「もう少し単価を上げてほしいけど、言い出せない…」
編集者やライターとして活動していると、一度はこんな思いを抱いたことがあるのではないでしょうか。実績を積み重ね、スキルも向上しているにもかかわらず、報酬は数年前から変わらない。クライアントとの関係を壊したくないから、なかなか値上げの話を切り出せない。そんな葛藤を抱えている方は少なくありません。
フリーランス協会が実施した調査「フリーランス白書2023」によると、回答者の4割強が「収入に不満足」と答えています。収入を上げるには仕事の単価を上げることが有効な手法の一つですが、多くの方が「クライアントに値上げを切り出しづらい」「交渉の仕方がわからない」と苦手意識を持っているのが現実です。
しかし、単価交渉は決して「わがままな要求」ではありません。あなたの価値を正当に評価してもらうための、ビジネスにおいて極めて当然のコミュニケーションです。
本記事では、単価交渉に苦手意識を持つ編集者の方に向けて、クライアントに納得感を与えながら値上げを実現するための具体的な方法を詳しく解説します。交渉の心構えから、ベストなタイミング、実際に使える例文まで、すぐに実践できる内容をお届けします。
1. なぜ「単価交渉」は必要なのか
収入アップには「量」より「単価」が重要
フリーランスとして収入を増やすには、大きく分けて2つの方法があります。一つは「案件数を増やす」こと、もう一つは「1件あたりの単価を上げる」ことです。
すぐに結果が出やすいのは案件数を増やす方法ですが、これはあまりおすすめできません。なぜなら、仕事量が増えることで案件対応に追われてしまい、徹夜が続いて体調を崩したり、本来自由な働き方を求めて独立したはずがセルフブラック化してしまったりするからです。
また、仕事量が増えるとスキルアップのための時間が確保しづらくなり、結果として長期的な収入向上につながらない悪循環に陥ることもあります。
収入は「単価×量」で決まります。この式で考えれば、量を増やすよりも単価を上げる方が、労働時間を増やすことなく時間あたりの報酬を向上させることができるのです。
市場相場より低い単価で働いている可能性
「今の単価が適正かどうか」を客観的に把握していますか?
フリーランスとして初めて受注した仕事の場合、提示された金額が妥当だと考えるのが一般的です。しかし、同じ案件内容の相場を確認できる案件サイトで調べてみると、現在よりも単価が高い案件が見つかるケースは決して珍しくありません。
クライアント側も、スキルを判断するためにあえて低めの単価を提示している可能性があります。求められている成果を出せており、クライアントから評価されていると感じるなら、単価交渉を検討するタイミングと言えるでしょう。
経済状況の変化に対応するため
消費税の増税、物価の上昇、各種手数料の値上げなど、経済状況は常に変化しています。こうした外部環境の変化に合わせて報酬も見直していかなければ、実質的な収入は目減りしていきます。
振り込み手数料やクラウドソーシングサイトの利用手数料なども、今後値上げになる可能性があります。理由や根拠が明確にあるなら、クライアントに値上げをお願いするのは当然のこと。堂々と交渉を行いましょう。
適正価格で働くことはクライアントにもメリットがある
「値上げをお願いしたら、クライアントに迷惑をかけるのでは…」と思うかもしれません。しかし、適正な報酬で働くことは、実はクライアントにとってもメリットがあります。
あまりに低い単価で無理を続けると、品質の低下やモチベーションの低下につながりかねません。結果として、クライアントの期待に応えられなくなる可能性があります。
適正価格で働くことで、あなたは高いモチベーションを維持し、質の高い成果物を提供し続けることができます。それは長期的に見れば、クライアントのビジネスにも大きく貢献することになるのです。
2. 単価交渉を苦手に感じる3つの心理的障壁
単価交渉に苦手意識を持つ方には、共通するいくつかの心理的障壁があります。まずはこれらを認識し、乗り越える準備をしましょう。
障壁①:「お金の話をするのは品がない」という思い込み
日本では「お金の話を直接するのは下品」「謙虚であるべき」という文化的な価値観が根強く残っています。そのため、報酬について積極的に話し合うことに抵抗を感じる方が多いのです。
しかし、ビジネスにおいて報酬の話は避けて通れません。むしろ、曖昧にしたまま仕事を続けることの方が、お互いにとって不健全な関係を生み出します。
報酬の話は「お金の要求」ではなく、「価値と対価のすり合わせ」という健全なビジネスコミュニケーションです。この認識を持つことで、交渉への心理的ハードルを下げることができます。
障壁②:「関係が壊れるのではないか」という恐怖
「値上げを言い出したら、仕事を切られるのではないか」 「クライアントとの良好な関係が崩れてしまうのではないか」
こうした恐怖心から、単価交渉を避け続けてしまう方は少なくありません。
確かに、交渉の仕方によっては関係が悪化するリスクはゼロではありません。しかし、適切なタイミングと方法で交渉すれば、むしろ信頼関係を深めるきっかけになることもあります。
そもそも、正当な理由があっての値上げ交渉を拒絶し、一方的に取引を打ち切るようなクライアントとは、長期的な関係を築くことは難しいでしょう。そうした相手との関係を無理に維持することが、本当にあなたにとってプラスになるか考えてみてください。
障壁③:「自分にはそこまでの価値がない」という自己評価の低さ
「まだ実績が足りない」「他にもっと優秀な人がいる」「私の仕事に高い報酬をもらう資格がない」
このような自己評価の低さは、単価交渉において最大の障壁となります。自分の価値を過小評価していると、交渉の場に立つことすらできません。
しかし、あなたがこれまでに積み重ねてきた経験、身につけたスキル、提供してきた成果物には、確かな価値があります。クライアントがあなたに継続して仕事を依頼しているということは、あなたの仕事が評価されている証拠です。
自己効力感を高めることが、単価交渉の第一歩となります。自分の実績を可視化し、提供している価値を客観的に把握することから始めましょう。
3. 交渉前に押さえておくべき5つの準備
単価交渉を成功させるためには、十分な事前準備が欠かせません。以下の5つのポイントを押さえて、万全の状態で交渉に臨みましょう。
準備①:市場相場をリサーチする
自分の単価が適正かどうかを判断するには、まず市場相場を把握する必要があります。
フリーランス向けのエージェントサイトやクラウドソーシングサイト、業界のコミュニティなどで公開されている案件情報・単価情報を参考にしましょう。依頼内容や求められるスキルレベルにおける一般的な相場を事前に調べておけば、交渉時に客観的な根拠として提示することができます。
具体的には、以下のような方法で相場を確認できます。
- クラウドソーシングサイトで類似案件の単価を確認する
- 同業者のコミュニティや勉強会で情報収集する
- 業界の単価相場に関する記事や調査レポートを読む
- エージェントに相談して相場感をヒアリングする
相場より低い場合は、客観的な根拠としてクライアントに納得してもらいやすくなります。逆に、すでに相場より高い場合は、別の切り口での交渉を検討する必要があります。
準備②:自分の実績と提供価値を可視化する
交渉の場では、「なぜ値上げが妥当なのか」を論理的に説明する必要があります。そのためには、自分の実績と提供価値を具体的に可視化しておくことが重要です。
以下のような項目を整理しておきましょう。
実績の可視化
- これまでに担当した記事数・案件数
- 執筆した記事のPV数やコンバージョン率
- 検索順位で上位を獲得した実績
- クライアントから受けた具体的な評価やフィードバック
- 修正回数の少なさや納期遵守率
スキルの可視化
- 取得した資格や受講した研修
- 専門分野や得意ジャンル
- 対応可能な業務範囲(構成作成、WordPress入稿、画像選定など)
- 使用できるツールやソフトウェア
数字で示せる実績は特に説得力があります。「前回のプロジェクトでは、記事のPVが前年比150%に向上しました」といった具体的なデータがあれば、交渉がスムーズに進みやすくなります。
準備③:希望単価と最低ラインを決めておく
交渉に臨む前に、希望する単価と、これ以下では受けられないという最低ラインを明確に決めておきましょう。
この2つを決めておくことで、交渉の場で冷静な判断ができるようになります。感情に流されて不本意な条件で合意してしまうことを防げます。
また、最初は希望単価より少し高めの金額を提示するのも有効なテクニックです。一般的な交渉術として、最初は高めのハードルを提示し、そこから徐々に下げていくことで、最終的に希望に近い条件を引き出せることがあります。
ただし、あまりにも相場とかけ離れた金額を提示すると、話し合いに応じてもらえなかったり、クライアントの心象を悪くしたりする可能性があるため、常識の範囲内で設定しましょう。
準備④:クライアントの状況を把握する
交渉を成功させるためには、相手の立場や状況を理解することも重要です。
クライアントの経営状況、予算の制約、プロジェクトの重要度などを事前に把握しておきましょう。クライアントが厳しい経営状況にあるタイミングで大幅な値上げを要求しても、受け入れてもらうのは難しいでしょう。
一方、クライアントのビジネスが好調で、あなたの貢献が大きいと認識されているなら、交渉は有利に進められる可能性が高くなります。
普段からクライアントとコミュニケーションを取り、相手の状況を把握しておくことが、適切なタイミングでの交渉につながります。
準備⑤:代替案を用意しておく
交渉では、相手が希望通りの条件に応じてくれない場合に備えて、代替案を用意しておくことが重要です。
例えば、以下のような代替案が考えられます。
- 値上げ幅を小さくする代わりに、業務範囲を絞る
- 次回以降の契約から単価を上げてもらう
- 単価は据え置きで、発注量を増やしてもらう
- 単価アップの代わりに、別の付加価値を提供する
このように複数の選択肢を用意しておくことで、交渉が行き詰まったときにも柔軟に対応でき、双方にとって納得できる落としどころを見つけやすくなります。
4. 単価交渉のベストタイミングとは
単価交渉を成功させるためには、タイミングが非常に重要です。以下のような場面は、交渉を切り出す好機と言えます。
タイミング①:契約更新時
最も自然に単価交渉ができるのは、契約の更新時です。
多くのフリーランス契約では、一定期間ごとに契約を更新する形を取っています。この更新のタイミングで「次回以降の契約条件について相談させてください」と切り出せば、クライアント側も条件見直しを前提として話を聞いてくれやすくなります。
契約更新の1〜2ヶ月前には、交渉の意向を伝えておくとスムーズです。
タイミング②:プロジェクトの切り替わり時
新しいプロジェクトが始まるタイミングも、単価交渉に適しています。
プロジェクトの中盤や終盤での交渉は、クライアントも途中での変更を避けたいため、難しくなる傾向があります。新しいフェーズの開始前に、これまでの実績を元に単価の見直しを提案しましょう。
「新プロジェクトではさらに高い成果を出すために、条件面でのご相談をさせてください」といった形で切り出すと、前向きな印象を与えられます。
タイミング③:業務範囲が拡大したとき
継続案件を進める中で、「いつの間にか仕事量が増えている」と感じたことはありませんか?
クライアントの信頼を得ていくと、「この仕事もお願いできますか?」と依頼範囲が広がることがあります。例えば、記事の執筆だけだったのが、構成作成やWordPressの入稿、画像選定なども担当するようになった場合などです。
当然、作業量が増えれば案件にかかる時間も増えるため、その分の報酬をいただくのはビジネスとして当然のことです。追加業務が発生した時点で、速やかに単価の見直しを相談しましょう。
タイミング④:信頼関係が十分に築けたとき
クライアントとの信頼関係が十分に構築されている状態は、単価交渉のベストタイミングです。
以下のようなサインがあれば、信頼関係が築けていると判断できます。
- 修正依頼がほとんどない
- 定期的に継続発注がある
- クライアントから相談や意見を求められる
- 「いつも助かっています」といった感謝の言葉がある
- 他の案件や他のライターの紹介を依頼される
信頼できるパートナーが離れてしまうことは、クライアントにとっても避けたい事態です。そのため、信頼関係がしっかりしていれば、値上げ交渉にも応じてもらいやすくなります。
タイミング⑤:他社から高単価のオファーを受けたとき
他のクライアントからより高い単価でオファーを受けた場合、それを交渉材料として活用することもできます。
「他社では文字単価3円でお仕事をいただいていまして…」とさりげなく伝えることで、クライアントに自分の市場価値を認識してもらえます。
ただし、これは脅しや駆け引きのためではなく、あくまでも自分の価値を客観的に示すための情報として伝えましょう。相手を不快にさせるような言い方は避けてください。
避けるべきタイミング
一方、以下のようなタイミングでの交渉は避けた方が無難です。
- クライアントが忙しい繁忙期
- 会社の決算期や予算策定時期
- プロジェクトの途中
- 何らかのトラブルが発生した直後
- クライアントとの関係がまだ浅い段階
相手の状況を見極め、双方にとってwin-winになれるタイミングを選ぶことが大切です。
5. クライアントに納得感を与える値上げの切り出し方
いよいよ実際の交渉に臨みましょう。クライアントに納得感を与えながら値上げを実現するためのポイントを解説します。
ポイント①:感謝の気持ちから入る
交渉の冒頭では、まず日頃のお付き合いに対する感謝を伝えましょう。
「いつもお仕事をいただきありがとうございます」 「○○様のプロジェクトに関われることを、とても嬉しく思っています」
このような言葉で始めることで、相手に好印象を与え、交渉をスムーズに進めやすくなります。いきなり「単価を上げてほしい」と切り出すのではなく、まずは関係性を大切にする姿勢を見せることが重要です。
ポイント②:一方的な要求ではなく「相談」として切り出す
「単価を上げてください」という一方的な要求は、相手に押し付けがましい印象を与えてしまいます。
代わりに、「ご相談があるのですが」「少しお時間をいただけますでしょうか」という形で、相談ベースで切り出しましょう。
「突然のお願いで恐縮ですが、今後のお取引について少しご相談させていただきたいことがございます」
このように伝えることで、相手も構えることなく話を聞いてくれやすくなります。
ポイント③:値上げの理由を明確に伝える
ただ「報酬を上げてほしい」と伝えるだけでは不十分です。なぜ値上げが必要なのか、その理由を明確に説明しましょう。
説得力のある理由としては、以下のようなものがあります。
スキル・実績の向上 「お仕事をいただく中で、SEOライティングのスキルが向上し、担当した記事の検索順位が平均して上位5位以内に入るようになりました」
業務範囲の拡大 「当初は記事の執筆のみでしたが、現在は構成作成からWordPressの入稿まで担当させていただいています」
市場相場との乖離 「同様の業務内容で、他社様では文字単価○円でお仕事をいただいています」
外部環境の変化 「昨今の物価上昇や各種手数料の値上げに伴い、従来の単価では継続が難しくなってきました」
具体的な数字やエピソードを交えると、より説得力が増します。
ポイント④:クライアントのメリットを示す
値上げ交渉で最も重要なのは、クライアントにとってのメリットを示すことです。
「単価を上げていただければ、私としてはより多くの時間とエネルギーを御社の案件に注ぐことができます」 「品質とスピードを意識した対応を、今後も継続してまいります」 「新しいスキルを活かして、これまで以上に御社のビジネスに貢献できると考えています」
「自分がこうしたい」ではなく、「こうすることでクライアントにこんなメリットがある」という形で伝えることが、納得感につながります。
ポイント⑤:具体的な金額を提示する
「単価を上げていただけますか?」と曖昧に聞くのではなく、具体的な金額を提示しましょう。
「現在の文字単価○円を、△円に改定していただきたいのですが」 「次回以降、記事単価を○○円でお願いできないでしょうか」
具体的な数字を示すことで、クライアントも検討しやすくなります。曖昧な聞き方をすると「0.1円なら」「上げるのは難しい」と渋られる可能性が高くなります。
ポイント⑥:相手の都合にも配慮する
一方的に要求を押し付けるのではなく、相手の立場や状況にも配慮する姿勢を見せましょう。
「御社のご予算もおありかと思いますので、ご検討いただければ幸いです」 「すぐにお返事いただかなくても結構です。ご都合の良いときにお聞かせください」 「もし難しい場合は、別の条件についてもご相談できればと思います」
このような言葉を添えることで、交渉が敵対的なものではなく、協力的な話し合いであることを伝えられます。
ポイント⑦:今後の関係継続への意欲を伝える
最後に、今後もクライアントと良好な関係を続けていきたいという意欲を伝えましょう。
「今後も○○様とは長くお仕事をご一緒させていただきたいと考えております」 「引き続き、御社のお役に立てるよう努めてまいります」
これにより、単価交渉が関係の終わりではなく、より良い関係を築くためのステップであることを示せます。
6. 状況別・単価交渉の例文テンプレート
ここでは、実際の交渉に使える例文をシーン別にご紹介します。そのままコピーして使うこともできますが、ご自身の状況に合わせてアレンジしてお使いください。
例文①:継続案件で信頼関係が築けている場合
○○様
いつも大変お世話になっております。
日頃から継続的にご依頼いただき、誠にありがとうございます。
このたび、今後のお取引について少しご相談させていただきたく、ご連絡いたしました。
○○様の案件に携わらせていただいてから約1年が経ち、この間にSEOライティングのスキルを磨いてまいりました。おかげさまで、担当した記事の多くが検索上位を獲得できるようになっております。
つきましては、今後のお取引に関しまして、報酬の見直しについてご検討いただけないでしょうか。
【現行】文字単価 2.0円
【改定希望】文字単価 2.5円(次回ご依頼分より)
突然のお願いで大変恐縮ではございますが、今後も品質とスピードを意識した対応を継続し、○○様のビジネスに貢献していく所存です。
ご検討のほど、何卒よろしくお願いいたします。
例文②:業務範囲が拡大した場合
○○様
お世話になっております。
いつもご依頼いただきありがとうございます。
○○様のプロジェクトに関わらせていただき、大変やりがいを感じております。
このたび、業務内容についてご相談がございます。
当初は記事執筆のみのご依頼でしたが、現在は以下の業務も担当させていただいております。
・構成の作成
・WordPressへの入稿
・アイキャッチ画像の選定
業務範囲の拡大に伴い、1記事あたりの作業時間が当初の約1.5倍になっております。
そこで、誠に恐縮ではございますが、報酬の見直しについてご検討いただけないでしょうか。
【現行】1記事 5,000円
【改定希望】1記事 7,500円
ご予算のご都合もおありかと思いますので、段階的な調整や別の形でのご相談も可能です。
引き続き、○○様のお役に立てるよう努めてまいります。
ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
例文③:スキルアップ・資格取得をアピールする場合
○○様
いつも大変お世話になっております。
日頃のご厚意に心より感謝申し上げます。
このたび、今後のお取引についてご相談させていただきたく、ご連絡いたしました。
先日、ウェブ解析士の資格を取得いたしました。これにより、記事執筆だけでなく、データに基づいた改善提案も可能になりました。
実際に、他のクライアント様では、執筆した記事のアクセス解析を行い、改善施策をご提案した結果、CVRが1.2倍に向上した実績もございます。
つきましては、私のスキルアップに伴い、報酬について見直しのご相談をさせていただければ幸いです。
【現行】文字単価 1.5円
【改定希望】文字単価 2.0円
○○様の事業成長に、これまで以上に貢献できると確信しております。
ご検討いただけますと幸いです。
例文④:市場相場を根拠にする場合
○○様
お世話になっております。
いつもご依頼いただきありがとうございます。
○○様との長いお付き合いを、大変ありがたく思っております。
本日は、報酬についてご相談がございます。
昨今の市場動向を調べておりましたところ、同様の業務内容・クオリティで、文字単価3円前後が一般的な相場となっていることがわかりました。
現在○○様には文字単価2円でお仕事をいただいておりますが、相場との乖離が生じている状況です。
つきましては、下記の通り単価の見直しをご検討いただけないでしょうか。
【現行】文字単価 2.0円
【改定希望】文字単価 2.8円
もちろん、一度に大幅な変更が難しい場合は、段階的な引き上げなど、ご相談させていただければ幸いです。
今後とも、○○様のご期待に応えられるよう精進してまいります。
何卒よろしくお願いいたします。
例文⑤:フリーランスとして本業化する場合
○○様
いつも大変お世話になっております。
突然のご連絡で恐縮ですが、今後のお取引についてご相談させてください。
来月より、フリーランスとして独立し、ライター業を本業として活動することになりました。
これに伴い、これまで以上に執筆活動に専念し、品質向上に努めてまいります。
つきましては、誠に勝手なお願いではございますが、今後のご依頼につきまして、単価の見直しをご検討いただけないでしょうか。
【現行】1記事 8,000円
【改定希望】1記事 12,000円
本業として取り組むにあたり、○○様には引き続きお仕事をご一緒させていただきたいと強く願っております。
ご検討いただけますと幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。
7. 交渉が難航したときの対処法
交渉が思い通りに進まないことも当然あります。そんなときの対処法を知っておきましょう。
対処法①:代替案を提示する
希望通りの単価アップが難しい場合は、事前に用意しておいた代替案を提示しましょう。
「単価の変更が難しければ、業務範囲を絞ることで対応させていただくことは可能でしょうか?」 「次回以降の契約から、段階的に単価を見直していただくことは可能でしょうか?」 「単価は据え置きで、発注量を増やしていただくことは可能でしょうか?」
柔軟に対応する姿勢を見せることで、交渉の余地が生まれることがあります。
対処法②:検討期間を設ける
即答が難しい場合は、クライアントに検討期間を設けてもらいましょう。
「すぐにお返事いただかなくて結構です。社内でご検討いただき、来週中にお聞かせいただければ幸いです」
時間を置くことで、クライアント側も冷静に検討でき、前向きな回答を得られることがあります。
対処法③:関係維持を優先する
交渉が決裂しそうな場合は、無理に押し通そうとせず、関係維持を優先することも一つの選択です。
「承知いたしました。今回は現行の条件で引き続きお仕事させていただきます。また機会を改めてご相談させてください」
今回はうまくいかなくても、次のタイミングでチャンスが訪れることもあります。関係を壊してしまうよりも、長期的な視点で考えることも大切です。
対処法④:他の選択肢を検討する
どうしても折り合いがつかない場合は、新規クライアントの開拓を視野に入れることも必要です。
低単価のまま仕事を続けることは、長期的に見るとあなたのキャリアにとってマイナスになる可能性があります。現在のクライアントとの関係を大切にしながらも、より良い条件で働ける機会を探すことは、健全なビジネス判断です。
8. 単価交渉に失敗しないための注意点
単価交渉を成功させるためには、以下のような点に注意しましょう。
注意点①:実績が伴っていない段階での交渉は避ける
まだクライアントとの関係が浅い段階や、十分な実績を示せていない段階での交渉は避けましょう。
プロジェクト開始直後に単価交渉をすると、クライアントに「この人と契約して大丈夫かな?」という不安を抱かせる可能性があります。まずは求められている成果を確実に出し、信頼を積み重ねることが先決です。
注意点②:修正が多い状態での交渉は避ける
毎回たくさんの修正箇所が発生している状態で「報酬を上げてください」と言っても、却下される可能性が高いでしょう。
修正箇所が多い場合、まだ課題があるという評価になります。クライアントや編集者も添削チェックに時間を割き、サポートや調整に人的・時間的コストを払っています。
まずは修正箇所を減らすことを意識し、修正がほぼない状態になってから交渉に臨みましょう。
注意点③:感情的な言い方は避ける
「安すぎる」「そんな値段ではできない」といった直接的・感情的な言い方は避けましょう。
相手を責めるような言い方は、たとえ正当な主張であっても、関係を損ねてしまいます。あくまでも冷静に、論理的に、相手を尊重した言葉遣いで交渉を進めてください。
注意点④:他のクライアントを引き合いに出しすぎない
「他社ではこの単価でやっています」という情報は、客観的な市場価値を示すために有効です。しかし、これを強調しすぎると、クライアントに圧力をかけているように感じられてしまいます。
他社の話はあくまでも参考情報として軽く触れる程度にとどめ、メインの交渉材料にはしないようにしましょう。
注意点⑤:一度決めた金額を何度も変えない
交渉の途中で金額を何度も変えると、信頼性が損なわれます。
最初に提示した金額には根拠があることを示し、簡単には引き下げないようにしましょう。もちろん、相手の事情を聞いた上で柔軟に対応することは大切ですが、それは「譲歩」として行うものであり、「最初から適当に決めていた」と思われないように注意が必要です。
注意点⑥:結果を引きずりすぎない
交渉が失敗に終わることもあります。その場合、必要以上に「自分には価値がないんだ」「もう依頼はないかも」と落ち込んだり引きずりすぎたりしないようにしましょう。
タイミングやクライアントの予算により、希望通りにいかないことはあります。ライターとしてのスキルが認められていても、それ以外の事情で叶わないケースもあるのです。
気持ちを切り替え、次の機会を待ちましょう。
9. 値上げ後も良好な関係を維持するコツ
値上げが実現した後も、クライアントとの良好な関係を維持することが大切です。
コツ①:感謝の気持ちを伝える
値上げに応じてもらえたら、必ず感謝の気持ちを伝えましょう。
「ご検討いただきありがとうございます。ご期待に応えられるよう、より一層努力してまいります」
当たり前のことですが、この一言があるかないかで、その後の関係性に大きな差が出ます。
コツ②:期待以上の成果を出す
値上げ後は、これまで以上に高い成果を出す意識を持ちましょう。
クライアントは「単価を上げた分、より良い仕事をしてくれるはず」という期待を持っています。その期待に応える、あるいは上回る成果を出すことで、「値上げして良かった」と思ってもらえます。
コツ③:コミュニケーションを密にする
値上げ後も、クライアントとのコミュニケーションを密に取りましょう。
報告・連絡・相談を丁寧に行い、信頼関係を維持・強化することが大切です。交渉が成功したからといって、その後の対応が雑になってしまっては、せっかく築いた関係が崩れてしまいます。
コツ④:次の値上げは適切な間隔を空ける
値上げに成功したからといって、短期間で再度の値上げ交渉を行うのは避けましょう。
適切な間隔を空け、その間にさらなる実績を積み重ねてから、次の交渉に臨むようにしてください。目安としては、少なくとも半年〜1年程度は間隔を空けることをおすすめします。
10. まとめ
本記事では、単価交渉が苦手な編集者の方に向けて、クライアントに納得感を与えながら値上げを実現するための方法を詳しく解説してきました。
最後に、重要なポイントをおさらいしましょう。
単価交渉は「わがまま」ではない
単価交渉は、あなたの価値を正当に評価してもらうためのビジネスコミュニケーションです。「お金の話をするのは品がない」「関係が壊れる」といった思い込みを捨て、自分の価値を信じて交渉に臨みましょう。
事前準備が成功の鍵
市場相場のリサーチ、実績の可視化、希望単価と最低ラインの設定、クライアントの状況把握、代替案の用意。これらの準備を怠らないことが、交渉成功の鍵です。
タイミングを見極める
契約更新時、プロジェクトの切り替わり時、業務範囲が拡大したとき、信頼関係が築けたとき。これらのタイミングを逃さず、交渉を切り出しましょう。
Win-Winの関係を目指す
交渉は「勝ち負け」ではありません。クライアントにとってのメリットを示し、双方が納得できる落としどころを見つけることが大切です。相手の立場を尊重し、協力的な姿勢で交渉に臨んでください。
失敗を恐れない
交渉が思い通りにいかないこともあります。しかし、そこで諦めてしまっては何も変わりません。失敗を経験として次に活かし、粘り強く交渉のスキルを磨いていきましょう。
単価交渉は、一度コツをつかめば決して難しいものではありません。この記事で紹介した方法を参考に、ぜひ次のステップに踏み出してみてください。
あなたの価値に見合った報酬を受け取り、より充実したフリーランス生活を送れることを願っています。