「動画を外注すると費用がかさむ……」
「社内で作れたら、もっと頻繁に発信できるのに……」
「でも、専門知識がないスタッフに動画編集なんてできるの?」
こんな悩みを抱える企業が増えています。
結論から言うと、動画編集の経験がない社員でも、1週間あれば「会社公式動画」を作れるようになります。
もちろん、いきなりプロ並みのクオリティは難しいでしょう。しかし、「伝わる」「見られる」「恥ずかしくない」レベルの動画であれば、適切な教育ステップとテンプレートがあれば十分に可能です。
この記事では、動画制作の内製化を成功させるための具体的な教育マニュアルを紹介します。1週間のカリキュラム、必要な準備、品質を担保する仕組みまで、実践的なノウハウをお伝えします。
なぜ今、動画制作の内製化なのか

外注から内製へシフトする企業が増えている
動画コンテンツの需要が高まる中、多くの企業が動画制作の内製化に取り組み始めています。
内製化が進む背景:
- 動画の発信頻度が増加:SNS、YouTube、Webサイト、広告……あらゆる場面で動画が求められる
- スピードの重要性:タイムリーな情報発信には、外注のリードタイムがネック
- コスト意識の高まり:動画1本ごとに外注費がかかると、発信量に限界がある
- ツールの進化:専門知識がなくても使える編集ソフトが増えた
- 内部知識の活用:自社の製品・サービスを最もよく知るのは社員
内製化のメリット
動画制作を内製化することで、以下のようなメリットが得られます。
1. コスト削減
外注の場合、1本あたり数万円〜数十万円のコストがかかります。内製化すれば、初期投資(機材・ソフト)の後は、人件費のみで動画を量産できます。
2. スピードアップ
外注の場合、打ち合わせ→制作→修正→納品まで数週間かかることも。内製化すれば、「今日撮影して、明日公開」といったスピード感が可能になります。
3. 発信量の増加
コストとスピードの制約がなくなれば、動画の発信量を大幅に増やせます。SNSでの定期発信、社内向け動画、採用動画など、用途を広げられます。
4. ノウハウの蓄積
内製化を続けることで、社内に動画制作のノウハウが蓄積されます。これは、長期的な競争力につながります。
5. 柔軟な対応
急な修正、追加撮影、内容の変更にもすぐに対応できます。外注の場合は追加費用や日程調整が必要になりがちです。
内製化の課題と解決策
一方で、内製化には課題もあります。
課題1:専門知識・スキルの不足
解決策:この記事で紹介する教育ステップとテンプレートで対応可能。最初から高度なスキルは不要です。
課題2:品質のばらつき
解決策:ルール、テンプレート、チェックリストを整備し、誰が作っても一定品質になる仕組みを作ります。
課題3:担当者の負担増加
解決策:効率的なワークフローを構築し、1本あたりの制作時間を最小化します。また、複数人で分担できる体制を作ります。
課題4:クオリティの限界
解決策:「内製でできる動画」と「外注すべき動画」を明確に分けることが重要。すべてを内製化する必要はありません。
内製に向く動画・外注すべき動画
すべての動画を内製化する必要はありません。動画の種類によって、内製と外注を使い分けるのが効果的です。
内製に向く動画:
- SNS用のショート動画
- 社内向けの情報共有動画
- FAQ・ハウツー動画
- 日常的な活動報告
- 簡単なインタビュー動画
- 画面収録(操作説明)
- イベント記録
- 採用向けの日常風景
外注に向く動画:
- 会社紹介・ブランド動画
- テレビCM、Web広告
- 複雑なアニメーション
- ドローン撮影が必要な映像
- 高度な演出が必要な映像
- 重要なキャンペーン動画
動画編集に10万円かける価値はある?投資対効果(ROI)を最大化する構成の作り方も参考にしてください。
内製化に必要な準備
必要な機材
動画制作の内製化に必要な機材は、最低限からスタートできます。
必須の機材:
| 機材 | 予算目安 | ポイント |
|---|---|---|
| スマートフォン | 既存のもの | iPhone 12以降、Pixel 6以降なら十分 |
| 三脚 | 3,000〜10,000円 | スマホ用でOK、安定した映像の必須アイテム |
| マイク | 5,000〜15,000円 | ピンマイクまたはUSBマイク |
| 照明 | 5,000〜15,000円 | リングライトまたはLEDパネル |
| PC | 既存のもの | 4K編集でなければ、一般的なPCで対応可能 |
初期投資の目安:2〜5万円程度(既存のスマートフォン・PCを活用する場合)
あると便利な機材:
- ジンバル(スタビライザー):歩きながらの撮影に(1〜3万円)
- 外部カメラ:ミラーレス一眼など(10〜30万円)
- 背景:グリーンスクリーン、バックペーパー(5,000〜1万円)
- テレプロンプター:台本を見ながら撮影(1〜3万円)
ポイント:最初から高価な機材を揃える必要はありません。まずはスマートフォン+三脚+マイクで始め、必要に応じて追加しましょう。
必要なソフトウェア
編集ソフトは、担当者のスキルレベルと用途に応じて選びます。
初心者向け(おすすめ):
| ソフト | 価格 | 特徴 |
|---|---|---|
| Canva | 無料〜月額1,500円 | テンプレート豊富、直感的操作、SNS動画に最適 |
| CapCut | 無料 | スマホ・PCで使用可能、TikTok/リール向け |
| Clipchamp | 無料(Microsoft 365) | Windowsに標準搭載、ブラウザでも使用可能 |
| iMovie | 無料 | Macに標準搭載、シンプルで使いやすい |
中級者向け:
| ソフト | 価格 | 特徴 |
|---|---|---|
| DaVinci Resolve | 無料 | プロレベルの機能が無料、カラーグレーディングに強い |
| Adobe Premiere Pro | 月額2,728円 | 業界標準、機能が豊富、チュートリアルも多い |
| Final Cut Pro | 45,000円(買い切り) | Mac専用、直感的操作、高速処理 |
おすすめの組み合わせ:
- SNS動画メイン:Canva または CapCut
- YouTube・Webサイト向け:DaVinci Resolve(無料)
- 本格的に取り組む場合:Adobe Premiere Pro
Canvaでの動画編集ガイド:「Canvaって動画も作れるの?」無料ツールで始める簡単ムービー制作も参考にしてください。
撮影環境の整備
社内に簡易的な撮影スペースを設けると、効率的に撮影できます。
最低限の撮影環境:
- 場所:会議室の一角、空いているスペース
- 背景:シンプルな壁、または背景布(ロールスクリーン)
- 照明:窓からの自然光、またはLEDライト
- 防音:エアコンの音、外部の騒音に注意
理想的な撮影環境:
- 専用の撮影ルーム:他の業務と干渉しない
- 防音対策:吸音材、カーペット
- 固定のセットアップ:カメラ位置、照明を固定し、毎回同じ条件で撮影
- テレプロンプター:台本を見ながら自然に話せる
担当者の選定
動画制作の担当者を選ぶ際のポイントです。
向いている人の特徴:
- 興味・関心がある:動画が好き、YouTubeをよく見る
- ITリテラシーがある:新しいソフトに抵抗がない
- クリエイティブな思考:「こうしたら良くなるかも」と考えられる
- コミュニケーション能力:撮影対象者との調整、社内への発信
- 継続できる:一度きりではなく、継続して取り組める
チーム体制の例:
- 1人体制:撮影から編集まで1人で担当(小規模向け)
- 2人体制:撮影担当+編集担当を分ける
- 複数人体制:企画、撮影、編集、公開を分担
最初は1〜2人でスタートし、軌道に乗ったら増員するのがおすすめです。
1週間の教育カリキュラム

カリキュラムの全体像
以下は、動画編集未経験の社員が1週間で基本的な動画を作れるようになるためのカリキュラムです。
前提条件:
- 1日2〜3時間の学習・実践時間を確保
- PC/スマートフォンの基本操作ができる
- 編集ソフトはインストール済み
| 日 | テーマ | ゴール |
|---|---|---|
| Day 1 | 動画の基本と企画 | 動画の種類と構成の基本を理解する |
| Day 2 | 撮影の基本 | スマートフォンで安定した映像が撮れる |
| Day 3 | 編集ソフトの基本操作 | カット編集、テロップ挿入ができる |
| Day 4 | 編集スキルの向上 | BGM、トランジション、エフェクトが使える |
| Day 5 | 実践演習① | サンプル動画を模写して1本作る |
| Day 6 | 実践演習② | オリジナルの動画を企画から完成させる |
| Day 7 | 仕上げと公開 | 書き出し、公開、振り返りを行う |
Day 1:動画の基本と企画
学習内容:
1. 動画の種類を理解する(1時間)
- 会社で作る動画の種類(SNS、YouTube、Webサイト、社内向け)
- それぞれの特徴と求められるクオリティ
- 参考動画を10本見て、「良い点」「真似したい点」をメモ
2. 動画の構成を学ぶ(1時間)
- 基本構成:オープニング→本編→エンディング
- 「最初の5秒」の重要性
- 視聴者を飽きさせない工夫
動画構成の基本:「最初の5秒」で決まる!視聴者を逃がさないオープニングの作り方を読む。
3. 企画シートを作成する(1時間)
- 1本の動画の企画を立ててみる
- 目的、ターゲット、メッセージ、構成を明確にする
企画シートのテンプレート:
【動画タイトル(仮)】
【目的】この動画で何を達成したいか
【ターゲット】誰に見てもらいたいか
【メインメッセージ】一番伝えたいこと
【動画の長さ】目安
【構成】
- オープニング(○秒):
- 本編①(○秒):
- 本編②(○秒):
- エンディング(○秒):
【撮影に必要なもの】
【参考動画のURL】
Day 1の成果物:
- 参考動画のメモ(10本分)
- 企画シート(1本分)
Day 2:撮影の基本
学習内容:
1. カメラの基本設定(30分)
- スマートフォンのカメラ設定
- 解像度:1080p(フルHD)で十分
- フレームレート:30fpsが標準
- グリッド線を表示して構図を意識
2. 構図の基本(1時間)
- 三分割法:画面を縦横3分割し、交点に被写体を配置
- 目線の高さ:人物を撮る場合はカメラを目線の高さに
- 余白:頭上に適度な余白、進行方向に空間
- 実際に撮影して確認
3. 照明の基本(30分)
- 顔に光が当たる位置を確認
- 逆光を避ける
- 影が強く出ないように調整
4. 音声の基本(30分)
- マイクの種類と使い方
- テスト録音で音量を確認
- 環境音に注意(エアコン、外の音など)
音声だけで印象は激変!「ナレーション」を最大限生かす録音・編集の基本を読む。
5. 実際に撮影してみる(30分)
- 自己紹介動画を撮影(1〜2分)
- 三脚を使用して安定した映像に
- 撮影した映像を見返してチェック
Day 2の成果物:
- 自己紹介動画の素材(1〜2分)
- 撮影環境のセットアップ写真
Day 3:編集ソフトの基本操作
学習内容:
1. 編集ソフトの起動と画面構成(30分)
- プロジェクトの作成
- 画面の各部分の名称と役割
- 素材のインポート方法
2. カット編集(1時間)
- タイムラインに素材を配置
- 不要な部分をカット
- クリップの順序を入れ替え
- 実際にDay 2で撮影した素材を編集
3. テロップ(字幕)の挿入(1時間)
- テキストの追加方法
- フォント、サイズ、色の設定
- 表示タイミングの調整
- 見やすいテロップのポイント
なぜそのフォント?テロップで「伝わる力」を最大化するフォント選びと視認性の基本を読む。
4. 書き出し(30分)
- 書き出し設定の基本
- 解像度、フレームレート、ビットレート
- 実際に書き出してみる
意外と難しい!書き出し設定:ビットレート、フレームレート、コーデックの最適解を読む。
Day 3の成果物:
- カット編集+テロップ入りの自己紹介動画(1分程度)
Day 4:編集スキルの向上
学習内容:
1. BGM・効果音の追加(1時間)
- 著作権フリー音源の入手先
- BGMの挿入方法
- 音量バランスの調整(BGMは声より小さく)
- フェードイン・フェードアウト
BGMの入れ方:「音量バランス」と「フェードイン・フェードアウト」で自然に仕上げるを読む。
2. トランジション(場面転換)(30分)
- 基本的なトランジション(カット、ディゾルブ、ワイプ)
- 使いすぎに注意(シンプルが基本)
- 実際に適用してみる
3. 速度調整(30分)
- クリップの速度変更
- スローモーション、早送りの使い方
- タイムラプスの作り方
4. カラー調整(30分)
- 明るさ、コントラスト、彩度の基本
- ホワイトバランスの調整
- プリセット(フィルター)の活用
カラーグレーディング:ホワイトバランスと「色温度」の調整で映像の印象をコントロールするを読む。
5. 総合演習(30分)
- Day 3の動画に、BGM、トランジション、カラー調整を追加
- 完成版として書き出し
Day 4の成果物:
- BGM・トランジション・カラー調整を加えた自己紹介動画(完成版)
Day 5:実践演習①(模写)
学習内容:
1. 参考動画の分析(1時間)
- 会社で作りたい動画に近い参考動画を1本選ぶ
- 構成を分解してメモ(何秒にどんなカットがあるか)
- 使われているテロップ、BGM、エフェクトを確認
2. 素材の準備(30分)
- 参考動画を再現するための素材を用意
- 撮影が必要なら撮影、素材があればそれを使用
3. 模写制作(1.5時間)
- 参考動画をできるだけ忠実に再現
- 構成、テロップの出し方、BGMのタイミングなどを真似る
- 「なぜこうしているのか」を考えながら作業
模写のポイント:
- 最初は完全コピーを目指す
- 「真似る」ことで技術を吸収する
- オリジナリティは後から加える
Day 5の成果物:
- 参考動画を模写した動画(1〜3分)
Day 6:実践演習②(オリジナル制作)
学習内容:
1. 企画の決定(30分)
- Day 1で作成した企画シートを元に、実際に制作する動画を決定
- または、新しい企画を立てる
- 構成、台本を具体化
2. 撮影(1時間)
- 企画に基づいて撮影
- Day 2で学んだポイントを実践
- 複数テイク撮影して、良いものを選べるように
3. 編集(1.5時間)
- 素材をインポートして編集開始
- カット編集 → テロップ → BGM → エフェクト → カラー調整
- Day 3〜4で学んだスキルを総動員
Day 6の成果物:
- オリジナル動画の編集完了(仮完成版)
Day 7:仕上げと公開
学習内容:
1. レビューと修正(1時間)
- 完成した動画を通しで視聴
- チェックリストで確認(後述)
- 上司や同僚にフィードバックをもらう
- 必要な修正を行う
2. 書き出しと最適化(30分)
- 公開先に適した設定で書き出し
- ファイルサイズの確認
- 必要に応じて軽量化
動画の容量を小さくする方法:「軽量化」でYouTubeアップロード&HP埋め込みを快適にを読む。
3. 公開作業(30分)
- YouTube、SNS、Webサイトなど、公開先へアップロード
- タイトル、説明文、サムネイルの設定
- 公開設定の確認
YouTube「タイトル」で再生回数が決まる!クリックされるタイトル作成術を読む。
4. 振り返り(1時間)
- 1週間の学習を振り返る
- できるようになったこと、まだ課題なことを整理
- 今後の学習計画を立てる
Day 7の成果物:
- 公開されたオリジナル動画
- 振り返りシート
品質を担保するための仕組み
テンプレートの作成
品質を安定させるために、動画のテンプレートを作成しましょう。
テンプレートに含めるもの:
1. オープニングテンプレート
- ロゴアニメーション
- タイトルの出し方
- BGMの冒頭部分
2. テロップテンプレート
- フォント、サイズ、色を統一
- 座布団(背景)のデザイン
- 配置位置の基準
3. エンディングテンプレート
- ロゴ、連絡先の表示
- SNSアカウントの誘導
- チャンネル登録の促し(YouTubeの場合)
4. BGMリスト
- 使用できるBGMのリスト(著作権をクリアしたもの)
- シーン別のおすすめBGM
テンプレートを使うことで、毎回ゼロから作る手間が省け、品質も統一されます。
スタイルガイドの作成
スタイルガイドは、動画の見た目やトーンを統一するためのルール集です。
スタイルガイドに含める項目:
1. ビジュアル
- 使用するカラーパレット(ブランドカラー)
- フォントの種類とサイズ
- ロゴの使い方(配置位置、サイズ、クリアスペース)
- 画像・映像のトーン(明るさ、彩度の基準)
2. 音声
- BGMの音量レベル(声に対して何dB下げるか)
- 効果音の使い方
- ナレーションのトーン(親しみやすい、プロフェッショナルなど)
3. 構成
- 動画の長さの目安(SNS向け:60秒以内、YouTube:5〜10分など)
- オープニングの長さ(5秒以内を推奨)
- エンディングの内容
4. トーン&マナー
- 話し方のスタイル(敬語、カジュアルなど)
- NGワード、NGトピック
- ブランドの価値観を反映した表現
ブランディング動画の第一歩:トーン&マナーを決める「ムードボード」の作り方も参考にしてください。
チェックリストの活用
公開前に必ず確認するチェックリストを作成しましょう。
動画公開前チェックリスト:
□ 内容
- □ 伝えたいメッセージが明確か
- □ 誤字脱字がないか
- □ 事実関係に間違いがないか
- □ 機密情報・個人情報が映っていないか
□ 映像
- □ 映像が安定しているか(手ブレがないか)
- □ 明るさは適切か
- □ ピントは合っているか
- □ 不要な映り込みがないか
□ 音声
- □ 声がはっきり聞こえるか
- □ BGMとのバランスは適切か
- □ ノイズ(雑音)がないか
- □ 音割れしていないか
□ テロップ
- □ 文字が読みやすいサイズか
- □ 表示時間は十分か
- □ フォント、色はスタイルガイドに沿っているか
□ ブランド
- □ ロゴは正しく使用されているか
- □ ブランドカラーが使われているか
- □ トーン&マナーに沿っているか
□ 技術
- □ 解像度は適切か
- □ ファイルサイズは許容範囲か
- □ 書き出し設定に問題はないか
レビュープロセスの確立
公開前に第三者のレビューを受ける仕組みを作りましょう。
レビューの流れ:
- 自己チェック:担当者がチェックリストで確認
- 同僚レビュー:別の社員に見てもらい、フィードバック
- 上長承認:必要に応じて上司の承認を得る
- 公開
レビューのポイント:
- 内容の正確性(事実確認)
- ブランドとの整合性
- 視聴者目線での分かりやすさ
- 技術的な問題の有無
注意:レビュープロセスが重すぎると、スピードが落ちます。「重要な動画は念入りに、日常的な動画は簡易に」とメリハリをつけましょう。
よくある失敗と対策
失敗1:音声が聞き取りにくい
原因:
- マイクを使っていない
- 環境音(エアコン、外の音)がうるさい
- マイクと口の距離が遠い
- BGMが大きすぎる
対策:
- 必ず外部マイクを使用する
- 静かな環境で撮影する
- テスト録音で音量を確認してから本番
- BGMは声の-10〜-15dBを目安に
失敗2:映像がブレる、暗い
原因:
- 手持ち撮影
- 照明が不足
- 逆光
対策:
- 三脚を必ず使用する
- 照明を追加する(リングライト等)
- 窓を背にしない(光を顔に当てる)
- 撮影前にモニターで明るさを確認
失敗3:テロップが読めない
原因:
- 文字が小さすぎる
- 背景と同化している
- 表示時間が短い
- フォントが読みにくい
対策:
- スマートフォンで確認してから公開
- 文字に縁取りや座布団(背景)を付ける
- 表示時間は「文字数÷4秒」が目安
- ゴシック体など視認性の高いフォントを使用
失敗4:長すぎて飽きる
原因:
- 不要な部分が多い
- テンポが悪い
- 同じような映像が続く
対策:
- 「間」を思い切ってカットする
- ジャンプカットでテンポを上げる
- 2〜3秒ごとに視覚的な変化を入れる
- 「この部分は本当に必要か?」を常に問う
ジャンプカット:テンポを上げて飽きさせない!情報密度を高める「ジャンプカット」の基本を読む。
失敗5:著作権の問題
原因:
- 市販の音楽を無断使用
- 他社のロゴや映像を無断使用
- ライセンスを確認していない素材の使用
対策:
- 著作権フリーの素材のみ使用
- 使用前にライセンスを必ず確認
- 使用可能な素材リストを社内で共有
- 迷ったら使わない
著作権フリー音源サイト:
- YouTubeオーディオライブラリ
- DOVA-SYNDROME
- 甘茶の音楽工房
- Epidemic Sound(有料)
- Artlist(有料)
失敗6:機密情報の映り込み
原因:
- 背景にホワイトボード、書類が映っている
- PC画面に機密情報が表示されている
- 社員の顔が許可なく映っている
対策:
- 撮影前に背景をチェック
- 機密情報は片付けるか、ぼかす
- 出演者には事前に許可を得る
- 公開前に全体を通して確認
継続的な改善の仕組み
振り返りミーティング
定期的に振り返りミーティングを行い、改善点を洗い出しましょう。
頻度:月1回程度
議題:
- 今月公開した動画の振り返り
- 視聴データの分析(再生回数、視聴維持率など)
- 反応(コメント、問い合わせ)の確認
- うまくいったこと、改善すべきこと
- 新しく試したいこと
- 必要なリソース(機材、ソフト、教育)
スキルアップ計画
1週間の基礎教育の後も、継続的なスキルアップを計画しましょう。
スキルアップの方法:
1. オンライン学習
- YouTubeのチュートリアル動画
- Udemy、Skillshareなどのオンライン講座
- 編集ソフトの公式チュートリアル
2. 実践と分析
- 数をこなす(月に○本制作する目標)
- 視聴データを分析して改善
- 他社の動画を研究
3. 外部研修
- 動画制作セミナーへの参加
- プロからのフィードバック
段階的なスキルレベル:
| レベル | できること | 目安期間 |
|---|---|---|
| 初級 | カット編集、テロップ、BGM追加 | 1週間 |
| 中級 | 効率的な編集、テンプレート作成、品質の安定 | 1〜3ヶ月 |
| 上級 | 高度な演出、アニメーション、カラーグレーディング | 3〜6ヶ月 |
| プロレベル | 外部案件も対応可能なクオリティ | 1年以上 |
ナレッジの共有
チーム内で知識やノウハウを共有する仕組みを作りましょう。
共有すべきナレッジ:
- うまくいった編集テクニック
- 効率化のコツ
- 失敗事例と対策
- 新しく発見したツールや機能
- 視聴者からのフィードバック
共有方法:
- 社内Wiki、ドキュメント
- Slackなどのチャットツール
- 定期的な勉強会
- 制作した動画とその解説をアーカイブ
外部リソースとの連携
すべてを内製化する必要はありません。外部リソースとの連携も考慮しましょう。
外部に依頼するケース:
- ブランド動画や重要なキャンペーン動画
- 高度なアニメーションやCG
- ドローン撮影など専門機材が必要な撮影
- 繁忙期の追加リソース
外部との役割分担の例:
- 撮影は外注、編集は内製:プロの撮影素材を社内で編集
- テンプレートは外注、量産は内製:テンプレートをプロに作ってもらい、それを元に量産
- コンサルティング:定期的にプロにレビューしてもらい、改善点を教えてもらう
よくある質問(FAQ)

Q1:本当に1週間で動画が作れるようになりますか?
A1:はい、基本的な動画であれば可能です。
ただし、「プロレベルの動画」ではなく、「伝わる・見られる・恥ずかしくない動画」です。1週間のカリキュラムで基礎を身につけ、その後の実践で徐々にスキルアップしていくイメージです。
また、1日2〜3時間の学習時間を確保できることが前提です。
Q2:動画編集ソフトはどれを選べばいいですか?
A2:目的とスキルレベルに応じて選びましょう。
初心者・SNS動画メイン:Canva、CapCut
YouTube・Webサイト向け:DaVinci Resolve(無料)
本格的に取り組む:Adobe Premiere Pro
最初はシンプルなソフトで始め、必要に応じてステップアップするのがおすすめです。
Q3:スマートフォンだけで十分な品質の動画が作れますか?
A3:はい、十分に作れます。
最近のスマートフォン(iPhone 12以降、Pixel 6以降など)は、4K撮影にも対応しており、SNSやWebサイト向けの動画であれば十分な品質です。
ただし、三脚と外部マイクは必須です。手ブレのある映像や音声が聞き取りにくい動画は、どれだけ内容が良くても見てもらえません。
Q4:撮影と編集、どちらが重要ですか?
A4:どちらも重要ですが、撮影の方がリカバリーが難しいです。
編集で多少の問題は修正できますが、撮影のミス(ブレ、ピンボケ、音声不良)は編集では直せません。撮影時にしっかり品質を確保することが重要です。
一方で、編集のスキルが上がると、同じ素材からより良い動画を作れるようになります。
Q5:担当者が1人しかいない場合、どうすればいいですか?
A5:1人でも十分に回せます。
ただし、以下の点を意識しましょう。
- テンプレートを活用して効率化
- 撮影のセルフ撮りに慣れる(三脚+リモコン)
- 無理のない本数から始める(月2〜4本程度)
- レビューは他部署の人にも依頼
- 将来的にサブ担当を育成する
Q6:社員が出演を嫌がる場合、どうすればいいですか?
A6:無理に出演させる必要はありません。
顔出しなしの動画形式:
- 画面収録+ナレーション
- 手元だけを映す製品デモ
- スライド+ナレーション
- テキストベースの動画
- イラスト・アニメーション
出演に前向きな社員が見つかったら、徐々に顔出し動画を増やしていくのも良いでしょう。
Q7:どれくらいの頻度で動画を公開すべきですか?
A7:無理のない範囲で継続できる頻度が最適です。
目安:
- SNS(リール、TikTok):週1〜3本
- YouTube:週1〜2本(最低でも月2本)
- Webサイト・ブログ:記事に合わせて適宜
- 社内向け:必要に応じて
最初は月2〜4本から始め、慣れてきたら増やしていくのがおすすめです。
Q8:失敗した動画を公開してしまったら?
A8:すぐに対応し、同じ失敗を繰り返さない仕組みを作りましょう。
対応の流れ:
- 問題の確認:何が問題か特定
- 影響の評価:どの程度深刻か判断
- 対応の決定:修正して再公開、削除、そのまま(軽微な場合)
- 再発防止:チェックリストの更新、レビュープロセスの見直し
失敗は成長のチャンスです。重要なのは、同じ失敗を繰り返さないことです。
まとめ:動画制作の内製化を成功させる
この記事のポイントを振り返り
動画制作の内製化について、詳しく解説してきました。重要なポイントを振り返りましょう。
1. 内製化のメリット
コスト削減、スピードアップ、発信量の増加、ノウハウの蓄積、柔軟な対応。これらのメリットを活かすために、内製化に取り組む価値があります。
2. 必要な準備は最小限から
スマートフォン+三脚+マイク+無料の編集ソフトがあれば、今日からでも始められます。高価な機材は後から追加すれば十分です。
3. 1週間で基礎は身につく
Day 1〜7のカリキュラムに沿って学習すれば、動画編集未経験者でも「会社公式動画」を作れるレベルになります。
4. 品質を担保する仕組みが重要
テンプレート、スタイルガイド、チェックリスト、レビュープロセスを整備することで、誰が作っても一定品質の動画が作れます。
5. 継続的な改善
振り返りミーティング、スキルアップ計画、ナレッジの共有を通じて、チームの動画制作力を継続的に高めていきましょう。
内製化成功のチェックリスト
準備フェーズ
□ 必要な機材を揃えた(スマホ、三脚、マイク、照明)
□ 編集ソフトを選定・インストールした
□ 撮影スペースを確保した
□ 担当者を選定した
教育フェーズ
□ 1週間のカリキュラムを実施した
□ 担当者がオリジナル動画を完成させた
運用フェーズ
□ テンプレートを作成した
□ スタイルガイドを作成した
□ チェックリストを作成した
□ レビュープロセスを確立した
□ 定期的な振り返りを実施している
さらなるスキルアップのために
動画制作のスキルをさらに高めるために、以下の関連記事もぜひ参考にしてください。
- 動画構成の基本:「最初の5秒」で決まる!視聴者を逃がさないオープニングの作り方
- 音声だけで印象は激変!「ナレーション」を最大限生かす録音・編集の基本
- なぜそのフォント?テロップで「伝わる力」を最大化するフォント選びと視認性の基本
- BGMの入れ方:「音量バランス」と「フェードイン・フェードアウト」で自然に仕上げる
- ジャンプカット:テンポを上げて飽きさせない!情報密度を高める「ジャンプカット」の基本
- カラーグレーディング:ホワイトバランスと「色温度」の調整で映像の印象をコントロールする
- 意外と難しい!書き出し設定:ビットレート、フレームレート、コーデックの最適解
- 動画の容量を小さくする方法:「軽量化」でYouTubeアップロード&HP埋め込みを快適に
- YouTube「タイトル」で再生回数が決まる!クリックされるタイトル作成術
- 動画編集に10万円かける価値はある?投資対効果(ROI)を最大化する構成の作り方
今日から始める第一歩
動画制作の内製化は、「やるかやらないか」の決断が最初の一歩です。
完璧な準備を待つ必要はありません。まずは、この記事のカリキュラムに沿って1本の動画を作ってみてください。
最初の1本が完成すれば、「自分たちにもできる」という自信が生まれます。そこから改善を重ねていけば、動画制作は会社の強力な武器になります。
ぜひ、今日から動画制作の内製化にチャレンジしてみてください。