「ドメインを変更したい」「サーバーを移転する必要がある」「会社名が変わったのでサイトURLを変えたい」——このような状況でサイト移転を検討する際、最も心配なのがSEO評価の喪失です。
長年かけて築いてきた検索順位や被リンク評価が、サイト移転によってゼロになってしまうのではないか。そんな不安を抱える方は多いでしょう。しかし、正しい手順で移転を行えば、SEO評価を大きく損なうことなく新しいドメインに引き継ぐことが可能です。
この記事では、サイト移転・ドメイン変更時に必要なSEO対策を、事前準備から移転実行、移転後のモニタリングまで徹底的に解説します。検索エンジンの仕組みを理解した上で、適切な移転を実現しましょう。
サイト移転の種類と影響度
サイト移転のパターン
サイト移転にはいくつかのパターンがあり、それぞれSEOへの影響度が異なります。
パターン1:ドメイン変更を伴う移転
例:example.com → new-example.com
最もSEOへの影響が大きいパターンです。ドメインに紐づいていた被リンク評価、ドメインオーソリティを新ドメインに移行する必要があります。
パターン2:サブドメイン間の移転
例:blog.example.com → www.example.com/blog/
同一ドメイン内での構造変更ですが、URLが変わるためリダイレクト設定が必要です。
パターン3:HTTP→HTTPSへの移行
例:http://example.com → https://example.com
HTTPSとSEOで解説しているように、現在はHTTPS化が必須です。同一ドメインでもプロトコルが変わるためリダイレクト設定が必要です。
パターン4:サーバー移転(ドメイン変更なし)
例:ホスティング会社A → ホスティング会社B(URLは変更なし)
URLが変わらないため、SEOへの直接的な影響は少ないですが、サーバーダウンを避けるための注意が必要です。
パターン5:URL構造の変更
例:example.com/page.html → example.com/category/page/
URL最適化のためにパーマリンク構造を変更するケースです。
移転パターン別の影響度
| 移転パターン | SEO影響度 | リダイレクト | アドレス変更 |
|---|---|---|---|
| ドメイン変更 | 高 | 必須 | 必須 |
| サブドメイン変更 | 中〜高 | 必須 | 推奨 |
| HTTP→HTTPS | 中 | 必須 | 不要 |
| サーバー移転のみ | 低 | 不要 | 不要 |
| URL構造変更 | 中 | 必須 | 不要 |
なぜSEO評価が引き継がれないリスクがあるのか
Googleは各URLを個別に評価しています。ドメインやURLが変わると、Googleにとっては「新しいページ」として認識されます。そのため、適切な設定をしなければ、以下の問題が発生します。
- 被リンク評価の喪失:旧URLへのリンクが新URLに紐づかない
- インデックスの二重化:新旧両方のURLがインデックスされ、重複コンテンツとして評価が分散
- クロールの遅延:Googleが新サイトを認識するまでに時間がかかる
- ユーザーの混乱:ブックマークや外部リンクからのアクセスが404エラーに
サイト移転前の準備
現状の把握とバックアップ
1. 現在のSEO状況を記録
移転前の状況を記録しておくことで、移転後の比較・検証が可能になります。
- 検索順位:GRCなどの順位計測ツールで主要キーワードの順位を記録
- オーガニック流入:GA4での分析で流入数を記録
- インデックス数:site:検索でインデックスページ数を確認
- 被リンク:被リンクのチェックで現在の被リンク数・参照ドメイン数を記録
- サーチコンソールデータ:クリック数、表示回数、CTR、掲載順位をエクスポート
2. URL一覧の作成
移転対象となる全URLをリストアップします。
- Screaming Frogでサイト全体をクロール
- 全URLをExcelやスプレッドシートにエクスポート
- 旧URL → 新URLのマッピング表を作成
3. バックアップの取得
- データベースの完全バックアップ
- ファイル(画像、CSS、JS等)のバックアップ
- .htaccess、robots.txt等の設定ファイル
- サーチコンソール、アナリティクスのデータエクスポート
URLマッピングの作成
サイト移転で最も重要な作業の一つが、旧URLと新URLの1対1のマッピングです。
マッピング表の例
| 旧URL | 新URL | ステータス |
|---|---|---|
| https://old-domain.com/ | https://new-domain.com/ | 移転 |
| https://old-domain.com/about/ | https://new-domain.com/about/ | 移転 |
| https://old-domain.com/service/ | https://new-domain.com/service/ | 移転 |
| https://old-domain.com/blog/post-1/ | https://new-domain.com/blog/post-1/ | 移転 |
| https://old-domain.com/old-page/ | (削除) | 404 |
| https://old-domain.com/merged-page/ | https://new-domain.com/new-page/ | 統合 |
マッピング作成のポイント
- 1対1のマッピング:可能な限り、1つの旧URLを1つの新URLに対応させる
- 類似コンテンツへのリダイレクト:削除するページは、最も関連性の高いページにリダイレクト
- ホームページへの安易なリダイレクト禁止:すべてをホームページにリダイレクトすると「ソフト404」として扱われる可能性
新サイトの準備
1. 新サイトの構築
移転先の新サイトを完成させます。
- 全ページのコンテンツを移行
- 内部リンクを新URLに更新
- 画像、CSS、JSなどのリソースを移行
- サイト構造を維持または改善
2. 新サイトのSEO設定
- タイトルタグ、メタディスクリプションの設定
- canonicalタグの設定(新URLを指定)
- 構造化データの実装
- robots.txtの設定
- XMLサイトマップの作成
3. 新サイトの検証
移転前に新サイトの動作を確認します。
- 全ページが正常に表示されるか
- 内部リンクが正しく機能するか
- フォーム、決済等の機能が動作するか
- ページ表示速度に問題がないか
- モバイルフレンドリーか
移転のタイミング
避けるべきタイミング
- 繁忙期:ビジネスの繁忙期は避ける
- Googleコアアップデート直後:コアアップデートの影響と移転の影響を切り分けにくい
- 大型連休前:問題発生時に対応できない
推奨タイミング
- アクセスが比較的少ない曜日・時間帯
- 対応スタッフが確保できる期間
- 移転後のモニタリングに十分な時間が取れる時期
301リダイレクトの正しい設定方法
301リダイレクトとは
301リダイレクトとは、URLが恒久的に移動したことを示すHTTPステータスコードです。
301リダイレクトの特徴
- 恒久的な移動:「このURLは永久に移動しました」という意味
- SEO評価の引き継ぎ:旧URLへの被リンク評価が新URLに引き継がれる
- インデックスの統合:Googleは旧URLをインデックスから削除し、新URLをインデックス
301と302の違い
| 種類 | 意味 | SEO評価の引き継ぎ | 用途 |
|---|---|---|---|
| 301 | 恒久的な移動 | 引き継がれる | サイト移転、URL変更 |
| 302 | 一時的な移動 | 引き継がれない | メンテナンス中など一時的な転送 |
サイト移転には必ず301リダイレクトを使用してください。
.htaccessでの301リダイレクト設定
Apacheサーバーでは、.htaccessファイルでリダイレクトを設定します。
ドメイン全体のリダイレクト
# old-domain.com から new-domain.com への全体リダイレクト
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^(www\.)?old-domain\.com$ [NC]
RewriteRule ^(.*)$ https://new-domain.com/$1 [R=301,L]
個別ページのリダイレクト
# 個別ページのリダイレクト
Redirect 301 /old-page/ https://new-domain.com/new-page/
Redirect 301 /old-category/ https://new-domain.com/new-category/
パターンマッチによるリダイレクト
# ブログ記事のパターンリダイレクト
RewriteEngine On
RewriteRule ^blog/(.*)$ https://new-domain.com/blog/$1 [R=301,L]
HTTP→HTTPSへのリダイレクト
# HTTPからHTTPSへのリダイレクト
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTPS} off
RewriteRule ^(.*)$ https://%{HTTP_HOST}%{REQUEST_URI} [R=301,L]
wwwあり/なしの統一
# wwwなしに統一
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^www\.example\.com$ [NC]
RewriteRule ^(.*)$ https://example.com/$1 [R=301,L]
Nginxでの301リダイレクト設定
Nginxサーバーでは、サーバー設定ファイルでリダイレクトを設定します。
ドメイン全体のリダイレクト
server {
listen 80;
server_name old-domain.com www.old-domain.com;
return 301 https://new-domain.com$request_uri;
}
個別ページのリダイレクト
location = /old-page/ {
return 301 https://new-domain.com/new-page/;
}
WordPressでの301リダイレクト設定
WordPressのSEO設定では、プラグインを使用してリダイレクトを設定できます。
Redirectionプラグインの使用
- 「Redirection」プラグインをインストール・有効化
- 「ツール」→「Redirection」を開く
- 「新しいリダイレクト追加」で旧URL→新URLを設定
- タイプ「301 Moved Permanently」を選択
Yoast SEOプレミアムのリダイレクト機能
Yoast SEOのプレミアム版には、リダイレクト管理機能があります。
CSVインポートによる一括設定
大量のリダイレクトがある場合は、CSVファイルでインポートできます。
source,target,type
/old-page-1/,/new-page-1/,301
/old-page-2/,/new-page-2/,301
/old-page-3/,/new-page-3/,301
リダイレクト設定の注意点
リダイレクトチェーンを避ける
リダイレクトが連鎖(A→B→C)すると、クロールバジェットの浪費やユーザー体験の低下につながります。
悪い例:
http://old-domain.com/page/
→ https://old-domain.com/page/
→ https://new-domain.com/page/
良い例:
http://old-domain.com/page/
→ https://new-domain.com/page/(直接)
リダイレクトループを避ける
A→B→A のようなループは絶対に避けてください。ブラウザがエラーを表示し、クローラーも混乱します。
すべてをホームページにリダイレクトしない
削除するページであっても、すべてをホームページにリダイレクトすると、Googleはこれを「ソフト404」として扱う可能性があります。可能な限り、関連性の高いページにリダイレクトしてください。
リダイレクトの検証
ブラウザの開発者ツールで確認
- Chrome開発者ツールを開く(F12)
- 「Network」タブを選択
- 「Preserve log」にチェック
- 旧URLにアクセス
- リダイレクトのステータスコード(301)を確認
HTTPステータスチェッカーで確認
オンラインツールやcurlコマンドで確認できます。
curl -I https://old-domain.com/page/
レスポンスに「HTTP/1.1 301 Moved Permanently」と「Location: https://new-domain.com/page/」が表示されれば正常です。
Screaming Frogで一括確認
Screaming Frogを使用して、旧サイトの全URLをクロールし、リダイレクトが正しく設定されているか一括確認できます。
Googleサーチコンソールでのアドレス変更
アドレス変更ツールとは
Googleサーチコンソールの「アドレス変更」ツールは、サイトの移転をGoogleに正式に通知するための機能です。
アドレス変更ツールが使えるケース
- ドメイン変更(example.com → new-example.com)
- サブドメイン変更(www.example.com → blog.example.com)
- プロトコル変更(http → https)※自動検出されるため任意
アドレス変更ツールが使えないケース
- 同一ドメイン内のURL構造変更
- サーバー移転のみ(URLは変わらない)
アドレス変更の手順
ステップ1:新サイトをサーチコンソールに登録
- サーチコンソールにログイン
- 「プロパティを追加」で新ドメインを追加
- 所有権を確認(DNS、HTMLファイル、metaタグ等)
ステップ2:301リダイレクトを設定
アドレス変更ツールを使用する前に、必ず301リダイレクトを設定しておく必要があります。
ステップ3:アドレス変更ツールを実行
- サーチコンソールで旧サイトのプロパティを選択
- 「設定」→「アドレス変更」を選択
- 新しいサイトを選択
- 検証を実行
- 問題がなければ「検証してリクエストを送信」をクリック
ステップ4:検証内容
Googleは以下を確認します。
- 旧サイトの所有権が確認済みか
- 新サイトの所有権が確認済みか
- 旧サイトから新サイトへの301リダイレクトが設定されているか
- 新サイトでリダイレクトされたURLが正常にアクセスできるか
アドレス変更の効果
アドレス変更ツールを使用すると、以下の効果があります。
- 移行の迅速化:Googleが優先的に新サイトをクロール
- インデックスの移行:旧URLから新URLへのインデックス更新が促進
- 180日間の有効期限:変更リクエストは180日間有効で、その後自動的にキャンセル
XMLサイトマップの更新と送信
新サイトのサイトマップを作成
新URLで構成されたXMLサイトマップを作成します。
- すべてのURLを新ドメインに更新
- lastmodを移転日に設定
- noindexページ、リダイレクト元ページは含めない
サーチコンソールで送信
- 新サイトのプロパティを選択
- 「サイトマップ」を選択
- サイトマップのURLを入力して送信
旧サイトのサイトマップ
旧サイトのサイトマップは、リダイレクト後も一定期間維持しておくと、Googleがリダイレクトを追跡しやすくなります。

被リンク評価の引き継ぎ
被リンクが引き継がれる仕組み
被リンク(バックリンク)は、SEO評価において非常に重要な要素です。サイト移転時に301リダイレクトを正しく設定することで、旧URLへの被リンク評価を新URLに引き継ぐことができます。
引き継ぎの仕組み
- 外部サイトAが旧URL(old-domain.com/page/)にリンク
- 301リダイレクトにより、Googleは新URL(new-domain.com/page/)へ転送されることを認識
- Googleは被リンク評価を新URLに移行
- 時間の経過とともに、Googleのインデックスが更新される
評価の減衰について
Googleは公式には「301リダイレクトで被リンク評価は100%引き継がれる」と述べています。ただし、実際には以下の要因で多少の減衰が見られることがあります。
- リダイレクトチェーンがある場合
- リダイレクト先のコンテンツが大きく異なる場合
- 移転の処理に時間がかかる間の一時的な減衰
外部サイトへのリンク修正依頼
301リダイレクトで評価は引き継がれますが、可能であれば主要な外部サイトにリンク先の更新を依頼することをおすすめします。
依頼すべき優先順位
- 高品質な被リンク元:質の高い被リンクを提供しているサイト
- ビジネスパートナー:取引先、提携先のサイト
- 業界ディレクトリ:業界団体、ポータルサイト
- SNSプロフィール:自社管理のSNSアカウント
- Googleビジネスプロフィール:MEO対策で登録している情報
依頼メールのテンプレート
件名:リンク先URL変更のお願い
〇〇様
いつもお世話になっております。
△△株式会社の□□と申します。
この度、弊社ウェブサイトのドメインを変更いたしましたので、
ご連絡申し上げます。
旧URL:https://old-domain.com/
新URL:https://new-domain.com/
貴サイトにて弊社へのリンクを掲載いただいておりますが、
お手数をおかけしますが、新URLへの更新をお願いできますでしょうか。
なお、旧URLから新URLへのリダイレクト設定は完了しておりますので、
現時点では旧URLからも問題なくアクセス可能です。
ご多忙のところ恐れ入りますが、
ご対応いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
被リンク状況のモニタリング
移転後は、被リンクの状況を定期的に確認します。
確認ツール
- Ahrefs:被リンク数、参照ドメイン数の推移
- SEMrush:バックリンク分析
- Googleサーチコンソール:「リンク」レポート
確認ポイント
- 新ドメインへの被リンクが増加しているか
- 旧ドメインへの被リンクが減少(新ドメインに移行)しているか
- リンク切れ(404)が発生していないか
移転後のモニタリングと対応
移転直後の確認事項
1. リダイレクトの動作確認
移転後、すべてのリダイレクトが正常に動作しているか再確認します。
- 主要ページへのリダイレクトをブラウザで確認
- サーチコンソールの「URL検査」で確認
- Screaming Frogで旧URLを一括クロール
2. インデックス状況の確認
- 新サイト:site:new-domain.com でインデックス数を確認
- 旧サイト:site:old-domain.com でインデックスが減少しているか確認
3. サーチコンソールのエラー確認
インデックスカバレッジレポートで、新たなエラーが発生していないか確認します。
- クロールエラー
- 404エラー
- リダイレクトエラー
- noindexの誤設定
4. アクセス解析の確認
GA4とサーチコンソールの連携で、以下を確認します。
- オーガニック流入数の推移
- 直帰率、滞在時間に異常がないか
- 404ページへのアクセスがないか
移転後1週間〜1ヶ月の確認
検索順位の推移
検索順位のトラッキングで、主要キーワードの順位変動を確認します。
- 一時的な順位下落:移転直後は一時的に順位が下がることがあるが、通常1〜4週間で回復
- 継続的な下落:リダイレクト設定に問題がある可能性。設定を再確認
インデックスの移行状況
| 期間 | 旧サイトのインデックス | 新サイトのインデックス |
|---|---|---|
| 移転直後 | 100% | 0〜10% |
| 1週間後 | 70〜90% | 10〜30% |
| 2週間後 | 30〜70% | 30〜70% |
| 1ヶ月後 | 10〜30% | 70〜90% |
| 2〜3ヶ月後 | 0〜10% | 90〜100% |
※サイトの規模や品質により異なります
被リンクの移行状況
被リンクツールで、新ドメインへの被リンクが認識され始めているか確認します。
問題発生時の対処法
問題1:順位が大きく下落した
原因と対処:
- リダイレクト漏れ:設定されていないURLがないか確認
- 302リダイレクト:誤って302を使用していないか確認、301に修正
- リダイレクトチェーン:直接リダイレクトに修正
- コンテンツの差異:新旧でコンテンツが大きく異なっていないか確認
問題2:インデックスが増えない
原因と対処:
- robots.txtのブロック:robots.txtでクローラーをブロックしていないか確認
- noindex設定:noindexが誤って設定されていないか確認
- XMLサイトマップ:正しく送信されているか確認
- サーバーエラー:サーバーダウンや応答遅延がないか確認
問題3:旧URLがインデックスに残り続ける
原因と対処:
- 301リダイレクトが正しく動作しているか再確認
- サーチコンソールでURL検査を実行し、インデックス更新をリクエスト
- 旧サイトのXMLサイトマップを削除(または新URLに更新)
問題4:404エラーが大量発生
原因と対処:
- リダイレクトのマッピング漏れを特定
- サーチコンソールの「ページ」レポートで404ページを確認
- 追加のリダイレクトを設定
リダイレクトの維持期間
推奨される維持期間
最低1年間は301リダイレクトを維持することを推奨します。理由は以下の通りです。
- Googleが完全にインデックスを移行するまでに時間がかかる
- すべての被リンク元がリンクを更新するわけではない
- ブックマークや古い参照からのアクセスに対応
永続的な維持が推奨されるケース
- 大量の被リンクがあるサイト
- ブランド認知度の高いドメイン
- 長期間運営していたサイト
旧ドメインの管理
- ドメインの維持:リダイレクト期間中はドメインを維持(更新を忘れずに)
- ドメインの放棄:十分な期間が経過後、ドメインを放棄する場合は被リンクの価値が失われることを理解
特殊なケースへの対応
部分的なサイト移転
サイトの一部(例:ブログセクションのみ)を別ドメインに移転するケースです。
対応方法
- 移転するセクションのみ301リダイレクトを設定
- 移転しないセクションはそのまま維持
- 内部リンクを適切に更新
- XMLサイトマップを両サイトで更新
注意点
- 内部リンクの整合性を維持
- サイト全体の構造を再検討
- サイト構造が複雑にならないよう注意
複数ドメインの統合
複数のサイト(ドメイン)を1つに統合するケースです。
対応方法
- 統合先のドメインを決定(最も評価の高いドメインを推奨)
- 各ドメインから統合先への301リダイレクトを設定
- コンテンツの重複を整理(統合または削除)
- 各ドメインでアドレス変更ツールを実行
注意点
- キーワードカニバリゼーションに注意
- 統合後のサイト構造を事前に設計
- 被リンクの価値を最大化する統合先を選択
サブドメインとサブディレクトリの変更
多言語サイトなどで、サブドメイン(blog.example.com)からサブディレクトリ(example.com/blog/)への変更、またはその逆のケースです。
サブドメイン→サブディレクトリ
# blog.example.com から example.com/blog/ へのリダイレクト
RewriteEngine On
RewriteCond %{HTTP_HOST} ^blog\.example\.com$ [NC]
RewriteRule ^(.*)$ https://example.com/blog/$1 [R=301,L]
SEO上の考慮
- サブディレクトリの方がドメインの評価を集約しやすい
- サブドメインは独立したサイトとして扱われる傾向
- どちらを選ぶかは戦略による
HTTPS移行
HTTPSへの移行は、同一ドメイン内でのプロトコル変更ですが、URLが変わるため適切な対応が必要です。
対応手順
- SSL証明書を取得・設定
- HTTPからHTTPSへの301リダイレクトを設定
- 内部リンクをHTTPSに更新
- XMLサイトマップをHTTPSに更新
- サーチコンソールでHTTPS版を新規プロパティとして追加
- canonicalタグをHTTPSに更新
よくある問題
- Mixed Content:HTTPS内でHTTPリソースを読み込むとセキュリティ警告
- リダイレクトループ:.htaccess設定のミスによるループ
- 証明書エラー:証明書の設定ミスやドメイン不一致
サイト移転のチェックリスト
移転前チェックリスト
準備
- □ 現在のSEO状況を記録(順位、流入、インデックス数、被リンク数)
- □ 全URLのリストを作成
- □ 旧URL→新URLのマッピング表を作成
- □ 完全なバックアップを取得
新サイト構築
- □ 新サイトのコンテンツを完成
- □ 内部リンクを新URLに更新
- □ SEO設定(タイトル、メタディスクリプション、canonical等)を完了
- □ 新サイトの動作確認
- □ XMLサイトマップを作成
サーチコンソール
- □ 新ドメインをサーチコンソールに登録
- □ 所有権を確認
移転実行時チェックリスト
リダイレクト設定
- □ 301リダイレクトを設定
- □ 全ページのリダイレクトを確認
- □ リダイレクトチェーンがないか確認
- □ HTTPステータスコードが301であることを確認
サーチコンソール
- □ アドレス変更ツールを実行
- □ 新サイトのXMLサイトマップを送信
その他
- □ Googleビジネスプロフィールの更新
- □ SNSプロフィールの更新
- □ 外部サービス(決済、メール等)の設定更新
移転後チェックリスト
即時確認(移転当日〜翌日)
- □ リダイレクトの動作確認
- □ 主要ページの表示確認
- □ フォーム、決済等の機能確認
- □ サーチコンソールでエラー確認
短期確認(1週間〜1ヶ月)
- □ インデックス状況の推移確認
- □ 検索順位の推移確認
- □ オーガニック流入の推移確認
- □ 被リンクの移行状況確認
- □ 404エラーの発生確認・対処
中長期確認(1〜3ヶ月)
- □ インデックスの完全移行確認
- □ 検索順位の安定確認
- □ 旧ドメインのインデックス解除確認
- □ 被リンクの移行完了確認
よくある質問(FAQ)
Q1: サイト移転でSEO評価は必ず下がりますか?
A: 正しい手順で移転を行えば、SEO評価を大きく損なうことなく引き継ぐことができます。一時的な順位下落は発生することがありますが、通常1〜4週間で回復します。ただし、リダイレクト設定のミスやコンテンツの大幅な変更があると、回復に時間がかかったり、評価が下がったりする可能性があります。
Q2: 301リダイレクトはどのくらいの期間維持すべきですか?
A: 最低1年間は維持することを推奨します。被リンクが多いサイトや長期間運営していたサイトでは、永続的に維持することが望ましいです。旧ドメインを放棄すると、リダイレクトが機能しなくなり、被リンクの価値が失われます。
Q3: 302リダイレクトを使ってしまいました。どうすればいいですか?
A: すぐに301リダイレクトに変更してください。302は一時的な移動を意味するため、SEO評価が引き継がれません。変更後、サーチコンソールでURL検査を実行し、Googleに変更を通知することをおすすめします。
Q4: すべてのページを1対1でリダイレクトする必要がありますか?
A: 理想的には1対1のリダイレクトが望ましいです。ただし、削除するページや統合するページは、最も関連性の高いページにリダイレクトしてください。すべてをホームページにリダイレクトすると、Googleに「ソフト404」として扱われる可能性があります。
Q5: サーチコンソールのアドレス変更ツールは必須ですか?
A: 必須ではありませんが、使用を強く推奨します。アドレス変更ツールを使用すると、Googleが移転を認識し、インデックスの移行が促進されます。301リダイレクトだけでも移行は行われますが、時間がかかる可能性があります。
Q6: 移転後、旧ドメインはいつ解約してもいいですか?
A: リダイレクトを維持するためには、旧ドメインの所有を継続する必要があります。最低1年間は維持し、インデックスが完全に移行し、被リンクも十分に移行されたことを確認してから解約を検討してください。被リンクが多いサイトでは、永続的な維持を推奨します。
Q7: 移転後に順位が回復しない場合はどうすればいいですか?
A: まず、リダイレクト設定を再確認してください。Screaming Frogで旧URLをクロールし、すべてが正しくリダイレクトされているか確認します。また、サーチコンソールでエラーがないか、インデックスカバレッジレポートを確認してください。問題が見つからない場合は、Googleコアアップデートなど他の要因の影響も検討します。
Q8: ドメイン変更と同時にサイトをリニューアルしても大丈夫ですか?
A: 可能であれば、ドメイン変更とサイトリニューアルは分けて行うことを推奨します。同時に行うと、問題発生時に原因の特定が困難になります。やむを得ず同時に行う場合は、サイトリニューアル時のSEO対策も併せて参照し、十分な準備と監視体制を整えてください。
まとめ:計画的な移転でSEO評価を維持する
サイト移転・ドメイン変更は、SEOにとって大きなリスクを伴う作業ですが、正しい手順で実行すれば、評価を引き継いで新しいスタートを切ることができます。本記事で解説した内容をまとめると、以下のポイントが重要です。
サイト移転成功の5つの原則
- 事前準備を徹底する
- 現状のSEO状況を記録
- 完全なURLマッピングを作成
- バックアップを取得
- 301リダイレクトを正しく設定する
- すべてのURLを1対1でリダイレクト
- 302ではなく301を使用
- リダイレクトチェーンを避ける
- サーチコンソールを活用する
- アドレス変更ツールを実行
- 新サイトのXMLサイトマップを送信
- エラーを監視
- 被リンク評価を確実に引き継ぐ
- 301リダイレクトの維持
- 主要な外部サイトへの更新依頼
- 被リンク状況のモニタリング
- 移転後のモニタリングを継続する
- インデックス状況の確認
- 検索順位の追跡
- 問題発生時の迅速な対応
今日から始められるアクション
- 現状把握:サーチコンソールとAhrefs等で現在のSEO状況を記録
- URL一覧作成:Screaming Frogでサイト全体をクロールし、URL一覧を作成
- マッピング表作成:旧URL→新URLの対応表をスプレッドシートで作成
- スケジュール策定:移転の実施日、モニタリング期間を決定
- チェックリスト準備:本記事のチェックリストを活用して準備状況を確認
サイト移転は、テクニカルSEOの中でも特に重要かつ複雑な作業です。301リダイレクトの正しい理解、インデックス登録の仕組みの理解、被リンクの重要性の認識が、成功の鍵となります。
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