動画編集/撮影

良い編集者は「質問」で分かる!優秀なクリエイターを見極めるための逆質問リスト

良い編集者は「質問」で分かる!優秀なクリエイターを見極めるための逆質問リスト

「ポートフォリオは完璧だったのに、実際に仕事を頼んだら進行がグダグダだった…」

こんな経験はありませんか?動画編集者のスキルは、完成された動画(ポートフォリオ)だけでは測れません。なぜなら、その動画が「どれだけの指示」と「どれだけの修正」を経て作られたかが見えないからです。

優秀な編集者を見抜くための最大の指標、それは「ヒアリング時の質問力」です。指示待ちの作業者(オペレーター)か、提案型のパートナー(クリエイター)か。本記事では、採用面談や初回打ち合わせで「相手から出てくるべき質問リスト」を公開します。

1. なぜ「質問」でスキルが透けて見えるのか

動画編集は「素材を並べる作業」ではなく、「クライアントの課題を解決する手段」です。スキルレベルの低い編集者は「作業の手順」しか気にしませんが、スキルレベルの高い編集者は「動画のゴール(目的)」を気にします。

レベル 典型的な質問 頭の中の思考
初級者
(オペレーター)
「納期はいつですか?」「参考動画はありますか?」 言われた通りに手を動かして、早く終わらせたい。責任を負いたくない。
上級者
(パートナー)
「この動画の視聴維持率の目標は?」「CTA(行動喚起)は何にしますか?」 動画を使ってクライアントの売上や再生数をどう伸ばすか考えている。

2. 【戦略編】マーケティング視点があるかの質問

単に「おしゃれな動画」を作るのではなく、「結果が出る動画」を作れるクリエイターは、必ず以下の質問を投げかけてきます。

「この動画のターゲット層(ペルソナ)は具体的に誰ですか?」
👉 意図:視聴者に合わせた演出の調整

30代ビジネスマン向けなら「テンポ重視・テロップはシンプル」に、60代向けなら「ゆっくり・文字は大きく」する必要があります。これを聞かずに編集を始めようとするのは、宛名のない手紙を書くようなものです。

「視聴後のゴール(CTA)は何ですか?」
👉 意図:動画の構成(オチ)の設計

「チャンネル登録をしてほしい」のか、「概要欄の商品リンクをクリックしてほしい」のかで、動画の終わり方や途中での誘導テロップの入れ方が変わります。ここを共有しようとする姿勢は、ビジネスへの理解度が高い証拠です。

「視聴環境はスマホとPC、どちらを想定していますか?」
👉 意図:視認性の確保

スマホがメインなら、テロップのフォントサイズを大きくし、重要な情報を画面中央に寄せる(セーフティーゾーンの意識)必要があります。媒体特性を理解しているプロならではの質問です。

3. 【技術編】実務経験の豊富さが分かる質問

トラブルを未然に防ぐための「リスク管理能力」は、技術的な質問に現れます。これらを聞いてくる編集者は、過去に修羅場をくぐり抜け、学習してきた信頼できる人物です。

  • 「最終的な納品形式の指定はありますか?(解像度・フレームレート・コーデック)」
    解説:「mp4で」と答えたとしても、放送用なのかWeb用なのかでビットレートの設定が異なります。ここを細かく詰めるのはプロの証です。
  • 「プロジェクトファイル(編集データ)の納品は必要ですか?」
    解説:編集データ自体の譲渡は、通常は追加料金が発生したり、フォントやプラグインの互換性確認が必要です。最初に見積もりの前提を確認する姿勢は誠実さの表れです。
  • 「素材の画質(4KかFHDか)と、色空間(Log撮影か)を教えてください」
    解説:4K素材やLog素材はPCスペックを要し、編集工数(レンダリング時間やカラーグレーディングの手間)が跳ね上がります。ここを確認せず安請け合いする人は、後で「PCが重くて納期に間に合いません」と言うリスクがあります。

4. 【権利・契約編】コンプライアンス意識を測る質問

クライアントを守る意識があるかどうかのリトマス試験紙です。

「使用するBGMやフォントの権利関係はどうなっていますか?」
👉 意図:著作権侵害リスクの回避

「御社指定の素材を使いますか?それとも私が契約している商用利用可能な素材サイト(ArtlistやAdobe Stock等)から選定しますか?」という提案が含まれていれば満点です。権利関係に無頓着な編集者は、クライアントを法的リスクに晒します。

「修正回数や検収期間のルールはどうしますか?」
👉 意図:トラブル防止とスケジュールの厳守

「2回までは無料、3回目以降や大幅な構成変更は有料」といった線引きを最初に提案できる人は、自分の仕事に責任とプライドを持っており、かつ「終わりのない修正地獄」が双方にとって不幸であることを知っています。

5. 逆に「採用を見送るべき」NGパターン

質問が出ない、あるいは質問の質が低い場合は要注意です。以下のような兆候があれば、採用を再検討すべきでしょう。

パターンA:イエスマン(質問ゼロ)

「分かりました!何でもやります!全部任せてください!」
一見頼もしいですが、認識のすり合わせを行っていないため、納品されてから「イメージと全然違う」となる可能性が最も高いタイプです。

パターンB:金銭の話しかしない

「単価はいくらですか?」「いつ振り込まれますか?」
もちろん重要なことですが、動画の内容や目的について聞く前に条件面ばかり固執する場合、制作物への熱量は低い傾向にあります。

パターンC:ポートフォリオの「担当範囲」を答えない

こちらからの逆質問として「この実績動画の、どこからどこまでを担当しましたか?」と聞いてみてください。
「全部です」と曖昧に答える人は危険です。「テロップ入れとBGM選定は担当しましたが、構成とカット割りはディレクターの指示でした」と、自分の役割を正直に細分化して話せる人が信頼できます。

6. まとめ:良いパートナーを見つけるために

優秀な動画編集者は、医師に似ています。患者(クライアント)が「お腹が痛い」と言ったとき、いきなり手術(編集)を始める医師はいません。「いつから痛いですか?」「何を食べましたか?」と問診(質問)を行い、原因を特定してから処置を行います。

もしあなたが動画編集者を探しているなら、募集要項や面談であえて情報を少し隠し、「相手からどんな質問が返ってくるか」を試してみてください。

そして、もしあなたが動画編集者なら、今日紹介した質問リストを次のクライアントワークで活用してみてください。それだけで「この人は他の編集者とは視座が違う」と評価され、単価アップや継続依頼に繋がるはずです。

🚀 アクションプラン
次の面談で使える「チェックシート」として、この記事の第2章〜第4章の質問リストを手元に用意しておきましょう。相手が自然とこれらの話題に触れてくるかどうかが、採用の決定打になります。

この記事は映像制作ディレクションの専門家によって執筆されています。
採用基準の策定や、編集者としてのスキルアップにお役立てください。

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