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インボイス制度とECサイト|適格請求書発行事業者がWebサイトで対応すべきこと

「インボイス制度が始まって、ECサイトの領収書や納品書をどうすればいいのか分からない…」
「B2B向けのサービスを提供しているが、現在のWebサイトのシステムでインボイス対応ができるのだろうか?」

2023年10月に開始された**適格請求書等保存方式(インボイス制度)**は、Webサイト、特に**ECサイトやSaaSなどのデジタルサービス**を提供する事業者にとって、システム面および法務面で極めて重大な対応を迫るものです。

適格請求書発行事業者として登録した場合、Webサイトを通じて発行する**納品書、領収書、請求書**といったすべての書類を、法令で定められた**「インボイス(適格請求書)」の要件**に合致させる必要があります。

この対応が遅れると、**お客様(特に事業者)の消費税の仕入税額控除に影響を与え、取引停止や信用の失墜につながる、重大なコンプライアンス違反**となります。

この記事でわかること

  • ✅ インボイス(適格請求書)に必須の「6つの記載要件」
  • ✅ ECサイトが対応すべき「3つのシステム改修領域」
  • ✅ 顧客の混乱を防ぐための「Webサイトでの情報公開戦略」
  • ✅ WordPress(WooCommerceなど)でのインボイス対応方法

この記事では、**適格請求書発行事業者がWebサイト上で取るべき具体的なシステム対応と、お客様への情報公開戦略**をプロが解説します。

インボイス制度の基本:適格請求書の「6つの記載要件」

ECサイトが発行する請求書、領収書、納品書(インボイス)には、以下の6つの要件が必須となります。

記載要件 ECサイトでの対応必須箇所
① 適格請求書発行事業者の氏名または名称 事業者の正式名称(屋号)を記載。
② **登録番号** 税務署から通知された**「T+13桁の数字」**を必ず明記。(新規対応必須)
③ 取引年月日 商品やサービスの提供を行った日。
④ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨) **商品ごとに標準税率(10%)か軽減税率(8%)かを明確に**区別して記載。(システム改修必須)
⑤ **税率ごとの合計額と適用税率** **「8%対象の合計額」と「10%対象の合計額」**を分けて記載。(システム改修必須)
⑥ 書類交付を受ける事業者の氏名または名称 顧客(購入者)の氏名または名称。

ECサイトが対応すべき「3つのシステム改修領域」

ECサイト(WooCommerce、EC-CUBE、自社開発システムなど)でインボイス制度に対応するには、主に以下の領域でシステム改修が必要です。

改修領域1:請求書・領収書の発行システム

前述の**「6つの記載要件」**、特に**「登録番号」**と**「税率ごとの合計額」**が正確に印字されるよう、テンプレートと計算ロジックを変更する必要があります。

  • ✅ **軽減税率の識別:** 8%と10%の商品が混在する注文の場合、**システムが正確に税率を分離し、合計額を計算**する機能が必要です。
  • ✅ **登録番号の表示:** 領収書PDFのフッターやヘッダーに、登録番号を固定で表示するようデザインを変更。

改修領域2:会計・決済データとの連携

ECシステムが連携している**会計ソフト**(弥生会計、freee、MFクラウドなど)や**決済システム**にも、インボイス対応のデータ連携が必要です。

  • ✅ **データ保持:** どの注文で、どの税率が適用されたかのデータを**7年間**保持できるシステム基盤が必要です。
  • ✅ **APIの確認:** 会計ソフトへのデータ送信APIが、インボイスに必要な税率分離データに対応しているかを確認し、必要に応じてアップデートします。

改修領域3:Webサイト上での情報公開

お客様の混乱を防ぐため、HP上の以下の場所にインボイスに関する情報を明記します。

  • ✅ **フッター/会社概要:** 適格請求書発行事業者であることと、**登録番号**を明記。
  • ✅ **FAQページ:** 「インボイス制度への対応状況」に関するQ&Aセクションを新設する。

WordPress(WooCommerceなど)でのインボイス対応

WordPressのECプラグインであるWooCommerceや、Contact Form 7を使った請求書発行にも、専用の対応が必要です。

対応方法1:専用プラグインの導入

WooCommerceには、インボイス制度に対応した領収書・納品書を発行するための**専用の有料または無料プラグイン**が存在します。これらのプラグインを導入し、**登録番号と税率分離計算**が正しく行われるよう設定します。

対応方法2:システムテンプレートの直接編集

既存のプラグインやテーマがインボイス要件に対応していない場合、**PHPファイルやHTMLテンプレート**を直接編集し、登録番号や税率ごとの小計表示を強制的に追加する必要があります。この作業は、**システムが誤作動するリスク**が高いため、専門的な知識が必要です。

⚠️ 免税事業者との取引の注意点

お客様がインボイス制度の登録をしていない**「免税事業者」**であった場合、発行する請求書には仕入税額控除の記載ができません。システムの柔軟な対応や、お客様への正確な情報提供が不可欠です。

インボイス制度とWebサイトに関するQ&A

対応時の疑問にお答えします。

Q1. 領収書の宛名が空欄でも問題ありませんか?

**一定の条件(小売業、飲食店など)**を満たす場合は、「適格簡易請求書」として宛名なしでも発行できます。しかし、B2B取引がメインのECサイトやサービスでは、**原則として顧客名(事業者名)の記載が必要**です。

Q2. ECサイトで発行するPDF領収書は、適格請求書として認められますか?

はい、認められます。電子インボイスは、**PDFやメールといった電子データで発行しても問題ありません**。重要なのは、データ形式ではなく、**「6つの記載要件」が満たされているか**どうかです。

Q3. インボイス制度対応のシステム改修の費用相場は?

ECシステムの種類と改修規模によります。汎用的なプラグインの導入だけで済む場合は**数万円〜**、自社開発システムや複雑なカスタマイズがある場合は**数十万円〜数百万円**かかることもあります。

法改正への対応は、企業の「信頼」そのものです。

インボイス制度への対応は、お客様の取引の円滑化と、企業のコンプライアンス(法令遵守)を守るための必須課題です。
不確実な対応は、お客様からの信用を失うリスクに直結します。

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⚙️ システム改修代行

WordPress(WooCommerceなど)でのインボイス対応プラグインの導入・設定、テンプレートの改修を代行します。

📝 登録番号の表示設定

ホームページのフッター、会社概要、請求書PDFに登録番号が正確に表示されるようシステムを調整します。

📢 顧客向け情報公開サポート

お客様への周知を促すためのFAQページや告知バナーの設置をサポートします。

💰 初期費用・改修費用は別途見積もり

システムの規模に応じて、最小限のコストで確実なインボイス対応を実現します。

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