動画編集/撮影

トンマナ定義書:フォント・色・素材のルールを決めて「動画のブランド化」を急ごう

「うちの動画、なんかバラバラな印象がある……」

「担当者によって動画の雰囲気が違いすぎる……」

「これって本当にうちの会社の動画?と言われた……」

こんな経験はありませんか?

動画の発信量が増えるほど、「統一感のなさ」が目立つようになります。フォントがバラバラ、色使いがチグハグ、雰囲気が毎回違う——これでは、せっかくの動画がブランドの資産になりません。

解決策は、「トンマナ定義書」を作ることです。

トンマナ定義書とは、動画制作におけるフォント、色、素材、演出のルールを明文化したドキュメントです。これがあれば、誰が作っても一貫性のある動画が生まれ、ブランドの認知向上につながります。

この記事では、動画制作のためのトンマナ定義書の作り方を詳しく解説します。すぐに使えるテンプレートや具体例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

トンマナ定義書とは

トンマナの意味

トンマナは、「トーン&マナー(Tone and Manner)」の略称です。

トーン(Tone):表現の調子、雰囲気、印象

マナー(Manner):表現の方法、スタイル、形式

つまりトンマナとは、「どんな雰囲気で、どのように表現するか」というブランドの表現ルールのことです。

もともとは広告やデザインの世界で使われてきた概念ですが、動画制作においてもブランドの一貫性を保つために欠かせないものになっています。

トンマナ定義書とは

トンマナ定義書は、トンマナを文書化したガイドラインです。

動画制作におけるトンマナ定義書には、以下のような内容が含まれます。

  • ブランドの世界観:どんな印象を与えたいか
  • フォント:使用するフォント、サイズ、スタイル
  • カラー:使用する色、配色ルール
  • テロップデザイン:テロップの形式、装飾
  • BGM・効果音:音楽のジャンル、雰囲気
  • 映像のトーン:明るさ、彩度、色温度
  • 演出・エフェクト:トランジション、アニメーション
  • NG例:避けるべき表現

これらを明文化しておくことで、制作者が変わっても一貫した動画を作れるようになります。

なぜトンマナ定義書が必要なのか

トンマナ定義書が必要な理由は、主に以下の5つです。

1. ブランドの一貫性を保つ

視聴者は、一貫したビジュアルを通じてブランドを認識します。動画ごとに雰囲気が違うと、「この会社はどんな会社?」という印象がぼやけてしまいます。

2. 制作の効率化

ルールが決まっていれば、「どのフォントを使おう」「どの色にしよう」と迷う時間が減ります。意思決定のスピードが上がり、制作効率が向上します。

3. 品質の安定

ルールがあれば、担当者のスキルに依存せず、一定の品質を保てます。新人でも、ベテランと同じレベルの動画を作れるようになります。

4. チーム間の認識統一

「もっと明るく」「かっこいい感じで」といった曖昧な指示がなくなり、チーム内のコミュニケーションがスムーズになります。

5. 外注時の品質管理

外部の制作会社やフリーランスに依頼する際も、トンマナ定義書があれば意図通りの動画を作ってもらえます。

トンマナ定義書がない場合の問題

トンマナ定義書がないと、以下のような問題が発生します。

問題1:動画ごとの統一感がない

YouTube動画、SNS動画、Webサイト動画……それぞれの担当者が好きなように作ると、同じ会社の動画に見えなくなります

問題2:毎回ゼロから考える手間

フォント、色、BGM……毎回1から選んでいると、制作時間がかかります

問題3:担当者による品質差

センスのある人が作れば良い動画、そうでない人が作ると微妙な動画……品質がバラバラになります。

問題4:フィードバックが曖昧に

「なんか違う」「もっとブランドっぽく」といった曖昧なフィードバックが増え、修正回数が増加します。

問題5:ブランド認知が進まない

一貫性がないと、視聴者の記憶に残りにくく、ブランドの認知向上につながりません

トンマナ定義書を作る前の準備

ブランドの基本要素を確認する

トンマナ定義書を作る前に、ブランドの基本要素を確認しましょう。

確認すべき項目:

1. ブランドのミッション・ビジョン

会社が目指すもの、提供する価値は何か。これが動画の「芯」になります。

2. ターゲット

誰に向けた動画なのか。年齢、性別、職業、趣味嗜好など。

3. ブランドパーソナリティ

ブランドを人に例えると、どんな性格か。「親しみやすい」「信頼できる」「革新的」など。

4. 既存のブランドガイドライン

ロゴ、コーポレートカラー、フォントなど、すでに決まっているルールがあれば確認。

5. 競合との差別化ポイント

競合と比べて、何が違うのか。独自性をどう表現するか。

ムードボードを作成する

ムードボードは、ブランドの世界観を視覚的にまとめたものです。

トンマナ定義書を作る前に、ムードボードを作成すると、目指す方向性がチーム内で共有しやすくなります。

ムードボードに含める要素:

  • イメージに近い写真、イラスト
  • 参考にしたい動画のスクリーンショット
  • カラーパレット
  • フォントサンプル
  • キーワード(「シンプル」「温かみ」「先進的」など)

ブランディング動画の第一歩:トーン&マナーを決める「ムードボード」の作り方も参考にしてください。

参考動画を収集する

参考動画を集めることで、目指す方向性がより具体的になります。

収集のポイント:

  • 自社の過去動画:良かったもの、改善が必要なもの
  • 競合他社の動画:真似したい点、差別化したい点
  • 業界外の動画:インスピレーションを得る
  • NG例:避けたい表現の参考

参考動画は、「なぜこの動画が良いのか」を言語化しておくと、トンマナ定義書に落とし込みやすくなります。

関係者の意見を集める

トンマナ定義書は、関係者の合意のもとで作成することが重要です。

意見を聞くべき関係者:

  • 経営層:ブランドの方向性
  • マーケティング:ターゲットへの訴求
  • 制作チーム:実現可能性、運用のしやすさ
  • 営業:顧客からのフィードバック

一部の人だけで決めてしまうと、現場で使われないルールになるリスクがあります。

フォントのルールを決める

なぜフォントルールが重要か

フォントは、動画の印象を大きく左右する要素です。

同じ内容でも、フォントが違うだけで、「親しみやすい」「高級感がある」「信頼できる」といった印象がガラリと変わります

また、動画ごとにフォントが違うと、「同じブランドの動画」と認識されにくくなります。

メインフォントとサブフォントを決める

動画で使用するフォントを2〜3種類に絞りましょう。

メインフォント:タイトル、見出し、重要なテロップに使用

サブフォント:本文、補足説明、長文に使用

アクセントフォント(任意):強調、特別な演出に使用

フォント選びのポイント:

印象おすすめのフォントタイプ
信頼感、安定感ゴシック体(角ゴシック)Noto Sans JP、游ゴシック
親しみやすさ丸ゴシック体M PLUS Rounded、ヒラギノ丸ゴ
高級感、伝統明朝体Noto Serif JP、游明朝
ポップ、楽しさ手書き風、デザインフォントけいふぉんと、あんずもじ
先進的、クールサンセリフ体(英語)Montserrat、Futura

なぜそのフォント?テロップで「伝わる力」を最大化するフォント選びと視認性の基本も参考にしてください。

フォントサイズのルール

フォントサイズもルール化しておきましょう。

サイズの目安(1920×1080の場合):

用途サイズ目安
タイトル80〜120px
見出し60〜80px
本文テロップ40〜60px
補足・注釈24〜36px

注意:スマートフォンでの視聴を考慮し、小さすぎるフォントは避けましょう。SNS用の縦動画では、さらに大きめのサイズを推奨します。

フォントスタイルのルール

フォントのスタイル(太さ、傾き、装飾)もルール化します。

ウェイト(太さ):

  • タイトル・見出し:Bold(太字)
  • 本文:Regular(標準)またはMedium
  • 強調:Bold または色で強調

装飾:

  • 縁取り:使う/使わない、色、太さ
  • :使う/使わない、色、ぼかし
  • 座布団(背景):使う/使わない、色、透明度

定義書への記載例:

【テロップスタイル】
・縁取り:白、3px
・影:黒50%、ぼかし5px、オフセット2px
・座布団:使用しない(必要な場合は黒70%)

フォントの使用禁止例

使ってはいけないフォントも明記しておきましょう。

NG例:

  • 視認性の低いフォント(細すぎる、装飾が強すぎる)
  • ブランドイメージに合わないフォント
  • ライセンスに問題のあるフォント
  • 特定のフォント名を挙げて「○○は使用禁止」

カラーのルールを決める

ブランドカラーの確認

まず、既存のブランドカラーを確認しましょう。

確認すべきカラー:

  • プライマリーカラー:ブランドを代表する色(例:コーポレートカラー)
  • セカンダリーカラー:プライマリーを補完する色
  • アクセントカラー:強調や注目を集めるための色

企業のCIガイドライン(コーポレートアイデンティティ)がある場合は、それに準拠します。

動画用カラーパレットを作成

既存のブランドカラーをベースに、動画用のカラーパレットを作成します。

動画で必要なカラー:

用途説明
メインカラー最も多く使う色ブランドカラー
サブカラーメインを補完する色メインの明度違い、補色
アクセントカラー強調、CTAに使う色目立つ色(赤、オレンジなど)
ベースカラー背景、余白に使う色白、グレー、淡い色
テキストカラー文字に使う色黒、白、グレー

カラーパレットの例:

【カラーパレット】
・メインカラー:#0066CC(青)
・サブカラー:#003366(濃い青)、#66CCFF(薄い青)
・アクセントカラー:#FF6600(オレンジ)
・ベースカラー:#FFFFFF(白)、#F5F5F5(薄いグレー)
・テキストカラー:#333333(濃いグレー)、#FFFFFF(白)

カラーの使用比率

色の使用比率を決めておくと、バランスの良い配色になります。

70-25-5の法則:

  • 70%:ベースカラー(背景、余白)
  • 25%:メインカラー(主要な要素)
  • 5%:アクセントカラー(強調、CTA)

この比率を意識すると、統一感がありつつ、メリハリのある動画になります。

用途別のカラールール

用途ごとに使う色を指定しておきます。

テロップのカラールール例:

  • 通常のテロップ:白文字 + 黒縁取り
  • 強調テロップ:アクセントカラー(オレンジ)
  • ネガティブな内容:グレー
  • ポジティブな内容:メインカラー(青)

グラフィックのカラールール例:

  • 図解の背景:ベースカラー(薄いグレー)
  • 図解の枠線:メインカラー
  • CTAボタン:アクセントカラー

カラーの使用禁止例

使ってはいけない色や配色も明記します。

NG例:

  • ブランドカラーと競合する色(例:競合他社のコーポレートカラー)
  • 視認性の悪い配色(例:青背景に紫文字)
  • ブランドイメージに合わない色(例:高級ブランドにネオンカラー)
  • 特定の色の組み合わせを禁止

テロップデザインのルールを決める

テロップの種類を定義する

動画で使用するテロップの種類を定義し、それぞれのデザインを決めます。

テロップの種類例:

種類用途デザイン例
タイトル動画の冒頭、セクション見出し大きめ、Bold、中央配置
発言テロップ話者の発言を文字化画面下部、白文字+黒縁
強調テロップ重要なキーワードアクセントカラー、大きめ
補足テロップ追加情報、注釈小さめ、画面端
名前テロップ出演者の名前・肩書き画面下部、帯付き

テロップの配置ルール

テロップをどこに配置するかをルール化します。

配置のポイント:

  • セーフエリアを意識(画面端ギリギリは避ける)
  • 被写体を遮らない位置
  • 一貫した位置(毎回違う場所だと落ち着かない)

配置ルールの例:

【テロップ配置】
・発言テロップ:画面下部中央、下端から50px
・名前テロップ:画面左下、下端から80px、左端から50px
・強調テロップ:画面中央
・補足テロップ:画面右上

テロップのアニメーション

テロップの出現・消滅のアニメーションもルール化します。

アニメーションの種類:

  • カット(なし):瞬時に表示、瞬時に消滅
  • フェード:ふわっと表示、ふわっと消滅
  • スライド:横や下から入ってくる
  • ポップ:拡大しながら表示
  • タイプ:1文字ずつ表示

ルールの例:

【テロップアニメーション】
・発言テロップ:カット(アニメーションなし)
・タイトル:フェードイン(0.3秒)→ フェードアウト(0.3秒)
・強調テロップ:ポップイン(0.2秒)

注意:アニメーションが多すぎると、うるさい印象になります。シンプルなアニメーションを基本としましょう。

テロップテンプレートの作成

定義したテロップデザインを、編集ソフトのテンプレートとして保存しておきましょう。

Premiere Proの場合:

  • エッセンシャルグラフィックスでテロップを作成
  • 「モーショングラフィックステンプレート」として書き出し
  • チームで共有

テンプレートがあれば:

  • 毎回同じデザインを簡単に適用
  • 担当者が変わっても統一感を保てる
  • 制作時間の短縮

BGM・効果音のルールを決める

BGMのトーンを定義する

動画に使用するBGMのトーン(雰囲気)を定義します。

定義すべき項目:

1. ジャンル

ポップ、エレクトロニカ、クラシカル、アコースティック、ジャズ、アンビエント など

2. テンポ

アップテンポ、ミディアムテンポ、スローテンポ

3. 楽器編成

ピアノ中心、ストリングス、シンセサイザー、ギター など

4. 雰囲気

明るい、落ち着いた、壮大、クール、温かみのある など

定義の例:

【BGMトーン】
・ジャンル:エレクトロニカ、ポップ
・テンポ:ミディアムテンポ(BPM 100〜120)
・楽器:シンセ、ピアノ、軽めのドラム
・雰囲気:明るく前向き、先進的、クリーン
・NGジャンル:ハードロック、演歌、クラブミュージック

シーン別のBGMルール

シーンや用途別にBGMを使い分けるルールを決めます。

シーン別BGMの例:

シーンBGMの特徴
オープニングインパクトのある、テンポ速め
説明パート控えめ、落ち着いた
事例紹介前向き、明るい
エンディングまとめ感、余韻
CTAアップテンポ、行動を促す

BGMの音量ルール

BGMの音量レベルをルール化します。

音量の目安:

  • ナレーション・発言がある場合:BGMは声より-10〜-15dB低く
  • ナレーションがない場合:適度な音量(-6〜-10dB)
  • 強調シーン:BGMをやや大きく

フェードのルール:

  • フェードイン:動画開始時、0.5〜1秒
  • フェードアウト:動画終了時、1〜2秒
  • ナレーション開始時:BGMを下げる(ダッキング)

BGMの入れ方:「音量バランス」と「フェードイン・フェードアウト」で自然に仕上げるも参考にしてください。

効果音のルール

効果音(SE)の使用ルールも定義します。

使用する効果音の例:

  • トランジション:シュッ、ウーッシュ
  • テロップ出現:ポップ、シャキーン
  • 強調:キラーン、ドーン
  • ボタンクリック:カチッ
  • 正解・成功:ピンポン
  • 不正解・失敗:ブブー

効果音の使用方針:

  • 使いすぎない(うるさくならないように)
  • ブランドのトーンに合った音を選ぶ
  • 音量は控えめに

使用可能なBGM・効果音のリスト

著作権をクリアした使用可能なBGM・効果音のリストを作成しておきます。

リストに含める情報:

  • 曲名/ファイル名
  • ジャンル、雰囲気
  • テンポ(BPM)
  • 長さ
  • 使用シーン(推奨)
  • ライセンス情報
  • 入手先URL

おすすめの入手先:

  • YouTubeオーディオライブラリ(無料)
  • DOVA-SYNDROME(無料)
  • 甘茶の音楽工房(無料)
  • Epidemic Sound(有料・定額)
  • Artlist(有料・定額)

映像トーンのルールを決める

カラーグレーディングの方向性

動画の色味や明るさを統一するルールを決めます。

定義すべき項目:

1. 明るさ

明るめ、標準、暗め

2. コントラスト

高め(パキッと)、標準、低め(フラット)

3. 彩度

鮮やか、標準、落ち着いた

4. 色温度

暖色寄り(オレンジ)、ニュートラル、寒色寄り(青)

5. トーンカーブ

シャドウを持ち上げる(フェード感)、標準、黒を締める

定義の例:

【映像トーン】
・明るさ:やや明るめ(露出+0.3程度)
・コントラスト:標準
・彩度:やや鮮やか(+10程度)
・色温度:ニュートラル〜やや暖色
・全体の印象:クリーンで明るく、信頼感のある映像

カラーグレーディング:ホワイトバランスと「色温度」の調整で映像の印象をコントロールするも参考にしてください。

LUT(ルックアップテーブル)の作成

映像のトーンを統一するために、LUTを作成して共有しましょう。

LUTとは:

色調整のプリセット。適用するだけで、定義した色味に変換できます。

作成方法:

  1. 編集ソフトで理想の色調整を行う
  2. その設定を「LUT」として書き出し
  3. チームで共有
  4. 他の動画にも同じLUTを適用

LUTがあれば、誰でも同じ色味を再現できます。

撮影時のルール

編集だけでなく、撮影時のルールも定義しておくと、より統一感が出ます。

撮影ルールの例:

  • 解像度:1920×1080(フルHD)以上
  • フレームレート:30fps または 24fps
  • カメラ設定:ピクチャープロファイル(Log撮影など)
  • 照明:自然光を活かす / 照明で統一
  • 背景:シンプルな背景を推奨

演出・エフェクトのルールを決める

トランジションのルール

トランジション(場面転換)のルールを定義します。

使用するトランジション:

  • カット:最もシンプル、基本はこれ
  • ディゾルブ(クロスフェード):柔らかい印象
  • ワイプ:動きのある印象
  • ズームイン/アウト:強調

ルールの例:

【トランジション】
・基本:カット
・セクション間:ディゾルブ(0.5秒)
・強調シーン:ズームイン
・NG:スターワイプ、回転などの派手なトランジション

注意:トランジションの種類が多すぎると、散漫な印象になります。2〜3種類に絞るのがおすすめです。

モーショングラフィックスのルール

モーショングラフィックス(図解、アニメーションなど)のルールを定義します。

定義すべき項目:

  • アニメーションのスピード:速め / 標準 / ゆっくり
  • イージング:リニア / イーズイン / イーズアウト / イーズインアウト
  • グラフィックのスタイル:フラットデザイン / 立体的 / イラスト風
  • アイコンのスタイル:線 / 塗り / 角丸 / 角

ルールの例:

【モーショングラフィックス】
・アニメーションスピード:標準〜やや速め
・イージング:イーズアウト(自然な減速)
・グラフィックスタイル:フラットデザイン、シンプル
・アイコン:線のアイコン、角丸、メインカラー

ロゴの使用ルール

動画内でのロゴの使用ルールを定義します。

定義すべき項目:

  • 表示タイミング:オープニング、エンディング、常時(ウォーターマーク)
  • 表示位置:中央、右下、左下など
  • サイズ:画面に対する比率
  • クリアスペース:ロゴの周囲に確保する余白
  • 使用禁止:変形、色の変更、低解像度での使用など

ルールの例:

【ロゴ使用ルール】
・オープニング:中央に大きく表示(2秒)
・本編中:右下にウォーターマーク(透明度50%)
・エンディング:中央に表示(3秒)
・サイズ:ウォーターマーク時は画面幅の10%以下
・クリアスペース:ロゴの高さの50%以上を周囲に確保

オープニング・エンディングの統一

オープニングとエンディングを統一することで、ブランドの一貫性が高まります。

オープニングテンプレート:

  • ロゴアニメーション
  • 動画タイトルの表示形式
  • BGMの入り方

エンディングテンプレート:

  • ロゴの表示
  • チャンネル登録(YouTubeの場合)、SNSフォローの誘導
  • 関連動画へのリンク
  • 連絡先、Webサイト

テンプレート化のメリット:

  • 毎回ゼロから作る必要がない
  • 統一感が保たれる
  • ブランドの認知向上

トンマナ定義書のテンプレート

定義書の構成

トンマナ定義書の構成例を紹介します。

【目次】
1. はじめに
   - 本書の目的
   - 対象範囲
   - 更新履歴

2. ブランド概要
   - ブランドミッション
   - ブランドパーソナリティ
   - ターゲット
   - キーワード

3. フォント
   - 使用フォント一覧
   - フォントサイズのルール
   - フォントスタイルのルール
   - 使用禁止フォント

4. カラー
   - カラーパレット
   - 用途別カラールール
   - 使用禁止カラー

5. テロップデザイン
   - テロップの種類と定義
   - 配置ルール
   - アニメーションルール
   - テンプレートファイル

6. BGM・効果音
   - BGMのトーン定義
   - シーン別BGMルール
   - 音量ルール
   - 使用可能リスト

7. 映像トーン
   - カラーグレーディング方向性
   - LUTファイル
   - 撮影ルール

8. 演出・エフェクト
   - トランジションルール
   - モーショングラフィックスルール
   - ロゴ使用ルール
   - オープニング・エンディング

9. NG例
   - やってはいけない表現
   - 過去の失敗例

10. 参考資料
    - 参考動画リスト
    - ムードボード
    - テンプレートファイル一覧

簡易版テンプレート

最初から完璧な定義書を作る必要はありません。まずは簡易版からスタートしましょう。

【○○社 動画トンマナ定義書(簡易版)】

■ ブランドキーワード
・信頼感、先進的、親しみやすい

■ フォント
・メイン:Noto Sans JP Bold(タイトル、見出し)
・サブ:Noto Sans JP Regular(本文)

■ カラー
・メイン:#0066CC(青)
・アクセント:#FF6600(オレンジ)
・テキスト:#333333(濃いグレー)、#FFFFFF(白)

■ テロップ
・基本スタイル:白文字、黒縁取り(3px)
・配置:画面下部中央

■ BGM
・ジャンル:エレクトロニカ、ポップ
・雰囲気:明るく前向き

■ 映像トーン
・やや明るめ、クリーン

■ NG
・派手すぎるエフェクト
・競合他社カラー(赤)の多用

シンプルでも、あるとないとでは大違いです。

定義書の共有方法

作成したトンマナ定義書をチームで共有しましょう。

共有方法:

  • Google ドキュメント / Notion:オンラインでいつでも参照可能、更新も容易
  • PDF:印刷して配布、外部への共有
  • 社内Wiki:他のドキュメントと統合管理

共有のポイント:

  • アクセスしやすい場所に置く
  • 最新版がどれか明確にする(バージョン管理)
  • テンプレートファイルもセットで共有
  • 関係者全員に周知する

トンマナ定義書の運用

定着させるための施策

定義書を作っただけでは使われないことがあります。定着させるための施策を実施しましょう。

施策1:キックオフミーティング

定義書の完成時に、関係者を集めて説明会を開催。目的、内容、使い方を共有します。

施策2:テンプレートの整備

定義書だけでなく、すぐに使えるテンプレートを用意。編集ソフトのプロジェクトファイル、テロップテンプレートなど。

施策3:チェックリストの活用

動画公開前に、トンマナに沿っているかをチェックするリストを作成。

施策4:定期的なレビュー

制作した動画を定期的にレビューし、トンマナが守られているか確認

施策5:良い例の共有

トンマナに沿った良い動画の例を共有し、お手本にする。

チェックリストの例

動画公開前のトンマナチェックリストの例です。

フォント

□ 指定フォント(Noto Sans JP)を使用しているか

□ フォントサイズは適切か

□ 禁止フォントを使っていないか

カラー

□ ブランドカラーを使用しているか

□ 配色バランスは適切か

□ 禁止カラーを使っていないか

テロップ

□ テロップスタイルは統一されているか

□ 配置は定義通りか

□ アニメーションは定義通りか

BGM・効果音

□ BGMのトーンはブランドに合っているか

□ 音量バランスは適切か

□ 著作権はクリアしているか

映像トーン

□ 色味は定義に沿っているか

□ 明るさ、コントラストは適切か

演出

□ トランジションは定義通りか

□ ロゴの使用は正しいか

□ オープニング・エンディングは統一されているか

定義書の更新

トンマナ定義書は、一度作って終わりではありません。

更新が必要なタイミング:

  • ブランドのリニューアル時
  • 新しいプラットフォームへの展開時(例:TikTok開始)
  • 運用してみて改善点が見つかった時
  • トレンドの変化に対応する時

更新のルール:

  • バージョン管理:v1.0、v1.1、v2.0 など
  • 更新履歴を記録(いつ、誰が、何を変更したか)
  • 更新時は関係者に周知
  • 古いバージョンは明確に区別(旧版と明記、またはアーカイブ)

外注時の活用

外部の制作会社やフリーランスに動画制作を依頼する際にも、トンマナ定義書は役立ちます。

共有のポイント:

  • 発注時に定義書を共有
  • テンプレートファイルも一緒に渡す
  • 不明点は事前に確認してもらう
  • 納品時にトンマナチェックを実施

定義書があれば、「なんかイメージと違う……」というトラブルを大幅に減らせます

業種別のトンマナ例

IT・テック企業

キーワード:先進的、クリーン、シンプル、信頼感

フォント:

  • サンセリフ体(Noto Sans、Montserrat)
  • クリーンで読みやすいフォント

カラー:

  • ブルー系(信頼、テクノロジー)
  • 白、グレーのベース(クリーン)
  • アクセントにグリーンやオレンジ

映像トーン:

  • 明るめ、クリーン
  • 彩度はやや低め〜標準

BGM:

  • エレクトロニカ、アンビエント
  • クールで洗練された雰囲気

飲食・食品

キーワード:おいしそう、温かみ、親しみやすさ、新鮮

フォント:

  • 丸ゴシック(親しみやすさ)
  • 手書き風(温かみ)

カラー:

  • 暖色系(オレンジ、赤、茶)
  • 食材の色を活かす
  • 白、ベージュのベース

映像トーン:

  • 暖色寄り、やや彩度高め
  • 食材が美味しそうに見える色味

BGM:

  • アコースティック、ジャズ
  • 温かみのある、リラックスした雰囲気

医療・ヘルスケア

キーワード:信頼感、安心、清潔、専門性

フォント:

  • ゴシック体(信頼感)
  • 読みやすく、クリーンなフォント

カラー:

  • ブルー、グリーン(安心、清潔)
  • 白のベース
  • 落ち着いた配色

映像トーン:

  • 明るめ、クリーン
  • 彩度は控えめ

BGM:

  • ピアノ、ストリングス
  • 落ち着いた、安心感のある雰囲気

エンタメ・クリエイティブ

キーワード:楽しさ、ワクワク、インパクト、個性

フォント:

  • 個性的なデザインフォント
  • 太めのフォント(インパクト)

カラー:

  • ビビッドカラー
  • 多色使いもOK
  • コントラスト高め

映像トーン:

  • 彩度高め、コントラスト高め
  • エネルギッシュな色味

BGM:

  • ポップ、EDM、ロック
  • テンポ速め、エネルギッシュ

高級ブランド・ラグジュアリー

キーワード:高級感、上質、エレガント、洗練

フォント:

  • 明朝体、セリフ体
  • 細めのエレガントなフォント

カラー:

  • 黒、白、ゴールド、シルバー
  • 彩度を抑えた落ち着いた色

映像トーン:

  • コントラスト高め
  • 彩度は抑えめ
  • シネマティックな色味

BGM:

  • クラシカル、ジャズ
  • 落ち着いた、上質な雰囲気

よくある質問(FAQ)

Q1:トンマナ定義書は誰が作るべきですか?

A1:マーケティング、ブランディング担当者と、動画制作担当者が協力して作成するのが理想です。

ブランドの方向性を理解している人と、動画制作の実務を知っている人、両方の視点が必要です。小規模なチームでは、動画制作担当者が中心となって作成し、経営層やマーケティング担当者に確認を取る形でも良いでしょう。

Q2:どこまで細かく定義すべきですか?

A2:最初はシンプルに、運用しながら詳細化していくのがおすすめです。

最初から完璧な定義書を作ろうとすると、時間がかかりすぎます。まずは「フォント」「カラー」「BGMのトーン」など、最も影響が大きい要素から定義し、運用しながら必要に応じて項目を追加していきましょう。

Q3:SNS用動画とYouTube用動画で、トンマナを分けるべきですか?

A3:基本のトンマナは統一し、プラットフォームごとに微調整するのがベストです。

フォント、カラー、ブランドの世界観は統一します。ただし、プラットフォームの特性に合わせて、テロップのサイズ(SNSは大きめ)、動画の長さ、テンポ感などは調整が必要です。定義書に「プラットフォーム別の注意点」として記載しておくと良いでしょう。

Q4:外注先にトンマナ定義書を渡しても、守ってもらえません

A4:定義書だけでなく、テンプレートファイルと具体例もセットで渡しましょう

文書だけでは伝わりにくいことがあります。実際のテロップテンプレート、LUT、参考動画を一緒に渡すことで、意図が伝わりやすくなります。また、発注時に定義書の内容を口頭でも説明し、不明点を確認してもらいましょう。

Q5:トンマナを定義したら、クリエイティブの自由がなくなりませんか?

A5:トンマナは「制限」ではなく「土台」です。

トンマナは、ブランドの一貫性を保つための土台であり、その上で編集者は創造性を発揮できます。実際、ルールがあることで「何をしていいか分からない」状態から解放され、より自由にクリエイティブに集中できるようになります。

ただし、ルールが厳しすぎると窮屈になるので、「絶対守るべきルール」と「推奨」を分けて記載するのも一つの方法です。

Q6:既存の動画がすでにバラバラです。どうすればいいですか?

A6:今後の動画から統一していきましょう。

過去の動画をすべて作り直す必要はありません。まずはトンマナ定義書を作成し、今後の動画から適用していきましょう。特に重要な動画(会社紹介、メイン商品紹介など)は、余裕があればリニューアルを検討しても良いでしょう。

Q7:小規模なチームでもトンマナ定義書は必要ですか?

A7:必要です。むしろ小規模だからこそ効果的です。

小規模チームでは、担当者が変わったときの引き継ぎが特に重要です。また、属人化を防ぎ、誰でも同じ品質の動画を作れるようにするためにも、定義書は役立ちます。最初は簡易版で十分なので、ぜひ作成してみてください。

Q8:トンマナ定義書の作成にどれくらい時間がかかりますか?

A8:簡易版なら数時間〜1日、詳細版なら1〜2週間程度です。

ブランドの基本要素がすでに明確で、参考動画も集まっていれば、簡易版は数時間で作成できます。詳細版を作成する場合は、関係者との調整、テンプレートの作成なども含めて1〜2週間程度を見込んでおきましょう。

まとめ:トンマナ定義書でブランド動画を統一する

この記事のポイントを振り返り

動画のトンマナ定義書について、詳しく解説してきました。重要なポイントを振り返りましょう。

1. トンマナ定義書の重要性

ブランドの一貫性、制作効率化、品質の安定、チーム間の認識統一、外注時の品質管理——トンマナ定義書があれば、これらすべてが改善されます。

2. 定義すべき要素

  • フォント:メイン/サブフォント、サイズ、スタイル
  • カラー:ブランドカラー、用途別ルール、配色比率
  • テロップ:種類、配置、アニメーション
  • BGM・効果音:トーン、音量、使用可能リスト
  • 映像トーン:カラーグレーディング、LUT
  • 演出:トランジション、モーション、ロゴ使用

3. 運用のポイント

  • テンプレートファイルをセットで用意
  • チェックリストで確認
  • 定期的に更新
  • 外注時にも活用

トンマナ定義書作成チェックリスト

準備

□ ブランドの基本要素を確認した

□ ムードボードを作成した

□ 参考動画を収集した

□ 関係者の意見を集めた

作成

□ フォントルールを決めた

□ カラールールを決めた

□ テロップデザインルールを決めた

□ BGM・効果音ルールを決めた

□ 映像トーンルールを決めた

□ 演出・エフェクトルールを決めた

□ NG例を記載した

運用

□ テンプレートファイルを作成した

□ チェックリストを作成した

□ 関係者に周知した

□ 更新ルールを決めた

さらなるスキルアップのために

動画のブランディングをさらに強化するために、以下の関連記事もぜひ参考にしてください。

今日から始める第一歩

トンマナ定義書は、動画をブランドの資産に変えるための第一歩です。

最初から完璧を目指す必要はありません。まずは、「フォント」「カラー」「BGMのトーン」の3つだけでも決めてみてください。それだけでも、動画の統一感は大きく変わります。

定義書を作り、テンプレートを整備し、チームで共有する。この仕組みがあれば、誰が作っても「あなたの会社らしい動画」が生まれるようになります。

ぜひ、今日からトンマナ定義書の作成に取り組んでみてください。

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