「うちの工場の技術力は高いのに、動画で見ると普通の作業風景にしか見えない」
「職人の技を動画にしたいけど、ただ撮影しただけでは凄さが伝わらない」
「海外の製造業動画を見ると映画みたいにかっこいいのに、うちの動画はどこか安っぽい」
こんな悩みを抱えている製造業の担当者や、工芸品メーカーの方は多いのではないでしょうか。
日本には世界に誇る製造技術や伝統工芸があります。しかし、その「凄さ」を動画で伝えることは、簡単ではありません。
普通に撮影しただけでは、どれほど高度な技術でも「ただの作業映像」に見えてしまいます。視聴者は「ふーん、こうやって作るんだ」で終わってしまい、技術の価値や職人の熟練、ものづくりへの情熱は伝わりません。
しかし、「シネマティック」な編集を施せば、同じ映像が「芸術作品」に変わります。
映画のような質感、ドラマチックな色調、緩急のあるスローモーション、臨場感のある音響…。これらの編集技術によって、視聴者は「すごい…」「美しい…」「この会社に頼みたい」と心を動かされるのです。
この記事では、製造業や伝統工芸に特化した「シネマティックな動画編集」のテクニックを徹底解説します。フレームレートの選び方、カラーグレーディング、スローモーションの使い方、音響設計まで、技術の「魅せ方」を知り尽くしたプロの手法をお伝えします。
工場のPR動画を制作している担当者、伝統工芸の魅力を発信したい職人さん、製造業向けの動画編集を請け負うクリエイターの方は、ぜひ最後までお読みください。
なぜ製造・技術動画に「シネマティック」が効くのか
「技術の凄さ」は映像で伝えにくい
製造業や伝統工芸の技術力は、見る人が見れば分かります。しかし、一般の視聴者や、海外のバイヤー、取引先の担当者など、専門外の人にとっては、「何がすごいのか」が分からないことがほとんどです。
例えば、職人が1ミリ以下の精度で金属を削っている映像を見ても、素人にはその精度の凄さは伝わりません。「何か機械を動かしているな」程度の印象で終わってしまいます。
また、伝統工芸の職人が何十年もかけて習得した技を披露していても、動画では「おじいさんが何か作っているな」としか映らないことがあります。
つまり、「技術の凄さ」を言葉や数字で説明するのではなく、「映像の力」で直感的に感じさせる必要があるのです。
シネマティックが「感情」を動かす
シネマティック(映画的)な映像には、人の感情を動かす力があります。
なぜ映画を見ると感動するのでしょうか。それは、映画が「見せ方」にこだわり抜いているからです。照明、色調、カメラワーク、音楽、編集のテンポ…。これらすべてが計算され、観客の感情を意図した方向に導いています。
同じ手法を製造・技術動画に応用すれば、視聴者に「すごい」「美しい」「感動した」という感情を抱かせることができます。
例えば、鍛冶職人が真っ赤に焼けた鉄を叩く映像を考えてみましょう。
普通の撮影・編集の場合:職人が鉄を叩いている。火花が散っている。ハンマーの音がする。「ふーん、鉄を叩いて形を作るんだな」で終わり。
シネマティックな編集の場合:スローモーションで飛び散る火花が美しく輝く。深みのあるオレンジ色に色調補正された炎。ズームインで職人の真剣な眼差し。ハンマーの重厚な音が響く。「…すごい。この職人さんの技術は本物だ」と感動する。
同じ素材でも、編集次第で視聴者の反応は全く変わるのです。
「ブランド価値」を高める効果
シネマティックな動画は、製品や会社の「ブランド価値」を高める効果もあります。
高品質な映像は、それ自体が「この会社は本物だ」「この製品は価値がある」というメッセージになります。逆に、素人っぽい動画は、どれだけ優れた技術を持っていても「大丈夫かな?」という印象を与えてしまいます。
特に、高単価な製品を扱う製造業や、ブランド力が重要な伝統工芸において、動画のクオリティは直接的にビジネスに影響します。
海外の展示会で流す動画、取引先に送るプレゼン資料、採用サイトで使う会社紹介動画…。これらの場面で、シネマティックな動画は「この会社と取引したい」「この会社で働きたい」という気持ちを喚起します。
製造業のホームページ制作については、製造業・工場こそホームページが必要!B2B取引を拡大させる技術力の伝え方の記事も参考にしてください。
シネマティック編集の基本要素
フレームレート:24fpsの魔法
シネマティックな映像を作る上で、最も基本的かつ重要な要素が「フレームレート」です。
フレームレート(fps:frames per second)とは、1秒間に何枚の静止画で構成されているかを示す数値です。
24fps:映画の標準。独特の「映画らしい」質感が生まれる。動きに適度なモーションブラー(残像)がかかり、滑らかすぎない自然な動きになる。
30fps:テレビ放送やYouTubeの標準。滑らかで見やすいが、「映画っぽさ」は出にくい。
60fps:非常に滑らかな動き。スポーツ映像やゲーム実況に向いている。シネマティックには不向き。
シネマティックな動画を作るなら、24fpsで撮影・編集することが基本です。
24fpsは、人間の目が「映画」として認識する独特のリズムを持っています。30fpsや60fpsでは、どんなにカラーグレーディングを施しても、「ビデオっぽさ」が残ってしまいます。
ただし、スローモーションを使う場合は、撮影時に60fpsや120fpsで撮影し、編集時に24fpsのタイムラインに配置することで、滑らかなスローモーションを実現します。
フレームレートの詳しい解説は、映画のような質感(シネマティック)を作る「24fps」と「モーションブラー」の法則の記事を参考にしてください。
アスペクト比:シネスコープの導入
映画といえば、横に長い画面を思い浮かべる人が多いでしょう。この「横長の画面」もシネマティックな印象を作る重要な要素です。
16:9:一般的な動画のアスペクト比。YouTubeやテレビの標準。
2.35:1(または2.39:1):シネマスコープ(シネスコ)と呼ばれる、映画でよく使われるアスペクト比。上下に黒帯(レターボックス)が入り、映画らしい印象になる。
2.76:1:さらに横長のウルトラワイド。壮大なスケール感を出したい場合に使う。
製造・技術動画でシネスコを採用すると、一気に「映画っぽさ」が増します。
編集でシネスコにする方法
16:9で撮影した映像に、編集ソフトで上下に黒帯を追加するだけで、シネスコの見た目になります。Premiere ProやDaVinci Resolveには、レターボックスを追加する機能やテンプレートがあります。
ただし、上下がカットされるため、撮影時に被写体を画面中央に配置するなど、フレーミングに注意が必要です。
シネスコについては、シネマティックVlog:企業の日常を映画のように魅せる!「レターボックス」と「24fps」の魔法の記事でも解説しています。
カラーグレーディング:色で「世界観」を作る
シネマティックな映像に欠かせないのが「カラーグレーディング」です。
カラーグレーディングとは、映像の色調を意図的に調整し、特定の雰囲気や感情を演出する技術です。映画では、作品ごとに独自のカラーグレーディングが施されており、それが作品の「世界観」を形作っています。
製造・技術動画に適したカラーグレーディング
ティール&オレンジ(Teal & Orange):ハリウッド映画で定番のカラーグレーディング。シャドウ(暗い部分)を青緑(ティール)に、ハイライト(明るい部分)をオレンジに寄せる。金属の質感や炎との相性が良く、製造業動画に非常に適している。
高コントラスト・低彩度:コントラストを上げ、彩度をやや落とすことで、重厚感のある映像に。精密機械や金属加工の動画に向いている。
温かみのあるトーン:木工や陶芸など、自然素材を扱う伝統工芸には、温かみのある茶色・オレンジ系のトーンが合う。
モノクロ(白黒):あえてモノクロにすることで、アート性を強調。伝統工芸や職人技を「芸術」として見せたい場合に効果的。
カラーグレーディングの基本については、カラーグレーディングの基本|動画の色味を整えて「プロっぽさ」を出す方法の記事を参考にしてください。また、DaVinci Resolveを使った本格的なカラーグレーディングについては、DaVinci Resolve:無料版でここまでできる!プロ仕様の色補正をビジネス動画に活かす方法も参考になります。
被写界深度:ボケを活かす
映画らしい映像のもう一つの特徴が「被写界深度の浅さ」、つまり「背景がボケている」ことです。
被写界深度が浅いと、ピントが合っている部分(被写体)が際立ち、背景がなだらかにボケます。これにより、視聴者の視線を被写体に集中させることができ、美しく印象的な映像になります。
浅い被写界深度を実現する方法
大きなセンサーのカメラを使う:フルサイズ一眼カメラやシネマカメラは、スマートフォンやコンパクトカメラよりも大きなボケを得られます。
明るいレンズ(F値の小さいレンズ)を使う:F1.4、F1.8、F2.8などの明るいレンズは、被写界深度を浅くできます。
被写体と背景の距離を離す:被写体から背景が離れているほど、背景がよりボケます。
望遠レンズを使う:望遠レンズは、広角レンズよりも被写界深度が浅くなります。
製造現場での活用
工場や工房では、背景に機械や工具がごちゃごちゃと映りがちです。被写界深度を浅くすることで、背景を美しくボカし、職人の手元や製品に視線を集中させることができます。
例えば、職人が細かい作業をしている手元にピントを合わせ、背景の工房をぼかすと、「技術の繊細さ」が際立つ映像になります。
スローモーションの効果的な使い方
なぜスローモーションが効くのか
シネマティックな製造・技術動画において、スローモーション(スロー再生)は非常に効果的な手法です。
スローモーションの効果
「見えない瞬間」を見せる:人間の目では追えない高速な動き(火花が飛び散る瞬間、金属が削られる瞬間、液体が流れる瞬間など)をスローで見せることで、視聴者は「すごい…」という感動を覚えます。
「重要な瞬間」を強調する:特に見せたい瞬間をスローにすることで、「ここが大事なポイントです」というメッセージを伝えられます。
「感情を揺さぶる」:スローモーションには、時間を引き延ばすことで感情を増幅させる効果があります。職人が製品を完成させる瞬間、最後の仕上げを施す瞬間などをスローにすると、感動的な映像になります。
「美しさを際立たせる」:火花、煙、液体、粉塵など、動きのある素材はスローで見ると非常に美しく映ります。
スローモーションの撮影設定
滑らかなスローモーションを実現するには、撮影時の設定が重要です。
高フレームレートで撮影する
スローモーションは、高フレームレート(60fps、120fps、240fpsなど)で撮影した映像を、低フレームレート(24fpsや30fps)のタイムラインに配置することで実現します。
60fpsで撮影 → 24fpsで再生:2.5倍のスロー(元の40%の速度)
120fpsで撮影 → 24fpsで再生:5倍のスロー(元の20%の速度)
240fpsで撮影 → 24fpsで再生:10倍のスロー(元の10%の速度)
フレームレートが高いほど、滑らかで美しいスローモーションになります。ただし、高フレームレートで撮影するには、明るい照明が必要です(シャッタースピードが速くなるため、光量が必要)。
シャッタースピードの設定
シネマティックな動きを出すためには、シャッタースピードをフレームレートの2倍に設定するのが基本です(180度ルール)。
60fpsで撮影する場合は1/120秒、120fpsで撮影する場合は1/240秒に設定します。
スローモーションが効果的なシーン
火花が飛び散るシーン:溶接、鍛造、研磨など、火花が出る作業はスローモーションの定番。オレンジ色の火花がゆっくりと飛び散る様子は非常に美しい。
液体が流れるシーン:塗装、注ぎ込み、冷却など、液体の動きはスローで見ると幻想的。
精密な手作業:職人の繊細な手の動き、道具の使い方をスローで見せると、技術の高さが伝わる。
機械の動き:高速で動く機械をスローにすると、普段は見えない動作の仕組みが分かり、技術力をアピールできる。
製品の完成・仕上げの瞬間:最後の仕上げ、製品を持ち上げる瞬間、検品する瞬間などをスローにすると、感動的なエンディングになる。
スローモーションとスピードランプの使い分けについては、物撮り編集:商品の質感を120%引き出す!スローモーションとスピードランプの使い分けの記事も参考にしてください。
スピードランプで緩急をつける
スローモーションをさらに効果的に使う手法が「スピードランプ」です。
スピードランプとは、1つのクリップ内で速度を変化させる技術です。通常速度→スロー→通常速度、またはスロー→高速→スローのように、緩急をつけることで、ダイナミックでドラマチックな映像を作れます。
スピードランプの例
職人がハンマーを振り上げる(通常速度)→ 振り下ろす瞬間(スロー)→ 火花が散る(超スロー)→ 次の動作に移る(通常速度)
このように、「見せたい瞬間」だけスローにし、それ以外は通常速度にすることで、テンポ良くかつ印象的な映像になります。
Premiere ProやDaVinci Resolveには、スピードランプを滑らかに設定できる機能があります。キーフレームを使って速度の変化点を設定し、「イーズイン」「イーズアウト」をかけることで、自然な速度変化を実現できます。
イージングについては、アニメーションの「イージング」とは?動きの緩急でプロの質感を出す方法の記事も参考にしてください。
音響・サウンドデザイン
「音」が映像の印象を決める
シネマティックな映像において、「音」は映像と同じくらい重要です。
実際、多くの映画監督やエディターは「映像の50%は音で決まる」と言います。どんなに美しい映像でも、音がチープであれば、全体の印象が台無しになります。
製造・技術動画においても、音響設計(サウンドデザイン)を丁寧に行うことで、映像のクオリティを大幅に高めることができます。
環境音・作業音の活かし方
製造現場には、独特の「音」があります。機械の稼働音、金属を削る音、ハンマーを叩く音、炎の燃える音、液体が流れる音…。
これらの環境音・作業音は、適切に編集すれば、映像の臨場感を高める強力な武器になります。
環境音を活かすポイント
クリアな音を録る:撮影時に、ノイズの少ないクリアな音を録ることが基本です。可能であれば、外部マイク(ガンマイクやレコーダー)を使い、高品質な音声を収録しましょう。
印象的な音を強調する:ハンマーの「カーン」という金属音、炎の「ゴー」という燃焼音、機械の「シュイーン」という動作音など、印象的な音を編集で強調(音量を上げる、イコライザーで特定の周波数を強調する)しましょう。
ノイズは除去する:空調の音、電気のハム音、不要な雑音などは、ノイズ除去機能で取り除きましょう。
工場のノイズ処理については、【製造業】:工場の騒音の中でも声を聞き取りやすくする「オーディオ編集」の記事を参考にしてください。
BGMの選び方
シネマティックな製造・技術動画には、それにふさわしいBGMが必要です。
シネマティックに合うBGMのタイプ
オーケストラ・シンフォニック:壮大さ、重厚感を演出。大規模な工場、高度な技術をアピールする動画に適している。
アンビエント・エレクトロニカ:未来的、先進的な印象を演出。精密機器、ハイテク製造業に適している。
アコースティック・ピアノ:繊細さ、丁寧さを演出。伝統工芸、手作業中心のものづくりに適している。
ミニマル・ドローン:緊張感、集中を演出。音数が少なく、映像と作業音を邪魔しない。技術の細部を見せる動画に適している。
和楽器・邦楽:日本らしさを演出。日本の伝統工芸、和のテイストを持つものづくりに適している。
BGMの選び方については、BGMと効果音(SE)の選び方で印象は激変!動画のクオリティを上げる音響術の記事を参考にしてください。無料で使える商用OKのBGMについては、無料で使える!商用OKの高品質なBGM・効果音サイト5選【2026年版】も参考になります。
「無音」の効果
シネマティックな動画では、「無音(または作業音のみ)」の瞬間を意図的に作ることも効果的です。
BGMが流れ続けている中で、ある瞬間だけBGMを止め、作業音だけにする。この「沈黙」が、視聴者の注意を引き、その瞬間の重要性を強調します。
例えば、職人が最後の仕上げを行う瞬間、BGMを止めて、道具が製品に触れる音だけを聞かせる。その後、BGMが再び入り、完成品が映し出される…。このような演出は、感動的なクライマックスを作り出します。
無音の演出については、動画内の「無音(ま)」の作り方|視聴者に考えさせ、強調するための高度な演出の記事も参考にしてください。
効果音(Foley)の追加
撮影時に録った音だけでは、インパクトが足りないことがあります。そんな時は、効果音(Foley:フォーリー)を追加することで、音の「厚み」を増すことができます。
追加すると効果的な効果音
金属音:工具が金属に当たる音、機械の動作音などを強調。
低音のインパクト音:重要な瞬間に「ドン」という低音を入れると、映画のような迫力が出る。
スウィッシュ音:カメラの動きや画面転換に合わせて「シュッ」という音を入れると、テンポ感が出る。
環境音のレイヤー:工場のアンビエント音(機械の低い唸り、空調の音など)を薄く重ねると、臨場感が増す。
効果音は、使いすぎると「やりすぎ」になるので、控えめに使うことがポイントです。
カメラワークと撮影テクニック
シネマティックなカメラワークの基本
シネマティックな映像を作るには、編集だけでなく、撮影時のカメラワークも重要です。
以下のカメラワークを意識することで、素材の質が上がり、編集がしやすくなります。
【カメラワーク1】スライド(トラッキング)
カメラを横または前後にスライドさせる動き。スライダーやジンバルを使うと、滑らかな動きが得られる。製品を横から舐めるように撮る、作業場を歩きながら撮る、といった使い方。
【カメラワーク2】パン・ティルト
カメラを左右(パン)または上下(ティルト)に動かす動き。三脚を使い、ゆっくりと一定速度で動かすことがポイント。工場全体を見せる、大型機械を下から上に撮る、といった使い方。
【カメラワーク3】ドリーイン・ドリーアウト
カメラを被写体に近づける(ドリーイン)または遠ざける(ドリーアウト)動き。職人の顔にゆっくり近づく、完成品から引いて全体を見せる、といった使い方。
【カメラワーク4】フォローショット
動く被写体(職人の手、製品、素材など)を追いかけるように撮る。素材が流れていく工程を追いかける、職人が歩く姿を後ろから追う、といった使い方。
【カメラワーク5】固定ショット
カメラを固定して撮る。すべてのシーンで動きを入れる必要はなく、固定ショットは安定感を与え、作業の細部を見せるのに適している。
マルチカメラ撮影の効果
可能であれば、複数のカメラで同時に撮影する「マルチカメラ撮影」を行うと、編集の幅が大きく広がります。
マルチカメラ撮影の例
カメラ1:全体を引きで撮影(固定)、カメラ2:職人の手元をアップで撮影(固定または追従)、カメラ3:職人の表情を撮影(固定または追従)
これにより、同じ作業を複数のアングルから捉えることができ、編集時に「引き」「寄り」「表情」を自在に切り替えられます。
マルチカメラ編集については、マルチカメラ編集:3台のカメラ映像を1つに!対談動画を飽きさせないスイッチング術の記事を参考にしてください。
照明の重要性
製造現場の照明は、シネマティックな映像を撮る上で大きな課題です。
工場や工房の照明は、作業効率を優先しているため、映像向きではないことが多いです。蛍光灯が青白い光を放っていたり、明暗の差が激しかったり、照明の色温度がバラバラだったりします。
照明を改善する方法
追加照明を持ち込む:LEDライトパネルなどを持ち込み、被写体を狙って照らす。特に、職人の顔や手元に光を当てることで、印象的な映像になる。
自然光を活用する:窓からの自然光がある場合は、その方向を意識して撮影位置を決める。自然光は最も美しい光源の一つ。
既存の照明を切る:可能であれば、蛍光灯などの既存照明を切り、持ち込んだ照明だけで撮影する。色温度を統一でき、映像的にコントロールしやすくなる。
逆光を活かす:被写体の後ろから光が当たる「逆光」は、輪郭が際立ち、ドラマチックな映像になる。火花や煙、蒸気などと組み合わせると特に効果的。
照明と編集の関係については、照明と編集の関係:編集で「明るく」するのは限界がある?撮影時にこだわるべきライティングの記事を参考にしてください。
4K・高解像度撮影のメリット
シネマティックな製造・技術動画を作るなら、4K(または4K以上)での撮影を強くおすすめします。
4K撮影のメリット
トリミング・リフレーミングの自由度:4Kで撮影した映像を2Kのタイムラインに配置すれば、編集時にズームイン、パン、リフレーミングが可能。撮影時に完璧なフレーミングができなくても、編集でカバーできる。
スローモーションとの相性:高解像度で撮影することで、スローモーション時にも細部がくっきり見える。
細部の描写:製造・技術動画では、製品や作業の「細部」を見せることが重要。4Kの解像度があれば、細かいディテールまでクリアに映せる。
将来への対応:現在はフルHD(1080p)が主流だが、今後は4Kが標準になる。4Kで撮影しておけば、将来的にも使える素材になる。
4K撮影の詳しいメリットについては、編集を楽にする撮影術:後から「ズーム」できるように4Kで撮っておくべき理由の記事を参考にしてください。
編集のテクニック
カット割りとテンポ
シネマティックな動画は、「カット割り」と「テンポ」が非常に重要です。
基本的なカット割りの考え方
引きと寄りを交互に:全体を見せる「引き」のカットと、細部を見せる「寄り」のカットを交互に入れることで、視覚的な変化を生み出す。
アクションでカット:動作の途中でカットを入れ、別のアングルに切り替える。例えば、職人がハンマーを振り上げる途中でカットし、次のカットでは振り下ろす瞬間を別のアングルから見せる。これを「マッチカット」と呼び、映画でよく使われる手法。
1カットの長さを考える:シネマティックな動画では、一般的なビジネス動画よりも1カットの長さを長めにすることが多い。じっくりと見せることで、「重厚感」「丁寧さ」を演出できる。ただし、長すぎると退屈になるので、バランスが重要。
テンポを変化させる
動画全体を通して同じテンポだと、単調になってしまいます。シーンによってテンポを変化させることで、視聴者を飽きさせない構成を作れます。
導入部:ゆっくりとしたテンポで、世界観を提示する。
中盤:テンポを上げ、様々な作業や技術を見せる。
クライマックス:再びテンポを落とし、最も重要な瞬間(製品の完成、職人の表情など)をじっくり見せる。
カット割りとテンポについては、視聴維持率が変わる!プロが教える「カット」と「間」の編集テクニックの記事も参考にしてください。
BGMに合わせたカット割り
シネマティックな動画では、BGMのリズムに合わせてカットを割ることで、映像と音楽が一体となった心地よい視聴体験を作れます。
BGMに合わせるポイント
ビートに合わせる:BGMのビート(拍)に合わせてカットを切り替えると、テンポ感のある映像になる。特にアップテンポなパートでは効果的。
盛り上がりに合わせる:BGMが盛り上がる部分(サビ、クレッシェンドなど)に、映像の見せ場(完成、クライマックスなど)を合わせる。
静かな部分には静かな映像を:BGMが静かな部分には、じっくりとした固定カットや、スローモーションを配置する。
BGMとカット割りの関係については、テンポの科学:BGMのBPM(テンポ)に合わせたカット割りの心地よさの作り方の記事も参考にしてください。
トランジション(場面転換)
シネマティックな動画では、トランジション(場面転換)も「映画らしさ」を演出する要素です。
シネマティックに合うトランジション
カット:最もシンプルで、最も使われる。シネマティック動画では、派手なトランジションよりもシンプルなカットが基本。
フェード:徐々に暗くなり、次のシーンが徐々に明るくなる。シーンの大きな区切り(章の切り替えなど)で使う。
ワイプ/スライド:被写体や背景の動きを利用して、自然に次のシーンに移行する。例えば、職人が画面を横切るタイミングで次のシーンに切り替える。
マッチカット:形や動きが似た2つのカットをつなぐ。例えば、丸い製品のアップから、丸い機械のパーツのアップに切り替える。
避けるべきトランジション
派手なエフェクト(スター、ディゾルブ、ズーム、回転など)は、シネマティックな雰囲気を壊してしまうことが多いです。プロの映画では、ほとんどが「カット」または「フェード」で構成されています。
テロップ・テキストの扱い
シネマティックな動画では、テロップ(テキスト)の扱いにも注意が必要です。
テロップを少なめにする
シネマティックな映像の魅力は、「映像そのもの」で伝えることにあります。テロップが多すぎると、映像の美しさが損なわれ、「説明的」な印象になってしまいます。
必要最小限のテロップ(会社名、製品名、キャッチコピーなど)にとどめ、映像で見せることを優先しましょう。
フォントを選ぶ
シネマティックな動画には、映画のようなフォントが合います。細めのサンセリフ体(ゴシック体)、または上品なセリフ体(明朝体)を選びましょう。ポップなフォントや手書き風フォントは、雰囲気を壊してしまいます。
アニメーションは控えめに
テロップのアニメーション(出現・消滅のエフェクト)は、控えめにしましょう。シンプルなフェードイン・フェードアウト、または静かにスライドインする程度が適切です。
テロップのデザインについては、見やすいテロップ(字幕)の入れ方|フォント・サイズ・色の視認性ルールの記事も参考にしてください。ただし、シネマティック動画の場合は、「読みやすさ」よりも「映像との調和」を優先する場面もあります。
業種別・シネマティック編集のポイント

金属加工・機械製造
金属加工や機械製造は、シネマティック動画との相性が非常に良い業種です。火花、金属の光沢、精密な動き、大型機械の迫力…。映像的な「絵になる」要素が豊富にあります。
編集のポイント
火花をスローで撮る:溶接、切断、研磨などで発生する火花は、スローモーションで撮ると非常に美しい。オレンジ色の火花が飛び散る様子は、シネマティック動画の定番。
金属の質感を活かす:金属のツヤ、反射、光沢を活かした映像を撮る。照明の角度を工夫し、金属表面に光が反射する様子を捉える。
カラーグレーディングはティール&オレンジ:金属の冷たさ(ティール)と、熱や火花の温かさ(オレンジ)のコントラストが映える。
精密さを見せる:マイクロ単位の加工精度を持つ場合、測定機器の画面、拡大した加工面などを見せ、「肉眼では見えない世界」を映像化する。
機械の動きをじっくり見せる:CNC、マシニングセンタ、プレス機などの動きは、そのまま見せても十分に迫力がある。スローモーションで細部の動きを見せるのも効果的。
伝統工芸(木工・漆器・陶芸など)
伝統工芸のシネマティック動画は、「時間の流れ」と「職人の存在感」を表現することがポイントです。
編集のポイント
職人の手元をクローズアップ:伝統工芸の魅力は、「人の手による技」にある。職人の手元を浅い被写界深度でクローズアップし、道具の使い方、素材の触り方を丁寧に見せる。
温かみのあるカラーグレーディング:木材、土、漆など、自然素材を扱う伝統工芸には、温かみのある茶色・オレンジ系のトーンが合う。
静寂と音を活かす:伝統工芸の動画では、BGMを控えめにし、道具の音、素材の音を活かすことが効果的。カンナを引く音、ロクロが回る音、漆を塗る音…。これらの「作業音」が、視聴者を作業場に引き込む。
時間の流れを表現する:伝統工芸は、長い時間をかけて作られる。タイムラプス(早回し)と通常速度を組み合わせて、「時間の経過」を表現する。
職人の表情を撮る:熟練の職人が作業に集中している表情は、それ自体が「作品」。集中した眼差し、満足げな微笑み、完成品を見つめる瞬間などを撮り、人間的な魅力を伝える。
伝統工芸のホームページ制作については、伝統工芸・職人のホームページ|技術継承とブランド価値を高める「製作工程」の動画発信の記事も参考にしてください。
食品製造
食品製造のシネマティック動画は、「清潔感」と「美味しそう(シズル感)」を両立させることがポイントです。
編集のポイント
衛生管理を見せる:食品製造では、衛生管理が重要。白衣、手袋、クリーンルームなどの映像を入れ、「清潔で安全」という印象を与える。
シズル感を出す:食品の質感、ツヤ、湯気、流動性などを美しく撮る。スローモーションで液体が流れる様子、揚げ物の泡、生地がこねられる様子などを撮ると、「美味しそう」という感覚を喚起できる。
マクロ撮影(接写)を活用:食品の細部(粒子、繊維、質感など)をマクロ撮影で見せると、「こだわり」が伝わる。
温かみのある照明:食品は、暖色系の照明(オレンジ〜黄色)の下で撮ると美味しそうに見える。蛍光灯の青白い光は避ける。
BGMは軽やかに:食品製造の動画には、軽やかで明るいBGMが合う。重厚すぎるオーケストラよりも、アコースティックギターやピアノの方が適切な場合が多い。
繊維・アパレル
繊維やアパレル製造のシネマティック動画は、「素材感」と「ファッション性」を表現することがポイントです。
編集のポイント
素材の質感を見せる:糸、生地、織りの細部をマクロ撮影で見せる。光の反射、素材の手触りが伝わる映像を撮る。
染色・仕上げの美しさ:染色の工程(色が染み込んでいく様子)、仕上げの工程(プレス、縫製など)は、視覚的に美しい。スローモーションで見せると効果的。
ファッショナブルなカラーグレーディング:アパレルブランドのイメージに合わせた、おしゃれなカラーグレーディングを施す。ブランドカラーを意識した色調も効果的。
モデル撮影との組み合わせ:製造工程の映像と、完成品を着用したモデルの映像を組み合わせることで、「作る」と「着る」のストーリーを伝えられる。
精密機器・電子部品
精密機器や電子部品の製造は、「目に見えない世界」を映像化することがポイントです。
編集のポイント
マクロ撮影で微細な世界を見せる:肉眼では見えない微細な部品、回路、加工面などをマクロレンズで撮影し、「こんなに細かい技術なのか」という驚きを与える。
クリーンルームの映像:クリーンルームでの作業は、「先進技術」「高度な品質管理」の象徴。防塵服を着た作業者、クリーンな環境を見せることで、技術力をアピールできる。
検査・測定の映像:電子顕微鏡、測定機器、検査装置などの映像は、「精度へのこだわり」を伝える。画面に表示されるデータや数値も、視覚的なアクセントになる。
未来的なカラーグレーディング:青白い光、ティール系のカラーグレーディングで、「先進技術」「未来」のイメージを演出する。
BGMはアンビエント・エレクトロニカ:未来的な雰囲気に合わせて、アンビエントやエレクトロニカ系のBGMを選ぶ。
鍛造・鋳造
鍛造や鋳造は、「火」と「力」を感じさせる、非常にドラマチックな業種です。
編集のポイント
炎の美しさを最大限に活かす:真っ赤に焼けた金属、立ち上がる炎、溶けた金属が流れる様子…。これらは、シネマティック動画で最も「絵になる」素材。スローモーションで美しく見せる。
コントラストの強いカラーグレーディング:火の明るさと、工場の暗さのコントラストを強調したカラーグレーディング。ハイライトはオレンジ、シャドウは深い黒に。
ハンマーの音を活かす:鍛造のハンマーの音、鋳造の金属が流れ込む音などは、非常にインパクトがある。音をしっかり収録し、編集で強調する。
職人の肉体を見せる:鍛造職人の逞しい腕、汗、真剣な表情などは、「人の力」を感じさせる。人間的な魅力を映像に取り込む。
逆光を活用:炉の火を背景にした逆光の映像は、非常にドラマチック。シルエットで職人を見せることで、「力強さ」「崇高さ」を表現できる。
構成・ストーリーテリング
「ストーリー」を持たせる
シネマティックな動画は、単なる「作業の記録」ではなく、「ストーリー」を持っていることが重要です。
ストーリーがあることで、視聴者は感情移入し、最後まで見続けようという意欲が生まれます。
製造・技術動画のストーリー構成例
【構成1】「原材料から製品へ」の旅
原材料(木材、金属、土など)が、加工されていく過程を追う構成。最初は「ただの素材」だったものが、職人の手によって「価値ある製品」に生まれ変わる。
【構成2】「職人の一日」
朝、工房に入る職人。道具を準備し、作業を始め、昼食を取り、再び作業に戻り、夕方に製品を完成させる。一人の人物に焦点を当てることで、視聴者は感情移入しやすくなる。
【構成3】「伝承と革新」
先代から受け継いだ技術と、新しい技術・アイデアの融合。伝統を守りながら、時代に合わせて進化していく姿を描く。
【構成4】「挑戦と達成」
難しい注文、困難なプロジェクトに挑戦し、最終的に成功させる。課題→試行錯誤→解決→達成という流れは、視聴者を引き込む。
「見せ場」を作る
シネマティックな動画には、「見せ場(ハイライト)」が必要です。
全編を同じテンションで流すのではなく、「ここが一番すごい」「ここが一番美しい」というポイントを設定し、そこに向かって動画を構成します。
見せ場の例
製品が完成する瞬間、最も難しい工程を成功させる瞬間、職人が満足げに製品を見つめる瞬間、火花が最も美しく散る瞬間、機械が最も迫力ある動きをする瞬間などです。
見せ場では、スローモーション、印象的なBGM、美しいカラーグレーディングなど、すべての編集技術を投入して、視聴者の感情を動かします。
冒頭と結びの重要性
冒頭で引き込む
動画の冒頭は、視聴者が「最後まで見るかどうか」を決める重要な瞬間です。
シネマティックな製造・技術動画の冒頭は、「インパクトのある映像」から始めることをおすすめします。火花が散る瞬間、職人の鋭い眼差し、機械が動き出す瞬間など、「お!」と思わせる映像で始めましょう。
逆に、会社ロゴや説明テロップから始めると、視聴者の興味が薄れてしまいます。
結びで余韻を残す
動画の結びは、視聴者に「余韻」を残す場所です。
完成した製品の美しいカット、職人の満足げな表情、静かに佇む工房や工場…。BGMが静かにフェードアウトしながら、美しい映像で締めくくることで、視聴者の心に「いいものを見た」という感覚が残ります。
エンディングには、会社名やロゴ、連絡先などを控えめに表示します。派手すぎると、せっかくのシネマティックな雰囲気が台無しになります。
動画の活用方法
自社サイト・採用サイトへの掲載
シネマティックな製造・技術動画は、自社サイトや採用サイトの「顔」として活用できます。
トップページの背景動画
トップページのファーストビュー(最初に表示される領域)に、動画を背景として配置する方法です。訪問者に強烈な第一印象を与え、「この会社は本物だ」という信頼感を喚起できます。
ただし、背景動画はファイルサイズを軽くする必要があります。ループ再生に適した短いクリップ(10〜30秒程度)を用意し、圧縮率を高めて軽量化しましょう。
会社紹介ページへの埋め込み
「会社について」「私たちの技術」「製造工程」などのページに、YouTubeやVimeoから動画を埋め込みます。テキストだけでは伝わらない「技術力」「ものづくりへの情熱」を、映像で補完できます。
採用サイトへの活用
シネマティックな動画は、採用においても効果的です。「この会社で働きたい」という気持ちを喚起し、応募数の増加につながります。
特に製造業は、「3K(きつい、汚い、危険)」のイメージを持たれがちですが、シネマティックな動画で「かっこいい」「美しい」「やりがいがある」という印象を与えることで、イメージを刷新できます。
動画の埋め込みについては、YouTube動画をホームページに活用!テキストよりも商品魅力が伝わる埋め込みテクニックの記事を参考にしてください。
YouTubeでの公開
YouTubeでの公開は、幅広い層にリーチできる効果的な手段です。
検索されやすいタイトルと説明
「〇〇の製造工程|匠の技」「〇〇ができるまで|伝統工芸」など、検索されやすいキーワードを含めたタイトルを設定しましょう。説明欄には、会社名、製品名、技術の特徴などを記載します。
サムネイルの重要性
YouTubeでは、サムネイル(一覧に表示される画像)がクリック率を大きく左右します。シネマティックな動画であれば、最も印象的なカット(火花、職人の手元、完成品など)をサムネイルに使いましょう。
チャプター機能の活用
長い動画の場合は、チャプター機能で「原材料」「加工」「仕上げ」などの目次を設定すると、視聴者が見たい部分にすぐアクセスできます。
YouTube活用については、VSEO(動画検索最適化)を意識した編集|YouTubeでの上位表示を狙う方法の記事も参考にしてください。
SNSでの展開
シネマティックな映像は、SNSでの反響も大きいです。
Instagram / TikTok(縦型ショート動画)
シネマティックな製造・技術動画は、InstagramリールやTikTokでバズる可能性があります。特に、火花が散る映像、スローモーションの美しい動き、職人技などは、「見たことがない」という新鮮さから、多くの人にシェアされやすいです。
縦型動画に編集し直す際は、最も印象的な部分を15〜60秒に凝縮しましょう。
X(旧Twitter)
短いクリップ(30秒〜2分程度)は、X(旧Twitter)でもシェアされやすいです。「日本の職人技」「ものづくりの美しさ」といった文脈でシェアされれば、海外からも注目される可能性があります。
B2Bの製造業であれば、LinkedInでの公開も効果的です。取引先、潜在顧客、ビジネスパートナーにリーチできます。
動画の二次利用については、動画の二次利用戦略|1本の動画をYouTube、TikTok、ブログ用に編集し直す方法の記事を参考にしてください。
展示会・商談での活用
シネマティックな動画は、展示会や商談の場でも効果を発揮します。
展示会ブースでの上映
展示会のブースで動画を流すことで、通りがかりの来場者の目を引き、ブースに立ち寄ってもらうきっかけになります。
展示会では音が出せない場合も多いため、テロップを多めに入れた「サイレント動画」バージョンも用意しておくと良いでしょう。
商談・プレゼンでの上映
商談やプレゼンの冒頭で動画を見せることで、「自社の技術力」「ものづくりへの姿勢」を一気に伝えることができます。言葉で説明するよりも、映像で見せる方が、はるかに強いインパクトを与えられます。
海外バイヤー向け
シネマティックな動画は、言語の壁を越えて「凄さ」を伝えられます。海外の展示会や、海外バイヤーとの商談では、特に効果的です。字幕を英語や現地語に差し替えるだけで、グローバルに展開できます。
制作のヒント
自社制作 vs 外注
シネマティックな動画を制作するには、高い技術と機材が必要です。自社で制作するか、プロに外注するか、検討が必要です。
自社制作のメリット
コストを抑えられる(機材への初期投資は必要)、いつでも撮影できる、自社の技術を最も理解している人が撮影できるなどがあります。
自社制作のデメリット
高い編集スキルが必要、機材への投資が必要、撮影・編集に時間がかかるなどがあります。
外注のメリット
プロのクオリティが得られる、撮影・編集の手間がかからない、客観的な視点で「見せ方」を提案してもらえるなどがあります。
外注のデメリット
費用がかかる(シネマティック動画は一般的なビジネス動画よりも高額になることが多い)、自社の技術を十分に理解してもらう必要があるなどがあります。
おすすめのアプローチ
最初は外注でプロに依頼し、「お手本」となる動画を作ってもらう。その後、自社でも撮影・編集のスキルを身につけ、日常的な動画は自社制作、重要な動画は外注、という使い分けをするのがおすすめです。
外注のコツについては、動画編集の外注コストを「1/3」にするための、上手な素材提供と指示書の書き方の記事を参考にしてください。
機材の選び方
シネマティックな動画を撮影するための基本的な機材を紹介します。
カメラ
フルサイズ一眼カメラ(Sony α7シリーズ、Canon EOS Rシリーズ、Nikon Zシリーズなど)が理想的です。大きなセンサーで美しいボケが得られ、4K撮影、高フレームレート撮影にも対応しています。
予算が限られる場合は、APS-Cセンサーの一眼カメラや、マイクロフォーサーズでも、十分にシネマティックな映像が撮れます。
レンズ
明るい単焦点レンズ(F1.4〜F2.8)がおすすめです。35mm、50mm、85mmあたりの焦点距離が使いやすいです。ズームレンズよりも単焦点レンズの方が、より浅い被写界深度(美しいボケ)が得られます。
ジンバル
滑らかなカメラワークには、ジンバル(電動スタビライザー)が必須です。DJI RSシリーズ、Zhiyun、FeiyuTechなどが定番です。
三脚
固定カットの撮影には、しっかりした三脚が必要です。動画撮影用の三脚は、滑らかなパン・ティルトができる「フルードヘッド」搭載のものを選びましょう。
照明
LEDライトパネルがあると、照明が足りない現場でも対応できます。色温度を調整できるバイカラーLEDが便利です。
外部マイク・レコーダー
カメラ内蔵マイクでは、高品質な音は録れません。ガンマイク、または外部オーディオレコーダー(ZOOM、TASCAMなど)を使って、クリアな音声を収録しましょう。
編集ソフトの選び方
シネマティックな編集には、高機能な編集ソフトが必要です。
Adobe Premiere Pro
業界標準の編集ソフト。機能が充実しており、カラーグレーディング、音声編集、エフェクトなど、すべてを1つのソフトで完結できる。月額課金制。
DaVinci Resolve
カラーグレーディングに特化したソフトとして有名だが、編集、音声、VFXまで対応。無料版でも十分な機能があり、コストを抑えたい場合におすすめ。
Final Cut Pro
Mac専用。直感的な操作性で、Apple製品との連携が良い。買い切り制。
カラーグレーディング専用ソフト
より高度なカラーグレーディングを行いたい場合は、DaVinci Resolveのカラーページ、またはFilmConvertなどのプラグインを活用しましょう。
よくある質問(FAQ)

シネマティック動画の制作費用はどのくらい?
自社制作の場合:機材への初期投資(カメラ、レンズ、ジンバル、照明、マイクなど)として、最低でも30万円〜100万円程度が必要です。その後の制作は、人件費のみ。
外注の場合:シネマティックな品質の動画(2〜5分程度)を制作会社に依頼すると、50万円〜200万円程度が相場です。撮影日数、編集の複雑さ、ナレーションの有無などによって変動します。
高品質な動画は、長期間にわたって使えるため、投資対効果を考えると、決して高くはないと言えます。
動画の長さはどのくらいが適切?
用途によって異なります。
Webサイト用(トップページの背景動画):10〜30秒程度のループ動画。
Webサイト用(埋め込み動画):2〜5分程度。長すぎると離脱される。
YouTube用:3〜10分程度。内容によってはそれ以上でも可。
SNS用(Instagram、TikTok):15〜60秒程度。
展示会・商談用:2〜5分程度。場合によっては1分版と5分版の2バージョンを用意。
撮影に何日くらいかかる?
規模や内容によりますが、一般的には以下が目安です。
小規模(工房、少人数の作業):1日〜2日
中規模(工場、複数の工程):2日〜3日
大規模(複数の拠点、多くの工程):3日〜5日以上
撮影前のロケハン(下見)や、撮影後の編集時間も考慮する必要があります。
工場のセキュリティ上、撮影できない場所がある場合は?
製造業では、機密保持の観点から、撮影できない場所や工程があることも多いです。
対策
撮影可能な範囲を事前に明確にする、機密部分はカメラのアングルを工夫して映さないようにする、撮影後に機密部分をぼかし・モザイク処理する、動画の公開前に社内で確認を取る体制を作るなどの対応が考えられます。
職人がカメラを嫌がる場合は?
カメラの前で緊張したり、撮影を嫌がる職人さんもいます。
対策
撮影の目的と意義を丁寧に説明する、「インタビュー」ではなく「作業を撮影する」というスタンスで臨む(顔よりも手元を中心に撮る)、長時間撮影して、自然な瞬間を切り取る、複数回に分けて撮影し、カメラに慣れてもらうなどの工夫が有効です。
、技術の「凄さ」「美しさ」「価値」を、視聴者の心に直接届けることができます。
ぜひ、この記事で紹介したテクニックを実践し、あなたの会社や工房の技術を、映画のように「魅せる」動画を作成してください。
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