Web制作

Web Componentsを活用した再利用性の高いデザインコンポーネント開発

モダンなWeb開発において、UIを「コンポーネント(部品)」単位で開発することは一般的になりました。しかし、ReactやVue.jsといった特定のフレームワークに依存したコンポーネントは、技術スタックの変更や組織横断的なプロジェクトにおいて「移植性が低い」という課題を抱えています。そこで注目されているのが、ブラウザ標準技術のみで構築される**「Web Components」**です。

Web Componentsを活用すれば、一度作成した**デザインシステム**のパーツを、どんなプロジェクトでも、あるいはプレーンなHTMLからでも呼び出すことが可能になります。これは、将来的な**技術負債の抑制**だけでなく、デザイナーとエンジニアの**連携強化**における究極の解決策の一つとなります。

**この記事では、Web Componentsを構成する3つの主要技術、カプセル化によるデザインの堅牢性維持、そして再利用性を最大化する開発ワークフロー**を解説します。時代に左右されない、強固なUI資産を構築しましょう。

この記事のハイライト

  • ✅ **標準化:** 特定の**フレームワークに依存せず**、ブラウザで直接動作する。
  • ✅ **カプセル化:** **Shadow DOM**により、外部CSSとの干渉を完全に遮断し、デザインの**一貫性**を守る。
  • ✅ **効率化:** **Figmaの変数**や**CSS Houdini**と組み合わせ、高度なカスタマイズを実現する。
  • ✅ **資産化:** 複数のブランドやプロジェクト間で、**共通のUIコンポーネント**を共有・運用する。

🏗️ 原則1:ブラウザ標準技術で構築するUIの「カプセル化」

Web Componentsは、単一の技術ではなく、ブラウザがネイティブでサポートする3つの主要な仕様によって成り立っています。

1. Custom Elements(独自のHTMLタグ)

独自のHTMLタグ(例:``)を定義し、ブラウザにその振る舞いを登録します。これにより、**BtoB SaaS**などの複雑な画面でも、マークアップが非常にシンプルになり、エンジニアとの**ハンドオフ(引き継ぎ)**が劇的にスムーズになります。

2. Shadow DOM(デザインの保護)

コンポーネント内部のスタイルを外部から隔離します。外部の意図しないCSSの影響を受けないため、**デザインシステム運用**において「どこに配置してもデザインが崩れない」という絶対的な**一貫性**を保証できます。これは、信頼性が求められる**金融サービス(FinTech)**や**医療アプリ**において非常に強力な武器となります。

3. HTML Templates(再利用可能な構造)

描画が必要になるまで解析されないHTMLの断片(`