SEO担当者の採用・育成|社内にSEOチームを作るためのロードマップ
「SEOは外注した方が早いのか」「社内で担当者を採用して育てるべきか」。 SEOに本腰を入れようとした企業が、必ずぶつかる壁です。 そして多くの企業が、次のどちらかでつまずきます。
- 採用したが、何をさせれば成果が出るのか分からず“なんとなく更新”で終わる
- 外注に任せきりで、社内に知見が残らず、コストだけが積み上がる
しかし、SEOは「施策」ではなく運用能力です。 正しく言うと、SEOで成果を出し続ける企業は、社内に 戦略・制作・技術・分析を回す仕組みを持っています。 チームとして回せるようになると、外注に依存しない“強い集客資産”が積み上がります。
この記事では、社内にSEOチームを作るために必要な要素を、 採用・育成・体制構築のロードマップとして整理します。 初めて担当者を置く会社でも、すでに1名いる会社でも、 「次に何を整えるべきか」が分かるように、実務の粒度で解説します。
なお、SEOの基本(検索順位が決まる仕組み・何を改善すると評価されるのか)を先に押さえておくと、 採用要件やチーム設計の理解が早くなります。 必要に応じて SEO対策の基本|「ホームページ」で検索上位表示させるために必要な3つのこと も参照してください。
まず結論:SEO担当者は「一人で何でもやる人」では成果が出にくい
採用で最初に起きがちな誤解は、「SEO担当者を1人雇えば、SEOは回る」という考え方です。 実際には、SEOは少なくとも次の4領域が絡みます。
- 戦略:狙う市場・キーワード・優先順位・勝ち筋の設計
- コンテンツ:記事・ページ制作、編集、品質管理、更新運用
- テクニカル:サイト構造、内部リンク、速度、インデックス最適化
- 分析:Search Console/GA4等での計測、改善仮説、検証
どれか1つが欠けると、伸びにくくなります。 例えば、コンテンツだけ増やしても、内部構造が弱ければ評価が分散します。 逆にテクニカルだけ整えても、そもそも検索意図を満たすコンテンツがなければ上がりません。
だから、社内SEOチーム作りの第一歩は「人を採ること」ではなく、 自社に必要な役割を分解して、現実的な体制に落とすことです。
ロードマップ全体像:0→1、1→3、3→5で考える
社内SEO体制は、会社規模やフェーズによって最適解が変わります。 そこで、ロードマップを3段階で整理します。 (この考え方で進めると、採用も育成もムダが減ります)
フェーズA:0→1(まず“勝ち筋”を作る)
- 社内にSEO経験者がいない/兼務のみ
- 外注依存が強い
- まずは成果が出る型を作る段階
フェーズB:1→3(運用を回し、再現性を作る)
- 担当者が1名いるが属人化している
- 記事が増えても成果が安定しない
- 制作・分析・改善のサイクルを仕組みにする段階
フェーズC:3→5(専門分化し、成果を伸ばし続ける)
- コンテンツ量が増え、品質管理がボトルネック
- 技術改善・データ活用・CROまで手が回らない
- 役割分担で“伸び続ける組織”にする段階
この記事では、このフェーズごとに 「誰を採るべきか」「何を育成すべきか」「どう回すべきか」を具体化していきます。
採用前に必ず決めるべき3つのこと(ここが曖昧だと採用も育成も失敗する)
1)SEOの目的は「順位」ではなく「事業成果」か
SEO担当者に何を求めるかは、目的で変わります。 例えば、社内で順位報告だけが求められる会社では、改善が止まります。 逆に、問い合わせ・商談・売上に紐づく設計ができる会社は伸びます。
この前提整理が弱い場合は、まずSEOの基本構造を揃えるのが先です。 SEO対策の基本 にあるように、SEOは「正しく作って、正しく伝える」運用です。
2)コンテンツ主導か、テクニカル主導か(現状課題で決める)
採用要件は、現状課題で決めるのが正解です。 例えば次のように切り分けます。
- 記事が少ない/情報が弱い → 編集・ライティング主導を強化
- 記事はあるが伸びない → 内部リンク・構造・改善運用を強化
- 流入はあるが問い合わせが弱い → 導線・比較・信頼設計を強化
特に内部構造の改善は、成果を底上げしやすい領域です。 例えば内部リンクは、評価の集約と回遊の両方に効きます。 概念を押さえておくと採用面接の質が上がるので、 内部リンクの貼り方完全ガイド も参照してください。
3)外注を“ゼロ”にするのか、“併用”するのか
現実的には、最初から外注ゼロはおすすめしません。 理由は、採用・育成に時間がかかる一方で、SEOは積み上げが必要だからです。
典型的な勝ちパターンは、 社内が方針と品質を握り、外注で制作・実装を加速する形です。 広告とのバランスも含めた判断は、 リスティング広告とSEOどっちをやるべき? の考え方が、そのまま組織設計にも応用できます。
フェーズA(0→1):最初に採るべきSEO人材は誰か
0→1で最重要なのは、記事を増やすことでも、レポートを作ることでもありません。 「勝ち筋の型」を作ることです。 ここでミスると、1年経っても成果が出ず「SEOは難しい」で終わります。
0→1で採用するなら「SEO戦略×編集」のハイブリッドが最優先
最初の1名におすすめなのは、次を両方できるタイプです。
- 狙うテーマ・キーワードを、事業成果から逆算できる
- コンテンツの構成を作り、品質の基準を決められる
「テクニカルが強い人」だけを最初に採ると、 施策は綺麗に整いますが、コンテンツの量と質が増えず伸び悩むことがあります。 逆に「ライター型」だけを採ると、量は増えますが設計が弱く、評価が分散します。 だから0→1は、戦略と編集を握れる人が最優先です。
採用が難しい場合の現実解:社内編集+外部SEO監修
ハイブリッド人材は市場に少なく、採用難易度が高いです。 その場合は、社内で編集担当(制作ディレクション)を置き、 外部でSEO監修(戦略・レビュー)を併用する形が現実的です。
ただしこの場合でも、社内側が最低限のSEO土台を理解していないと、 監修の意図が伝わらず、記事が“上がらない量産”になりがちです。 その土台としては SEO対策の基本 と ブログ更新はSEOに効果あり? を社内共通言語にするのが効果的です。
SEOチームの役割設計|社内で“回る”最小構成はこう作る
社内SEOチームは、いきなりフルメンバーを揃えるより、 「最小構成 → 成果が出たら拡張」が失敗しにくいです。 ここでは、最小構成の考え方と、役割ごとの採用要件を整理します。
最小構成(おすすめ):戦略/編集(1名)+技術/実装(兼務 or 外注)
社内に最低限必要なのは、次を握る人です。
- 何を狙うか(テーマ・キーワード・優先順位)
- 何を作るか(記事・ページ設計、品質基準)
- どう改善するか(データ→仮説→改善)
一方で、テクニカル実装は、社内のWeb担当や制作会社と連携すれば回せるケースがあります。 ただし「構造を理解して指示できること」は必須です。 例えば内部リンクの設計思想がなければ、指示は形だけになります。 このあたりは 内部リンクの貼り方完全ガイド と サイトマップ(XML/HTML)とは? を理解しているかで、担当者の質が見えます。
採用で失敗しない:SEO担当者に必要なスキルを「できること」で定義する
SEO採用でありがちな失敗は、「SEO経験3年以上」など曖昧な要件で採ってしまうことです。 SEOは会社によってやり方が違うため、年数だけでは判断できません。 代わりに、次のように“できること”で定義してください。
必須スキル(フェーズA〜Bの共通)
- 検索意図を分解し、記事の構成に落とせる
- 競合を見て「勝ち筋(差別化)」を言語化できる
- 優先順位を付け、やらないことを決められる
- Search Console/GA4を見て、改善仮説を立てられる
- 社内関係者(営業・CS・制作)と合意形成できる
あると強いスキル(フェーズB〜Cで効く)
- 情報設計(カテゴリ設計、回遊設計、内部リンク戦略)
- テクニカルSEO(インデックス、構造化、速度、CWV)
- 編集力(一次情報、比較、信頼設計、読了率の改善)
- アクセシビリティやUXを踏まえた改善(SEOにも効く)
特に最近は、UX・アクセシビリティの改善がSEOにも直結するケースが増えています。 例えば「誰にでも使いやすいサイト」が結果的に評価されやすい、という文脈は アクセシビリティ対応の重要性|誰にでも使いやすいウェブサイトがSEOに強い理由 が参考になります。
面接で見抜く:SEO担当者の実力が分かる質問テンプレ
ここからは、採用面接でそのまま使える質問例です。 ポイントは「知識」ではなく「思考プロセス」を見ることです。 SEOは正解が一つではないため、過去の武勇伝より、仮説の立て方が重要です。
質問1:最近のSEOで、あなたが重要だと思う“勝ちパターン”は何ですか?
期待する回答は、次のいずれかが具体的に語れることです。
- 検索意図→構成→一次情報で満たす
- 内部リンクで評価を集約し、回遊で理解を深める
- カテゴリ設計とサイト構造でインデックス効率を上げる
- 数字(CTR/滞在/遷移)を見て改善する
質問2:新規サイトのSEOを任されたら、最初の30日で何をしますか?
ここで「記事を量産します」だけなら要注意です。 戦略(どこで勝つか)と土台(構造・計測)を先に整える発想があるかを見ます。 たとえば、サイトマップやパンくずなど、基本要素を自然に挙げられるかは重要です。 パンくずリストとは? や サイトマップ(XML/HTML)とは? を踏まえた回答が出ると、実務経験の信頼度が上がります。
質問3:記事が伸びないとき、何を見て、どう改善しますか?
ここで「被リンクを増やす」しか出ない場合は危険です。 望ましいのは、検索意図・競合比較・内部リンク・タイトル/見出し・導線を分解して改善する発想です。 ブログ運用の現実的な改善の考え方は ブログ更新はSEOに効果あり? にも通じます。
質問4:SEO施策を社内で通すとき、どう合意形成しますか?
SEO担当者の成果は、本人の能力だけでなく「社内で動かせるか」で決まります。 ここで、関係者(営業・CS・制作)を巻き込み、優先順位を作る説明ができる人は強いです。
採用後に伸びる人・伸びない人の違い(育成の前提)
伸びる人の特徴
- 「なぜ」を掘り下げ、仮説と検証で進められる
- 読者目線で、一次情報・比較・不安解消を設計できる
- 社内で意思決定を動かすコミュニケーションができる
伸びない人の特徴(採用時点で注意)
- 順位の話だけで、事業成果(問い合わせ)に接続できない
- 施策が“チェックリスト作業”で、背景説明がない
- ブラックボックス施策を正当化しがち
なお、企業の信用に関わる検索結果(社名+ネガティブワード等)をどう扱うかは、 SEO担当者のリスク感度が問われます。 ブランド検索の扱いについては サジェスト汚染とは?会社名で検索した時のネガティブワード対策と逆SEO も参考になります。
育成ロードマップ:SEO担当者の90日オンボーディング(これで“社内で回る”状態に近づく)
SEO担当者を採用できても、成果が出るかは育成設計で決まります。 特に最初の90日は、担当者の成長速度と、その後の運用品質を左右します。 ここでは「90日で最低限ここまで到達させる」という実務ロードマップを提示します。
0〜14日:現状理解と共通言語づくり
- 事業理解:利益が出る商品/サービス、勝ちパターン、顧客の悩み
- 顧客理解:問い合わせ理由、失注理由、比較される競合
- 現状把握:Search Console/GA4の導入状況、主要流入ページ、伸びているテーマ
- 共通言語:社内で使うSEO用語と判断基準(何をもって“良い記事”とするか)
この段階での教材としては、 SEO対策の基本 と ブログ更新はSEOに効果あり? を社内の共通言語にするのが有効です。 SEO担当者だけが分かっていても、制作や営業が理解していなければ運用は回りません。
15〜45日:勝ち筋の仮説→小さく作って検証
- 狙うテーマを3〜5領域に絞る(“全部やる”はやらない)
- 各テーマで「読者が本当に知りたいこと」を分解し、構成テンプレを作る
- 既存記事の改善(タイトル・見出し・追記・導線)で伸びを作る
- 内部リンク設計を見直し、評価を集約する
ここで重要なのは、記事をただ増やすのではなく、 サイト全体として強くすることです。 特に内部リンクは、社内運用に組み込むべき基本動作です。 概念と実装の考え方は 内部リンクの貼り方完全ガイド を前提に、社内ルール(どこに、どんな文脈で貼るか)を決めてください。
また、回遊を作るうえでは、パンくずやサイトマップの整備も土台になります。 パンくずリストとは? と サイトマップ(XML/HTML)とは? の内容を踏まえて、担当者が改善指示を出せる状態にしておくと、運用が安定します。
46〜90日:運用を仕組みにして、属人化をなくす
- 月次の改善サイクル(分析→仮説→実行→検証)を定例化
- 記事制作フロー(企画→構成→執筆→編集→公開→追記)を型化
- 品質基準(一次情報、比較、根拠、読者の不安解消、導線)をチェックリスト化
- ナレッジ共有(失敗事例、成功事例、テンプレ)を社内に残す
KPI設計:SEO担当者を「順位」で評価しない(評価制度が育成を壊す)
SEO担当者を育てる上で致命的なのが、評価を順位だけにしてしまうことです。 順位は重要ですが、アルゴリズム変動や競合施策でブレます。 順位だけ評価にすると、短期の順位操作や、売上に繋がらないキーワードを追う動機が生まれます。
おすすめは、KPIを「行動KPI」「中間KPI」「成果KPI」で分けることです。
行動KPI(担当者がコントロールできる)
- 企画数、構成作成数、公開数、リライト数
- 内部リンクの最適化数(ルールに基づく)
- 改善提案数(データを根拠にしたもの)
中間KPI(改善の兆し)
- Search Console:表示回数、平均掲載順位、CTR
- GA4:自然検索流入、エンゲージメント、回遊(次ページ率)
- 上位化したテーマ数(点ではなく面)
成果KPI(事業成果)
- 問い合わせ数、商談数、CVR、売上貢献
- 指名検索の増加(ブランド認知の指標)
広告とSEOの役割分担も評価設計に影響します。 例えば短期成果が必要なら広告で補い、SEOは中長期資産として評価する、という考え方が重要です。 判断軸として リスティング広告とSEOどっちをやるべき? の視点を取り入れると、社内の期待値調整がしやすくなります。
社内SEOチームの運用ルール(これを決めると回り始める)
ルール1:内部リンクは「記事単体」ではなく「導線」として設計する
内部リンクは、単に関連記事を貼る行為ではありません。 読者の意思決定を進める導線であり、Googleに「サイトの重要構造」を伝える仕組みです。 だから、社内では「どんな文脈で、どこに、どの記事へ送るか」をルール化してください。 実務の基準は 内部リンクの貼り方完全ガイド の考え方がそのまま使えます。
ルール2:サイトマップとパンくずは“整備して終わり”ではなく、増えたら更新する
記事が増えるほど、インデックス効率と回遊設計が重要になります。 その土台になるのがパンくずとサイトマップです。 ここを放置すると、増やした記事が評価されない、という悲劇が起きます。 具体の考え方は パンくずリストとは? と サイトマップ(XML/HTML)とは? を前提に、更新ルールを決めてください。
ルール3:品質基準は“編集チェック”として固定化する
社内SEOが崩れる最大の原因は、記事の品質がバラつくことです。 そこで、編集チェック項目を固定化してください。 例えば次のような観点です。
- 読者の不安(費用、手間、失敗、比較)に答えているか
- 一次情報(自社の経験・実例・判断基準)が含まれているか
- 比較軸が明確か(選べる状態にしているか)
- 次に読むべきページへの自然な導線があるか
- 読みにくさ(冗長さ・抽象語)が残っていないか
SEOのために書くのではなく、読者のために書いた結果としてSEOが伸びる—— この原則をチームで共有することが、長期の成果に直結します。
よくあるQ&A(採用・育成の判断で迷いやすい点)
Q. いきなりSEOチームを作るより、外注の方が早いのでは?
短期だけを見ると外注が早いことはあります。 ただし、外注だけに依存すると、社内に知見が残らず、品質判断もできません。 結果として「外注費が固定費化」しやすいです。 おすすめは、社内が方針と品質を握り、外注で制作を加速する併用です。
Q. 採用した担当者が“何をすべきか”分からない状態です
多くの場合、目的と優先順位が言語化されていません。 まずは狙うテーマを絞り、勝ち筋の型を作り、小さく検証してください。 その土台として SEO対策の基本 を共通言語にし、運用を仕組みにするのが近道です。
Q. コンテンツが増えても伸びません。何が原因?
典型は、内部構造(評価の集約)と、検索意図の網羅不足です。 内部リンクの設計が弱いと、評価が分散しやすくなります。 まずは 内部リンク を軸に、回遊設計と評価集約を見直すことをおすすめします。
まとめ|社内SEOチームは「人」ではなく「仕組み」で強くなる
SEO担当者の採用・育成は、単に人を増やす話ではありません。 戦略・制作・技術・分析を回す“仕組み”を作ることが本質です。
0→1では勝ち筋の型を作り、1→3で運用を仕組みにし、3→5で専門分化して伸び続ける組織にする。 このロードマップで進めると、外注依存から脱し、SEOが事業の資産になります。
今日からやるなら、まずは ①目的(事業成果)を定義し、 ②狙うテーマを絞り、 ③内部リンクを含む運用ルールを決める。 ここから始めてください。