知らない間に情報が激変？
「ユーザーからの提案」を無効化する監視体制の作り方
「朝起きたら、お店が勝手に『閉業』扱いになっていた…」
「電話番号が競合他社のものに書き換えられていた…」
Googleビジネスプロフィールを管理している方なら、誰もが一度は「オレンジ色の文字」で修正案が出ているのを見たことがあるはずです。善意の第3者による親切な修正ならまだしも、中には悪意ある改ざんや、AIの誤判定による書き換えも少なくありません。
本記事では、なぜGoogleは勝手に情報を変えてしまうのか、そして、それらを「なかったこと」にするためのリアルタイム監視体制をどう構築すべきか、その全容を公開します。
【本記事の構成（Part 1）】
- 第1章：Googleが情報を勝手に書き換える「3つのルート」
- ユーザーによる「情報の修正を提案」ボタンの威力
- 他のウェブサイト（ポータルサイト・SNS）からのデータ照合
- GoogleストリートビューやAI画像解析による自動更新
- 第2章：書き換えられやすい項目ランキングとその影響
- 1位：営業時間、2位：名称（キーワード削除）、3位：電話番号
- 書き換え放置が「サイレント失客」を招く理由
- 第3章：【初期設定】通知設定を「攻め」の姿勢へ変更する
- 管理画面の通知設定を全て「オン」にしても足りない理由
- 複数人で監視するための「通知共有」メールアドレスの活用
第1章：Googleが情報を勝手に書き換える「3つのルート」
Googleは、オーナーが提供する情報よりも「世の中にある情報の総合値」を優先することがあります。主に以下の3つのルートで書き換えが発生します。
1-1. ユーザーからの直接的な提案
Googleマップ上の「情報の修正を提案」から、誰でも匿名で修正をリクエストできます。Googleはそのユーザーの過去の正確性（ローカルガイドレベル等）を見て、即座に反映させるか判断します。
1-2. 外部サイトとのNAP不一致
公式サイトや食べログ、ホットペッパー、SNS等の情報がGoogleビジネスプロフィールと異なっていると、Googleは「他のサイトの情報の方が最新かもしれない」と判断し、勝手に情報を同期させます。
第2章：書き換えられやすい項目とその影響
特に狙われやすいのが以下の3点です。これらが変わると売上に直結します。
- 営業時間： 「営業中」のはずが「閉業中」と表示され、その日の来店がゼロになる。
- 名称： 順位を上げるために入れていたキーワードがAIにより削除され、順位が急落する。
- 電話番号： 予約電話が繋がらなくなり、お客様が競合店へ流れる。
第3章：通知設定を「攻め」の姿勢へ変更する
監視の第一歩は、異変に「秒速で気づく」ことです。
3-1. プッシュ通知とメール通知の両輪
Googleビジネスプロフィールの設定画面で「ビジネス プロフィールの更新」に関する通知を必ずオンにしてください。ただし、多店舗管理の場合はメールが埋もれやすいため、特定のキーワード（「情報の修正」「更新」など）を含むメールをSlackやLINEに自動転送する仕組みを作ることが、プロの監視体制です。
【本記事の構成（Part 2）】
- 第4章：反映された「オレンジ色の文字」を正しく処理する方法
- 「承認」か「破棄」か。修正内容の確認手順
- 誤って承認してしまった情報を元の状態に復元するフロー
- 第5章：一括管理ツールによる「マスターデータ保護（自動上書き）」
- Google側の修正を検知し、数分以内に元の情報へ書き戻す仕組み
- 多店舗展開で「24時間365日」の監視を実現する技術
- 第6章：書き換えの「根源」を絶つ：NAP情報のクリンネス
- 外部サイトの古い情報を一掃し、Googleに「迷い」を与えない
- 公式サイトの構造化マークアップ（Schema.org）による情報の権威付け
- 第7章：特定のユーザーによる「嫌がらせ」が続く場合の対処法
- 執拗な閉業申請や名称変更を繰り返すアカウントのブロック
- Googleサポートへの「不当な修正提案」の通報と保護依頼
第4章：反映された「オレンジ色の文字」を正しく処理する
管理画面を開いた際、項目がオレンジ色になっていたら、それはGoogleが「外部情報やユーザーの提案に基づき書き換えた」ことを意味します。
4-1. 迅速な「破棄（元に戻す）」の実施
内容が間違っている場合は、迷わず修正を拒否（破棄）してください。放置するとその情報が「正」として定着してしまいます。「Googleが正しいと言っているから」と鵜呑みにせず、自店の最新情報と照らし合わせることが重要です。
第5章：ツールによる「マスターデータ保護（自動上書き）」
1店舗なら手動で監視できますが、30店舗、100店舗となると不可能です。ここで活躍するのが多店舗管理ツールの「保護機能」です。
自動復元のメカニズム
ツール側に「正しい情報（マスターデータ）」を登録しておくと、APIを通じてGoogle側の変更を常時モニタリングします。第三者によって情報が書き換えられた瞬間、ツールが自動で正しい情報へと「書き戻し」を実行します。これにより、実質的な改ざん時間を最小限に抑えられます。
第6章：書き換えの「根源」を絶つ：NAP情報のクリンネス
Googleが勝手に情報を変えるのは、どこかに「別の情報」が存在するからです。
6-1. ネット上の「情報のズレ」を修正する
昔入会していた地域ポータルサイト、古いSNSアカウント、以前の公式サイト……これらに残っている古い営業時間が、Googleの書き換えの「根拠」に利用されます。ネット上の全NAP（店名・住所・電話番号・営業時間）を統一することが、最強の防衛策になります。
第7章：特定のユーザーによる「嫌がらせ」への対処
何度直しても、特定の個人や競合と思われるアカウントが嫌がらせのように修正を繰り返すことがあります。
7-1. Googleへの「被害報告」
あまりに頻度が高い場合は、Googleビジネスプロフィールのサポート窓口へ連絡し、「特定のアカウントから根拠のない修正提案が繰り返されており、業務に支障が出ている」と報告しましょう。状況が認められれば、一定期間、第三者からの提案を受け付けないようプロフィールの「保護」が適用される場合があります。
【本記事の構成（Part 3・完結）】
- 第8章：年末年始・祝日の「特別営業時間」こそ書き換えの主戦場
- ユーザーが「開いてるはず」と予測して行う修正案の怖さ
- 「Googleによる確認済み」のチェックマークを維持するコツ
- 第9章：現場スタッフの「リテラシー」が最大の防波堤になる
- 「管理画面のオレンジ色は異常事態」という共通認識を持たせる
- 勝手に承認させないための、現場向け簡易ルールブック
- 第10章：【総括】正確な情報は、ブランドを守る「デジタル・セキュリティ」
- 書き換えを防ぐことが、MEO順位と顧客信頼の両立に繋がる
- よくある質問（Q&A）と総括
第8章：繁忙期の「特別営業時間」こそ書き換えの主戦場
大型連休や年末年始、Googleマップ上には「営業時間が異なる可能性があります」という注意書きが出ます。これを見たユーザーが、善意で「今日は休みだったよ」「18時までだったよ」と修正提案を行うケースが急増します。
8-1. 事前の「確定宣言」が書き換えを防ぐ
「特別営業時間」をあらかじめ正しく設定しておくと、Googleマップ上で「ビジネスによる確認済み（〇日前）」と表示されます。この「オーナーが最新情報を宣言している」状態は、第三者からの修正提案が自動反映される確率を大幅に下げてくれます。
第9章：現場スタッフの「リテラシー」が最大の防波堤
本部がどれだけ監視していても、店舗のスマホで管理画面を触れる店長が、深い考えなしに「承認」ボタンを押してしまっては意味がありません。
現場向け：情報の修正対応3か条
- 1. オレンジ色の通知を見たら本部に報告： 独断で「承認」も「破棄」もしない。
- 2. 公式の営業時間表と常に照合： 自分の記憶ではなく、確定データに基づいて判断する。
- 3. ユーザーの親切心に感謝しつつ、事実は守る： ユーザーは間違えることもある、と理解しておく。
第10章：【総括】正確な情報はブランドを守る「セキュリティ」
「ユーザーからの提案」による書き換えを防ぐことは、単なるデータのメンテナンスではありません。それは、「デマや誤情報の拡散から自店を守るセキュリティ対策」です。
一度でも間違った営業時間を信じて来店し、閉まっていた店を経験したお客様は、二度と戻ってきません。また、Googleからの信頼を失えば、検索順位という目に見える資産も目減りしていきます。
デジタル上の看板を常に磨き、誰にも勝手に書き換えさせない。その執着心こそが、多店舗経営におけるMEOの勝敗を分け、地域に根ざした信頼を築き上げるのです。
勝手な書き換えに関する よくある質問（Q&A）
A. Googleが審査中の状態、あるいは却下された可能性があります。 メールが届いたからといって即座に書き換わるわけではありませんが、管理画面にオレンジ色の表示が出ていないか、数日間は注意深くモニタリングしてください。
A. すぐに「編集」から正しい情報を入力し直してください。 承認してしまった後でも、オーナーとして上書き修正することは可能です。ただし、短時間に何度も変更するとアカウントの信頼性に影響するため、一度で正確な情報に直すようにしましょう。
【結び】 あなたの店舗情報を、あなた自身が一番信じられるように。
Googleマップの利便性は「全員参加型」の仕組みに支えられていますが、その弊害として生じる情報のゆらぎを正すのは、オーナーであるあなたの責任です。
「勝手に変わるから仕方ない」と諦めるのではなく、通知を拾い、ツールで武装し、ネット上の情報をクリーンに保つ。その努力の積み重ねが、Googleマップという大海原で、お客様を迷わせず自店へと導く「揺るぎない灯台」となります。
正確な情報は、最高のおもてなしの第一歩です。今日から、鉄壁の監視体制で自店のデジタル資産を守り抜きましょう。
