動画制作やWebデザインの現場では、完成した動画ファイルをクライアントに納品する場面が頻繁に発生します。しかし、高画質な動画ファイルは数GB〜数十GBにも及ぶことがあり、メール添付では到底送信できません。多くの方が「ギガファイル便」を利用していますが、実はクライアントへの納品方法として、それが最適解とは限りません。
本記事では、大容量動画を送信するための様々な方法を網羅的に解説し、ビジネスシーンでクライアントに好印象を与えるスマートな納品方法をご紹介します。フリーランスの動画クリエイターから制作会社のディレクターまで、あらゆる立場の方に役立つ内容となっています。
実際に映像業界で働くプロフェッショナルの中には、「ギガファイル便で納品したら、クライアントから微妙な反応をされた」という経験を持つ方も少なくありません。特に中堅〜大手企業との取引では、納品方法一つで信頼度が変わることもあるのです。
この記事でわかること
- 大容量動画ファイルが送れない理由と基礎知識
- 無料で使えるファイル転送サービスの比較と使い分け
- クラウドストレージを活用したプロフェッショナルな納品方法
- 映像プロ御用達の専門ツール紹介
- クライアント別・シーン別の最適な納品方法
- 納品時のマナーとセキュリティ対策
なぜ大容量動画はメールで送れないのか
まず、なぜ動画ファイルがメールで送れないのかを理解しておきましょう。動画ファイルの容量は、解像度、フレームレート、ビットレート、コーデック、そして再生時間によって決まります。フルHD(1920×1080)の動画でも数分で数百MBに達し、4K動画ともなれば1分で1GB以上になることも珍しくありません。
一方、主要なメールサービスの添付ファイル上限は以下の通りです。
| メールサービス | 添付ファイル上限 |
|---|---|
| Gmail | 25MB |
| Outlook | 20MB |
| Yahoo!メール | 25MB |
| iCloudメール | 20MB |
このように、一般的なメールサービスでは25MB程度が上限となっており、動画ファイルを直接添付して送信することは現実的ではありません。そのため、大容量ファイルを送信するための専用サービスやツールが必要になるのです。
また、メール添付にはセキュリティ上のリスクもあります。誤送信した場合に取り消しができない、添付ファイルがウイルススキャンで弾かれる可能性がある、といった問題も無視できません。こうした理由からも、専用のファイル転送サービスやクラウドストレージの活用が推奨されています。
動画ファイルの容量目安
参考までに、一般的な動画ファイルの容量目安をご紹介します。
- フルHD(1920×1080)30fps: 1分あたり約100〜200MB
- フルHD(1920×1080)60fps: 1分あたり約150〜300MB
- 4K(3840×2160)30fps: 1分あたり約300〜500MB
- 4K(3840×2160)60fps: 1分あたり約500〜800MB
これは一般的なMP4(H.264)でエンコードした場合の目安です。ProResやRAWで撮影した素材は、これよりもはるかに大きくなります。
無料ファイル転送サービスの比較
大容量ファイルを送信する際、最も手軽に利用できるのが無料のファイル転送サービスです。ここでは代表的なサービスを比較し、それぞれの特徴と使い分けを解説します。
ギガファイル便(GigaFile便)
ギガファイル便は、日本国内で最も知名度の高いファイル転送サービスです。会員登録不要で、1ファイルあたり最大300GBまでの大容量ファイルを無料で転送できる点が最大の特徴です。2009年からサービスを提供しており、長年の実績があります。株式会社ギガファイルが運営する国産サービスで、国内サーバーを使用しています。
【メリット】
- 完全無料で300GBまで送信可能
- 会員登録不要で即座に利用開始
- 保存期間は3日〜100日まで柔軟に設定可能
- 複数ファイルをまとめてZIP圧縮する機能あり
- ダウンロードパスワードの設定が可能
- ダウンロード通知機能あり
- iOSアプリも提供されている
【デメリット】
- サイト上の広告が多く、操作画面が見づらい
- ビジネス利用時にプロフェッショナル感に欠ける
- セキュリティ面での不安が残る
- 初めて使う人は広告に惑わされやすい
ギガファイル便は個人利用や友人間でのファイル共有には非常に便利ですが、企業クライアントへの納品には「え?」という反応をされることもあります。特に中堅〜大手企業との取引では、別の方法を検討した方が良いでしょう。Yahoo!知恵袋などでも「ギガファイル便で納品したら微妙な反応をされた」という声が見られます。
【ギガファイル便の使い方】
- ギガファイル便のサイト(gigafile.nu)にアクセス
- 保存期間を選択(3日〜100日)
- ファイルをドラッグ&ドロップでアップロード
- 必要に応じてパスワードを設定
- 発行されたURLをクライアントにメールで送信
firestorage(ファイヤーストレージ)
firestorageは2008年から提供されている老舗のファイル転送サービスです。無料版では1ファイル2GBまでの転送が可能で、法人向けプランも用意されています。ロジックファクトリー株式会社が運営する国産サービスです。
【メリット】
- アップロード時に自動ウイルススキャン機能
- ダウンロードリンクの短縮版を自動生成
- 法人プランではアクセスログ管理が可能
- サイトの動作が安定している
- ダウンロードページにメッセージを表示できる
【デメリット】
- 無料版は1ファイル2GBまでの制限
- 無料版の保存期間は最大7日間
firestorageは、セキュリティ面を重視する方におすすめです。ウイルススキャン機能があるため、受け取る側も安心してダウンロードできます。ただし、2GB以上のファイルを送りたい場合は、有料プラン(月額1,037円〜)への加入が必要です。法人プランでは、100アカウントで月額54,780円から利用可能で、SSL暗号化通信やアクセスログ管理などのセキュリティ機能が充実しています。
データ便
データ便は2004年から提供されている国産のファイル転送サービスで、月間500万人以上が利用しています。直感的に使える操作性と高いセキュリティ性能が特徴です。株式会社ファルコが運営しています。
【メリット】
- シンプルで使いやすいインターフェース
- 無料会員登録で最大5GBまで送信可能
- 法人利用実績が豊富
- 広告が比較的少なく見やすい
【デメリット】
- 無登録では500MBまでの制限
- 大容量ファイルには有料プランが必要
おくりん坊
おくりん坊は、シンプルなデザインで操作が直感的なファイル転送サービスです。PCに不慣れな方でも使いやすいと評判で、広告と操作画面が明確に分かれている点も特徴です。
【特徴】
- 会員登録不要で500MBまで送信可能
- 会員登録すると2GBまで容量アップ
- 初心者向けのわかりやすいUI
無料ファイル転送サービス比較表
| サービス名 | 最大容量 | 保存期間 | 会員登録 | パスワード設定 |
|---|---|---|---|---|
| ギガファイル便 | 300GB | 最大100日 | 不要 | ○ |
| firestorage | 2GB(無料) | 最大7日 | 不要 | ○ |
| データ便 | 5GB(無料会員) | 最大7日 | 任意 | ○ |
| おくりん坊 | 2GB(会員) | 最大7日 | 任意 | ○ |
クラウドストレージを活用した納品方法
ファイル転送サービスとは異なり、クラウドストレージを活用した納品方法は、よりプロフェッショナルな印象を与えることができます。継続的なクライアントとの関係構築にも適しています。また、ファイル転送サービスは「送って終わり」の一方通行ですが、クラウドストレージなら双方向のやり取りが可能です。
Google ドライブ
Google ドライブはGoogleアカウントがあれば誰でも利用でき、無料で15GBのストレージを使用できます。GmailやGoogle Workspaceとの連携も強力で、多くのビジネスシーンで活用されています。
【特徴】
- 無料で15GB、有料プラン(Google One)で最大30TBまで
- 共有リンクの権限を細かく設定可能(閲覧のみ・編集可など)
- 動画のプレビュー再生に対応
- Googleアカウントを持つクライアントなら直接ダウンロード可能
- フォルダ単位での共有も可能
- Google Workspaceを導入している企業との親和性が高い
特にGoogleアカウントを業務で使用しているクライアントには、Google ドライブでの納品が最もスムーズです。共有フォルダを作成すれば、継続的なやり取りにも対応できます。
【活用のコツ】
- プロジェクトごとにフォルダを作成し、整理整頓を心がける
- 共有リンクには有効期限を設定する
- 大切なファイルは「閲覧のみ」で共有し、誤編集を防ぐ
Dropbox
Dropboxはファイル同期と共有に特化したクラウドストレージで、直感的でシンプルな操作が特徴です。特にDropbox Transferは大容量ファイルの送信に最適化されており、クリエイティブ業界で広く使われています。
【Dropbox Transferの特徴】
- Professionalプランで最大250GBまで送信可能
- ダウンロードページのブランドカスタマイズが可能
- パスワード保護と有効期限の設定
- ダウンロード通知機能
- 受け取り側はDropboxアカウント不要
Dropbox Transferのダウンロードページはカスタムブランド設定が可能で、自社のロゴやカラーを反映できます。これにより、クライアントが最初にファイルを受け取る瞬間から、プロフェッショナルな印象を与えることができます。
また、通常のDropboxストレージとしての利用では、最大2TBまで一度にアップロードでき、1日あたりの容量制限もありません。Google ドライブの1日750GB制限と比較すると、大容量ファイルを扱う映像制作者にとっては大きなアドバンテージです。
Box
Boxは企業向けのセキュリティ対策が充実したクラウドストレージです。ワークフロー管理やチーム管理機能があり、大企業との取引が多い場合に特に適しています。
【特徴】
- アカウントの種類により最大150GBまでアップロード可能
- Boxアカウントを持たない相手にも送信可能
- カスタマイズ可能なアクセス権限
- データ暗号化とパスワード保護
- Slack、Gmail、Salesforceなど多くのサービスと連携
- 契約企業の約半数が金融業界(高いセキュリティ信頼性)
クラウドストレージ比較表
| サービス | 無料容量 | 有料プラン | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| Google ドライブ | 15GB | 月額250円〜 | Google連携が強力 |
| Dropbox | 2GB | 月額1,500円〜 | 同期速度が速い |
| Box | – | 月額1,800円〜 | セキュリティ重視 |
| OneDrive | 5GB | 月額224円〜 | Microsoft連携 |
映像プロ御用達の専門ツール

本格的な映像制作の現場では、単にファイルを送るだけでなく、試写やフィードバックのやり取りを効率化するツールが求められます。ここでは、映像プロフェッショナルに支持されている専門ツールを紹介します。
Vimeo
Vimeoは、YouTubeとは異なりクリエイター向けに特化した動画プラットフォームです。広告が表示されないため、クライアントへの試写や納品に最適です。
【試写・納品に最適な理由】
- 広告が一切表示されない
- パスワード保護付きの限定公開が可能
- ダウンロードせずにブラウザで高画質プレビュー
- iPad・スマホでも快適に視聴可能
- 有料プランでダウンロード機能も提供
- 動画の画質・プレゼンテーションにこだわりがある
ギガファイル便などのファイル転送サービスでは、クライアントが一度ダウンロードしてから動画を確認する必要があります。一方Vimeoなら、URLとパスワードを送るだけで、クライアントはどんなデバイスでもすぐに動画を確認できます。複数の関係者でチェックする場合も、URLを共有するだけで済むため非常にスムーズです。
YouTubeの限定公開でも同様のことは可能ですが、既存の音楽を使用していると広告が表示されたり、最悪の場合は音がミュートされてしまうことがあります。Vimeoならそうした心配がありません。
【料金プラン】
- 無料: 500MB/週、合計5GBまで
- Plus: 月額700円程度、5GB/週
- Pro: 月額2,000円程度、20GB/週、ダウンロード可能
Frame.io
Frame.ioは、映像制作におけるレビューとコラボレーションに特化したクラウドツールです。Adobe Creative Cloud(Premiere Pro、After Effects)やFinal Cut Proと連携し、編集ソフトから直接動画をアップロードしてクライアントと共有できます。
【主な機能】
- タイムコードに紐づいたコメント機能
- 画面上に直接描画して指示を出せる
- バージョン管理の自動化
- 承認ワークフロー機能
- Adobe CCユーザーは100GBまで無料
Frame.ioの最大の強みは、「何分何秒のこのシーンを修正」といった指示をフレーム単位で正確に伝えられることです。従来のメールやチャットでのやり取りでは、修正指示を取りまとめる作業だけでも大きな負担でしたが、Frame.ioを導入すればオンライン上でスマートに修正指示をまとめることが可能になります。
クライアント側にアカウントがなくても、共有リンクからコメントを残すことができます。フィードバックが一箇所に集約されるため、「どの部分の指摘だったか?」と迷う心配もありません。
【料金プラン】
- 無料(Adobe CC付属): 2ユーザー、5プロジェクト、100GB
- Pro: 月額15ドル程度、5ユーザー、2TB
- Team: 月額25ドル/ユーザー程度、15ユーザー、3TB
MASV
MASVは、映像・放送業界向けの高速大容量ファイル転送サービスです。ファイルサイズに制限がなく、独自のアクセラレーション技術により、通常のクラウドサービスよりも高速にファイルを転送できます。
【特徴】
- ファイルサイズ無制限
- 従量課金制(1GBあたり約0.25ドル)
- Frame.ioやクラウドストレージとの統合
- 回線切断時の自動再開機能
- ソフトウェアインストール不要
- グローバルなネットワークで高速転送
MASVは、数十GB〜数百GBの超大容量ファイルを扱う場合や、海外との やり取りが多い場合に特に威力を発揮します。
クライアント別・シーン別の最適な納品方法
ここまで様々なツールやサービスを紹介してきましたが、実際にどの方法を選ぶべきかは、クライアントの属性や案件の性質によって異なります。以下に、典型的なシーン別の推奨方法をまとめます。
個人・小規模事業者のクライアント
推奨: Google ドライブ or ギガファイル便
個人事業主や小規模事業者との取引では、相手がITツールに詳しくない場合も多いです。Googleアカウントを持っている方が多いため、Google ドライブでの共有が最もスムーズです。クライアントがGoogleアカウントを持っていない場合や、一度きりの納品であればギガファイル便も選択肢になります。
ポイントは、クライアントの負担を最小限にすること。会員登録が必要なサービスは避け、URLをクリックするだけでダウンロードできる方法を選びましょう。
中堅〜大手企業のクライアント
推奨: Dropbox Transfer or Box
企業との取引では、セキュリティとプロフェッショナル感が重要です。ギガファイル便は「セキュリティが不安」「見た目がカジュアルすぎる」という印象を持たれることがあります。Dropbox Transferならブランドカスタマイズも可能で、第一印象で差をつけることができます。
また、クライアント側が既にBoxやDropboxを導入している場合は、それに合わせるのがスマートです。事前に確認しておくと良いでしょう。
なお、企業によっては特定のファイル転送サービスの利用を禁止している場合があります。情報システム部門のポリシーを事前に確認することをおすすめします。
広告代理店・制作会社のクライアント
推奨: Vimeo + Frame.io
映像のプロが関わる案件では、試写と修正のやり取りが多発します。Vimeoで限定公開して試写を行い、修正指示はFrame.ioでやり取りするワークフローが効率的です。Frame.ioなら「2分30秒のこのカット」といった具体的な指示がタイムコード付きで残るため、認識の齟齬を防げます。
このワークフローは、以下のようなメリットがあります。
- ダウンロード不要で即座に確認可能
- 複数の関係者が同時にレビュー可能
- 修正指示が一箇所に集約される
- バージョン管理が自動化される
- 承認のエビデンスが残る
継続取引のクライアント
推奨: 専用の共有フォルダを作成
継続的に取引があるクライアントとは、Google ドライブやDropboxに専用の共有フォルダを作成しておくと便利です。「2025年1月_プロジェクトA」のようにフォルダを整理しておけば、過去の納品物を探す手間も省けます。また、クライアントからの素材受け取りにも同じフォルダを活用できます。
フォルダ構成の例:
クライアント名/
├── 2025年/
│ ├── 01月_プロジェクトA/
│ │ ├── 素材/
│ │ ├── 編集中/
│ │ └── 納品/
│ └── 02月_プロジェクトB/
└── 共有資料/
クラウドワークス・ランサーズなどの案件
推奨: Google ドライブ + ギガファイル便(バックアップ)
クラウドソーシングサイトでの案件では、プラットフォーム上の納品機能には100MBなどの制限があることが多いです。大容量の動画ファイルは、Google ドライブやギガファイル便で別途送付し、プラットフォーム上では軽いチェック用のファイルで納品を完了させるのが一般的な方法です。
納品時のマナーとベストプラクティス
どのツールを使う場合でも、納品時には以下の点に注意することで、クライアントからの信頼を高めることができます。
わかりやすいファイル名を付ける
「final_v3_最終版(2).mp4」のような混乱を招くファイル名は避けましょう。「20250120_企業紹介動画_FHD_v1.mp4」のように、日付・内容・解像度・バージョンを含めた命名規則を統一すると、クライアント側での管理も容易になります。
推奨のファイル命名規則:
日付_プロジェクト名_解像度_バージョン.拡張子- 例:
20250120_会社紹介_4K_v2.mp4 - 例:
20250120_CM15秒_FHD_final.mp4
納品メールには必要情報を漏れなく記載
納品メールには以下の情報を必ず含めましょう。
- ダウンロードURL
- パスワード(別メールで送ることを推奨)
- ダウンロード期限
- ファイル形式と解像度
- ファイルサイズ(大容量の場合は特に)
- 動画の尺(長さ)
- 確認いただきたいポイント(初回納品の場合)
納品メールの例文:
件名:【納品】企業紹介動画_v1
○○様
お世話になっております。
ご依頼いただいておりました企業紹介動画の初稿が完成いたしましたので、
納品させていただきます。
■ダウンロードURL
https://xxxxx.xxx/xxxxx
■パスワード
別途メールにてお送りいたします
■ダウンロード期限
2025年1月27日(月)まで
■ファイル情報
・ファイル名:20250120_企業紹介動画_FHD_v1.mp4
・形式:MP4(H.264)
・解像度:1920×1080(フルHD)
・尺:3分25秒
・ファイルサイズ:約450MB
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
修正点等ございましたら、お気軽にお申し付けください。
ダウンロード確認の仕組みを活用
多くのサービスにはダウンロード通知機能があります。ギガファイル便でもfirestorageでも、ダウンロード完了時に通知を受け取る設定が可能です。クライアントがダウンロードし忘れている場合は、リマインドの連絡を入れましょう。特に期限切れでファイルが消えてしまうと、再アップロードの手間が発生します。
試写と納品を分ける
試写(確認用)と本納品(最終納品)は明確に分けることをおすすめします。
- 試写時: Vimeoの限定公開やFrame.ioで、ストリーミング視聴できる形で共有。これならダウンロードの手間なく、クライアントはすぐに確認できます。
- 本納品時: 最終OKをもらった後に、高画質のオリジナルファイルをダウンロード形式で納品。
この分け方により、修正のやり取り中に大容量ファイルを何度もアップロード・ダウンロードする手間が省けます。
セキュリティに関する注意点
大容量ファイルの送信には、セキュリティ面での配慮も欠かせません。特に企業のプロモーション動画や、未公開製品の情報を含む映像を扱う場合は、以下の点に注意しましょう。
パスワードの設定
可能な限りダウンロードにパスワードを設定し、URLとは別の手段(電話や別メール)でパスワードを伝えましょう。これは「PPAP問題」への対策でもあります。
ただし、近年はPPAP(パスワード付きZIPをメールで送り、パスワードを別メールで送る方式)のセキュリティ上の問題が指摘されています。より安全なのは、クラウドストレージの共有機能を使い、アクセス権限で相手を限定する方法です。
適切な保存期間
必要以上に長い保存期間を設定しない。機密性の高いファイルは短い期限(3〜7日)を設定しましょう。長期間サーバー上に残っていると、それだけ情報漏洩のリスクが高まります。
転送後の削除
クライアントがダウンロード完了したら、サーバー上のファイルを削除する習慣をつけましょう。多くのサービスでは、手動で削除しない限りファイルが保存期間中ずっと残っています。
会社のポリシー確認
クライアント企業によっては、特定のファイル転送サービスの利用を禁止している場合があります。事前に確認しましょう。特に金融機関や官公庁、大手企業では、無料のファイル転送サービスの利用が禁止されていることが多いです。
シャドーIT化の防止
組織として動画制作を請け負う場合は、使用するファイル転送サービスを社内で統一することも重要です。担当者ごとに異なるサービスを使っていると、セキュリティ管理が困難になります。
動画の圧縮・変換について
納品前に動画を圧縮して容量を小さくしたいという場面もあるでしょう。ただし、動画の圧縮には品質低下のリスクが伴います。
圧縮を検討すべきケース
- クライアントがWeb用途のみで高画質を必要としていない
- クライアントのダウンロード環境(回線速度)が悪い
- 試写確認用のプレビューファイル作成時
圧縮を避けるべきケース
- 最終納品ファイル
- 後工程(編集・グレーディング)がある場合
- クライアントが高画質を求めている場合
圧縮ツールの例
- HandBrake: 無料、多機能、設定が細かくできる
- Adobe Media Encoder: Adobe CCユーザー向け、Premiere Proとの連携が強力
- FFmpeg: コマンドラインツール、上級者向け
なお、ZIP圧縮は動画ファイルにはほとんど効果がありません。動画ファイルは既に圧縮されたフォーマット(H.264など)で保存されているため、ZIP圧縮してもほとんどサイズは変わりません。
まとめ
大容量動画の送信方法は、ギガファイル便だけではありません。クライアントの属性、案件の性質、セキュリティ要件に応じて、最適なツールを選択することが重要です。
ツール選択の早見表
| シーン | 推奨ツール |
|---|---|
| 手軽さ重視・個人向け | ギガファイル便、firestorage |
| プロフェッショナル感重視 | Dropbox Transfer、Box |
| 継続取引・コラボレーション | Google ドライブ、Dropbox |
| 試写・フィードバック効率化 | Vimeo、Frame.io |
| 超大容量・高速転送 | MASV |
| セキュリティ最重視 | Box、法人向けfirestorage |
最終的なポイント
- クライアントの環境を確認する: 相手が普段使っているツールに合わせるのがベスト
- プロフェッショナル感を意識する: 特に新規クライアントとの取引では、納品方法も印象を左右する
- セキュリティを軽視しない: 機密性の高いコンテンツは、適切な保護を施す
- 試写と納品を分ける: 効率的なワークフローのために
- わかりやすいファイル名と納品メール: クライアントの手間を最小限に
納品方法一つで、クライアントからの印象は大きく変わります。「ギガファイル便で送ります」ではなく、クライアントのニーズに合わせた最適な方法を提案できれば、それだけで「このクリエイターは信頼できる」という評価につながります。
ぜひ本記事で紹介した様々なツールを試し、あなたのワークフローに最適な納品方法を見つけてください。スマートな納品は、クライアントとの良好な関係構築の第一歩です。
※本記事の情報は2025年1月時点のものです。各サービスの仕様・料金は変更される可能性があります。最新情報は各サービスの公式サイトをご確認ください。