Google広告を運用していると、「入札戦略」という言葉を目にする機会が多いのではないでしょうか。入札戦略とは、広告オークションにおいて入札単価をどのように設定するかを決める仕組みのことです。
特に近年は、Googleの機械学習を活用した「自動入札」が主流となり、2025年3月には拡張クリック単価(eCPC)が検索キャンペーンとディスプレイキャンペーンで廃止されるなど、大きな変化が起きています。
この記事では、Google広告における入札戦略の種類と特徴を網羅的に解説し、ビジネス目標に合わせた最適な入札戦略の選び方を詳しくお伝えします。自動入札を使いこなすためのコツや、運用における注意点も含めて、実践的な知識を身につけていただける内容となっています。
「どの入札戦略を選べばいいかわからない」「自動入札の仕組みを理解したい」「入札戦略を変更したいが失敗が怖い」といった悩みをお持ちの方は、ぜひ最後までお読みください。
入札戦略とは?基本的な仕組みを理解しよう

入札戦略について詳しく見ていく前に、まずはGoogle広告における「入札」の基本的な仕組みを理解しておきましょう。
Google広告のオークションの仕組み
Google広告は、オークション形式で広告の掲載順位が決まります。ユーザーが検索を行うたび、そのクエリに関連する広告がオークションにかけられ、掲載される広告とその順位が決定されます。
このオークションで重要な指標が「広告ランク」です。広告ランクは、入札単価と品質スコア、そして広告表示オプションなどの要素によって算出されます。単純に高い金額を入札すれば上位に表示されるわけではなく、広告の質も大きく影響するのです。
入札単価の設定方法には、大きく分けて「手動入札」と「自動入札」の2種類があります。手動入札は広告主が自ら入札単価を設定する方式で、自動入札はGoogleのアルゴリズムが入札単価を自動的に調整する方式です。
広告の品質については、品質スコアの仕組みと改善方法で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
入札戦略が重要な理由
適切な入札戦略を選択することは、広告運用の成果に直結します。入札戦略によって、広告費の使い方や最適化の方向性が大きく変わるためです。
例えば、とにかくサイトへのアクセス数を増やしたい場合と、購入や問い合わせなどのコンバージョンを重視したい場合では、選ぶべき入札戦略が異なります。ビジネス目標に合わない入札戦略を選んでしまうと、広告費を無駄にしてしまう可能性があります。
また、入札戦略は一度設定したら終わりではありません。ビジネスの成長段階や市場環境の変化に応じて、適切な戦略に切り替えていくことが求められます。そのためにも、各入札戦略の特徴を正しく理解しておくことが重要です。
手動入札と自動入札の違い
入札戦略は、大きく「手動入札」と「自動入札」に分類できます。それぞれの特徴を見ていきましょう。
手動入札は、広告主やマーケターが自ら入札単価を設定する方式です。キーワードごと、広告グループごとに細かく入札単価をコントロールできるため、特定のキーワードに注力したい場合や、予算を厳密に管理したい場合に適しています。ただし、運用の手間がかかり、市場の変化にリアルタイムで対応することが難しいというデメリットもあります。
一方、自動入札は、Googleの機械学習アルゴリズムが入札単価を自動的に調整します。デバイス、地域、時間帯、ユーザーの行動履歴など、様々なシグナルを分析し、コンバージョンにつながりやすいオークションでは高い入札単価を、そうでない場合は低い入札単価を設定します。
自動入札の大きなメリットは、人間では処理しきれない膨大なデータをリアルタイムで分析し、最適な入札単価を算出できる点です。オークションが行われるたびに入札単価が調整される「オークションごとの入札」により、効率的な広告配信が可能になります。
Google広告の入札戦略一覧と特徴
Google広告で利用できる入札戦略は複数あります。ここでは、現在利用可能な主要な入札戦略を、目的別に整理して解説します。
コンバージョン重視の入札戦略
コンバージョン(購入、問い合わせ、資料請求など)を重視する場合に適した入札戦略です。多くの広告主にとって最も一般的な選択肢となります。
コンバージョン数の最大化
「コンバージョン数の最大化」は、設定した予算内でできるだけ多くのコンバージョンを獲得することを目指す入札戦略です。Googleの機械学習が、コンバージョンにつながりやすいユーザーやタイミングを予測し、入札単価を自動調整します。
この戦略は、コンバージョン計測が正しく設定されており、ある程度のコンバージョンデータが蓄積されている場合に効果を発揮します。過去30日間で少なくとも15件以上、できれば30件以上のコンバージョンがあることが推奨されています。
メリットとしては、設定がシンプルで導入しやすいこと、予算を効率的に使ってコンバージョンを獲得できることが挙げられます。一方、コンバージョン単価(CPA)のコントロールが難しいというデメリットもあります。予算を使い切る方向で最適化が進むため、CPAが予想以上に高くなる可能性があります。
コンバージョン設定の詳細については、コンバージョン設定の基本と正しい計測方法をご参照ください。
目標コンバージョン単価(目標CPA)
「目標コンバージョン単価」は、コンバージョン数の最大化に目標CPAを設定したものです。指定した目標CPA(1コンバージョンあたりの獲得コスト)を維持しながら、できるだけ多くのコンバージョンを獲得することを目指します。
例えば、目標CPAを5,000円に設定した場合、Googleのアルゴリズムは平均CPAが5,000円程度になるように入札単価を調整します。ただし、すべてのコンバージョンが5,000円で獲得できるわけではなく、高いCPAのものと低いCPAのものが混在し、平均して目標CPAに近づくように最適化されます。
目標CPAを設定する際は、現実的な値を設定することが重要です。過去の実績を参考に、達成可能な目標CPAを設定しましょう。目標CPAを低く設定しすぎると、広告の配信量が極端に減少してしまう可能性があります。
なお、検索キャンペーンでは、目標CPAは「コンバージョン数の最大化」のオプション設定として統合されています。コンバージョン数の最大化を選択後、目標CPAを任意で設定する形式です。
コンバージョン値の最大化
「コンバージョン値の最大化」は、予算内でコンバージョンの合計値を最大化することを目指す入札戦略です。コンバージョンの数ではなく、コンバージョンの価値(売上金額など)を重視する場合に適しています。
この戦略を使用するには、コンバージョンに価値を設定している必要があります。例えば、ECサイトで商品ごとに売上金額が異なる場合、その金額をコンバージョン値として設定することで、売上金額の最大化を目指した最適化が可能になります。
高単価商品の購入と低単価商品の購入を同等に扱いたくない場合、この戦略が有効です。アルゴリズムは、高い価値のコンバージョンを獲得できる可能性が高いオークションで、より積極的に入札します。
目標広告費用対効果(目標ROAS)
「目標広告費用対効果」は、コンバージョン値の最大化に目標ROASを設定したものです。指定した目標ROAS(広告費用対効果)を維持しながら、コンバージョン値を最大化することを目指します。
ROASは「Revenue on Ad Spend」の略で、広告費に対する売上の比率を表します。例えば、目標ROASを400%に設定した場合、1万円の広告費に対して4万円の売上を目標とすることを意味します。
この戦略は、ECサイトなど売上データをコンバージョン値として正確に計測できるビジネスに最適です。広告投資の収益性を重視する場合に、非常に効果的な選択肢となります。
ROASやCPAなどの広告効果指標については、広告効果測定の基本指標(ROAS・CPA・CTR・CVRなど)を徹底解説で詳しく解説しています。
クリック重視の入札戦略
サイトへのトラフィック獲得を重視する場合に適した入札戦略です。
クリック数の最大化
「クリック数の最大化」は、設定した予算内でできるだけ多くのクリックを獲得することを目指す入札戦略です。サイトへのアクセス数を増やしたい場合や、新しいキャンペーンを開始する際にデータを収集したい場合に適しています。
この戦略では、コンバージョンの質よりもクリック数を優先します。そのため、コンバージョンにつながりにくいユーザーにも広告が配信される可能性があります。最終的にコンバージョンを目標とする場合は、一定のデータが蓄積した後にコンバージョン重視の入札戦略に切り替えることを検討しましょう。
上限クリック単価を設定するオプションもあります。これにより、1クリックあたりの入札単価に上限を設けることができ、予想以上に高い単価でクリックを獲得してしまうリスクを軽減できます。
個別クリック単価(手動入札)
「個別クリック単価」は、キーワードや広告グループごとに入札単価を手動で設定する方式です。自動入札とは異なり、広告主が細かくコントロールできる点が特徴です。
特定のキーワードに注力したい場合や、入札単価を完全にコントロールしたい場合に選択されます。ただし、手動で最適な入札単価を見つけるには時間と労力がかかり、市場の変化にリアルタイムで対応することが難しいというデメリットがあります。
近年は自動入札の精度が向上しており、多くの場合、自動入札の方が効率的な運用が可能です。ただし、コンバージョンデータが少ない場合や、特定のキーワードに対して細かいコントロールが必要な場合には、個別クリック単価が有効な選択肢となることもあります。
認知・露出重視の入札戦略
ブランド認知度の向上や、検索結果での露出を重視する場合に適した入札戦略です。
目標インプレッションシェア
「目標インプレッションシェア」は、検索結果ページでの広告表示割合(インプレッションシェア)を最大化することを目指す入札戦略です。特定のキーワードで常に上位に表示されたい場合や、ブランドキーワードでの露出を確保したい場合に適しています。
この戦略では、以下の3つの表示位置から目標を選択できます。
「ページ最上部」は、検索結果の最上部(1位)に表示されることを目指します。最も目立つ位置であり、ブランドキーワードで競合に上位を取られたくない場合などに有効です。
「ページ上部」は、検索結果の上部(広告枠のいずれか)に表示されることを目指します。最上部ほど競争が激しくない分、コストを抑えながら上位表示を狙えます。
「任意の場所」は、ページのどこかに広告が表示されることを目指します。とにかく露出を確保したい場合に選択します。
目標インプレッションシェアは、ブランドキーワードや指名検索キーワードでの露出確保に特に有効です。ただし、競合が多いキーワードでは入札単価が高騰する可能性があるため、上限単価の設定を検討しましょう。
視認範囲のインプレッション単価(vCPM)
「視認範囲のインプレッション単価」は、主にディスプレイ広告で使用される入札戦略です。広告が実際にユーザーの視認範囲に表示された場合にのみ課金される仕組みで、ブランド認知度の向上を目的としたキャンペーンに適しています。
視認範囲とは、広告の50%以上が1秒以上(動画広告の場合は2秒以上)画面に表示された状態を指します。この指標により、ユーザーに実際に見られた可能性が高いインプレッションに対してのみ支払うことができます。
動画広告向けの入札戦略
YouTube広告などの動画広告で使用される入札戦略についても触れておきましょう。
目標視聴単価(CPV)
「目標視聴単価」は、動画広告の視聴1回あたりの単価を設定する入札戦略です。ユーザーが動画を30秒以上視聴(30秒未満の動画の場合は最後まで視聴)した場合、または動画に対してアクション(クリックなど)を行った場合に課金されます。
動画広告でブランド認知や商品理解を促進したい場合に適しています。視聴単価を設定することで、動画を実際に視聴してもらうためのコストをコントロールできます。
2025年の重要な変更点:拡張クリック単価(eCPC)の廃止
Google広告の入札戦略において、2025年3月に大きな変更がありました。それは、拡張クリック単価(eCPC:Enhanced Cost Per Click)の廃止です。
拡張クリック単価は、手動入札と自動入札の中間的な位置づけの入札戦略でした。広告主が設定した入札単価をベースに、コンバージョンにつながりやすいと判断されたオークションでは入札単価を引き上げ、そうでない場合は引き下げるという仕組みでした。
この入札戦略は、完全な自動入札に移行する前のステップとして、多くの広告主に利用されていました。しかし、Googleは自動入札(スマート自動入札)の精度が十分に向上したと判断し、検索キャンペーンとディスプレイキャンペーンにおいてeCPCを廃止しました。
現在eCPCを使用しているキャンペーンがある場合は、他の入札戦略への移行を検討する必要があります。コンバージョンデータが十分にある場合は「コンバージョン数の最大化」や「目標CPA」へ、データが少ない場合は「クリック数の最大化」や「個別クリック単価」への移行が一般的です。
スマート自動入札の仕組みと活用法

Google広告の自動入札の中でも、特にコンバージョンに基づいて最適化を行う入札戦略群を「スマート自動入札」と呼びます。ここでは、スマート自動入札の仕組みと効果的な活用方法について詳しく解説します。
スマート自動入札とは
スマート自動入札は、GoogleのAI(人工知能)と機械学習を活用した高度な自動入札システムです。コンバージョン数の最大化、目標CPA、コンバージョン値の最大化、目標ROASの4つの入札戦略がスマート自動入札に該当します。
スマート自動入札の最大の特徴は、「オークションごとの入札(Auction-time Bidding)」です。検索が行われるたびに、そのオークションに最適な入札単価がリアルタイムで算出されます。これにより、コンバージョンにつながりやすいオークションでは積極的に入札し、そうでないオークションでは控えめに入札するという、きめ細かな最適化が可能になります。
スマート自動入札が分析するシグナル
スマート自動入札は、様々なシグナル(データポイント)を分析して入札単価を決定します。主なシグナルには以下のようなものがあります。
「デバイス」は、ユーザーが使用しているデバイス(PC、スマートフォン、タブレット)です。デバイスによってコンバージョン率が異なることが多いため、重要なシグナルの一つです。
「地域・場所」は、ユーザーの所在地や興味のある地域です。地域によってコンバージョン傾向が異なる場合、このシグナルが活用されます。
「時間帯・曜日」は、検索が行われた時間帯や曜日です。ビジネスによっては、特定の時間帯にコンバージョン率が高くなることがあります。
「リマーケティングリスト」は、過去にサイトを訪問したユーザーかどうかです。リマーケティングリストに含まれるユーザーは、コンバージョンにつながりやすい傾向があります。リマーケティングの詳細については、リマーケティング広告の設定と活用法をご参照ください。
「ブラウザ・OS」は、ユーザーが使用しているブラウザやオペレーティングシステムです。特定のブラウザやOSを使用しているユーザーの行動傾向を分析します。
「言語設定」は、ユーザーの使用言語です。多言語対応のサービスでは重要なシグナルとなります。
「検索クエリ」は、ユーザーが入力した実際の検索語句です。キーワードのマッチタイプによって様々なクエリで広告が表示されますが、クエリごとにコンバージョンの可能性を予測します。
これらのシグナルを組み合わせて分析することで、より精度の高い入札単価の設定が可能になります。例えば、「平日の昼間にスマートフォンから東京で検索した、過去にサイトを訪問したことがあるユーザー」といった複雑な条件でも、最適な入札単価を算出できます。
スマート自動入札を効果的に使うためのポイント
スマート自動入札を効果的に活用するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
まず、「十分なコンバージョンデータ」が重要です。機械学習は過去のデータから学習するため、コンバージョンデータが少ない状態では効果的に機能しません。Googleは、過去30日間で少なくとも15件以上のコンバージョンを推奨しています。より安定した最適化を行うためには、30件以上のコンバージョンがあることが望ましいです。
次に、「正確なコンバージョン計測」が不可欠です。スマート自動入札はコンバージョンデータに基づいて最適化を行うため、コンバージョンが正しく計測されていなければ、最適化の方向性がずれてしまいます。コンバージョントラッキングが正しく設定されているか、定期的に確認しましょう。
また、「適切な学習期間」を設けることも重要です。スマート自動入札を設定した直後は、アルゴリズムが最適な入札パターンを学習している段階です。この期間(通常1〜2週間程度)は、パフォーマンスが安定しないことがあります。すぐに設定を変更したりせず、学習期間が終わるまで待つことが推奨されます。
さらに、「アカウント構成の最適化」も効果に影響します。キャンペーンや広告グループの構成が複雑すぎると、データが分散してしまい、効果的な学習ができません。適切なアカウント構成については、Google広告アカウント構成の設計方法を参考にしてください。
スマート自動入札の注意点とリスク
スマート自動入札は非常に効果的なツールですが、いくつかの注意点もあります。
「コントロールの喪失」という点では、自動入札では、入札単価の細かいコントロールができなくなります。特定のキーワードだけ入札単価を上げたい、といった細かい調整はできません。ただし、入札単価調整(デバイス、地域、時間帯など)を組み合わせることで、ある程度のコントロールは可能です。
「予算消化の加速」については、コンバージョン数の最大化やコンバージョン値の最大化では、予算を使い切る方向で最適化が進むため、CPAやROASが目標から外れる可能性があります。予算管理には注意が必要です。
「学習期間中の不安定さ」も考慮すべき点です。入札戦略を変更した直後や、大きな設定変更を行った後は、学習期間としてパフォーマンスが一時的に低下することがあります。この期間中の判断には慎重さが求められます。
「データ依存」という面では、スマート自動入札はデータがあってこそ効果を発揮します。コンバージョンデータが少ない場合や、ビジネス環境が急変した場合は、最適化がうまく機能しないことがあります。
ビジネス目標別:最適な入札戦略の選び方
入札戦略を選ぶ際は、ビジネス目標を明確にすることが最も重要です。ここでは、代表的なビジネス目標別に、どの入札戦略が適しているかを解説します。
売上・利益の最大化を目指す場合
ECサイトなど、売上や利益の最大化を目指す場合は、「目標ROAS」または「コンバージョン値の最大化」が適しています。
目標ROASを使用する場合は、まず現状のROASを把握し、そこから徐々に目標を引き上げていく方法が効果的です。最初から高すぎるROASを設定すると、広告の配信量が極端に減少してしまう可能性があります。
コンバージョン値の最大化は、目標ROASの設定が難しい場合や、とにかく売上を伸ばしたい場合に選択します。ただし、CPAやROASのコントロールが難しいため、予算管理には注意が必要です。
いずれの戦略を使用する場合も、コンバージョンに正確な価値(売上金額)を設定することが前提となります。Google広告とGoogleアナリティクス4(GA4)を連携することで、より正確な売上データを取り込むことができます。詳しくはGoogle広告とGA4の連携と分析方法をご覧ください。
問い合わせ・資料請求を増やしたい場合
BtoBビジネスやサービス業など、問い合わせや資料請求をコンバージョンとする場合は、「目標CPA」または「コンバージョン数の最大化」が適しています。
リード(見込み客)の質が重要な場合は、目標CPAを設定することをおすすめします。許容できるリード獲得コストを目標CPAとして設定することで、コスト効率の良いリード獲得が可能になります。
一方、とにかくリード数を増やしたい場合は、コンバージョン数の最大化が効果的です。ただし、CPAが高騰するリスクがあるため、予算と実績を定期的に確認しましょう。
なお、問い合わせや資料請求のようなリードは、その後の商談化率や成約率も考慮して目標CPAを設定することが重要です。例えば、最終的な顧客獲得コストから逆算して、リード1件あたりの許容コストを算出する方法があります。
来店・電話問い合わせを促進したい場合
店舗ビジネスや電話での問い合わせを重視する場合は、来店コンバージョンや電話コンバージョンを設定した上で、「目標CPA」や「コンバージョン数の最大化」を使用します。
また、店舗への来店を重視する場合は、ローカル検索広告の活用も検討しましょう。ローカル検索広告と、ローカル検索広告で店舗集客を強化する方法で解説しているMEOとの連携により、地域密着型のマーケティングが可能になります。
ブランド認知を高めたい場合
ブランド認知度の向上を目的とする場合は、「目標インプレッションシェア」や「視認範囲のインプレッション単価(vCPM)」が適しています。
検索広告でブランドの露出を確保したい場合は、目標インプレッションシェアを使用します。特にブランドキーワードや社名キーワードでは、常に上位に表示されることが重要です。競合他社に上位を取られないよう、ページ最上部でのインプレッションシェアを高く設定することが一般的です。
ディスプレイ広告でブランド認知を高めたい場合は、vCPMを検討しましょう。広告が実際に見られた可能性が高いインプレッションに対してのみ支払うため、効率的なブランディングが可能です。
サイトへのトラフィックを増やしたい場合
まずはサイトへのアクセス数を増やすことを優先する場合は、「クリック数の最大化」が適しています。
新しいサービスや商品のローンチ時、コンバージョンデータがまだ蓄積されていない段階では、まずクリック数の最大化でトラフィックを獲得し、コンバージョンデータを蓄積してから、コンバージョン重視の入札戦略に切り替えるという流れが一般的です。
また、コンテンツマーケティングで記事への流入を増やしたい場合も、クリック数の最大化が有効です。
広告費を厳密にコントロールしたい場合
広告費を細かくコントロールしたい場合や、特定のキーワードに注力したい場合は、「個別クリック単価(手動入札)」を検討します。
ただし、前述の通り、多くの場合は自動入札の方が効率的な運用が可能です。手動入札を選択する場合は、十分な運用リソースを確保し、定期的な入札単価の見直しを行う必要があります。
入札戦略の設定方法と運用のコツ

ここからは、入札戦略の具体的な設定方法と、効果的な運用のためのコツを解説します。
入札戦略の設定手順
Google広告で入札戦略を設定する基本的な手順を見ていきましょう。
まず、Google広告の管理画面にログインし、設定したいキャンペーンを選択します。次に、キャンペーンの設定画面から「入札」セクションを探し、「入札戦略」を選択します。
利用可能な入札戦略の一覧が表示されるので、目的に合った戦略を選択します。目標CPA、目標ROASなど、目標値の設定が必要な戦略を選んだ場合は、適切な目標値を入力します。
設定が完了したら、「保存」をクリックして変更を適用します。入札戦略を変更した場合、学習期間が発生することを覚えておいてください。
ポートフォリオ入札戦略の活用
複数のキャンペーンで同じ入札戦略を共有したい場合は、「ポートフォリオ入札戦略」の活用を検討しましょう。
ポートフォリオ入札戦略を使用すると、複数のキャンペーンのデータを統合して最適化を行うことができます。個別のキャンペーンではコンバージョンデータが少ない場合でも、ポートフォリオ入札戦略でまとめることで、十分なデータ量を確保できる可能性があります。
また、共通の目標を持つ複数のキャンペーンを一元管理できるため、運用の効率化にもつながります。ポートフォリオ入札戦略は、「ツールと設定」から「共有ライブラリ」、「入札戦略」へと進んで設定できます。
入札単価調整の活用
自動入札を使用している場合でも、一部の入札単価調整は適用できます。これにより、自動入札の最適化をベースにしながら、特定の条件での入札を調整することが可能です。
デバイス調整は、スマートフォン、タブレット、パソコンごとに入札単価を調整できます。例えば、モバイルでのコンバージョン率が低い場合、モバイルの入札単価を引き下げることができます。ただし、スマート自動入札(目標CPA、目標ROASなど)を使用している場合、デバイス調整の効果は限定的です。
地域調整は、特定の地域での入札単価を調整できます。主要な商圏での入札を強化したり、パフォーマンスが悪い地域での入札を抑制したりすることが可能です。
時間帯・曜日調整は、広告スケジュールを設定し、特定の時間帯や曜日での入札単価を調整できます。営業時間中の入札を強化するなどの活用が考えられます。
オーディエンス調整は、特定のオーディエンス(リマーケティングリストなど)に対する入札単価を調整できます。過去にサイトを訪問したユーザーへの入札を強化するといった使い方ができます。
適切な目標値の設定方法
目標CPAや目標ROASを設定する際は、現実的な目標値を設定することが重要です。
目標CPAの設定では、まず過去30日間程度の実績CPAを確認します。この実績CPAを基準に、最初は同程度か少し高めの目標CPAを設定することをおすすめします。いきなり低い目標CPAを設定すると、広告の配信が大幅に減少してしまう可能性があります。
パフォーマンスが安定してきたら、徐々に目標CPAを引き下げていくことを検討しましょう。ただし、一度に大幅な変更を行うと、学習期間が長くなり、パフォーマンスが不安定になることがあります。目安として、変更幅は10〜20%程度に抑えることが推奨されています。
目標ROASの設定でも同様に、まず過去の実績ROASを確認し、現実的な目標を設定します。目標ROASを高く設定しすぎると配信が減少し、低く設定しすぎると収益性が悪化するため、バランスが重要です。
予算と入札戦略の関係
入札戦略と予算の関係についても理解しておきましょう。
コンバージョン数の最大化やコンバージョン値の最大化を使用している場合、システムは設定した予算を使い切る方向で最適化を行います。そのため、予算を増やすとより多くのコンバージョンを獲得できる可能性がありますが、CPAやROASが悪化することもあります。
一方、目標CPAや目標ROASを設定している場合、目標を達成できるオークションにのみ入札するため、予算を使い切らないこともあります。予算が余っている場合は、目標値を緩和することで配信を増やせる可能性があります。
予算配分の考え方については、広告予算の配分方法とポートフォリオ戦略で詳しく解説しています。
入札戦略の変更時の注意点
入札戦略を変更する際は、いくつかの注意点があります。
まず、学習期間が発生することを理解しておきましょう。入札戦略を変更すると、新しい戦略での最適化が始まり、アルゴリズムが最適な入札パターンを学習するまでに時間がかかります。この期間は通常1〜2週間程度で、パフォーマンスが一時的に不安定になることがあります。
学習期間中は、頻繁な設定変更を避けることが重要です。設定を変更するたびに学習がリセットされてしまうため、パフォーマンスの安定化が遅れます。
また、入札戦略の変更は、セール期間や繁忙期を避けて行うことをおすすめします。重要な時期にパフォーマンスが不安定になるリスクを避けるためです。
入札戦略を変更する前に、現在の設定のパフォーマンスデータを記録しておくことも大切です。変更後のパフォーマンスと比較することで、変更の効果を正確に評価できます。
入札戦略のパフォーマンス分析と改善

入札戦略を設定したら終わりではありません。定期的にパフォーマンスを分析し、必要に応じて改善を行うことが重要です。
確認すべき主要指標
入札戦略のパフォーマンスを評価する際に確認すべき主要な指標を見ていきましょう。
「コンバージョン数」は、獲得したコンバージョンの数です。入札戦略を変更した前後で、コンバージョン数がどのように変化したかを確認します。
「コンバージョン率(CVR)」は、クリック数に対するコンバージョンの割合です。CVRが低下している場合、質の低いトラフィックが増えている可能性があります。
「コンバージョン単価(CPA)」は、1コンバージョンあたりの獲得コストです。目標CPAを設定している場合は、実際のCPAが目標に近づいているかを確認します。
「広告費用対効果(ROAS)」は、広告費に対する売上の比率です。目標ROASを設定している場合は、実際のROASが目標を達成しているかを確認します。
「インプレッションシェア」は、広告が表示される可能性があったオークションのうち、実際に表示された割合です。インプレッションシェアが低い場合、予算や入札単価が不足している可能性があります。
「クリック単価(CPC)」は、1クリックあたりのコストです。CPCが急激に変動している場合、競合環境の変化や入札戦略の問題が考えられます。
これらの指標を総合的に分析し、パフォーマンスの傾向を把握します。単一の指標だけでなく、複数の指標を組み合わせて評価することが重要です。
入札戦略レポートの活用
Google広告には、入札戦略のパフォーマンスを分析するための専用レポートがあります。
入札戦略レポートにアクセスするには、キャンペーンを選択し、「入札戦略」から詳細を確認します。このレポートでは、入札戦略の学習状況、パフォーマンスの推移、目標達成度などを確認できます。
「入札戦略のステータス」では、現在の学習状態を確認できます。「学習中」と表示されている場合は、アルゴリズムがまだ最適化を進めている段階です。「学習完了」になれば、安定した最適化が行われています。
「上位のシグナル」では、入札に最も影響を与えているシグナル(デバイス、地域、時間帯など)を確認できます。これにより、どの要素がコンバージョンに大きく影響しているかを把握できます。
入札シミュレーターの活用
Google広告の入札シミュレーターは、入札単価や目標値を変更した場合のパフォーマンス予測を確認できるツールです。
例えば、目標CPAを変更した場合に、コンバージョン数やコストがどのように変化するかを事前にシミュレーションできます。これにより、変更の影響を予測し、適切な判断を下すことができます。
ただし、シミュレーション結果はあくまで予測であり、実際のパフォーマンスとは異なる場合があることに注意が必要です。参考情報として活用しましょう。
よくある問題と対処法
入札戦略運用でよく発生する問題と、その対処法を見ていきましょう。
「コンバージョンが減少した」場合は、まず目標設定が適切かを確認します。目標CPAが低すぎる、目標ROASが高すぎるなど、達成困難な目標を設定している場合は、目標値を緩和することを検討します。また、予算が不足していないか、競合環境が変化していないかも確認しましょう。
「CPAが目標を大きく超えている」場合は、まず学習期間中でないかを確認します。学習期間中は一時的にCPAが高くなることがあります。学習が完了しても改善しない場合は、コンバージョン設定の見直し、ランディングページの改善、キーワードの見直しなどを検討します。
「学習期間が長引いている」場合は、コンバージョン数が少なすぎる可能性があります。コンバージョンの定義を見直すか、マイクロコンバージョン(カート追加、フォーム入力開始など)を追加することで、データ量を増やすことを検討しましょう。
「配信量が極端に少ない」場合は、目標が厳しすぎる可能性があります。目標CPAを引き上げる、目標ROASを引き下げるなどの調整を行います。また、予算の制限や、入札に勝てていない可能性もあるため、競合状況も確認しましょう。
これらの問題に対処する際は、一度に複数の変更を行わないことが重要です。変更の効果を正確に測定するために、一つずつ変更を加え、その影響を確認してから次の変更を行いましょう。
キャンペーンタイプ別の入札戦略活用法
Google広告には様々なキャンペーンタイプがあり、それぞれに適した入札戦略があります。ここでは、主要なキャンペーンタイプ別の入札戦略活用法を解説します。
検索キャンペーンでの入札戦略
検索キャンペーンは、ユーザーの検索クエリに応じて広告を表示するキャンペーンタイプです。購買意欲の高いユーザーにリーチできるため、コンバージョン獲得に最も効果的なキャンペーンタイプの一つです。
検索キャンペーンで最も一般的な入札戦略は、「目標CPA」または「コンバージョン数の最大化」です。コンバージョンデータが十分にある場合は目標CPAを、まだデータが少ない場合はコンバージョン数の最大化から始めることをおすすめします。
ECサイトなど売上データを計測できる場合は、「目標ROAS」や「コンバージョン値の最大化」も効果的です。商品ごとに売上金額が異なる場合、これらの戦略を使用することで、高単価商品の販売を重視した最適化が可能になります。
ブランドキーワードでの露出を確保したい場合は、「目標インプレッションシェア」も検討しましょう。ブランドキーワードのキャンペーンと、一般キーワードのキャンペーンを分けて、それぞれに適した入札戦略を設定することが一般的です。
検索広告の設定と運用については、検索広告(リスティング広告)の設定と運用方法で詳しく解説しています。
ディスプレイキャンペーンでの入札戦略
ディスプレイキャンペーンは、Googleのディスプレイネットワーク上で画像広告や動画広告を配信するキャンペーンタイプです。
ディスプレイキャンペーンは、検索キャンペーンと比較してコンバージョン率が低い傾向にありますが、幅広いオーディエンスにリーチできるという特徴があります。そのため、認知拡大からコンバージョン獲得まで、様々な目的で活用できます。
コンバージョン獲得を目的とする場合は、「目標CPA」または「コンバージョン数の最大化」を使用します。ただし、検索キャンペーンよりもCPAが高くなる傾向があるため、目標CPAは検索キャンペーンとは別に設定することをおすすめします。
リマーケティングを活用する場合は、過去にサイトを訪問したユーザーに対して広告を配信するため、コンバージョン率が高くなる傾向があります。リマーケティングリストごとに適切な入札調整を行うことで、効果を最大化できます。
ブランド認知を目的とする場合は、「視認範囲のインプレッション単価(vCPM)」を検討しましょう。広告が実際に見られた可能性が高いインプレッションに対してのみ支払うことができます。
ディスプレイ広告について詳しくは、ディスプレイ広告(GDN)の設定と運用方法をご参照ください。
P-MAXキャンペーンでの入札戦略
P-MAX(Performance Max)キャンペーンは、Googleのすべての広告枠(検索、ディスプレイ、YouTube、Gmail、マップなど)に横断的に広告を配信できるキャンペーンタイプです。
P-MAXキャンペーンでは、利用できる入札戦略が限定されています。「コンバージョン数の最大化」または「コンバージョン値の最大化」のいずれかを選択し、任意で目標CPAまたは目標ROASを設定する形式です。
P-MAXは機械学習を最大限に活用したキャンペーンタイプであり、入札戦略も自動化が前提となっています。そのため、手動入札は使用できません。
P-MAXキャンペーンを効果的に運用するためには、十分なコンバージョンデータと、質の高いアセット(広告素材)が重要です。P-MAXの詳細については、P-MAXキャンペーンの特徴と活用法をご覧ください。
動画キャンペーンでの入札戦略
動画キャンペーンは、主にYouTubeで動画広告を配信するキャンペーンタイプです。
動画広告の目的によって、適切な入札戦略が異なります。ブランド認知を目的とする場合は、「目標視聴単価(CPV)」や「目標インプレッション単価(CPM)」を使用します。
コンバージョン獲得を目的とする場合は、動画アクションキャンペーンで「目標CPA」や「コンバージョン数の最大化」を使用できます。動画広告でも、適切な入札戦略を選択することで、コンバージョンを獲得することが可能です。
ショッピングキャンペーンでの入札戦略
ショッピングキャンペーンは、ECサイトの商品情報を基に、検索結果やショッピングタブに商品広告を表示するキャンペーンタイプです。
ショッピングキャンペーンでは、商品ごとに売上金額が異なるため、「目標ROAS」や「コンバージョン値の最大化」が特に効果的です。高単価商品の販売を重視した最適化が可能になります。
商品データフィードの品質が入札の効果に大きく影響するため、商品タイトルや説明文、画像などを最適化することも重要です。
入札戦略と他の施策の連携
入札戦略は単独で機能するものではありません。他の広告施策やマーケティング活動と連携することで、より大きな効果を発揮します。
キーワード戦略との連携
入札戦略の効果を最大化するためには、適切なキーワード戦略が不可欠です。
スマート自動入札は、キーワードごとではなく検索クエリごとに入札単価を最適化します。そのため、部分一致キーワードを活用し、幅広いクエリでデータを収集することで、より効果的な最適化が可能になります。
ただし、関連性の低いクエリで広告が表示されないよう、除外キーワードの設定も重要です。除外キーワードにより無駄なクリックを防ぎ、コンバージョンにつながりやすいクエリに予算を集中させることができます。
キーワードの選定についてはGoogle広告のキーワード選定と設定方法を、マッチタイプと除外キーワードについてはマッチタイプの使い分けと除外キーワード設定をご参照ください。
広告クリエイティブとの連携
入札戦略がいくら優れていても、広告自体が魅力的でなければ成果は上がりません。
広告文やバナー画像の品質は、クリック率(CTR)に直接影響します。CTRが高ければ品質スコアが向上し、より低い入札単価でも上位に表示されやすくなります。
また、広告とランディングページの関連性も重要です。ユーザーの期待に応えるランディングページを用意することで、コンバージョン率を向上させることができます。入札戦略の最適化は、コンバージョンデータに基づいて行われるため、コンバージョン率が高いほど効果的に機能します。
広告文の作成については、Google広告の広告文の書き方とABテスト実践方法で詳しく解説しています。
SEO・MEOとの連携
Google広告だけでなく、SEO(検索エンジン最適化)やMEO(Googleビジネスプロフィール最適化)との連携も検討しましょう。
広告とオーガニック検索の両方で上位表示されることで、ユーザーへの露出が増加し、クリックされる確率が高まります。特にブランドキーワードでは、広告とオーガニック結果の両方を獲得することで、競合に流れるトラフィックを防ぐことができます。
店舗ビジネスの場合は、MEOと広告を連携させることで、地域のユーザーに効果的にリーチできます。Googleビジネスプロフィールを最適化し、ローカル検索広告と組み合わせることで、相乗効果を得られます。
広告とSEO・MEOの使い分けについては、広告とSEO・MEOの使い分け戦略をご参照ください。
データ分析との連携
入札戦略の効果を正確に評価するためには、適切なデータ分析が必要です。
Google広告とGoogleアナリティクス4(GA4)を連携することで、広告経由のユーザー行動をより詳しく分析できます。コンバージョンに至るまでの経路や、コンバージョン後の行動(リピート購入など)を把握することで、入札戦略の効果を多角的に評価できます。
また、アトリビューション分析により、コンバージョンに至るまでの各接点の貢献度を評価することも重要です。ラストクリックだけでなく、認知段階の広告の価値も正しく評価することで、予算配分の最適化につながります。
データ分析やアトリビューションについては、アトリビューション分析とは?広告効果を正しく評価する方法で解説しています。
入札戦略運用の実践的なアドバイス

ここでは、入札戦略を実際に運用する際の実践的なアドバイスをお伝えします。
段階的なアプローチ
入札戦略の選択と運用は、段階的なアプローチで行うことをおすすめします。
新しいアカウントや新規キャンペーンの場合、まずはコンバージョンデータを蓄積することが最優先です。「クリック数の最大化」で始めて、サイトへのトラフィックを獲得しながらコンバージョンデータを収集します。
コンバージョンが30件程度蓄積されたら、「コンバージョン数の最大化」に切り替えます。この段階では目標CPAは設定せず、アルゴリズムにコンバージョンを学習させることを優先します。
パフォーマンスが安定し、目標とすべきCPAが見えてきたら、「目標CPA」を設定します。最初は現状のCPAに近い値を設定し、徐々に目標を引き下げていきます。
売上データを計測できる場合は、「目標ROAS」への移行も検討しましょう。売上を直接最適化することで、ビジネスの収益性向上に直結する運用が可能になります。
テストと学習の重要性
入札戦略に「正解」はありません。ビジネスや商材、競合環境によって最適な戦略は異なります。
そのため、テストを繰り返しながら最適な設定を見つけていくことが重要です。Google広告には「下書きとテスト」機能があり、入札戦略の変更をテストすることができます。元のキャンペーンと、入札戦略を変更したテストキャンペーンを並行して運用し、パフォーマンスを比較することで、変更の効果を客観的に評価できます。
テストを行う際は、十分なサンプルサイズを確保することが重要です。短期間のデータで判断すると、偶然の変動に左右されてしまう可能性があります。少なくとも2〜4週間程度のテスト期間を設けることをおすすめします。
季節性への対応
多くのビジネスには季節性があります。繁忙期と閑散期でコンバージョン率やCPAが大きく変動することは珍しくありません。
スマート自動入札は、季節性を考慮して入札を調整する機能を持っていますが、過去のデータがない新しいイベント(新商品のセールなど)には対応できません。
繁忙期が近づいている場合は、予算を増やす準備をしておくとよいでしょう。また、大きなセールやキャンペーンを行う場合は、事前に予算と目標値を調整しておくことをおすすめします。
季節性に応じた調整を行う際は、徐々に変更を加えることが重要です。急激な変更は学習をリセットしてしまう可能性があるためです。
競合環境の変化への対応
広告のオークションは競合との競争です。競合環境の変化によって、パフォーマンスが変動することがあります。
インプレッションシェアやクリック単価の変化を監視することで、競合環境の変化を把握できます。競合が入札を強化している場合、クリック単価が上昇し、インプレッションシェアが低下する傾向があります。
競合環境が変化した場合は、入札戦略自体を変更するのではなく、まず予算や目標値の調整を検討します。競合が一時的に攻勢をかけている場合は、無理に追随せず、効率を重視した運用を続けることも一つの選択肢です。
長期的な視点での運用
入札戦略の運用は、短期的な成果だけでなく、長期的な視点で行うことが重要です。
日々の変動に一喜一憂するのではなく、週単位や月単位でのトレンドを把握しましょう。特にスマート自動入札を使用している場合、日々の変動は大きくても、長期的には目標に向かって最適化が進んでいることが多いです。
また、コンバージョンの価値を長期的に評価することも重要です。初回購入だけでなく、リピート購入や顧客生涯価値(LTV)を考慮することで、より適切な目標設定が可能になります。
広告運用全体のPDCAサイクルについては、広告運用のPDCAサイクルと改善の進め方で解説しています。
よくある質問と回答

入札戦略に関して、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q1: 初めてGoogle広告を始める場合、どの入札戦略から始めるべきですか?
コンバージョンデータがない状態では、まず「クリック数の最大化」から始めることをおすすめします。サイトへのトラフィックを獲得しながら、コンバージョン計測が正しく機能しているかを確認し、データを蓄積します。
コンバージョンが30件程度蓄積されたら、「コンバージョン数の最大化」に切り替えることを検討しましょう。
なお、Google広告の基本についてはGoogle広告とは?仕組みと始め方完全ガイドで解説していますので、併せてご覧ください。
Q2: 目標CPAはどのように設定すればよいですか?
まず、過去30日間程度の実績CPAを確認します。目標CPAは、この実績CPAを基準に設定することをおすすめします。
最初から低すぎる目標CPAを設定すると、広告の配信が大幅に減少してしまう可能性があります。まずは実績CPAに近い値を設定し、パフォーマンスが安定してから徐々に引き下げていくアプローチが効果的です。
また、ビジネスの利益率を考慮して、許容できるCPAの上限を把握しておくことも重要です。
Q3: 入札戦略を変更したら、すぐに効果が出ますか?
入札戦略を変更すると、学習期間が発生します。この期間は通常1〜2週間程度で、パフォーマンスが一時的に不安定になることがあります。
学習期間中は頻繁な設定変更を避け、アルゴリズムが最適化を進めるのを待ちましょう。学習期間が終わり、「学習完了」のステータスが表示されれば、安定したパフォーマンスが期待できます。
Q4: 複数のキャンペーンで異なる入札戦略を使用しても問題ありませんか?
問題ありません。むしろ、キャンペーンの目的に応じて異なる入札戦略を使用することは一般的です。
例えば、ブランドキーワードのキャンペーンでは「目標インプレッションシェア」を使用して露出を確保し、一般キーワードのキャンペーンでは「目標CPA」でコンバージョン効率を重視する、といった使い分けが可能です。
Q5: 手動入札と自動入札、どちらがよいですか?
一般的には、自動入札(特にスマート自動入札)の方が効率的な運用が可能です。Googleのアルゴリズムは、人間では処理しきれない膨大なデータをリアルタイムで分析し、最適な入札単価を算出できるためです。
ただし、自動入札が効果を発揮するためには、十分なコンバージョンデータが必要です。コンバージョンデータが少ない場合や、特定のキーワードに対して細かいコントロールが必要な場合は、手動入札が有効な選択肢となることもあります。
Q6: 予算を増やせばコンバージョンも増えますか?
予算を増やすと、より多くのオークションに参加できるため、コンバージョンが増える可能性はあります。ただし、必ずしも予算に比例してコンバージョンが増えるわけではありません。
特に、すでにインプレッションシェアが高い場合は、予算を増やしても配信先がないため、効果が限定的になります。また、予算を増やすとCPAが上昇する傾向があるため、費用対効果も考慮する必要があります。
Q7: 入札戦略の変更はどのくらいの頻度で行うべきですか?
入札戦略の変更は、頻繁に行うべきではありません。変更するたびに学習期間が発生し、パフォーマンスが不安定になるためです。
入札戦略の変更を検討するのは、ビジネス目標が変わった場合、長期間パフォーマンスが低迷している場合、または十分なデータが蓄積されて次のステップに進む準備ができた場合などです。
目標CPAや目標ROASの調整であれば、入札戦略の変更よりも影響が小さいため、月1回程度の見直しは許容されます。ただし、一度に大幅な変更は避け、10〜20%程度の調整に留めることをおすすめします。
まとめ
この記事では、Google広告の入札戦略について、種類と特徴から選び方、運用のコツまで詳しく解説しました。
入札戦略は、Google広告運用の根幹を成す重要な設定です。ビジネス目標に合った入札戦略を選択することで、広告費を効率的に使い、成果を最大化することができます。
特に近年は、スマート自動入札の精度が向上し、多くの広告主にとって自動入札が最適な選択肢となっています。2025年3月の拡張クリック単価(eCPC)廃止も、この流れを象徴しています。
ただし、自動入札を効果的に活用するためには、正確なコンバージョン計測と十分なデータ量が必要です。また、入札戦略だけでなく、キーワード、広告クリエイティブ、ランディングページなど、広告運用の各要素を総合的に最適化することが重要です。
入札戦略の運用は、一度設定したら終わりではありません。定期的にパフォーマンスを分析し、必要に応じて改善を行う継続的な取り組みが求められます。この記事で紹介した内容を参考に、自社のビジネスに最適な入札戦略を見つけ、効果的な広告運用を実現してください。
Web広告全般についてはWeb広告とは?種類と特徴を徹底比較で、費用についてはWeb広告の費用相場と予算の決め方で解説していますので、併せてご参照ください。
また、広告運用をインハウスで行うか代理店に委託するかについては、インハウス運用vs代理店委託、どちらを選ぶべき?で、代理店を利用する場合は広告代理店の選び方と失敗しない付き合い方で詳しく解説しています。
補足:入札戦略の詳細設定と応用テクニック

ここでは、より高度な入札戦略の活用方法と、実務で役立つ詳細な設定テクニックを補足的に解説します。
シーズナリティ調整の実践的な活用
Google広告のシーズナリティ調整機能は、予定されたイベントやセールに合わせて入札を最適化するための重要なツールです。この機能を使うことで、機械学習アルゴリズムに事前に変化を知らせ、より効果的な入札を行うことができます。
シーズナリティ調整を設定する際は、まず過去のデータを分析して、どの程度のコンバージョン率の変化が見込まれるかを推定します。例えば、前年のブラックフライデーでコンバージョン率が通常の2倍だった場合、100%の増加として設定します。
この機能は1日から7日間の短期イベントに最適です。長期的な季節変動(夏のボーナス時期など)は、システムが自動的に学習するため、シーズナリティ調整を設定する必要はありません。
重要な注意点として、シーズナリティ調整は実際の変化が予測と大きく異なる場合、パフォーマンスに悪影響を与える可能性があります。設定する際は、できるだけ正確な予測を心がけ、イベント終了後は結果を検証して次回の参考にしましょう。
データ除外機能の適切な使い方
データ除外機能は、異常なデータがスマート自動入札の学習に悪影響を与えることを防ぐためのものです。コンバージョンタグの不具合、ウェブサイトの障害、テスト中の誤った設定など、通常とは異なる状況で収集されたデータを除外できます。
データ除外を設定する際は、問題が発生した期間を正確に特定することが重要です。必要以上に長い期間を除外すると、有効なデータまで失われてしまいます。
また、データ除外は過去の期間に対してのみ適用できます。問題が発生していることに気づいたら、できるだけ早くデータ除外を設定して、不正確なデータが学習に取り込まれることを防ぎましょう。
拡張コンバージョンによる計測精度の向上
プライバシー保護の強化に伴い、従来のCookie based計測の精度が低下しています。拡張コンバージョンは、ファーストパーティデータを活用してこの課題に対応するための機能です。
拡張コンバージョンでは、ユーザーがコンバージョンを完了した際に、メールアドレスや電話番号などの情報をハッシュ化(暗号化)してGoogleに送信します。これにより、クロスデバイスでのコンバージョンをより正確に計測できるようになります。
拡張コンバージョンの導入には技術的な実装が必要です。Googleタグマネージャーを使用した設定方法や、APIを通じた実装方法など、複数のオプションがあります。導入を検討する際は、ウェブ開発チームと連携して進めることをおすすめします。
オフラインコンバージョンの効果的な活用
オンラインでの問い合わせから、オフラインでの商談・成約に至るビジネスモデルでは、オフラインコンバージョンのインポートが非常に重要です。この機能を活用することで、最終的な成約に貢献した広告を正しく評価し、入札を最適化できます。
オフラインコンバージョンインポートの実装には、以下のステップが必要です。まず、広告クリック時にGCLID(Google Click ID)を取得し、CRMシステムに保存します。次に、成約が確定した際に、該当するGCLIDとコンバージョン情報をGoogle広告にアップロードします。
アップロードは手動で行うこともできますが、定期的に自動でインポートする仕組みを構築することをおすすめします。Googleが提供するAPIやコネクタを使用して、CRMシステムとGoogle広告を連携させることができます。
オフラインコンバージョンのデータが蓄積されると、スマート自動入札は「問い合わせ数」ではなく「成約につながりやすい問い合わせ」を獲得するように最適化されます。これにより、リードの質が向上し、営業効率の改善につながります。
値に基づく入札の高度な設定
すべてのコンバージョンが同じ価値を持つわけではありません。値に基づく入札を活用することで、より価値の高いコンバージョンを優先的に獲得できます。
ECサイトの場合、商品の売上金額をコンバージョン値として設定することが一般的です。Google広告とGoogleアナリティクス4を連携させることで、eコマーストラッキングで計測した売上データを自動的にコンバージョン値として取り込むことができます。
BtoBビジネスの場合は、リードの種類によって異なる価値を設定できます。例えば、「見積もり依頼」に高い価値を、「資料ダウンロード」に低い価値を設定するといった使い分けが可能です。
さらに高度な活用として、予測LTV(顧客生涯価値)をコンバージョン値として使用することも検討できます。機械学習モデルを使用して、各リードの将来的な価値を予測し、それをコンバージョン値として設定することで、長期的に価値の高い顧客を獲得する最適化が可能になります。
新規顧客獲得重視の入札設定
新規顧客の獲得は、ビジネスの成長にとって非常に重要です。Google広告には、新規顧客の獲得を重視した入札を行う機能が用意されています。
この機能を使用するには、まず既存顧客のリストをGoogle広告にアップロードする必要があります。カスタマーマッチを使用して、メールアドレスや電話番号のリストをアップロードすることで、システムは既存顧客を識別できるようになります。
新規顧客獲得モードを有効にすると、既存顧客のリストに含まれないユーザーからのコンバージョンを優先して入札が行われます。新規顧客に追加の価値を設定することもできます。例えば、新規顧客のコンバージョンは既存顧客の1.5倍の価値があると設定することで、より積極的に新規顧客を獲得する入札が行われます。
ポートフォリオ入札戦略の活用シナリオ
ポートフォリオ入札戦略は、複数のキャンペーンをまとめて一つの入札戦略で管理する機能です。以下のようなシナリオで特に有効です。
まず、個別のキャンペーンではコンバージョンデータが少なく、スマート自動入札が効果的に機能しない場合があります。関連する複数のキャンペーンをポートフォリオ入札戦略でまとめることで、データを統合し、より効果的な最適化が可能になります。
次に、同じビジネス目標を持つ複数のキャンペーンを一元管理したい場合にも有効です。例えば、複数の製品カテゴリのキャンペーンを、共通のROAS目標で管理するといった使い方ができます。
また、ポートフォリオ入札戦略では、入札単価の上限・下限を設定できます。個別のキャンペーン入札戦略では設定できないこれらのオプションが必要な場合は、ポートフォリオ入札戦略を使用します。
入札単価調整との組み合わせ
スマート自動入札を使用している場合でも、一部の入札単価調整は効果があります。ただし、スマート自動入札はすでに多くの要素を考慮して入札を最適化しているため、手動での調整の効果は限定的な場合があります。
デバイス調整は、スマート自動入札との相性があまり良くありません。システムがすでにデバイスごとに最適な入札を行っているため、追加の調整が逆効果になることがあります。ただし、特定のデバイスでコンバージョンが全く発生しない場合は、-100%の調整で除外することは有効です。
地域調整は比較的効果がある場合があります。特に、ビジネスの商圏が明確に限定されている場合や、地域によってサービス内容や価格が異なる場合は、地域ごとの調整が有効です。
オーディエンス調整も効果が期待できます。リマーケティングリストのユーザーは、一般ユーザーよりもコンバージョンにつながりやすい傾向があります。オーディエンスを「モニタリング」として追加し、入札単価の引き上げ調整を設定することで、過去にサイトを訪問したユーザーへの入札を強化できます。
学習期間を短縮するためのテクニック
スマート自動入札の学習期間は通常1〜2週間程度ですが、いくつかのテクニックで学習を促進できます。
まず、十分な予算を確保することが重要です。予算が少なすぎると、入札の機会が限られ、学習に必要なデータが蓄積されにくくなります。学習期間中は、通常よりも余裕のある予算を設定することを検討しましょう。
次に、コンバージョンの定義を見直すことも効果的です。最終的なコンバージョン(購入など)だけでなく、その手前のマイクロコンバージョン(カート追加、フォーム入力開始など)も計測することで、データ量を増やすことができます。ただし、最終的な入札の最適化には、ビジネスに直結するコンバージョンを使用することをおすすめします。
また、急激な設定変更を避けることも重要です。入札戦略を変更した直後に、大幅な予算変更や目標値の変更を行うと、学習がリセットされてしまう可能性があります。一つの変更を行ったら、学習が安定するまで待ってから次の変更を行いましょう。
入札戦略のトラブルシューティング
入札戦略が期待通りに機能しない場合の対処法をいくつか紹介します。
「配信が極端に少ない」場合は、まず目標設定を確認します。目標CPAが低すぎる、または目標ROASが高すぎると、条件を満たすオークションがほとんどなくなり、配信が減少します。目標を緩和して、配信量を確保することを検討しましょう。
「CPAが目標を大きく上回っている」場合は、まず学習期間中でないかを確認します。学習期間中は一時的にCPAが不安定になることがあります。学習完了後も改善しない場合は、ランディングページやコンバージョン設定、キーワードの見直しなど、入札戦略以外の要因を検討します。
「学習が完了しない」場合は、コンバージョン数が不足している可能性があります。Googleは過去30日間で少なくとも15件のコンバージョンを推奨していますが、より安定した学習には30件以上が望ましいです。コンバージョン数が少ない場合は、コンバージョンの定義を見直すか、関連キャンペーンをポートフォリオ入札戦略でまとめることを検討しましょう。
「急激なパフォーマンス低下」が発生した場合は、競合環境の変化や、コンバージョン計測の問題を確認します。インプレッションシェアの低下は競合の影響、コンバージョン率の急激な変化は計測の問題を示唆している可能性があります。
入札戦略選択のデシジョンツリー
最後に、入札戦略を選択する際のシンプルな判断フローを示します。
まず、「コンバージョンを計測しているか?」を確認します。計測していない場合は、「クリック数の最大化」または「個別クリック単価」を使用します。計測している場合は次に進みます。
次に、「過去30日間のコンバージョン数は30件以上か?」を確認します。30件未満の場合は、「コンバージョン数の最大化」(目標CPAなし)を使用してデータを蓄積します。30件以上の場合は次に進みます。
次に、「コンバージョンに価値(金額)を設定しているか?」を確認します。設定していない場合は、「目標CPA」または「コンバージョン数の最大化(目標CPAあり)」を使用します。設定している場合は、「目標ROAS」または「コンバージョン値の最大化(目標ROASあり)」を使用します。
なお、ブランド認知や露出を優先する場合は、上記のフローとは別に「目標インプレッションシェア」を検討します。
この判断フローはあくまで一般的な指針です。ビジネスの状況や目標に応じて、最適な入札戦略は異なります。テストを繰り返しながら、自社に最適な設定を見つけていくことが重要です。