AIに「面白さ」は判断できるか?
動画のハイライト(見どころ)を自動抽出するツール活用
1時間の対談動画から、TikTokでバズる1分を切り抜く作業に何時間かけていますか?AIは「感情」を持たずとも、「人間が興味を持つ瞬間」を数学的に予測し始めています。
1. AIはどうやって「面白さ」を検知しているのか?
結論から言えば、AIは人間のように「ウケる!」「泣ける」と感情移入しているわけではありません。AIは動画をデータとして分解し、複数のシグナル(信号)を組み合わせて「ここが重要である確率」を算出しています。
マルチモーダル分析の仕組み
最新のAIは、映像・音声・言語の3つを同時に分析します。
「声のボリュームが上がった」「複数の人が同時に笑った」「話す速度が速くなった(熱量の上昇)」といった波形の変化から、盛り上がりを検知します。
会話の内容を文字起こしし、「結論」「数字」「キラーワード」が含まれる箇所や、文脈の切れ目を理解します。ChatGPTのようなLLM(大規模言語モデル)の技術です。
「演者の顔がアップになった」「画面の動きが激しくなった」「人物が増えた」など、視覚的な変化が大きいポイントを捉えます。
2. 得意な「面白さ」と、苦手な「面白さ」
AIハイライト抽出は万能ではありません。今の技術レベルで「任せていい領域」と「人間がやるべき領域」を見極めることが重要です。
| 項目 | AIが得意なこと(自動化推奨) | AIが苦手なこと(人間必須) |
|---|---|---|
| 判定基準 | 情報の密度・熱量 | 文脈・皮肉・空気感 |
| ジャンル | セミナー、対談、インタビュー、製品説明 (明確なトピックがあるもの) |
コント、漫才、ドキュメンタリー、Vlog (「間」や「オチ」が重要なもの) |
| 事例 | 「売上が2倍になった秘訣は…」という 有益なノウハウ部分の切り抜き |
真顔でボケるシーンや、 あえて沈黙する「気まずい面白さ」 |
つまり、「情報価値の高いハイライト」の抽出はAIの独壇場ですが、「感情的な機微(エモさ)」の抽出はまだ人間に分があります。
3. 今すぐ使えるハイライト抽出AIツール 3選
「切り抜き動画(Shorts/Reels/TikTok)」を量産するために、世界中のクリエイターが導入している代表的なツールを紹介します。
特徴:YouTubeのURLを貼るだけで、長い動画から「バズりそうな箇所」を10〜20本自動で切り出し、縦型動画に変換します。
すごい点:「Virality Score(バズり度)」を100点満点で採点してくれます。字幕のデザインも自動で「今風」にしてくれるため、そのままTikTokに投稿可能です。
特徴:「無音区間の短縮」や「テロップ生成」で有名ですが、最新機能では「要約とショート動画生成」も強化されています。
すごい点:日本語の認識精度が非常に高い。編集画面がWordのようなテキストエディタ形式なので、AIが選んだ箇所を人間が微調整するのが非常に楽です。
特徴:「文字起こしベースの編集」機能に、AIによる「フィラー(えー、あー)の自動削除」が搭載されています。
すごい点:完全に自動で切り抜く機能はありませんが、プロのワークフローの中で「会話の取捨選択」を爆速化するために必須の機能です。
4. 成果を出すための「AI + 人間」のワークフロー
ツールを導入しただけで動画がバズるわけではありません。AIを「優秀なアシスタント」として使いこなすためのフローがこちらです。
STEP 1:AIによる「粗編集(ラフカット)」
1時間の動画をOpusClipなどに読み込ませます。AIが「候補を10個」出してくれます。
ここでのポイント:人間は、AIが出した候補の中から「採用/不採用」を決めるだけです。0から探す手間を省きます。
STEP 2:人間による「文脈の補強」
AIは唐突に話し始めるところから切り抜くことがあります。人間が「冒頭にフック(引き)となる一言を入れる」「オチの余韻を少し足す」といった微調整を行います。
STEP 3:データのフィードバック
投稿した動画の「視聴維持率」や「クリック率」を確認します。AIが「面白い」と判定したものが本当に人間にウケたのか? このズレを把握することで、次回以降の「AI選び+人間修正」の精度が上がります。
結論:AIは「鉱山夫」、人間は「宝石職人」
AIは、膨大な土砂(長時間動画)の中から、原石(ハイライト候補)を見つけ出すのが圧倒的に速いです。
しかし、その原石を磨き上げ、誰かにプレゼントできる「宝石(コンテンツ)」にするのは、まだ人間の仕事です。
「面白さ」の判定をAIに委ねるのではなく、「退屈な部分のカット」をAIに任せると考えれば、あなたの動画制作は劇的に加速します。