「動画を見ているだけ」の時代は終わりました。今、視聴者が自ら選択し、物語を動かす「インタラクティブ動画」が注目を集めています。
Netflixの「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」をきっかけに一般にも知られるようになったインタラクティブ動画は、今やマーケティング、教育、採用活動など、ビジネスのあらゆる場面で活用されています。視聴者参加型のコンテンツは、従来の動画と比較してエンゲージメント率が数倍〜数十倍に向上するという調査結果もあります。
しかし、「インタラクティブ動画を作りたいけど、どうすればいいかわからない」「特別な技術が必要なのでは?」と躊躇している方も多いのではないでしょうか。
本記事では、インタラクティブ動画の基礎知識から、具体的な制作方法、活用事例、そして成功のポイントまで、徹底的に解説します。動画編集の経験がある方なら、この記事を読めば、インタラクティブ動画の制作を始められるようになるでしょう。
インタラクティブ動画とは

インタラクティブ動画の定義
インタラクティブ動画とは、視聴者が動画内で何らかのアクション(クリック、タップ、選択など)を行うことで、動画の内容や展開が変化する動画のことです。
従来の動画は、制作者が決めた一本道のストーリーを視聴者が受動的に見るだけでした。しかしインタラクティブ動画では、視聴者が能動的に参加し、自分の選択によって異なる体験を得ることができます。
インタラクティブ動画の「インタラクティブ(interactive)」とは、「相互作用的な」「双方向の」という意味です。視聴者と動画の間に双方向のコミュニケーションが生まれることが、最大の特徴です。
インタラクティブ動画の種類
インタラクティブ動画には、いくつかの種類があります。
ストーリー分岐型
最も代表的なタイプです。動画の途中で選択肢が表示され、視聴者の選択によってストーリーが分岐します。エンディングが複数用意されており、選択によって異なる結末を迎えます。ゲームの「ノベルゲーム」や「アドベンチャーゲーム」に近い体験を提供できます。
ホットスポット型
動画内の特定の箇所(ホットスポット)をクリック/タップすることで、追加情報が表示されたり、別のページに遷移したりするタイプです。商品紹介動画などで、気になる商品をクリックすると詳細情報が表示される、といった使い方ができます。
クイズ・テスト型
動画の途中でクイズや問題が出題され、視聴者が回答するタイプです。教育コンテンツやeラーニングでよく使用されます。正解/不正解によって、次に進む内容が変わることもあります。
360度動画型
視聴者が視点を自由に動かせる360度動画も、広義のインタラクティブ動画に含まれます。VR(バーチャルリアリティ)と組み合わせることで、没入感のある体験を提供できます。
データ入力型
視聴者が名前やメールアドレスなどを入力することで、パーソナライズされたコンテンツが表示されるタイプです。リード獲得やマーケティングに活用されます。
チャプター選択型
動画の目次(チャプター)から、見たいセクションを選んで視聴できるタイプです。長い動画や、情報量の多い動画で有効です。YouTubeのチャプター機能も、この一種と言えます。
YouTubeのチャプター機能については、YouTubeの「チャプター機能」を最大活用する編集と設定のコツで詳しく解説しています。
インタラクティブ動画が注目される理由
なぜ今、インタラクティブ動画が注目されているのでしょうか。その理由を解説します。
視聴者のエンゲージメント向上
インタラクティブ動画は、視聴者に「参加している」という感覚を与えます。受動的に見るだけの動画と比較して、視聴者の集中力と関与度が高まります。調査によると、インタラクティブ動画の視聴完了率は、通常の動画と比較して47%高いというデータもあります。
記憶への定着
自分で選択し、行動することで、視聴者は内容をより深く記憶します。これは「能動的学習」の効果と言われ、教育分野では古くから知られている原理です。企業研修やeラーニングにインタラクティブ動画が活用される理由の一つです。
データ収集の可能性
インタラクティブ動画では、「どの選択肢が選ばれたか」「どこでクリックされたか」といったデータを収集できます。これにより、視聴者の興味関心や行動パターンを分析し、マーケティングに活用することができます。
差別化とブランディング
まだインタラクティブ動画を活用している企業は少数派です。先進的なコンテンツを提供することで、競合他社との差別化や、イノベーティブなブランドイメージの構築につながります。
技術的なハードルの低下
以前は、インタラクティブ動画の制作には専門的な技術と高額な費用が必要でした。しかし現在は、YouTubeの機能や専用プラットフォームの登場により、比較的容易に制作できるようになりました。
従来の動画との違い
インタラクティブ動画と従来の動画の違いを整理しましょう。
視聴者の役割
従来の動画では、視聴者は受動的な「観客」でした。インタラクティブ動画では、視聴者は能動的な「参加者」になります。
コンテンツの構造
従来の動画は、始まりから終わりまでの一本道でした。インタラクティブ動画は、分岐や選択肢を持つ複雑な構造になります。
制作の複雑さ
従来の動画は、一つのストーリーを制作すれば完成でした。インタラクティブ動画は、複数の分岐やシナリオを制作する必要があり、制作工数が増加します。
視聴体験
従来の動画は、何度見ても同じ体験でした。インタラクティブ動画は、選択によって異なる体験が得られるため、リピート視聴の動機になります。
インタラクティブ動画のビジネス活用
インタラクティブ動画は、様々なビジネスシーンで活用されています。具体的な活用例を見ていきましょう。
マーケティング・広告
商品紹介・EC
商品紹介動画にホットスポットを設置し、気になる商品をクリックすると詳細情報や購入ページに遷移できるようにします。視聴から購入までの導線をスムーズにすることで、コンバージョン率の向上が期待できます。
特にアパレルやコスメなど、「見て選ぶ」商材との相性が良いです。モデルが着用している服をクリックすると、サイズや価格が表示される、といった使い方ができます。
ブランドストーリー
ストーリー分岐型の動画で、視聴者に「あなたならどうする?」と選択を迫ることで、ブランドの価値観やメッセージをより深く印象づけることができます。
例えば、環境問題をテーマにしたブランドが、「持続可能な選択」と「便利だが環境負荷の高い選択」を提示し、その結果を見せることで、メッセージを効果的に伝えることができます。
リード獲得
インタラクティブ動画の途中や最後で、メールアドレスの入力や資料請求を促すことで、リード(見込み客)を獲得できます。動画で興味を引いた状態でアクションを促せるため、フォーム単体よりも高いコンバージョン率が期待できます。
リード獲得については、ホワイトペーパー(資料請求)の活用法|B2Bサイトでリード(見込み客)を獲得する仕組みも参考になります。
教育・研修
eラーニング
インタラクティブ動画は、eラーニングとの相性が抜群です。動画の途中でクイズを出題し、理解度を確認しながら進めることができます。不正解の場合は解説に戻る、といった分岐も可能です。
「見ているだけ」の動画と比較して、学習効果が大幅に向上します。
コンプライアンス研修
企業のコンプライアンス研修に、ケーススタディ型のインタラクティブ動画を活用する例が増えています。「あなたがこの状況に直面したら、どう判断しますか?」と選択を迫り、その判断の結果を見せることで、実践的な学びを提供できます。
営業トレーニング
営業トレーニングでは、顧客との会話をシミュレーションするインタラクティブ動画が効果的です。顧客の反応に応じて、どう対応すべきかを選択させ、その結果を見せることで、実践的なスキルを身につけられます。
オンライン教材
学習塾やオンラインスクールでも、インタラクティブ動画の活用が進んでいます。生徒が自分のペースで学習を進められ、理解度に応じて内容が変化する適応学習(アダプティブラーニング)を実現できます。
採用・人事
会社紹介・職場体験
求職者に対して、インタラクティブ動画で「バーチャル職場体験」を提供する企業が増えています。「営業部門を見る」「開発部門を見る」といった選択肢を提示し、興味のある部署の雰囲気を体験してもらうことができます。
採用動画については、【採用動画】優秀な人材を惹きつける動画編集|社員インタビューと社内風景の魅せ方も参考になります。
適性診断
インタラクティブ動画で、簡易的な適性診断を行うことも可能です。「あなたならこの状況でどうする?」という質問に答えていくことで、最後に「あなたに向いている職種は〇〇です」といった結果を表示します。エンターテイメント性と実用性を兼ね備えたコンテンツになります。
入社前研修
内定者向けの入社前研修に、インタラクティブ動画を活用する例もあります。会社の歴史や理念、基本的なビジネスマナーなどを、クイズ形式で楽しく学ぶことができます。
カスタマーサポート
製品マニュアル・チュートリアル
製品の使い方を説明する動画に、インタラクティブ要素を加えることで、ユーザーが自分の知りたい情報にすぐにアクセスできるようになります。「〇〇の設定方法を知りたい」「トラブルシューティング」といった選択肢から、該当するセクションに直接ジャンプできます。
FAQ動画
よくある質問をインタラクティブ動画で提供することで、ユーザーは自分の質問に該当する回答を素早く見つけることができます。テキストベースのFAQよりも、視覚的でわかりやすい説明が可能です。
FAQページの作成については、「よくある質問(FAQ)」を作るメリット|問い合わせの手間を減らし成約率を上げる方法も参考になります。
エンターテイメント
インタラクティブドラマ・映画
Netflixの「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」のように、視聴者の選択によってストーリーが変わるドラマや映画が登場しています。エンターテイメントとしての新しい体験を提供し、話題性も高いです。
ミュージックビデオ
アーティストのミュージックビデオにインタラクティブ要素を加え、ファンが参加できる体験を提供する例もあります。選択によって異なる映像が見られる、隠し要素を探すことができる、といった仕掛けが可能です。
不動産・観光
バーチャル内見
不動産の内見を、インタラクティブ動画で提供する例が増えています。「リビングを見る」「キッチンを見る」「ベランダからの眺めを見る」といった選択肢で、物件を自由に探索できます。360度動画と組み合わせることで、より臨場感のある体験が可能です。
観光案内
観光地の紹介を、インタラクティブ動画で行うことも効果的です。「自然を楽しむコース」「グルメを楽しむコース」「歴史を学ぶコース」といった選択肢で、視聴者の興味に合わせた案内ができます。
インタラクティブ動画の企画・設計
インタラクティブ動画を制作する際、最も重要なのは企画・設計段階です。ここでの設計が、動画の成功を左右します。
目的の明確化
まず、インタラクティブ動画を制作する目的を明確にしましょう。
主な目的の例
認知拡大・ブランディングが目的の場合は、話題性のあるコンテンツで、SNSでのシェアを狙います。リード獲得が目的の場合は、視聴後のアクション(資料請求、問い合わせ)につなげることを重視します。教育・研修が目的の場合は、学習効果の最大化、理解度の確認を重視します。コンバージョン向上が目的の場合は、商品やサービスへの興味を深め、購入や申し込みにつなげます。顧客満足度向上が目的の場合は、製品の使い方をわかりやすく伝え、サポートコストを削減します。
目的によって、動画の構成や選択肢の設計が変わってきます。
ターゲット設定
インタラクティブ動画のターゲットを明確に設定しましょう。
考慮すべき点
年齢層、デバイス(PC/スマホ)、インタラクティブ動画への慣れ、視聴する状況(時間、場所)、何を求めているか(情報、エンターテイメント、学習)などを考慮します。
例えば、高齢者向けの場合は、インタラクション(クリックやタップ)をシンプルにし、選択肢を大きく表示する配慮が必要です。若年層向けの場合は、より複雑な分岐や、ゲーム性の高い仕掛けも受け入れられやすいでしょう。
ストーリー・シナリオの設計
インタラクティブ動画の核となるストーリー・シナリオを設計します。
ストーリー分岐の設計
ストーリー分岐型の動画では、「フローチャート」を作成して分岐を可視化することが重要です。フローチャートには、各シーンの内容、選択肢、分岐先、エンディングを記載します。
分岐が多すぎると、制作工数が膨大になり、視聴者も混乱します。最初は、2〜3個の選択肢、3〜5個のエンディングから始めることをお勧めします。
選択肢の設計
選択肢は、視聴者にとって「どちらを選ぶか迷う」ものが理想的です。明らかに正解がわかる選択肢や、興味のない選択肢では、インタラクティブ動画の魅力が半減します。
また、選択肢は視聴者の価値観や興味を反映するものにすると、パーソナライズされた体験を提供できます。
シナリオの一貫性
複数の分岐があっても、全体としてのメッセージやブランドの世界観は一貫させましょう。どのルートを選んでも、視聴者が「見てよかった」と思える内容にすることが重要です。
インタラクションポイントの設計
動画のどこでインタラクション(選択、クリックなど)を求めるかを設計します。
タイミング
インタラクションを求めるタイミングは、物語の転換点や、視聴者の興味が高まっているポイントが効果的です。唐突に選択肢が出現すると、視聴者は戸惑います。
また、インタラクションの間隔も重要です。頻繁すぎると煩わしく、少なすぎるとインタラクティブ動画の意味が薄れます。目安として、1〜3分に1回程度のインタラクションが適切です。
選択肢の表示時間
選択肢を表示する時間は、十分な長さを確保しましょう。短すぎると、視聴者が読んで判断する前に次に進んでしまいます。一般的には、5〜15秒程度が適切です。
また、「選択しなかった場合のデフォルト動作」も設定しておく必要があります(一定時間後に自動で進む、一時停止して待つ、など)。
フィードバック
視聴者が選択した後、その選択に対するフィードバックを提供すると、満足感が高まります。「〇〇を選びましたね。では、その結果を見てみましょう」といった導入があると、没入感が増します。
フローチャートの作成
インタラクティブ動画の設計には、フローチャートの作成が不可欠です。
フローチャートに含める要素
シーン番号と内容(各シーンの概要)、選択肢(選択肢のテキストと分岐先)、動画の長さ(各シーンの想定時間)、エンディング(各ルートの結末)、ループ・合流ポイント(複数のルートが合流する箇所)などを含めます。
ツールの活用
フローチャートの作成には、以下のようなツールが役立ちます。Miro、Figma(図形ツール)、draw.io(無料)、Microsoft Visio、XMind(マインドマップ)などがあります。
複雑な分岐になる場合は、スプレッドシートで「シーン一覧」「選択肢一覧」「分岐表」を作成して管理すると便利です。
撮影・素材収集の計画
インタラクティブ動画では、分岐の数だけ映像素材が必要になります。効率的な撮影計画を立てましょう。
共通シーンの活用
複数のルートで使用できる共通シーンを設計することで、撮影工数を削減できます。例えば、導入部分やエンディングの一部を共通化することが可能です。
撮影の順序
撮影は、ロケーション別、出演者別にまとめて行うと効率的です。ストーリーの順序通りに撮影する必要はありません。
素材の管理
分岐が多いインタラクティブ動画では、素材の管理が複雑になります。ファイル名やフォルダ構造を工夫し、どの素材がどのシーンに対応するかを明確にしましょう。
素材の整理方法については、プロが教える「動画素材の整理術」|1年後の自分が見ても分かるフォルダ名ルールを参考にしてください。
インタラクティブ動画の制作方法
インタラクティブ動画を制作するための具体的な方法を解説します。
制作方法の選択肢
インタラクティブ動画を制作する方法は、主に以下の3つがあります。
方法1:YouTubeの機能を活用
YouTubeの「カード」「終了画面」「チャプター」などの機能を活用して、簡易的なインタラクティブ動画を制作できます。無料で始められ、YouTubeの膨大なユーザーベースにリーチできるメリットがあります。
方法2:専用プラットフォームを利用
インタラクティブ動画専用のプラットフォーム(Eko、WIREWAX、Rapt Mediaなど)を利用する方法です。高度な機能が利用でき、分析機能も充実していますが、月額費用がかかります。
方法3:H5Pなどのツールで自作
H5P(エイチファイブピー)などのオープンソースツールを使って、自社サイトに埋め込むインタラクティブ動画を制作する方法です。カスタマイズ性が高いですが、技術的な知識が必要です。
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
YouTubeを活用した制作方法
YouTubeの機能を活用して、インタラクティブ動画を制作する方法を解説します。
カード機能の活用
YouTubeの「カード」機能を使うと、動画の途中で別の動画やウェブサイトへのリンクを表示できます。これを活用して、「Aの選択肢→動画A」「Bの選択肢→動画B」という形で分岐を実現できます。
設定方法は、YouTube Studioで動画を開き、「カード」を選択し、表示するタイミングを設定し、リンク先(別の動画、プレイリスト、チャンネル、ウェブサイト)を指定します。
終了画面の活用
動画の最後5〜20秒間に表示される「終了画面」も、分岐に活用できます。「続きはこちら」「別のエンディングを見る」といった形で、複数の動画への誘導が可能です。
再生リストの活用
複数の動画を再生リストにまとめることで、一連のインタラクティブ体験を提供できます。
YouTubeの限界
YouTubeでのインタラクティブ動画には、いくつかの限界があります。カードや終了画面をクリックしないと分岐しない(強制力がない)こと、動画内でのホットスポット(特定箇所のクリック)は実現できないこと、複雑な分岐は管理が難しいこと、データ収集・分析機能が限定的なことなどです。
シンプルな分岐型動画には適していますが、高度なインタラクティブ動画には専用プラットフォームが必要です。
専用プラットフォームの活用
インタラクティブ動画専用のプラットフォームを紹介します。
Eko(エコ)
ストーリー分岐型のインタラクティブ動画に特化したプラットフォームです。直感的なエディタで、複雑な分岐も視覚的に管理できます。Netflix「バンダースナッチ」の技術を提供していた企業でもあります。
WIREWAX(ワイヤーワックス)
動画内にホットスポット(クリック可能なエリア)を設置できるプラットフォームです。商品にタグ付けしてECサイトに誘導する、といった使い方に適しています。AI機能で、自動的に人物や物体を認識してタグ付けすることも可能です。
Rapt Media(ラプトメディア)
企業向けのインタラクティブ動画プラットフォームです。マーケティング、営業、研修など、ビジネス用途に最適化されています。詳細な分析機能とCRMとの連携が特徴です。
Cinema8
比較的低コストで始められるインタラクティブ動画プラットフォームです。ストーリー分岐、ホットスポット、クイズなど、様々なインタラクションに対応しています。
Mindstamp
既存の動画(YouTube、Vimeoなど)にインタラクティブ要素を追加できるプラットフォームです。動画を一から作り直す必要がなく、手軽に始められます。
プラットフォーム選びのポイント
料金体系(月額/年額、視聴回数による課金など)、必要な機能(分岐、ホットスポット、クイズ、データ収集など)、使いやすさ(エディタのUI、学習コスト)、埋め込みの柔軟性(自社サイト、SNSなど)、分析機能の充実度、サポート体制(日本語対応の有無)などを考慮して選びましょう。
H5Pを使った制作方法
H5P(HTML5 Package)は、インタラクティブコンテンツを作成できるオープンソースのツールです。WordPressやMoodleなどのプラットフォームと連携して使用できます。
H5Pの特徴
オープンソースで無料(ホスティングは有料オプションあり)、様々なインタラクティブコンテンツタイプに対応、自社サイトへの埋め込みが容易、カスタマイズ性が高いといった特徴があります。
インタラクティブ動画向けの機能
H5Pの「Interactive Video」コンテンツタイプを使うと、既存の動画に以下の要素を追加できます。選択肢(分岐)、クイズ(多肢選択、穴埋め、ドラッグ&ドロップなど)、ホットスポット(クリック可能なエリア)、テキスト・画像の表示、ブックマーク(特定の時間へのジャンプ)などです。
H5Pの導入方法
H5P.orgにアカウントを作成し、有料プラン(H5P.com)を利用するか、WordPressプラグイン「H5P」をインストールし、自サイトでホスティングするか、Moodleなどの学習管理システム(LMS)と連携して使用するかを選びます。
H5Pの限界
高度なストーリー分岐には向かない(線形的な動画に要素を追加するのが主な用途)こと、デザインのカスタマイズに制限があること、大規模な商用利用には、専用プラットフォームの方が適している場合があることなどが限界として挙げられます。
動画編集ソフトでの下準備
どの方法を選ぶにしても、動画素材の編集は必要です。通常の動画編集ソフト(Premiere Pro、DaVinci Resolve、Final Cut Proなど)で、各シーンの動画を制作します。
制作のポイント
各シーンを個別のファイルとして書き出すことで、分岐に対応しやすくなります。選択肢の表示タイミングを考慮して、適切な「間」を設けましょう。シーン間の繋がりに違和感がないよう、トーンや画質を統一することが大切です。選択肢のテキストや画像を、動画内に焼き込む場合は、クリック可能エリアを考慮したレイアウトにしましょう。
選択肢の表示方法
選択肢の表示は、プラットフォーム側で行う場合と、動画内に焼き込む場合があります。
プラットフォーム側で表示する場合は、デザインがプラットフォームに依存しますが、変更が容易です。動画内に焼き込む場合は、デザインの自由度が高いですが、変更には動画の再編集が必要です。
インタラクティブ動画の制作テクニック

効果的なインタラクティブ動画を制作するためのテクニックを紹介します。
没入感を高める演出
視聴者への語りかけ
ナレーションや出演者が、視聴者に直接語りかけることで、没入感が高まります。「さあ、あなたならどちらを選びますか?」「あなたの決断が、この先の運命を決めます」といった演出が効果的です。
一人称視点
カメラを一人称視点(主人公の目線)にすることで、視聴者は「自分が体験している」感覚を得られます。ゲームでいう「FPS(ファーストパーソン・シューティング)」のような視点です。
緊張感の演出
選択肢を表示する前に、緊張感を高める演出(音楽、効果音、映像のスローモーションなど)を入れることで、選択の重要性を印象づけられます。
選択の結果の明確化
視聴者が選択した後、その選択がどのような結果をもたらしたかを明確に見せましょう。「あなたの選択により、〇〇という結果になりました」というフィードバックがあると、満足感が高まります。
選択肢のデザイン
視認性の確保
選択肢は、視聴者が見やすい位置に、十分な大きさで表示しましょう。背景との対比(コントラスト)を確保し、読みやすいフォントを使用します。
テロップの視認性については、見やすいテロップ(字幕)の入れ方|フォント・サイズ・色の視認性ルールも参考になります。
タップ/クリックしやすいサイズ
特にスマホでの視聴を考慮し、タップしやすいサイズ(最低44×44ピクセル程度)を確保しましょう。選択肢が近すぎると、誤タップの原因になります。
ホバー/タップ時のフィードバック
選択肢にカーソルを合わせた時(ホバー)やタップした時に、色が変わるなどのフィードバックがあると、操作感が向上します。
デザインの統一感
選択肢のデザインは、動画全体のトーンや、ブランドのビジュアルアイデンティティと統一しましょう。
分岐の管理
分岐の深さを制限する
分岐が深くなりすぎると、制作工数が指数関数的に増加します。例えば、3つの選択肢が3回続くと、3×3×3=27通りのシナリオが必要になります。
分岐の深さは2〜3段階、エンディングは3〜5個程度に抑えることをお勧めします。
合流ポイントの設定
複数の分岐が、特定のポイントで合流するように設計すると、制作工数を削減できます。例えば、中間地点で一度合流し、そこからまた分岐するような構造です。
デフォルトルートの設定
視聴者が選択しなかった場合(タイムアウト)のデフォルトルートを設定しておきましょう。ストーリー上、最も自然な選択肢をデフォルトにすることが多いです。
パフォーマンスの最適化
動画の読み込み
分岐のある動画では、次のシーンの動画を事前に読み込む(プリロード)ことで、選択後のスムーズな再生を実現できます。プラットフォームによって、プリロードの仕組みは異なります。
ファイルサイズの最適化
分岐が多い場合、動画ファイルの総サイズが大きくなります。画質とファイルサイズのバランスを考慮し、適切なビットレートで書き出しましょう。
動画の軽量化については、「動画の容量が大きすぎる…」画質を落とさずにファイルサイズを軽量化する編集術を参考にしてください。
スマホでのパフォーマンス
スマホでの視聴では、通信環境やデバイスの処理能力に制限があります。低速回線でも再生できるよう、モバイル向けに最適化した動画を用意することも検討しましょう。
テストとQA
すべてのルートをテスト
公開前に、すべての分岐、すべてのルートをテストしましょう。特に、複雑な分岐がある場合は、漏れなくテストするためのチェックリストを作成します。
異なるデバイスでのテスト
PC、スマホ、タブレットなど、異なるデバイスでテストし、表示や操作に問題がないか確認します。
ユーザーテスト
可能であれば、ターゲットに近いユーザーに実際に視聴してもらい、フィードバックを得ましょう。操作のわかりやすさ、ストーリーの面白さ、選択肢の魅力などを確認します。
インタラクティブ動画の効果測定
インタラクティブ動画を公開した後は、効果を測定し、改善につなげることが重要です。
主要なKPI
インタラクティブ動画の効果を測定するための主要なKPI(重要業績評価指標)を紹介します。
視聴完了率
動画を最後まで視聴した割合です。インタラクティブ動画は、通常の動画よりも高い視聴完了率が期待できます。
インタラクション率
視聴者が実際にインタラクション(選択、クリックなど)を行った割合です。インタラクション率が低い場合、選択肢の魅力や配置に問題がある可能性があります。
各選択肢の選択率
それぞれの選択肢がどの程度選ばれたかの割合です。特定の選択肢に偏っている場合、選択肢のバランスを見直す必要があるかもしれません。
離脱ポイント
視聴者がどの時点で離脱したかを分析します。特定のシーンや選択肢で離脱が多い場合、その部分の改善が必要です。
コンバージョン率
動画視聴後に目標のアクション(購入、問い合わせ、登録など)を行った割合です。マーケティング目的のインタラクティブ動画では、最も重要なKPIの一つです。
リピート視聴率
同じ視聴者が複数回視聴した割合です。インタラクティブ動画は、異なるルートを体験するために再視聴するユーザーがいることが期待されます。
分析ツールの活用
プラットフォーム内蔵の分析機能
多くのインタラクティブ動画プラットフォームには、詳細な分析機能が内蔵されています。選択肢ごとの選択率、離脱ポイント、視聴時間などを確認できます。
Google Analytics連携
自社サイトに埋め込んだインタラクティブ動画の場合、Google Analyticsのイベントトラッキングと連携することで、詳細な分析が可能です。
ヒートマップツール
ホットスポット型のインタラクティブ動画では、ヒートマップツールを使って、どの部分がよくクリックされているかを可視化できます。
PDCAサイクル
効果測定の結果を踏まえ、継続的に改善していくことが重要です。
Plan(計画)
目標を設定し、インタラクティブ動画の企画・設計を行います。
Do(実行)
インタラクティブ動画を制作し、公開します。
Check(評価)
KPIを測定し、目標との差異を分析します。どの選択肢が人気か、どこで離脱が多いかなどを確認します。
Action(改善)
分析結果に基づいて、選択肢の内容、表示タイミング、デザインなどを改善します。必要に応じて、新しい分岐やコンテンツを追加します。
インタラクティブ動画の成功事例
実際にインタラクティブ動画を活用して成功した事例を紹介します(一般化した形で解説)。
事例1:アパレルブランドの商品紹介
課題
ECサイトでの商品紹介動画が、視聴されても購入につながりにくいという課題がありました。
施策
モデルが着用しているコーディネートの各アイテムにホットスポットを設置し、クリックすると商品詳細と購入リンクが表示されるインタラクティブ動画を制作しました。
結果
通常の動画と比較して、商品ページへの遷移率が3倍に向上しました。購入コンバージョン率も1.5倍に改善しました。
成功のポイント
視聴者が「欲しい」と思った瞬間に、すぐにアクションできる導線を設計したことが成功の要因です。
事例2:金融機関のコンプライアンス研修
課題
従来のコンプライアンス研修は、座学中心で退屈という声が多く、理解度にもばらつきがありました。
施策
実際のビジネスシーンを再現したストーリー分岐型のインタラクティブ動画を制作しました。視聴者は、主人公として「この状況でどう判断するか」を選択し、その結果を体験します。
結果
研修後のテストの平均点が20%向上しました。また、「研修が面白かった」という声が増え、受講者の満足度も大幅に改善しました。
成功のポイント
「自分事」として体験できる設計により、記憶への定着と行動変容を促進しました。
事例3:観光地のバーチャルツアー
課題
コロナ禍で観光客が減少し、観光地の魅力を伝える新しい方法が求められていました。
施策
観光地を自由に探索できるインタラクティブ動画を制作しました。「自然を楽しむ」「グルメを楽しむ」「歴史を学ぶ」などの選択肢から、視聴者の興味に合わせたルートを案内します。360度動画も活用し、臨場感のある体験を提供しました。
結果
SNSでの話題化により、再生回数が通常の動画の5倍に達しました。また、インタラクティブ動画を視聴したユーザーの、実際の来訪率が高いことも確認されました。
成功のポイント
視聴者のニーズに合わせたパーソナライズされた体験を提供したことで、エンゲージメントが向上しました。
事例4:採用活動での会社紹介
課題
採用サイトの会社紹介動画が、他社と差別化できていませんでした。また、求職者によって知りたい情報が異なるため、一本の動画ですべてのニーズに応えるのが難しい状況でした。
施策
求職者が興味のある部署や職種を選んで、その部門の雰囲気や仕事内容を体験できるインタラクティブ動画を制作しました。「営業部門を見る」「開発部門を見る」「人事担当者に質問する」などの選択肢を用意しました。
結果
採用サイトの滞在時間が2倍に延長しました。また、面接での「会社のことをよく調べてきた」という印象が向上し、入社後のミスマッチも減少しました。
成功のポイント
求職者のニーズに合わせて情報を提供できる設計により、効率的な情報伝達と差別化を実現しました。
インタラクティブ動画の今後のトレンド
インタラクティブ動画の分野は、急速に進化しています。今後のトレンドを紹介します。
AIとの連携
パーソナライゼーションの高度化
AIを活用して、視聴者の過去の行動や属性に基づいて、リアルタイムで最適なコンテンツを提示することが可能になりつつあります。例えば、視聴者の興味関心を分析し、最も響くストーリーラインを自動的に選択するといったことが考えられます。
自動分岐生成
AIが、ベースとなるシナリオから自動的に分岐を生成する技術も研究されています。これにより、制作工数を大幅に削減できる可能性があります。
自然言語での対話
選択肢を選ぶだけでなく、視聴者が自然言語(音声やテキスト)で入力し、AIがそれに応じてストーリーを展開する、といった形式も登場しつつあります。
AIと動画編集の関係については、【2026年の予測】動画編集の仕事はAIに奪われる?生き残るクリエイターの条件も参考になります。
VR/ARとの融合
VRインタラクティブ体験
VRヘッドセットを使用したインタラクティブ動画は、没入感が格段に高まります。視聴者は、360度の空間内で自由に視点を動かし、オブジェクトを選択して物語を進めることができます。
ARによる現実世界との融合
AR(拡張現実)技術を活用し、現実世界にインタラクティブな要素を重ね合わせる体験も可能になっています。例えば、スマホのカメラを通して見た部屋に、バーチャルな家具を配置して購入を検討する、といった使い方があります。
VR/360度動画については、VR・360度動画:空間を丸ごと届ける!360度映像の編集とYouTubeへのアップロード方法で詳しく解説しています。
ライブ配信との連携
リアルタイムの視聴者参加
ライブ配信中に、視聴者が投票や選択を行い、その結果がリアルタイムで配信内容に反映される形式が増えています。Twitchの「Twitch Extensions」などが、この分野で先行しています。
ライブコマース
中国で急成長しているライブコマース(ライブ配信+EC)にも、インタラクティブ要素が活用されています。視聴者は、配信中に気になる商品をタップして詳細を確認し、その場で購入できます。
ショート動画との融合
縦型インタラクティブ動画
TikTokやInstagramリールなどのショート動画プラットフォームでも、インタラクティブ要素を取り入れる動きがあります。短い時間の中で、視聴者に選択を求め、異なる結末を見せる形式が人気を集めています。
スワイプによる分岐
スマホの操作に最適化された、スワイプで選択肢を選ぶ形式のインタラクティブ動画も登場しています。
ショート動画については、縦型動画(9:16)特有の編集ルール|最初の3秒でユーザーの指を止める仕掛けも参考になります。
データ活用の高度化
マーケティングオートメーションとの連携
インタラクティブ動画で収集したデータを、マーケティングオートメーションツールと連携し、視聴者の行動に基づいたパーソナライズされたフォローアップを行うことが可能になっています。
リアルタイム分析
視聴者の行動をリアルタイムで分析し、その場でコンテンツを最適化する技術も進化しています。A/Bテストを自動的に実施し、より効果的な選択肢やシナリオを特定することができます。
よくある質問(Q&A)

Q1. インタラクティブ動画の制作費用はどのくらいですか?
A. 制作方法や内容によって大きく異なります。YouTubeの機能を活用した簡易的なものであれば、通常の動画制作費用+α程度で可能です。専用プラットフォームを使用する場合は、プラットフォームの月額費用(数万円〜数十万円)が加わります。外部に制作を依頼する場合、シンプルなものでも50万円〜、複雑なものでは数百万円になることもあります。
Q2. インタラクティブ動画は、どのプラットフォームで公開できますか?
A. YouTubeのカード機能を使った簡易的なものは、YouTubeで公開できます。専用プラットフォームを使用する場合は、そのプラットフォーム上での公開、または自社サイトへの埋め込みが一般的です。多くのプラットフォームは、埋め込みコードを提供しており、自社サイトやランディングページに設置できます。SNS(Facebook、Instagramなど)への直接投稿は、プラットフォームによって対応状況が異なります。
Q3. インタラクティブ動画は、スマホでも視聴できますか?
A. はい、ほとんどのインタラクティブ動画プラットフォームは、スマホ対応しています。ただし、タップ操作のしやすさ(ボタンサイズ、配置)には注意が必要です。制作時に、スマホでのプレビューを必ず確認しましょう。また、縦型動画(9:16)のインタラクティブ動画も増えています。
Q4. インタラクティブ動画のSEO効果はありますか?
A. インタラクティブ動画自体がSEOに直接影響するわけではありませんが、間接的な効果が期待できます。視聴時間の延長により、ページの滞在時間が増加し、ユーザーエンゲージメントの向上はGoogleの評価指標に影響します。話題性があればSNSでのシェアや被リンクにつながる可能性もあります。動画の周辺にテキストコンテンツを配置することで、SEO効果を高められます。
Q5. 分岐が多いインタラクティブ動画の制作期間はどのくらいですか?
A. 分岐の数と複雑さによりますが、一般的な目安として、シンプルな分岐(2〜3選択肢、1〜2段階の分岐)は通常の動画制作+1〜2週間程度、中程度の分岐(3〜5選択肢、2〜3段階の分岐)は通常の動画制作+1〜2ヶ月程度、複雑な分岐(多数の選択肢、3段階以上の分岐)は3ヶ月〜半年以上かかることもあります。企画・設計段階で十分な時間を確保することが、スムーズな制作につながります。
Q6. 既存の動画をインタラクティブ化することはできますか?
A. はい、一部のプラットフォーム(Mindstamp、H5Pなど)では、既存の動画(YouTube、Vimeoなど)にインタラクティブ要素を追加することができます。ただし、元の動画がストーリー分岐を想定していない場合、追加できる要素は限定的です(ホットスポット、クイズ、チャプターなど)。本格的なストーリー分岐型の動画を制作するには、企画段階から分岐を想定した撮影・編集が必要です。
Q7. インタラクティブ動画は、どのような業種に向いていますか?
A. 基本的に、どの業種でも活用可能ですが、特に相性が良いのは以下の業種です。EC・小売(商品紹介、バーチャル試着)、教育・研修(eラーニング、コンプライアンス研修)、不動産(バーチャル内見)、観光・ホテル(バーチャルツアー)、採用(会社紹介、適性診断)、金融・保険(商品説明、リスク診断)などが挙げられます。「視聴者によってニーズが異なる」「体験的に理解してもらいたい」という場面で、インタラクティブ動画は効果を発揮します。
Q8. インタラクティブ動画で収集したデータは、どのように活用できますか?
A. インタラクティブ動画で収集できるデータ(選択肢の選択率、クリック位置、視聴時間など)は、様々な形で活用できます。コンテンツ改善では、人気のある選択肢や離脱ポイントを分析し、動画を改善します。マーケティングでは、視聴者の興味関心を分析し、パーソナライズされたフォローアップを行います。商品開発では、「どの機能に興味があるか」といったデータを、商品開発に活用します。セグメント化では、選択傾向に基づいて視聴者をセグメント化し、ターゲティングに活用します。
用語集
インタラクティブ動画(Interactive Video)
視聴者が動画内で何らかのアクション(クリック、タップ、選択など)を行うことで、動画の内容や展開が変化する動画。
ストーリー分岐(Branching Narrative)
視聴者の選択によって、ストーリーが異なる方向に分岐する仕組み。複数のエンディングを持つ動画を実現できる。
ホットスポット(Hotspot)
動画内に設置された、クリック/タップ可能なエリア。クリックすると、追加情報の表示やページ遷移が行われる。
選択肢(Choice/Option)
視聴者に提示される、ストーリーの分岐点。2つ以上の選択肢から、視聴者が1つを選択する。
フローチャート(Flowchart)
インタラクティブ動画の分岐構造を視覚化した図。シーンの流れ、選択肢、分岐先を示す。
エンゲージメント(Engagement)
視聴者の関与度、参加度を示す指標。インタラクティブ動画は、通常の動画よりも高いエンゲージメントが期待できる。
視聴完了率(Completion Rate)
動画を最後まで視聴した視聴者の割合。インタラクティブ動画の効果を測定する重要な指標。
インタラクション率(Interaction Rate)
視聴者が実際にインタラクション(選択、クリックなど)を行った割合。
プリロード(Preload)
次に再生される可能性のある動画を、事前に読み込んでおくこと。選択後のスムーズな再生を実現する。
H5P(HTML5 Package)
インタラクティブコンテンツを作成できるオープンソースのツール。動画にクイズや選択肢を追加できる。
カード(YouTube Cards)
YouTubeの機能で、動画内に他の動画やウェブサイトへのリンクを表示できる。簡易的なインタラクティブ動画の実現に使用される。
終了画面(YouTube End Screen)
YouTubeの機能で、動画の最後に他の動画やチャンネル登録への誘導を表示できる。
360度動画(360° Video)
視聴者が視点を自由に動かせる、全方位を撮影した動画。広義のインタラクティブ動画に含まれる。
適応学習(Adaptive Learning)
学習者の理解度や進捗に応じて、提供するコンテンツを変化させる学習方法。インタラクティブ動画で実現できる。
まとめ:インタラクティブ動画で新しい視聴体験を
本記事では、インタラクティブ動画について、基礎知識から制作方法、活用事例まで詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
インタラクティブ動画の3つのメリット
メリット1:エンゲージメントの向上
視聴者が能動的に参加することで、従来の動画よりも高い関与度と記憶への定着が期待できます。視聴完了率、滞在時間、コンバージョン率など、あらゆる指標の改善につながります。
メリット2:パーソナライズされた体験
視聴者のニーズや興味に合わせて、異なるコンテンツを提供できます。「一本の動画で全員に同じメッセージ」ではなく、「視聴者ごとに最適化されたメッセージ」を届けることが可能です。
メリット3:貴重なデータの取得
視聴者の選択や行動データを収集し、マーケティングや商品開発に活用できます。「どのコンテンツが響くか」を、実データに基づいて判断できるようになります。
成功のためのポイント
インタラクティブ動画を成功させるためのポイントを整理します。
目的を明確にすることが大切です。「なぜインタラクティブ動画なのか」を明確にし、その目的に最適な形式を選びましょう。企画・設計に時間をかけることも重要です。フローチャートを作成し、分岐の構造を十分に検討してから制作に入りましょう。選択肢を魅力的にすることも成功の鍵です。「どちらを選ぶか迷う」選択肢を設計し、視聴者の興味を引き付けましょう。シンプルから始めることをお勧めします。最初から複雑な分岐を作らず、シンプルな構成から始めて、徐々に発展させましょう。効果測定と改善を継続することも欠かせません。公開後もデータを分析し、PDCAサイクルを回して改善を続けましょう。
今日から始めるアクション
本記事を読んで、すぐに実践できるアクションをまとめます。
まず、自社の課題を整理し、インタラクティブ動画が解決できるか検討しましょう。次に、YouTubeのカード機能を使った簡易的なインタラクティブ動画を試作してみましょう。いくつかのインタラクティブ動画プラットフォームを比較検討してみましょう。競合他社や先進事例のインタラクティブ動画を体験し、参考にしましょう。そして、小規模なプロジェクトから始め、ノウハウを蓄積していきましょう。
最後に
インタラクティブ動画は、まだ多くの企業が活用していない「ブルーオーシャン」の領域です。今から取り組むことで、競合他社との差別化と、イノベーティブなブランドイメージの構築が可能です。
「動画を見せる」から「動画で体験させる」へ。視聴者との新しい関係を築くインタラクティブ動画に、ぜひチャレンジしてみてください。