動画編集/撮影

グリーンバック(クロマキー):合成を綺麗に仕上げるための「境界線」を消す編集テクニック

「グリーンバックで撮影したのに、合成すると境界線が目立つ……」

「髪の毛の周りに緑色が残ってしまう……」

「なんか『合成してます感』が抜けない……」

グリーンバック(クロマキー)合成、うまくいっていますか?

グリーンバック合成は、背景を自由に差し替えられる便利な技術です。企業のプロモーション動画、YouTube、ニュース番組、映画まで、幅広く使われています。

しかし、「撮影して、緑を抜くだけ」と思っていると、不自然な合成になりがちです。特に問題になるのが、被写体と背景の「境界線」。ここが汚いと、一目で「合成だな」とバレてしまいます。

この記事では、グリーンバック合成を綺麗に仕上げるテクニックを解説します。撮影時の準備から、編集での境界線処理、よくあるトラブルの解決法まで、プロ品質の合成を実現するノウハウをお伝えします。

グリーンバック(クロマキー)合成の基本

クロマキーとは

クロマキー(Chroma Key)とは、特定の色を透明にして、別の映像と合成する技術です。

「クロマ(Chroma)」は「色」、「キー(Key)」は「鍵」や「抜く」という意味。つまり、「色を使って抜く」技術です。

仕組み:

  1. 特定の色(緑や青)の背景の前で撮影
  2. 編集ソフトで、その色を「透明」に指定
  3. 透明になった部分に、別の背景を合成

テレビの天気予報、映画のVFX、YouTubeの解説動画など、あらゆる映像制作で使われている基本技術です。

なぜ「緑」を使うのか

グリーンバックと呼ばれるように、緑色が最もよく使われます。その理由は以下の通りです。

理由1:人間の肌色から最も遠い

緑は、人間の肌色(オレンジ〜赤系)から色相環上で最も離れた色です。そのため、人物を撮影しても、肌と背景を明確に区別できます。

理由2:デジタルセンサーとの相性

デジタルカメラのセンサーは、緑の情報を最も多く記録します(ベイヤー配列では緑が50%)。そのため、緑色は最もノイズが少なく、綺麗に抜けます。

理由3:日常で使われにくい

鮮やかな緑色は、衣服や小物に使われることが少ないため、被写体と被りにくいです。

ブルーバックとの使い分け

緑だけでなく、青(ブルーバック)が使われることもあります。

ブルーバックを使う場面:

  • 被写体が緑色の場合(植物、緑の服など)
  • 金髪や明るい髪の人物(緑より青の方が綺麗に抜けることも)
  • 夜のシーンに合成する場合(青のスピルが目立ちにくい)
  • フィルム撮影の場合(フィルムは青の感度が高い)

グリーンバックを使う場面:

  • デジタル撮影の場合(ほとんどのケース)
  • 被写体が青色の場合(ジーンズ、青いスーツなど)
  • 昼間のシーンに合成する場合

迷ったらグリーンバックを選べばOKです。

合成が「バレる」原因

グリーンバック合成が不自然に見える主な原因を理解しておきましょう。

原因1:境界線が汚い

被写体の輪郭に緑色が残ったりギザギザになったり、不自然なエッジができる。

原因2:髪の毛・細部が抜けていない

髪の毛の隙間に緑が残る、または髪の毛が不自然に切れている

原因3:色かぶり(スピル)

緑の背景から反射した光が、被写体の肌や服に緑色を落とす

原因4:照明の不一致

被写体への照明と、背景の照明(光の方向、強さ、色)が合っていない

原因5:影がない・不自然

被写体に影がない、または影の方向が背景と矛盾している。

原因6:被写界深度の不一致

被写体はシャープなのに、背景も同様にシャープ(または逆)で違和感がある。

これらの問題を解決するのが、この記事の目的です。

撮影時の準備:綺麗に抜くための基礎

グリーンバックの選び方

まず、グリーンバックの素材を選びましょう。

素材の種類:

種類特徴向いている用途
布(コットン、ポリエステル)シワができやすいが、大きいサイズも可能スタジオ、大規模撮影
紙(ペーパー)シワがないが、破れやすい、使い捨て写真撮影、短期使用
折りたたみ式(ポップアップ)コンパクト、設置が簡単持ち運び、小規模撮影
塗装(ペイント)均一な色、シワなし常設スタジオ

選ぶポイント:

  • 色が均一であること(ムラがないか確認)
  • 十分なサイズがあること(被写体の動きに余裕を持たせる)
  • 反射が少ないこと(マット仕上げがベスト)

グリーンバックの設置

グリーンバックの設置方法は、合成の品質に大きく影響します。

設置のポイント:

1. シワをなくす

シワがあると、光と影のムラができ、均一に抜けなくなります。

  • 布の場合はアイロンをかける、または引っ張って固定
  • スチーマーでシワを伸ばす
  • クリップやテープでしっかり固定

2. ピンと張る

たるみがあると、影ができやすくなります。スタンドやフレームを使って、ピンと張りましょう。

3. 床まで覆う(必要な場合)

全身を映す場合は、床もグリーンで覆います。背景と床の境目が見えないよう、カーブ(ホリゾント)を作るのがベストです。

4. 十分な幅を確保

被写体の左右にも余裕を持たせましょう。動きのある撮影では特に重要です。

被写体とグリーンバックの距離

被写体とグリーンバックの距離は、合成品質に大きく影響します。

推奨距離:1.5〜3メートル

距離を取る理由:

  • スピル(色かぶり)を減らす:近すぎると、緑の反射光が被写体に当たる
  • 影を避ける:近すぎると、被写体の影がグリーンバックに落ちる
  • 被写界深度を活かす:距離があると、グリーンバックをぼかして均一にできる

距離が取れない場合:

  • 照明を工夫して、スピルと影を最小限に
  • 編集での補正が増えることを覚悟

グリーンバックの照明

グリーンバックへの照明は、綺麗に抜くための最重要ポイントです。

目標:グリーンバックを均一に明るくする

照明のポイント:

1. 均一に照らす

グリーンバック全体が同じ明るさになるように照明を配置。ムラがあると、一部だけ抜けなくなります。

2. 左右から照らす

グリーンバックの左右から2灯以上で照らすと、均一になりやすい。正面から1灯だと、中央が明るく、端が暗くなります。

3. 影を作らない

被写体の影がグリーンバックに落ちないよう、距離を取るか、照明の位置を調整します。

4. 明るすぎない

グリーンバックが明るすぎると、スピル(色かぶり)が増えます。被写体と同程度か、やや暗めが理想。

被写体への照明

被写体への照明は、グリーンバックとは別に設定します。

基本的な考え方:

  • 合成する背景の照明に合わせる
  • 背景が屋外の昼間なら、明るく、上からの光
  • 背景が室内なら、室内照明に合わせた色温度と方向

3点照明をベースに:

  • キーライト:メインの光、背景の光源と方向を合わせる
  • フィルライト:影を和らげる
  • バックライト:輪郭を際立たせ、背景との分離を強調

バックライトの重要性:

グリーンバック撮影では、バックライト(逆光)が特に重要です。被写体の輪郭に光の縁ができることで、背景との分離が明確になり、合成が綺麗になります。

服装と小物の注意点

被写体の服装や小物にも注意が必要です。

避けるべきもの:

  • 緑色の服・アクセサリー(透明になってしまう)
  • 光沢のある素材(緑を反射しやすい)
  • 細かい柄(モアレが発生することも)
  • 透ける素材(緑が透けて見える)

おすすめ:

  • マットな素材
  • 緑から遠い色(赤、オレンジ、青、黒、白など)
  • シンプルな柄

編集の基本:クロマキーで「抜く」

クロマキーの基本操作

主要な編集ソフトでのクロマキーの基本操作を紹介します。

Premiere Proの場合:

  1. グリーンバック素材をタイムラインに配置
  2. 背景素材を、グリーンバック素材の下のトラックに配置
  3. グリーンバック素材を選択し、エフェクト「Ultra Key」を適用
  4. スポイトで緑色をクリックして選択
  5. パラメーターを調整して、綺麗に抜けるよう微調整

DaVinci Resolveの場合:

  1. グリーンバック素材をタイムラインに配置
  2. 背景素材を下のトラックに配置
  3. カラーページに移動
  4. クオリファイアで緑色を選択
  5. アルファ出力を有効にして、マットを作成

After Effectsの場合:

  1. グリーンバック素材をコンポジションに配置
  2. 背景素材を下のレイヤーに配置
  3. エフェクト「Keylight (1.2)」を適用
  4. Screen Colourのスポイトで緑を選択
  5. パラメーターを調整

「マット」の概念を理解する

クロマキーを理解するには、「マット」の概念が重要です。

マット(Matte)とは:

映像のどの部分を透明にするかを示す白黒の画像です。

  • 白い部分:不透明(見える)
  • 黒い部分:透明(背景が見える)
  • グレーの部分:半透明

クロマキーは、緑色を黒(透明)に変換するマットを作る作業です。

マットの確認方法:

多くの編集ソフトには、マットだけを表示する機能があります。

  • Premiere Pro:Ultra Keyの「Output」を「Alpha Channel」に
  • After Effects:Keylightの「View」を「Screen Matte」に
  • DaVinci Resolve:クオリファイアの「ハイライト」表示

マットを確認しながら調整すると、どこが抜けていないかが分かりやすくなります。

基本パラメーターの理解

クロマキーエフェクトの主要なパラメーターを理解しましょう。

キーカラー(Key Color / Screen Colour)

抜く色を指定します。スポイトでグリーンバックの色を選択します。

トレランス / 範囲(Tolerance / Range)

キーカラーに近い色をどこまで抜くかの範囲。大きくすると、より広い範囲の緑が抜けます。

ペデスタル / クリップブラック(Pedestal / Clip Black)

黒(透明)として扱う暗さの閾値。グレーの部分を完全な黒にする。

クリップホワイト(Clip White)

白(不透明)として扱う明るさの閾値。グレーの部分を完全な白にする。

エッジ / マットチョーク(Edge / Matte Choker)

マットの縁を縮小または拡大します。緑が残っている場合、縮小して消します。

スピルサプレッション(Spill Suppression)

被写体に残った緑色かぶりを除去します。

境界線を綺麗にするテクニック

マットの「クリーンアップ」

基本的なキーイングの後、マットをクリーンアップして境界線を綺麗にします。

ステップ1:マット表示で確認

まず、マットだけを表示して、問題箇所を確認します。

  • 被写体部分が真っ白になっているか
  • 背景部分が真っ黒になっているか
  • 境界線にグレー(半透明)が残っていないか

ステップ2:ペデスタル / クリップブラックを調整

背景にグレーが残っている場合、ペデスタルを上げて黒にします。

ステップ3:クリップホワイトを調整

被写体にグレーが残っている場合、クリップホワイトを下げて白にします。

注意:

これらの調整をやりすぎると、境界線がギザギザになったり、細部が失われたりします。バランスを見ながら調整しましょう。

エッジの処理(マットチョーク)

マットチョーク(縁の収縮)は、境界線の緑を消すのに効果的です。

使い方:

  • 境界線に緑色が残っている場合、マットを少し縮小(チョーク)
  • 縮小しすぎると、被写体が欠けてしまうので注意

Premiere Pro(Ultra Key):

「Matte Cleanup」セクションの「Choke」を調整

After Effects(Keylight):

「Screen Matte」の「Clip Black」「Clip White」、または別途「Simple Choker」エフェクトを追加

エッジのフェザリング(ぼかし)

フェザリング(エッジのぼかし)を加えると、境界線が自然になります。

効果:

  • 境界線の硬さを和らげる
  • 背景となじみやすくなる
  • ギザギザが目立たなくなる

注意:

  • フェザリングが強すぎると、ぼやけた印象になる
  • 細部(髪の毛など)が失われることも
  • ほんの少し(0.5〜2ピクセル程度)から試す

スピル除去(緑かぶりの補正)

スピル(Spill)とは、グリーンバックから反射した緑色が、被写体に付着することです。

スピルが発生しやすい場所:

  • 髪の毛の輪郭
  • 肩や腕の輪郭
  • 明るい色の服
  • 肌(特にグリーンバックに近い部分)

スピル除去の方法:

方法1:エフェクト内蔵のスピルサプレッション

多くのクロマキーエフェクトには、スピル除去機能が内蔵されています。

  • Premiere Pro Ultra Key:「Spill Suppression」
  • After Effects Keylight:「Despill Bias」

方法2:カラー補正

スピルが残っている部分を選択的に補正します。

  • 緑を彩度を下げる、または補色(マゼンタ)方向に補正
  • セカンダリーカラー補正で、緑色だけを選択して調整

髪の毛を綺麗に抜くテクニック

髪の毛は、クロマキーで最も難しい部分です。

髪の毛が難しい理由:

  • 細い毛の隙間に緑が見える
  • 完全に抜くと、髪が不自然にカットされる
  • 毛先が半透明になりやすい

テクニック1:撮影時の対策

  • バックライトを強めにして、髪の輪郭を際立たせる
  • 距離を取ってスピルを減らす
  • 可能なら髪をまとめる(飛び散りを減らす)

テクニック2:キーイングの調整

  • トレランスを控えめにして、髪の隙間の緑だけを抜く
  • 髪の毛部分だけ別のマスクで調整する

テクニック3:複数のキーを重ねる

  • 2つのキーを別々に設定
  • 1つ目:被写体の本体用(強めに抜く)
  • 2つ目:髪の毛・エッジ用(繊細に抜く)
  • 両方を合成して、それぞれの良い部分を活かす

テクニック4:エッジのカラー補正

  • 髪の毛の輪郭部分だけを選択
  • 緑を髪の色に近い色に置き換える

動きのある被写体の処理

被写体が動いている場合、追加の処理が必要なことがあります。

問題:モーションブラー

速い動きでは、境界線がブラー(ぼけ)になり、緑と被写体が混ざります。

対策:

  • 撮影時:シャッタースピードを速くしてブラーを減らす
  • 編集時:ブラー部分のスピル除去を強化
  • 編集時:必要に応じてマスクで個別処理

高度なテクニック

マスクとキーイングの併用

キーイングだけでは綺麗に抜けない場合、マスク(ロトスコープ)と併用します。

使い方1:ガベージマット(ゴミ取りマスク)

グリーンバックの外側(スタンド、壁など)をマスクで覆い、キーイング対象から除外します。

使い方2:ホールドアウトマット

キーイングで間違って抜けてしまう部分をマスクで保護します。例:緑色の小物、キーイングで透けてしまう部分

使い方3:部分的な手動マスク

キーイングでは綺麗に抜けない部分を、手動でマスクします。時間はかかりますが、最も確実な方法です。

エッジカラーの調整

境界線に色の問題がある場合、エッジカラーを調整します。

Light Wrap(ライトラップ)

背景の色を、被写体のエッジに少し巻き込むテクニックです。

効果:

  • 被写体が背景に自然になじむ
  • 境界線が目立たなくなる
  • 「合成感」が減る

方法(After Effects):

  1. 背景をぼかしたレイヤーを作成
  2. 被写体のエッジ部分だけに合成
  3. ブレンドモードと不透明度を調整

専用のプラグイン(Red Giant「Light Wrap」など)を使うと簡単です。

影の追加

被写体に影がないと、浮いて見えます。

影の追加方法:

方法1:ドロップシャドウ

  • 被写体の下に影のレイヤーを追加
  • 被写体のシルエットを複製し、黒くしてぼかす
  • 位置と形を調整

方法2:撮影時に影を撮る

  • グリーンバック上に落ちた影を別途撮影
  • 影だけを抽出して合成

影の向きに注意:

影の向きは、背景の光源と一致させる必要があります。矛盾すると不自然に見えます。

被写界深度の調整

被写体と背景の被写界深度(ピントの範囲)を合わせます。

問題:

被写体はシャープなのに、背景(写真や動画)もシャープだと、スケール感がおかしく見えます。

対策:

  • 背景をぼかす(被写体にピントが合っている設定)
  • または、被写体も含めて全体をシャープに(パンフォーカス)
  • 撮影時の被写界深度と、背景を合わせる

カラーマッチング

被写体と背景の色味(カラー)を合わせることも重要です。

チェックポイント:

  • 色温度:被写体と背景の光の色を合わせる
  • コントラスト:同じ程度のコントラストに
  • 彩度:同じ程度の鮮やかさに
  • 明るさ:照明の強さを合わせる

方法:

  • カラーコレクションで、被写体の色味を背景に合わせる
  • または、背景の色味を被写体に合わせる
  • 全体に統一感のあるグレーディングを施す

カラーグレーディング:ホワイトバランスと「色温度」の調整で映像の印象をコントロールするも参考にしてください。

編集ソフト別の詳細設定

Premiere Pro(Ultra Key)

Ultra Keyは、Premiere Pro標準のクロマキーエフェクトです。

設定項目:

Key Color:スポイトで緑を選択

Setting:

  • Default:標準設定
  • Relaxed:緩めの設定(広い範囲を抜く)
  • Aggressive:厳しめの設定(厳密に抜く)
  • Custom:手動で調整

Matte Generation:

  • Transparency:全体の透明度
  • Highlight:明るい部分の透明度
  • Shadow:暗い部分の透明度
  • Tolerance:キーカラーの許容範囲
  • Pedestal:黒レベルの調整

Matte Cleanup:

  • Choke:マットの縮小
  • Soften:エッジのぼかし
  • Contrast:マットのコントラスト
  • Mid Point:コントラストの中心点

Spill Suppression:

  • Desaturate:スピルの彩度を下げる
  • Range:スピル除去の範囲
  • Spill:スピル除去の強度
  • Luma:明るさへの影響

After Effects(Keylight)

Keylightは、After Effectsに付属する高性能なクロマキーエフェクトです。

基本の流れ:

  1. Screen Colourのスポイトで緑を選択
  2. Viewを「Screen Matte」にしてマット確認
  3. Screen Matteのパラメーターで調整
  4. Viewを「Final Result」に戻して確認

Screen Matte:

  • Clip Black:黒レベルをクリップ(上げると黒が強くなる)
  • Clip White:白レベルをクリップ(下げると白が強くなる)
  • Screen Shrink/Grow:マットの縮小/拡大
  • Screen Softness:エッジのぼかし
  • Screen Despot Black/White:ノイズ除去

スピル除去:

  • Despill Bias:スピル除去の方向(色相)
  • Alpha Bias:アルファへの影響

DaVinci Resolve

DaVinci Resolveでは、カラーページのクオリファイアを使います。

基本の流れ:

  1. カラーページに移動
  2. クオリファイアパネルを開く
  3. スポイトで緑を選択
  4. ハイライト表示でマット確認
  5. HSL(色相・彩度・輝度)の範囲を調整
  6. アルファ出力を有効化

マットの調整:

  • マットフィネス:クリーンブラック、クリーンホワイト、プレブラー、ポストブラーなど

3Dキーヤー(Fusionページ):

より高度なキーイングには、Fusionページの3Dキーヤーを使用します。

よくある問題と解決策

問題1:緑が完全に抜けない

症状:背景に緑が残る、ムラがある

原因と対策:

  • 照明が不均一 → グリーンバックの照明を見直す
  • シワがある → グリーンバックをピンと張る
  • トレランスが足りない → トレランスを上げる
  • キーカラーが最適でない → 別の場所をスポイトで選択

問題2:境界線がギザギザ

症状:被写体の輪郭がガタガタに見える

原因と対策:

  • ペデスタル/クリップが強すぎる → 値を下げる
  • フェザリングが足りない → エッジをソフトに
  • 解像度が低い → より高解像度で撮影
  • 圧縮が強い → 低圧縮のコーデックで撮影

問題3:髪の毛の周りに緑が残る

症状:髪の毛の輪郭や隙間に緑色が見える

原因と対策:

  • スピル → スピルサプレッションを強化
  • キーイングが不十分 → 複数のキーを重ねる
  • 撮影時の問題 → バックライトを強化、距離を取る

問題4:被写体に緑色がかぶっている

症状:肌や服が緑っぽく見える

原因と対策:

  • スピル → スピルサプレッションを適用
  • グリーンバックが明るすぎる → 照明を調整
  • 被写体との距離が近すぎる → 距離を取る
  • カラー補正 → 緑を選択的に補色方向へ補正

問題5:被写体が半透明になる

症状:被写体の一部が透けて背景が見える

原因と対策:

  • 服や小物が緑に近い → 撮り直し、またはマスクで保護
  • キーイングが強すぎる → トレランスを下げる
  • クリップホワイトが低すぎる → 値を上げる

問題6:合成すると浮いて見える

症状:被写体が背景に馴染まず、「貼り付けた感」がある

原因と対策:

  • 照明の方向が違う → 背景に合わせた照明で撮影
  • 色味が合っていない → カラーマッチング
  • 影がない → 影を追加
  • エッジが硬すぎる → フェザリング、ライトラップ
  • 被写界深度が違う → 背景をぼかす、または全体をシャープに

よくある質問(FAQ)

Q1:グリーンバックは100円ショップの緑の布でも大丈夫ですか?

A1:使えないことはありませんが、品質に影響します

安価な布は、色ムラがあったり、光の反射が不均一だったりします。また、シワになりやすく、均一に張るのが難しいです。

予算が許せば、専用のグリーンバック布(3,000円〜1万円程度)を購入することをおすすめします。品質の差は、編集の手間に直結します。

Q2:ブルーバックとグリーンバック、どちらを買うべきですか?

A2:迷ったらグリーンバックを選びましょう。

デジタル撮影では、緑色の方がノイズが少なく、綺麗に抜けます。ブルーバックは、被写体が緑色の場合や、特定の表現を求める場合に使います。

両面リバーシブル(緑と青の両方が使える)製品もあるので、迷ったらそちらを選ぶのも手です。

Q3:グリーンバックがなくても合成できますか?

A3:はい、ロトスコープ(手動マスク)で可能ですが、非常に手間がかかります

グリーンバックなしで背景を抜くには、被写体の輪郭を1フレームずつ手動でマスクする必要があります。短い映像ならまだしも、長い映像では現実的ではありません。

最近はAIを使った自動マスク機能(After Effectsの「ロトブラシ」、DaVinci Resolveの「マジックマスク」など)もありますが、グリーンバックほど綺麗には抜けません。

Q4:スマートフォンで撮影してもクロマキーできますか?

A4:はい、可能ですが、いくつか注意点があります

スマートフォン撮影の注意点:

  • 圧縮が強い:境界線が荒れやすい
  • 解像度を高く:4Kで撮影するのがベスト
  • 照明が重要:均一な照明を心がける
  • マニュアル撮影アプリを使う:露出やホワイトバランスを固定

Q5:照明は何灯必要ですか?

A5:最低3灯あると理想的です

  • グリーンバック用:2灯(左右から均一に照らす)
  • 被写体用:1灯以上(キーライト。可能ならフィルライト、バックライトも)

予算がない場合は、自然光(窓)をキーライト代わりに使い、グリーンバック用に1〜2灯という構成でも対応可能です。

Q6:撮影時にカメラを動かしても大丈夫ですか?

A6:大丈夫ですが、編集が複雑になります

カメラが動く場合、背景も同じように動かす必要があります(カメラトラッキング)。After EffectsやDaVinci Resolveには、カメラの動きを解析して背景に適用する機能がありますが、追加の作業が必要です。

初心者のうちは、三脚で固定して撮影する方が無難です。

Q7:どのくらいの広さのグリーンバックが必要ですか?

A7:被写体の大きさと動きに応じて決めます

目安:

  • バストアップ(上半身):幅1.5m×高さ1.5m程度
  • 全身(立ち):幅2m×高さ2.5m程度
  • 全身+動きあり:幅3m×高さ3m以上

被写体の左右と上に余裕を持たせることが重要です。

Q8:無料で使える背景素材はどこで手に入りますか?

A8:いくつかのサイトで無料素材を提供しています

おすすめのサイト:

  • Pexels(pexels.com):無料の動画・写真素材
  • Pixabay(pixabay.com):無料の動画・写真素材
  • Mixkit(mixkit.co):無料の動画素材
  • Unsplash(unsplash.com):無料の写真素材

商用利用の可否は、各サイトの利用規約を確認してください。

まとめ:撮影と編集の両面で攻める

この記事のポイントを振り返り

グリーンバック(クロマキー)合成について、詳しく解説してきました。重要なポイントを振り返りましょう。

1. 撮影時の準備が重要

  • グリーンバックを均一に照らし、シワをなくす
  • 被写体との距離を取る(1.5〜3m)
  • 被写体への照明は、背景の光源に合わせる
  • バックライトで輪郭を際立たせる

2. 境界線を綺麗にするテクニック

  • マットを確認しながら調整
  • マットチョークでエッジを縮小
  • フェザリングでエッジを柔らかく
  • スピル除去で緑かぶりを補正

3. 自然に見せる仕上げ

  • ライトラップで背景となじませる
  • 影を追加して浮いて見えるのを防ぐ
  • カラーマッチングで色味を合わせる
  • 被写界深度を合わせる

クロマキーチェックリスト

撮影前

□ グリーンバックのシワを取った

□ グリーンバックの照明は均一か

□ 被写体との距離は十分か(1.5m以上)

□ 被写体の照明は背景に合わせたか

□ バックライトは設置したか

□ 緑色の服・小物はないか

編集中

□ キーカラーは最適な場所から選んだか

□ マット表示で確認したか

□ 境界線に緑が残っていないか

□ スピル除去は適用したか

□ 髪の毛は綺麗に抜けているか

仕上げ

□ 色味は背景と合っているか

□ 影は追加したか(必要な場合)

□ エッジは自然に見えるか

□ 全体を通して再生して確認したか

さらなるスキルアップのために

グリーンバック合成と映像制作のスキルを高めるために、以下の関連記事もぜひ参考にしてください。

今日から始める第一歩

グリーンバック合成は、「撮影」と「編集」の両面からアプローチすることで、品質が大きく変わります。

まずは、撮影環境を整えることから始めましょう。

  1. グリーンバックを用意する(なければ、緑の布でもOK)
  2. 均一に照らすことを意識する
  3. 被写体との距離を取る

撮影が良ければ、編集は驚くほど楽になります。

そして、編集ではマット表示を活用して、問題箇所を確認しながら調整してください。境界線が綺麗になるだけで、合成のクオリティは劇的に向上します。

グリーンバック合成をマスターすれば、表現の幅が大きく広がります。ぜひ、何度も練習して、プロ品質の合成を目指してください。

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