「せっかく良い内容の動画を作ったのに、なぜか再生回数が伸びない」「視聴者からBGMがうるさいと言われた」——このような悩みを抱えている動画クリエイターは少なくありません。実は、視聴者の離脱を招く最大の原因の一つが「音声品質」にあることをご存知でしょうか。
YouTubeをはじめとする動画プラットフォームでは、視聴維持率がアルゴリズム評価の重要な指標となっています。どれほど映像が美しくても、音声にノイズが混入していたり、ナレーションとBGMのバランスが悪かったりすると、視聴者は数秒で離脱してしまいます。特に音量調整に関する不満は、「この動画は質が低い」という印象を与え、チャンネル全体の評価にも悪影響を及ぼします。
本記事では、動画制作において見落とされがちな「音」の重要性を掘り下げ、プロ級の音声品質を実現するためのノイズ除去テクニックと音量バランスの黄金比を、具体的な数値とともに徹底解説します。企業の動画担当者からYouTuberまで、すべての動画クリエイターに役立つ実践的なガイドです。
1. なぜ「音」が動画品質の決め手なのか

1-1. 視聴維持率と音声品質の深い関係
YouTubeの視聴維持率とは、動画全体のうち視聴者が平均して何%まで再生したかを示す指標です。例えば10分の動画で平均視聴時間が5分であれば、視聴維持率は50%となります。この数値が高いほどYouTubeのアルゴリズムから「視聴価値が高い」と評価され、関連動画やおすすめ欄での露出が増加します。
一般的に、視聴維持率40%以上が「良好」とされていますが、音声品質に問題がある動画では、冒頭30秒以内に大量の離脱が発生することが分かっています。BGMや効果音の音量が適切でないと視聴しにくいと感じられ、「この動画は質が低い」という印象を与えてしまうのです。
また、音声にノイズが入っている場合、内容に興味があっても耳障りで離脱するという視聴者も少なくありません。動画コンテンツにおいて、音声品質は映像品質と同等、あるいはそれ以上に重要な要素なのです。
1-2. 音声トラブルの典型的なパターン
視聴者を不快にさせる音声トラブルには、大きく分けて以下のようなパターンがあります。まず「音声ノイズ」の問題です。エアコンの音、外を通る車の音、風の音、機械音など、撮影時には気にならなくても編集時に確認すると思いのほか大きなノイズとして記録されていることがあります。特に自宅や貸し会議室など、レコーディング環境が整っていない場所での撮影では、このような環境音が混入しやすくなります。
次に「音量バランスの崩れ」です。BGMが大きすぎてナレーションが聞き取れない、または逆にBGMが小さすぎて間延びした印象になるといった問題は非常に多く見られます。効果音も同様で、高音の機械音は実際より大きく聞こえる傾向があり、意図せず視聴者を驚かせてしまうことがあります。
さらに「音割れ(クリッピング)」の問題もあります。マイクの入力値が大きすぎたり、音量の異なる素材を組み合わせた結果、総音量が0dBを超えると音声が歪んでしまいます。一度発生した音割れは編集での完全な修復が難しく、撮り直しが必要になることも少なくありません。
2. 音声ノイズの種類と発生原因
2-1. 環境ノイズ
環境ノイズは、撮影環境から発生する不要な音の総称です。最も一般的なのが「ホワイトノイズ」で、「サーッ」「シーッ」という高周波の連続音として聞こえます。これはエアコンやパソコンのファン、照明器具などから発生することが多く、撮影中は気にならなくても録音データを確認すると顕著に現れます。
「ハムノイズ」は「ブーン」という低い連続音で、電源ケーブルや電子機器からの電磁波干渉によって生じます。特に50Hzまたは60Hzの周波数を基本とした倍音を含んでおり、安価なオーディオ機器や長い配線を使用する場合に発生しやすくなります。
「残響音(リバーブ)」は、壁や天井で音が反響することで生じる「ワンワン」とした響きです。広い部屋や壁が硬い部屋で発生しやすく、プロのスタジオでは吸音材を使用して抑制しています。過度な残響は音声の明瞭度を著しく低下させ、聞き取りにくい印象を与えます。
2-2. 収録時のノイズ
収録時に発生するノイズとしては、まず「風切り音」があります。屋外撮影で風がマイクに当たると「ボワボワ」「ゴーゴー」という低い音が記録されます。風防(ウインドスクリーン)を使用することである程度防げますが、強風時には完全な防止は困難です。
「リップノイズ」は、唇や口内の音が「ペチャッ」「クチャッ」と記録されてしまう現象です。収録前に水を飲むことである程度軽減できますが、完全に防ぐことは難しく、編集でのケアが必要になることが多いです。また「歯擦音(しさつおん)」は「さしすせそ」などの発音時に「シュッ」という鋭い音が目立つ現象で、高感度マイクでは特に顕著になります。
「衣擦れ音」も見落とされがちなノイズです。ラベリアマイク(ピンマイク)を衣服に装着した場合、動くたびに「ガサガサ」という音が混入することがあります。マイクの固定方法や衣服の素材選びで軽減できますが、後から除去が必要になるケースも少なくありません。
3. 撮影前の事前対策
3-1. 撮影環境の整備
高品質な音声を収録するためには、撮影前の環境整備が最も重要です。まず、可能な限り静かな環境を確保しましょう。エアコンを一時的にオフにする、窓を閉める、電子機器の電源を切るなど、基本的な対策だけでも大きな効果があります。
室内の反響を抑えるために、カーテンやカーペット、布製品を活用することも効果的です。予算に余裕があれば、吸音パネルや吸音材を設置することで、プロのスタジオに近い環境を作ることができます。壁に本棚を置いたり、ソファを配置したりするだけでも反響を軽減できます。
ロケ撮影の場合は、事前のロケハン(下見)が重要です。時間帯によって周囲の騒音レベルが変わることも多いため、実際の撮影時間帯に下見を行うことをお勧めします。また、撮影当日にはチェックリストを用意し、環境音の確認を怠らないようにしましょう。
3-2. 収録設定の最適化
マイクの入力ゲイン(感度)設定は、収録品質を左右する重要なポイントです。適切な設定は-6dB〜-12dB程度で、大きな声や笑い声、拍手などがあっても音割れしないよう余裕を持たせます。逆に入力レベルが低すぎると、後で音量を上げた際にノイズも一緒に増幅されてしまいます。
マイクと話者の距離も重要です。近すぎると破裂音(パピプペポの発音時の「ポッ」という音)が入りやすく、遠すぎると環境音の割合が増えてしまいます。一般的には口から15〜30cm程度の距離が推奨されますが、マイクの種類によって最適な距離は異なります。外部マイクを使用する場合は、事前にテスト録音を行い、最適な設定を見つけておくことが大切です。
4. ノイズ除去の実践テクニック
4-1. 基本的なノイズ除去の流れ
ノイズ除去は、動画編集の「仕上げ」の工程で行います。映像編集が完了してから音声の調整に入るのがプロの現場での標準的な流れです。これは、映像の変更によって音声の尺や演出が変わる可能性があるためです。
ノイズ除去の基本的な流れは、まず「ノイズの特定」から始まります。どの種類のノイズが、どの程度の強さで入っているかを把握します。次に「除去処理」を行いますが、この際に重要なのは「かけすぎない」ことです。ノイズ除去を強くかけすぎると、肝心の音声まで劣化してこもった音になってしまいます。
処理後は必ず「確認」を行います。プレビューで比較しながら、元の音声の質感を損なっていないか確認しましょう。また、複数のリスニング環境(PCスピーカー、スマホ、イヤホンなど)でチェックすることをお勧めします。
4-2. エフェクト別の使い方
【ハイパスフィルター(ローカット)】人の声は一般的に、男性で80Hz〜200Hz、女性で160Hz〜300Hzに分布しています。50〜80Hz以下の低周波をカットすることで、空調音や低い環境音を除去しつつ、声の質感は維持できます。Premiere Proでは「イコライザー」エフェクトで設定できます。
【クロマノイズ除去】「サーッ」というホワイトノイズや空調音の軽減に効果的です。周波数帯ごとに適用度合いを調整できるため、声の質感を損ねにくいというメリットがあります。ただし、強くかけすぎると声がこもって聞こえるため、プレビューで確認しながら少しずつ調整することがポイントです。
【ディエッサー】歯擦音(「さしすせそ」の発音時の鋭い音)が耳につく場合に使用します。特定の周波数帯(通常5kHz〜10kHz付近)のピークを自動的に抑えることで、不快な歯擦音を軽減します。ただし、かけすぎると滑舌が悪く聞こえるため注意が必要です。
【リミッター】音量の最大値を制限するエフェクトです。急な大声や効果音で音割れが発生することを防ぎます。設定値は-1dB〜-0.3dB程度が一般的で、これにより最大音量を超えることがなくなります。
4-3. AI搭載ノイズ除去ツールの活用
近年、AI技術を活用したノイズ除去ツールが急速に普及しています。業界標準として知られる「iZotope RX」シリーズは、映画やテレビ番組の制作現場でも広く使用されており、アカデミー賞協会からScientific and Engineering Awardを受賞するほど高い評価を得ています。
iZotope RXの「Repair Assistant」機能を使えば、AIが自動的にノイズを分析し、最適な処理を提案してくれます。専門的な知識がなくても、数クリックでプロレベルのノイズ除去が可能です。「Spectral De-noise」「De-reverb」「De-click」など、ノイズの種類に応じた専用モジュールも充実しています。
より手軽なツールとしては、「Noise Eraser」(スマホアプリ)、「LALAL.AI」(オンラインサービス)、「Media.io」(Webブラウザ対応)などがあります。これらは無料または低コストで利用でき、AIが人の声とノイズを自動識別して処理してくれます。カジュアルな動画制作には十分な品質が得られるでしょう。
動画編集ソフトに内蔵されたAI機能も進化しています。PowerDirectorの「AIスピーチ強調」やFilmoraの「AIスピーチエンハンスメント」は、話し声を自動認識し、背景ノイズを抑制してくれます。NVIDIA Broadcastを活用したリアルタイムノイズ除去にも対応しており、配信者にも人気です。
5. 音量バランスの黄金比
5-1. 各要素の基準音量
動画編集における音量は「dB(デシベル)」という単位で表されます。デジタル音声では0dBが最大値であり、これを超えると音割れが発生します。以下に、各音声要素の推奨音量を示します。
| 音声要素 | 推奨音量 | 備考 |
| ナレーション・話し声 | -6dB 〜 -12dB | メインの音声、最も聞こえやすく |
| BGM(会話あり) | -24dB 〜 -30dB | 「-20dBルール」が基本 |
| BGM(会話なし) | -15dB 〜 -18dB | OP・ED、盛り上がりシーン |
| 効果音(SE) | -6dB 〜 -15dB | 高音SEは小さめに設定 |
重要なのは「-20dBルール」です。これはBGMの音量をメインの音声(ナレーション)より約20dB低く設定するという業界の経験則で、多くのプロの動画編集者が採用しています。例えば、ナレーションを-6dBに設定した場合、BGMは-26dB程度が目安となります。
ただし、この数値はあくまで出発点であり、BGMのジャンルや動画の雰囲気によって微調整が必要です。アップテンポのダンスミュージックとアコースティックなバラードでは、同じdB値でも体感の音量が異なります。最終的には耳で確認し、ナレーションがクリアに聞き取れるかどうかで判断しましょう。
5-2. ラウドネスと配信プラットフォームの関係
「ラウドネス」とは、人が実際に感じる音量を数値化したもので、単位は「LUFS」(Loudness Units Full Scale)で表されます。従来の「dB」がピーク音量を示すのに対し、LUFSは動画全体の平均的な「聴感上の音量」を表します。
YouTubeでは「ラウドネスノーマライゼーション」という機能が導入されており、-14LUFS(公式未発表だが広く認識されている基準値)を超える音量の動画は自動的に音量が下げられます。つまり、極端に音圧を上げた動画を投稿しても、YouTube側で自動調整されてしまうのです。
| プラットフォーム | 推奨ラウドネス値 |
| YouTube | -14 LUFS |
| ニコニコ動画 | -15 LUFS |
| 日本のテレビ放送 | -24 LUFS(±1) |
| Spotify | -14 LUFS |
| Apple Music | -16 LUFS |
重要なのは、基準値より小さい音量の動画は自動調整されない点です。つまり、-14LUFSを大きく下回る小さな音量で投稿すると、他の動画と比べて相対的に静かな印象を与えてしまいます。YouTube向けの動画制作では、-14LUFS付近を狙って調整することが推奨されます。
6. 音量調整の実践ワークフロー
6-1. 編集の順序
効率的な音声編集のためには、正しい順序で作業を進めることが重要です。まず最初に「素材のノーマライズ」を行います。すべての音声クリップのピーク音量を揃え、音割れを防ぎます。Premiere Proでは対象クリップを選択して「オーディオゲイン」から「最大ピークをノーマライズ」を選ぶことで自動調整できます。
次に「個別のノイズ除去」を行います。環境音やリップノイズなど、素材ごとの問題を処理します。この段階で先に述べたエフェクト(ハイパスフィルター、クロマノイズ除去など)を適用します。
その後「各要素の音量バランス調整」に入ります。ナレーション、BGM、効果音のそれぞれの音量を、前述の基準値を参考に設定します。この時点では完璧を求めず、大まかなバランスを取ることを優先します。
最後に「全体の仕上げ」として、マスタートラックにリミッターを適用し、ラウドネス値を確認します。配信先のプラットフォームに合わせて最終調整を行い、書き出しを行います。
6-2. 確認のポイント
音声編集が完了したら、必ず複数の環境で確認を行いましょう。PCのスピーカー、スマートフォンの内蔵スピーカー、イヤホン・ヘッドホンの3つは最低限チェックすべきです。環境によって聞こえ方が大きく異なることがあり、特にスマートフォンでは低音が聞こえにくい傾向があります。
また、編集直後は「編集疲れ」で正確な判断ができないことがあります。可能であれば、1時間程度時間を置いてから改めて確認することをお勧めします。「視聴者感覚」を取り戻してから聴くことで、音量やバランスの問題に気づきやすくなります。
YouTubeにアップロードした動画については、「詳細統計情報」から実際のラウドネス処理を確認できます。動画再生画面で右クリックし「詳細統計情報」を選択すると、「Volume / Normalized」の値が表示されます。ここで「content loudness」がプラスの値であれば、YouTubeによって音量が下げられていることを意味します。
7. 動画ジャンル別の音声設計
7-1. 企業VP・プロモーション動画
企業のプロモーション動画やコーポレートビデオでは、ブランドイメージを損なわない高品質な音声が求められます。ナレーションは明瞭で落ち着いた印象を与えるよう、-8dB〜-10dB程度に設定し、コンプレッサーで音量のばらつきを抑えます。BGMは控えめな-28dB〜-32dB程度とし、ナレーションの邪魔にならないよう配慮します。
特に重要なのは「無音」の扱いです。企業動画では完全な無音は不自然に感じられることがあるため、ごく小さな音量(-40dB以下)でアンビエントBGMを敷いておくテクニックがよく使われます。また、シーン転換時のフェードイン・フェードアウトを丁寧に行うことで、プロフェッショナルな印象を与えることができます。
7-2. YouTubeトーク・解説動画
YouTubeのトーク系動画では、視聴者が長時間聴き続けることを想定した設計が必要です。話し声は-6dB〜-10dB程度を基準とし、抑揚のある話し方でも音割れしないよう余裕を持たせます。フィラー(「えー」「あー」などの言いよどみ)は可能な限りカットし、テンポよく進行させることで視聴維持率の向上につながります。
BGMは-24dB程度が基準ですが、解説の盛り上がり部分では一時的に上げる演出も効果的です。効果音は多用しすぎると騒がしい印象を与えるため、強調したいポイントに絞って使用します。また、チャプター(目次)機能を活用し、視聴者が目的の情報にスキップできるようにすることも、視聴体験の向上に寄与します。
7-3. Vlog・ドキュメンタリー
Vlogやドキュメンタリーでは、現場の臨場感を伝えることが重要です。環境音を完全に除去するのではなく、適度に残すことでリアリティが生まれます。ただし、風切り音や突発的な騒音は視聴の妨げになるため、除去または軽減が必要です。
屋外撮影が多いVlogでは、Google Pixelの「音声消しゴムマジック」のようなスマートフォンのAI機能も活用できます。AIが人の声と環境音を自動分離し、それぞれの音量を個別に調整できるため、現場の雰囲気を残しつつ会話を聞き取りやすくすることが可能です。
8. よくある失敗と対処法
8-1. ノイズ除去のかけすぎ
ノイズ除去で最も多い失敗は「かけすぎ」です。強くかけすぎると、肝心の音声までこもって不自然な音になってしまいます。これは「アーティファクト」と呼ばれる現象で、一度発生すると元に戻すことが困難です。
対処法としては、まず控えめな設定から始め、徐々に強度を上げていくアプローチが有効です。また、多くのノイズ除去ツールには「Output noise only」(ノイズのみを聴く)機能があります。この機能で確認しながら、除去対象が本当にノイズだけであることを確認しましょう。声の成分まで含まれていたら、設定が強すぎる証拠です。
8-2. BGMの選択ミス
BGMとナレーションの周波数帯が被っていると、音量を下げてもナレーションが聞き取りにくくなることがあります。特に、ボーカル入りの楽曲やミッドレンジ(中音域)が強い楽曲は、人の声との相性が悪い傾向があります。
対処法として、まずBGMを選ぶ際にはインストゥルメンタル(楽器のみ)の楽曲を優先しましょう。また、高音域や低音域に特徴がある楽曲を選ぶと、中音域の話し声と干渉しにくくなります。どうしても相性の悪いBGMを使用する場合は、EQでBGMの中音域を抑えることで改善できることがあります。
8-3. プラットフォーム間の音量差
同じ動画をYouTube、Instagram、TikTokなど複数のプラットフォームに投稿した際、音量が異なって聞こえることがあります。これは各プラットフォームのラウドネスノーマライゼーションの基準が異なるためです。
対処法としては、YouTube基準(-14LUFS)で制作しておくことをお勧めします。YouTubeは最も厳格なラウドネス管理を行っているため、YouTube基準で作成した動画は他のプラットフォームでも大きな問題なく再生されます。また、ラウドネスノーマライゼーションがないプラットフォーム(一部のSNS)でも、極端に大きな音量にならないため安全です。
9. おすすめツール・ソフトウェア
9-1. プロ向けツール
【iZotope RX】業界標準のオーディオリペアツールです。映画やテレビ番組の制作現場で広く使用されており、あらゆる種類のノイズに対応できます。ElementsエディションからAdvancedエディションまでグレードがあり、用途に応じて選択できます。AIによる自動処理機能「Repair Assistant」を搭載しており、初心者でも扱いやすくなっています。
【Adobe Premiere Pro / Audition】動画編集ソフトの定番であるPremiere Proには、「クロマノイズ除去」「エッセンシャルサウンド」など強力な音声編集機能が内蔵されています。より高度な処理が必要な場合は、同じAdobeのAuditionと連携することで、波形レベルでの精密な編集が可能です。
9-2. コンシューマー向けツール
【Filmora】直感的な操作が魅力の動画編集ソフトです。「AIスピーチエンハンスメント」「風の音除去」「ハム除去」「ヒス除去」など、目的別のノイズ除去機能を搭載しています。ワンクリックで適用できる手軽さが特徴で、初心者にもおすすめです。
【PowerDirector】AI技術を活用した「AIスピーチ強調」機能を搭載しています。話し声を自動認識し、背景ノイズを抑制してくれます。NVIDIA Broadcastにも対応しており、リアルタイムでのノイズ除去も可能です。
【DaVinci Resolve】無料で使える本格的な動画編集ソフトです。Fairlightという高機能な音声編集機能を内蔵しており、ノイズ除去からラウドネス調整まで幅広い処理が可能です。プロの映像制作でも使用されるレベルの機能が無料で利用できる点が大きな魅力です。
9-3. オンラインツール・アプリ
【LALAL.AI】AIを活用したオンラインのノイズ除去サービスです。ボーカル分離にも対応しており、BGMから歌声だけを抽出するといった高度な処理も可能です。無料枠でも基本的なノイズ除去が利用できます。
【Media.io】Webブラウザ上で動作するノイズ除去ツールです。ソフトのインストールが不要で、ファイルをアップロードするだけでノイズ除去が行えます。風音、ヒスノイズ、ハムノイズなど、ノイズの種類を選択して処理できます。
【Noise Eraser】スマートフォン向けのノイズ除去アプリです。AIが音声を分析し、人の声とノイズを自動識別して処理します。撮影したその場で音声を確認・修正できるため、モバイルでの動画制作に便利です。
10. まとめ:プロ級の音声品質を実現するために
動画のクオリティは「音」で決まる——この言葉の意味を、本記事を通じてご理解いただけたのではないでしょうか。視聴維持率に直結する音声品質は、動画制作において最も見落とされがちでありながら、最も重要な要素の一つです。
プロ級の音声品質を実現するためのポイントを改めて整理します。まず、撮影前の環境整備を徹底すること。どんなに優れた編集ツールがあっても、収録段階で発生したノイズを完全に除去することは困難です。静かな環境を確保し、適切なマイク設定で収録することが、高品質な音声の第一歩です。
次に、ノイズ除去は「控えめ」を心がけること。かけすぎによる音質劣化は、ノイズ以上に視聴者に不快感を与えます。AI搭載の最新ツールを活用しながらも、最終的には自分の耳で確認し、自然な音質を維持することが大切です。
そして、音量バランスの「黄金比」を守ること。ナレーション-6dB〜-10dB、BGM-24dB〜-30dB(-20dBルール)という基準を出発点として、動画のジャンルや内容に応じて微調整します。最終的にはYouTube基準の-14LUFSを目指して全体のラウドネスを調整し、どのプラットフォームでも適切な音量で再生されるようにします。
これらの知識とテクニックを実践することで、視聴者が最後まで離脱せず、「質が高い」と感じる動画を制作できるようになります。音声品質の向上は、視聴維持率の改善、ひいてはチャンネル全体の成長につながる重要な投資です。
最初から完璧を目指す必要はありません。まずは本記事で紹介した基準値を参考に、一つずつ改善を積み重ねていきましょう。継続的な取り組みが、プロ級の音声品質への近道です。