い忘れはありませんか?」といったリマインドメッセージや、送料無料・割引クーポンなどの特典を訴求する広告が効果的です。
過去に購入経験のあるユーザーには、新商品の案内やリピート購入を促す広告を配信することで、LTV(顧客生涯価値)の向上につなげることができます。
ポイント4:コンバージョン済みユーザーを除外する
すでにコンバージョンを完了したユーザーに対して、同じ広告を配信し続けるのは無駄な広告費になります。コンバージョン済みユーザーのリストを作成し、除外設定を行いましょう。
ただし、リピート購入を促したい場合や、アップセル・クロスセルを狙う場合は、コンバージョン済みユーザーに別の広告を配信することも有効です。その場合は、購入からの経過日数に応じてリストを分け、適切なタイミングで再度アプローチします。
ポイント5:離脱からの日数でリストを分ける
サイト訪問からの経過日数によって、ユーザーの購買意欲は変化します。一般的に、訪問直後のユーザーほど購買意欲が高く、時間が経つにつれて低下していきます。
そこで、「訪問から1〜3日」「4〜7日」「8〜14日」「15〜30日」など、経過日数ごとにリストを分けて管理することをおすすめします。訪問直後のユーザーには積極的に入札し、時間が経過したユーザーには入札を抑えるといった調整が可能になります。
ポイント6:ランディングページとの一貫性を保つ
リマーケティング広告をクリックしたユーザーが遷移するランディングページは、広告の内容と一貫性を持たせることが重要です。
例えば、特定の商品の広告をクリックしたユーザーは、その商品のページに遷移することを期待しています。トップページに遷移させてしまうと、ユーザーは目的の商品を再度探す必要があり、離脱の原因になります。
広告とランディングページの関連性は、品質スコアにも影響します。品質スコアについては、品質スコアの仕組みと改善方法で詳しく解説しています。
ポイント7:定期的にリストを見直し、最適化する
リマーケティング広告は、一度設定したら終わりではありません。定期的にパフォーマンスを確認し、リストの設定や広告クリエイティブを最適化していくことが重要です。
特に、以下のような観点で見直しを行いましょう。
リストのサイズは適切か、リストごとのコンバージョン率に差はあるか、フリークエンシーは適切か、広告のクリック率は低下していないか、などを定期的にチェックします。
広告運用のPDCAサイクルについては、広告運用のPDCAサイクルと改善の進め方をご参照ください。
業種別:リマーケティング広告の活用事例
リマーケティング広告は、業種によって最適な活用方法が異なります。ここでは、代表的な業種別の活用事例を紹介します。
ECサイト(通販)の場合
ECサイトは、リマーケティング広告と最も相性が良い業種の一つです。多くの商品を扱うECサイトでは、動的リマーケティングの活用が特に効果的です。
ユーザーが閲覧した商品を自動的に広告に表示することで、パーソナライズされた広告配信が可能になります。「あなたが見ていた商品」「おすすめの関連商品」といった形で訴求することで、高いクリック率とコンバージョン率が期待できます。
また、カート放棄者へのアプローチは、ECサイトにおけるリマーケティングの定番施策です。「カートに商品が残っています」「今なら送料無料」といったメッセージで、購入を後押しします。
BtoBサービスの場合
BtoBサービスは、検討期間が長く、意思決定に複数の関係者が関わることが多いため、リマーケティング広告との相性が良い業種です。
資料請求ページを閲覧したが申し込まなかったユーザー、価格ページを閲覧したユーザーなど、興味関心の高いユーザーをセグメント化し、それぞれに適した広告を配信します。
また、検索広告向けリマーケティング(RLSA)も効果的です。一度サイトを訪問したユーザーが再度検索を行った際に、自社の広告を優先的に表示させることで、競合他社への流出を防ぐことができます。
不動産の場合
不動産は、検討期間が非常に長い業種です。物件を検索し始めてから実際に契約するまで、数か月から1年以上かかることも珍しくありません。
そのため、リマーケティングリストの有効期間は長めに設定し(90〜180日程度)、長期間にわたってユーザーとの接点を維持することが重要です。
動的リマーケティングを活用して、ユーザーが閲覧した物件情報を広告に表示することも効果的です。また、「新着物件情報」「価格改定情報」など、タイムリーな情報を訴求することで、再訪問を促すことができます。
旅行・ホテルの場合
旅行やホテル予約は、比較検討が活発に行われる業種です。ユーザーは複数のサイトを見比べながら、最適なプランを探します。
リマーケティング広告を活用することで、比較検討中のユーザーに自社の存在を思い出してもらい、予約につなげることができます。「ご検討中のホテルが残りわずかです」「期間限定割引」といった緊急性や特典を訴求するメッセージが効果的です。
美容・健康の場合
エステ、美容クリニック、フィットネスジムなど、美容・健康関連のサービスでは、お試し体験や無料カウンセリングを入り口としてコンバージョンを獲得することが一般的です。
サイトを訪問したが予約に至らなかったユーザーに対して、「初回限定特典」「今だけキャンペーン」といった訴求でリマーケティング広告を配信することで、予約のハードルを下げることができます。
プライバシー保護とCookie規制への対応
リマーケティング広告は、Cookieを利用してユーザーを追跡する仕組みのため、近年のプライバシー保護強化の影響を受けています。ここでは、Cookie規制への対応について解説します。
サードパーティCookieの規制状況
リマーケティング広告で使用されるCookieは、「サードパーティCookie」と呼ばれるものです。サードパーティCookieは、ユーザーが訪問しているサイトとは異なるドメイン(広告ネットワークなど)が発行するCookieのことで、サイト横断的にユーザーを追跡することができます。
しかし、プライバシー保護の観点から、サードパーティCookieの利用を制限する動きが強まっています。AppleのSafariブラウザはすでにサードパーティCookieをブロックしており、Google ChromeもサードパーティCookieの段階的な廃止を進めています(ただし、廃止の時期は何度か延期されています)。
ファーストパーティデータの重要性
サードパーティCookieの規制が進む中で、重要性が高まっているのが「ファーストパーティデータ」です。ファーストパーティデータとは、自社が直接収集した顧客データ(メールアドレス、購買履歴、サイト内の行動データなど)のことです。
ファーストパーティデータを活用したリマーケティング手法としては、以下のようなものがあります。
「カスタマーマッチ」は、自社が保有する顧客のメールアドレスや電話番号をGoogle広告にアップロードし、その顧客に広告を配信する方法です。サードパーティCookieに依存しないため、今後も有効な手法として期待されています。
「拡張コンバージョン」は、コンバージョン時にユーザーのファーストパーティデータ(メールアドレスなど)をハッシュ化してGoogleに送信することで、コンバージョン計測の精度を向上させる機能です。
プライバシーに配慮した運用のポイント
リマーケティング広告を運用する際には、プライバシーへの配慮も重要です。
まず、サイトにプライバシーポリシーを掲載し、Cookieの使用やリマーケティング広告の配信について明示しましょう。ユーザーがオプトアウト(広告配信の拒否)できる方法についても案内することが望ましいです。
また、フリークエンシーキャップを適切に設定し、過度な広告表示を避けることで、ユーザーの不快感を軽減することができます。
他の広告施策との連携
リマーケティング広告は、他の広告施策と組み合わせることで、より大きな効果を発揮します。
検索広告との連携
リマーケティング広告と検索広告を連携させることで、ユーザーの購買ファネル全体をカバーすることができます。
検索広告でサイトに流入したユーザーが、すぐにコンバージョンしない場合でも、リマーケティング広告で再度アプローチすることで、最終的な購入につなげることができます。
また、検索広告向けリマーケティング(RLSA)を活用することで、サイト訪問経験のあるユーザーに対して、検索広告の入札を強化することもできます。
SNS広告との連携
Google広告のリマーケティングだけでなく、FacebookやInstagram、LINEなどのSNS広告でもリターゲティングを行うことで、より多くのタッチポイントでユーザーにアプローチできます。
ユーザーは様々なプラットフォームを行き来しているため、複数のチャネルで一貫したメッセージを届けることで、ブランドの印象を強化し、コンバージョンの機会を増やすことができます。
SEO・MEOとの連携
SEO(検索エンジン最適化)やMEO(Googleビジネスプロフィール最適化)で獲得したサイト訪問者に対して、リマーケティング広告を配信することも効果的です。
オーガニック検索からサイトを訪問したユーザーは、広告経由のユーザーと同様に、リマーケティングリストに追加されます。SEOで集客したユーザーにリマーケティング広告でフォローアップすることで、広告費を抑えながらコンバージョンを獲得できます。
広告とSEO・MEOの使い分けについては、広告とSEO・MEOの使い分け戦略で詳しく解説しています。
GA4との連携
Googleアナリティクス4(GA4)とGoogle広告を連携させることで、より詳細なオーディエンスセグメントを作成し、リマーケティングに活用することができます。
GA4では、サイト内の詳細な行動データ(滞在時間、ページ遷移、スクロール深度など)を計測できるため、これらのデータに基づいた高度なセグメント作成が可能です。例えば、「商品ページに3分以上滞在したユーザー」「5ページ以上閲覧したユーザー」など、エンゲージメントの高いユーザーを抽出してリマーケティングの対象にすることができます。
GA4との連携方法については、Google広告とGA4の連携と分析方法をご参照ください。
リマーケティング広告の効果測定と改善
リマーケティング広告の効果を最大化するためには、適切な効果測定と継続的な改善が欠かせません。
確認すべき主要指標
リマーケティング広告のパフォーマンスを評価する際に確認すべき主要な指標を紹介します。
「コンバージョン数」は、リマーケティング広告経由で獲得したコンバージョンの数です。リスト別、広告別にコンバージョン数を確認し、効果の高いセグメントを特定します。
「コンバージョン率(CVR)」は、クリック数に対するコンバージョンの割合です。リマーケティング広告は、通常のディスプレイ広告よりも高いCVRが期待できます。
「コンバージョン単価(CPA)」は、1コンバージョンあたりの獲得コストです。リスト別にCPAを比較し、費用対効果の高いセグメントに予算を集中させます。
「クリック率(CTR)」は、インプレッション数に対するクリック数の割合です。CTRが低い場合は、広告クリエイティブの見直しが必要かもしれません。
「フリークエンシー」は、同じユーザーに対して広告が表示された平均回数です。フリークエンシーが高すぎると、ユーザーの疲弊や広告効果の低下につながる可能性があります。
「ビュースルーコンバージョン」は、広告をクリックしなかったが、広告を見た後に別の経路でコンバージョンしたユーザーの数です。リマーケティング広告は、クリックだけでなく、ブランド想起の効果もあるため、ビュースルーコンバージョンも重要な指標です。
リスト別の分析
複数のリマーケティングリストを運用している場合は、リスト別にパフォーマンスを分析することが重要です。
例えば、「サイト訪問者(全体)」と「カート放棄者」のリストを比較した場合、通常は「カート放棄者」の方がコンバージョン率が高くなります。このようなリスト間の差を分析し、効果の高いリストに予算を重点配分することで、全体の効率を向上させることができます。
また、リストのサイズ(ユーザー数)も確認しましょう。リストのサイズが小さすぎると、十分な配信量を確保できず、効果的な運用が難しくなります。
広告クリエイティブの改善
リマーケティング広告の効果を高めるためには、広告クリエイティブの継続的な改善も重要です。
定期的に新しい広告バリエーションを追加し、ABテストを行いましょう。見出し、説明文、画像などの要素を変えて、どのクリエイティブが最も効果的かを検証します。
また、同じ広告を長期間表示し続けると、ユーザーが広告に慣れてしまい、クリック率が低下する「広告疲れ(Ad Fatigue)」が発生することがあります。定期的にクリエイティブを更新することで、広告の新鮮さを保ちましょう。
アトリビューション分析
リマーケティング広告の効果を正しく評価するためには、アトリビューション分析も重要です。
多くのユーザーは、複数のタッチポイントを経由してコンバージョンに至ります。例えば、検索広告→サイト訪問→リマーケティング広告→コンバージョンという経路の場合、コンバージョンはどの広告に帰属させるべきでしょうか。
デフォルトの「ラストクリック」アトリビューションでは、最後にクリックされたリマーケティング広告にコンバージョンが帰属しますが、これでは検索広告の貢献が見えにくくなります。アトリビューションモデルを変更することで、各タッチポイントの貢献を適切に評価できます。
アトリビューション分析については、アトリビューション分析とは?広告効果を正しく評価する方法で詳しく解説しています。
よくある質問と回答

リマーケティング広告に関して、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q1: リマーケティング広告を始めるのに必要なサイト訪問者数はどのくらいですか?
Google広告のディスプレイ広告でリマーケティングを行うには、過去30日間で100人以上のアクティブユーザーがリストに含まれている必要があります。検索広告向けリマーケティング(RLSA)の場合は、1,000人以上のアクティブユーザーが必要です。
サイト訪問者数が少ない場合は、まずSEOや他の広告施策でサイトへの流入を増やし、リストを蓄積することから始めましょう。
Q2: リマーケティング広告の予算はどのくらい必要ですか?
リマーケティング広告の予算は、リストのサイズや目標によって異なります。一般的には、月額数万円から始められますが、十分な効果を得るためには、リストのサイズに応じた予算設定が必要です。
まずは小規模な予算でテストを行い、効果を確認してから予算を増やしていくアプローチをおすすめします。広告予算の考え方については、Web広告の費用相場と予算の決め方をご参照ください。
Q3: リマーケティング広告は何日間配信するのが効果的ですか?
リマーケティングリストの有効期間は、商材の検討期間に合わせて設定します。
日用品や消耗品など、検討期間が短い商材の場合は7〜14日程度、高額商品やBtoBサービスなど、検討期間が長い商材の場合は30〜90日程度が目安です。最大540日まで設定可能ですが、長すぎると効果が薄れる可能性があります。
Q4: 同じユーザーに何回まで広告を表示すべきですか?
フリークエンシー(広告表示回数)の最適値は、商材や業界によって異なりますが、一般的には1日あたり3〜5回、1週間あたり15〜20回程度が目安です。
フリークエンシーが高すぎると、ユーザーに不快感を与え、ブランドイメージを損なう可能性があります。パフォーマンスデータを確認しながら、最適な設定を見つけましょう。
Q5: コンバージョン済みのユーザーにも広告を表示すべきですか?
基本的には、コンバージョン済みのユーザーは除外設定することをおすすめします。同じ商品・サービスの広告を継続して表示するのは、無駄な広告費になるためです。
ただし、リピート購入を促したい場合や、別の商品をクロスセルしたい場合は、コンバージョン済みユーザー向けに別の広告を配信することも有効です。
Q6: リマーケティング広告とディスプレイ広告の違いは何ですか?
ディスプレイ広告は、興味関心やデモグラフィック(年齢、性別など)に基づいてターゲティングを行う広告です。一方、リマーケティング広告は、過去にサイトを訪問したユーザーに限定して配信する広告です。
リマーケティング広告はディスプレイ広告の一種ですが、ターゲティングの方法が異なります。リマーケティング広告は、すでに自社と接点のあるユーザーにアプローチするため、コンバージョン率が高い傾向があります。
Q7: Cookieの規制でリマーケティング広告は使えなくなりますか?
サードパーティCookieの規制は進んでいますが、リマーケティング広告がすぐに使えなくなるわけではありません。
Googleは、プライバシーサンドボックスなど、Cookie代替技術の開発を進めています。また、ファーストパーティデータを活用したカスタマーマッチや、拡張コンバージョンなど、Cookieに依存しない手法も利用可能です。
今後のために、ファーストパーティデータの収集・活用体制を整えておくことが重要です。
まとめ
この記事では、リマーケティング広告の基本から設定方法、効果的な活用テクニックまで詳しく解説しました。
リマーケティング広告は、一度サイトを訪問しながらもコンバージョンに至らなかったユーザーに再度アプローチできる、非常に効果的な広告手法です。すでに自社に興味を持っているユーザーをターゲットにするため、高いコンバージョン率と費用対効果が期待できます。
リマーケティング広告を成功させるためのポイントをまとめると、以下のようになります。
まず、Googleタグを正しく設置し、リマーケティングリストを適切に作成することが基本です。リストは目的や商材に応じて複数作成し、セグメント別に広告を出し分けることで効果を高めることができます。
フリークエンシーキャップを設定して過度な広告表示を避け、ユーザーに不快感を与えないよう配慮することも重要です。また、リストの有効期間は商材の検討期間に合わせて調整しましょう。
コンバージョン済みユーザーの除外設定や、離脱からの日数によるリストの分割など、細かな最適化を行うことで、さらに効果を向上させることができます。
リマーケティング広告は、他の広告施策と組み合わせることで、より大きな効果を発揮します。検索広告で獲得したユーザーをリマーケティングでフォローアップしたり、SEOで集客したユーザーにリマーケティング広告を配信したりと、施策間の連携を意識しましょう。
最後に、定期的な効果測定と改善を怠らないことが重要です。リスト別のパフォーマンス分析、広告クリエイティブのABテスト、アトリビューション分析などを通じて、継続的に最適化を行っていきましょう。
リマーケティング広告を効果的に活用して、離脱ユーザーを呼び戻し、コンバージョンの最大化を目指してください。
Google広告全般についてはGoogle広告とは?仕組みと始め方完全ガイドで、アカウント構成についてはGoogle広告アカウント構成の設計方法で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
リマーケティング広告の応用テクニック
基本的な設定と運用ができるようになったら、さらに効果を高めるための応用テクニックを取り入れてみましょう。
類似オーディエンスの活用
類似オーディエンス(Similar Audiences)は、リマーケティングリストに含まれるユーザーと行動パターンが似ている新規ユーザーをターゲットにする機能です。
リマーケティング広告は既存のサイト訪問者にしかアプローチできませんが、類似オーディエンスを活用することで、同じような特性を持つ新規ユーザーにも広告を配信できます。これにより、リマーケティングの対象となるユーザープールを拡大しながら、コンバージョンの可能性が高いユーザーにアプローチすることができます。
類似オーディエンスは、元となるリマーケティングリストが一定数以上のユーザーを含んでいると、自動的に作成されます。作成された類似オーディエンスは、オーディエンスマネージャーから確認・利用することができます。
組み合わせリストの活用
組み合わせリストを使用すると、複数のリマーケティングリストを「AND」や「OR」条件で組み合わせて、より細かいターゲティングが可能になります。
例えば、「商品ページを閲覧したユーザー」かつ「コンバージョン未達のユーザー」という条件を設定することで、購買意欲はあるが購入に至っていないユーザーにピンポイントでアプローチできます。
また、「サイト訪問者」から「コンバージョン済みユーザー」を除外するといった設定も、組み合わせリストで実現できます。
カスタムオーディエンスとの組み合わせ
カスタムオーディエンスは、特定のキーワードで検索したユーザーや、競合サイトを閲覧したユーザーをターゲットにする機能です。
リマーケティングリストとカスタムオーディエンスを組み合わせることで、より精度の高いターゲティングが可能になります。例えば、「自社サイトを訪問したことがあり」かつ「最近、関連キーワードで検索したユーザー」というターゲティングを行うことで、購買意欲が高まっているタイミングでアプローチできます。
シーズナリティを考慮した運用
多くのビジネスには季節性があります。繁忙期と閑散期でユーザーの行動パターンや購買意欲は大きく異なるため、リマーケティング広告の運用もそれに合わせて調整することが重要です。
例えば、アパレルECサイトの場合、セール期間中はリマーケティング広告の予算を増やし、積極的にアプローチすることで、高いコンバージョン率が期待できます。また、セール前にサイトを訪問したユーザーに対して、「セール開始」を知らせる広告を配信することも効果的です。
クリスマスやバレンタインなど、特定のイベントに関連する商材の場合は、イベント前にリマーケティングリストを構築し、イベント直前に集中的に広告を配信する戦略も有効です。
デバイス別の最適化
ユーザーのデバイス(PC、スマートフォン、タブレット)によって、行動パターンやコンバージョン率は異なります。リマーケティング広告においても、デバイス別にパフォーマンスを分析し、入札調整を行うことで効果を高めることができます。
例えば、スマートフォンでの閲覧が多いがコンバージョン率はPCの方が高い、という場合は、スマートフォンでリマーケティングリストに追加したユーザーに対して、PCでの再訪問時に積極的にアプローチするという戦略が考えられます。
クリエイティブの最適化戦略
リマーケティング広告の効果を最大化するためには、広告クリエイティブの継続的な最適化が欠かせません。
まず、ユーザーの行動段階に応じたクリエイティブを用意しましょう。サイトを訪問しただけのユーザーには商品やサービスの魅力を訴求する広告を、カートに商品を入れたユーザーには購入を促す広告を、といった具合に、段階ごとに異なるメッセージを届けます。
また、広告の「新鮮さ」を保つことも重要です。同じ広告を長期間表示し続けると、ユーザーが広告に慣れてしまい、クリック率が低下します。定期的に広告のビジュアルやコピーを更新し、ユーザーの注目を引き続けましょう。
レスポンシブディスプレイ広告を使用している場合は、複数のアセット(画像、見出し、説明文)を登録しておくことで、システムが自動的に最適な組み合わせを選択して表示してくれます。定期的にパフォーマンスの低いアセットを入れ替えることで、全体の効果を向上させることができます。
リマーケティングと自動入札の組み合わせ
Google広告の自動入札機能(スマート自動入札)とリマーケティングを組み合わせることで、より効率的な運用が可能になります。
スマート自動入札は、オークションごとにリアルタイムで入札単価を調整する機能で、リマーケティングリストのユーザーかどうかも考慮して入札が行われます。そのため、リマーケティング広告においても、目標CPA(目標コンバージョン単価)や目標ROAS(目標広告費用対効果)を設定した自動入札を活用することで、手動で入札調整を行う手間を省きながら、効果的な運用が可能になります。
リマーケティング広告が向いている業種・商材
リマーケティング広告は多くの業種で効果を発揮しますが、特に相性の良い業種・商材があります。
検討期間が長い高額商材
不動産、自動車、高級家具、BtoBサービスなど、検討期間が長く、購入に慎重になる高額商材は、リマーケティング広告との相性が非常に良いです。
これらの商材では、ユーザーは複数のサイトを比較検討し、情報収集を重ねてから購入を決定します。その間、リマーケティング広告で定期的にアプローチすることで、自社の存在を思い出してもらい、最終的な購入につなげることができます。
比較検討が活発な商材
旅行、保険、クレジットカードなど、ユーザーが複数のサービスを比較検討する傾向が強い商材も、リマーケティング広告に適しています。
比較検討中のユーザーは、多くのサイトを訪問するため、自社のことを忘れてしまう可能性があります。リマーケティング広告で継続的にアプローチすることで、選択肢の一つとして記憶に留めてもらうことができます。
リピート購入が期待できる商材
化粧品、サプリメント、食品、日用品など、定期的な購入が期待できる商材では、過去の購入者に対するリマーケティングが効果的です。
購入から一定期間が経過したユーザーに対して、「そろそろ補充の時期では?」といったメッセージでアプローチすることで、リピート購入を促すことができます。
季節性のある商材
アパレル、ギフト、レジャー関連など、季節やイベントによって需要が変動する商材も、リマーケティング広告を効果的に活用できます。
オフシーズンにサイトを訪問したユーザーに対して、シーズン開始時にリマーケティング広告を配信することで、購買意欲を喚起することができます。
リマーケティング広告が向かないケース
一方で、リマーケティング広告が向かないケースもあります。
緊急性の高い商材(水漏れ修理、鍵開けなど)は、ユーザーが問題を抱えた瞬間にサービスを必要とするため、後からアプローチしても意味がありません。このような商材では、検索広告の方が効果的です。
また、ネガティブな体験と結びつく商材(葬儀、債務整理など)は、リマーケティング広告で繰り返しアプローチすると、ユーザーに不快感を与える可能性があります。
サイトの訪問者数が極端に少ない場合も、リマーケティング広告の効果は限定的です。まずは集客施策に注力し、リストを蓄積することを優先しましょう。
リマーケティング広告の最新トレンド
リマーケティング広告を取り巻く環境は常に変化しています。最新のトレンドを把握し、適切に対応していくことが重要です。
AIと機械学習の活用拡大
GoogleはAIと機械学習の活用を拡大しており、リマーケティング広告においても自動化が進んでいます。
レスポンシブディスプレイ広告では、複数のアセットから最適な組み合わせを自動的に選択し、パフォーマンスを最大化します。また、スマート自動入札では、リマーケティングリストのユーザーかどうかを含む多数のシグナルを分析し、最適な入札単価を算出します。
これらの自動化機能を活用することで、運用の効率化と効果の向上を同時に実現することができます。
クロスデバイス対応の重要性
現代のユーザーは、スマートフォン、PC、タブレットなど、複数のデバイスを使い分けています。一人のユーザーが異なるデバイスでサイトを訪問した場合でも、同一ユーザーとして認識し、適切にリマーケティングを行うことが重要です。
Googleは、ログイン情報などを活用してクロスデバイスでのユーザー識別を行っています。Google広告のリマーケティングでは、この機能が自動的に適用されるため、クロスデバイスでの効果的なアプローチが可能です。
プライバシーファーストの時代への対応
プライバシー保護への関心が高まる中、広告業界全体がCookieに依存しない計測・ターゲティング手法への移行を進めています。
Googleは「プライバシーサンドボックス」と呼ばれる取り組みを通じて、プライバシーを保護しながら効果的な広告配信を可能にする新技術の開発を進めています。今後、リマーケティング広告の仕組みも変化していく可能性があるため、最新情報をキャッチアップしておくことが重要です。
また、ファーストパーティデータの収集・活用体制を整えておくことも、今後の変化に備える上で重要です。自社サイトでのユーザー登録を促進し、メールアドレスなどの情報を収集することで、Cookieに依存しないリマーケティング(カスタマーマッチなど)が可能になります。
オムニチャネルマーケティングとの統合
リマーケティング広告は、単独で運用するよりも、他のマーケティング施策と統合して運用することで、より大きな効果を発揮します。
例えば、メールマーケティング、LINE公式アカウント、SNSマーケティングなどと連携し、複数のチャネルでユーザーにアプローチするオムニチャネル戦略が有効です。Google広告のリマーケティングで接触したユーザーに、メールでフォローアップを行うといった施策を組み合わせることで、コンバージョン率を向上させることができます。
まとめと次のステップ
この記事では、リマーケティング広告の基本概念から、設定方法、効果的な活用テクニック、最新トレンドまで、幅広く解説してきました。
リマーケティング広告は、一度サイトを訪問しながらもコンバージョンに至らなかったユーザーを呼び戻し、購買意欲を高めてコンバージョンへと導く、非常に効果的な広告手法です。正しく設定し、継続的に最適化を行うことで、高いコンバージョン率と費用対効果を実現することができます。
リマーケティング広告を始めるための次のステップをまとめます。
まず、Googleタグをサイトに設置し、リマーケティングリストの蓄積を開始しましょう。タグの設置には技術的な知識が必要な場合もあるため、必要に応じてウェブ開発者と連携してください。
次に、ビジネス目標に合わせたリマーケティングリストを作成します。サイト訪問者全体のリスト、商品ページ閲覧者のリスト、カート放棄者のリストなど、目的に応じた複数のリストを用意しましょう。
リストが蓄積されたら、キャンペーンを作成し、リマーケティング広告の配信を開始します。最初は小規模な予算でテストを行い、効果を確認してから規模を拡大していくアプローチがおすすめです。
配信開始後は、定期的にパフォーマンスを確認し、リスト別の分析、フリークエンシーの調整、広告クリエイティブの更新などを行いながら、継続的に最適化を進めていきましょう。
リマーケティング広告は、他の広告施策やマーケティング活動と組み合わせることで、より大きな効果を発揮します。検索広告、ディスプレイ広告、SNS広告、SEO、メールマーケティングなど、複数の施策を連携させた総合的なマーケティング戦略の中で、リマーケティング広告を位置づけてください。
広告運用の外注を検討される場合は、広告代理店の選び方と失敗しない付き合い方や、インハウス運用vs代理店委託、どちらを選ぶべき?も参考にしてください。また、キーワードの選定についてはGoogle広告のキーワード選定と設定方法を、マッチタイプの設定についてはマッチタイプの使い分けと除外キーワード設定をご参照ください。
リマーケティング広告を効果的に活用して、離脱ユーザーを呼び戻し、ビジネスの成長につなげてください。